その一から大体十年位後、ぶっちゃけstsの前後位です。この世界ではstsも無印もA'sも無いけどw
ここはミッドチルダ・クラナガンにある高町・テスタロッサ家。
「と、いう状況になっているの」
「うう……。そうなんだ……」
なのはが新しく来た自分の娘(予定)に今現在の状況を説明していた。
それは少し前の事。執務官であるフェイトがとある違法研究所の摘発を行った。
そこで発見したのは見間違えるはずのない、聖王のクローン。ヴィヴィオだった。
――ただし、例の指輪をしていたが。
無論、フェイトはその娘を保護した。そして、その娘が目を覚ましたと聞き、面会。
こんな感じだった。
『!?……えっと私を保護してくれた……』
『久しぶり、ヴィヴィオ』
『え……フェイト、ママ……?』
『うん』
『え、え?えーーー!?』
それから大体のことを聞いて、顔を引きつらせるヴィヴィオ。
詳しくはなのはも一緒にとそのままさっさと保護責任者になり、さっさと自分たちの家に連れてきた。
それから再開を喜びあい、落ち着いた後ヴィヴィオが例の事を訪ねてきたので説明した。
ちなみにこんな感じである。
皆ユーノが好き。
↓
出来れば自分一人を見て欲しいけど、ユーノには全員分の記憶があるらしい。
↓
ユーノの性格からいって、そのままでは誰か一人に絞ることはできないだろう。ってゆーか無理だって言った。
↓
なら何人かなら。
↓
えー?でも誰をにするの?私あぶれるなんて嫌だよ。みんなそうでしょう?
↓
うん。だからローテーションを組もう。
↓
……順番は?
↓
……OHANASHIAIかな?
↓
……受けて立とう。チームはどうする?
↓
自由で。ただし事前にちゃんと申告しておくこと。
↓
新規がいたらどうする?
↓
多分ユーノ君に接触してくるだろうから、ちゃんと説明する。それ以外でも発見したら説明すること。
↓
了解。では第一回目はどうする?
↓
無人の観測世界の使用許可取れたでー。今からでもOKや。戦ろうか?
↓
よし、戦ろう。
↓
あのー……。僕の意見は?
↓
ん?じゃあ誰か決めてくれるの?
↓
……。
そして時間軸は冒頭に戻る。
「うん。落ち込んでいても仕方が無い。ユーノさん、私のこと覚えているかなあ?」
ヴィヴィオはそれを聞き、少々落ち込んでいたが前向きに考えることにしたようだ。
「多分、覚えていると思う。あの後から今までに何人か出てきたけど、みんな覚えていたし」
「まあユーノ君に恋人としての記憶が無かったら、私の娘としてユーノ君の娘にもなればいいの」
一応慰めるフェイトと、慰めているんだかいまいち分からないなのは。
「嫌だよ!?あ、いや、ママの娘になるのは望むところだけど」
そう言うヴィヴィオ。それを聞いてなのはは嬉しそう。
「うん。私ももう一度ヴィヴィオと親子になれてうれしいよ。……前回は自分の意志ではないとはいえ、途中で放り投げたようなものだから」
「ありがとう。私も嬉しいよなのはママ」
うーん、中身はかなりの歳かもしれないけどやっぱり娘はかわいいなあ、とヴィヴィオを抱きしめて頬擦りするなのはと嬉しそうにしているヴィヴィオ。
フェイトはそれをにこにこしながら見ていたが、玄関のチャイムが鳴ったので出ることにした。
「はーい」
「フェイトさん、今来ました。ヴィヴィオもあったそうですね」
「私も今着きました。ティアナさんとはそこで会いまして」
来たのはティアナとアインハルトだった。
「うん。上がって上がって」
「お邪魔します」
「お邪魔します」
そして二人は促され、高町・テスタロッサ家に上がる。
そうして、ヴィヴィオとアインハルトが再会を喜んだりしていたが、なのはは重要な課題を切り出した。
「さて……ヴィヴィオ」
「うん」
「例の争奪戦、私たちのチームに入らないかな?」
「えと、でもその前に詳しいルールーとかを話して欲しいんだけど」
「あ、ごめんね。いきさつしか話してなかったか」
なのはは気が付いて謝る。
「じゃあ詳しいことを説明するよ。……こほん。
『汝、ユーノ=スクライアを欲するのならば己らの力を持って最強を証明せよ!』
これがコンセプト。ルールは……
1・この戦争に参加できる条件は例の指輪
2・戦争の幹事は前回の優勝チームより選出すること。
3・チーム戦とする。チームの上限は無いが規則1により人数が絞られるだろう。無論、少ない方が勝利後の報酬も大きい
4・チームは戦争三日前までに決めること
5・戦争は半年に一度
6・幹事は戦争に勝利したら、一月以内に次の戦争の日程を決め、メンバーに公布すること。半年±五日まで
7・戦争の舞台は基本的に無人の観測世界で行う。幹事は借入許可を得ること
8・戦争に使用可能なものは魔法・レアスキル・IS、及びそれを使用、強化するための物品(デバイスなど)。ガジェットや質量兵器の持ち込みは不可
9・勝利したチームは半年間、ユーノと共に過ごせる権利が与えられる。敗北したチームのメンバーは自主的にユーノに会いに行くことはできないし、連絡することもできない。緊急時は除く
10・もしも上記のルールに違反したり、虚偽を行ったりした場合は他のメンバー全員からの制裁と無期限参加禁止の措置が取られる。
……以上だよ」
ヴィヴィオはそれを聞き、ふむふむと頭の中でまとめている。次の質問。
「それで、チームはどうなっているの?」
なのははうんと頷き、答える。
「いい質問だね。チームは基本的に三つだよ。先ずは私たちのチーム。ごちゃまぜだから、他からはなのはちゃんのとかテスタロッサのとか呼ばれているよ。
メンバーは私、フェイトちゃん、アルフさん、ティアナ、アインハルトちゃん、それにレイジングハート」
「……レイジングハートも?」
ヴィヴィオは驚きの声を漏らす。
「うん。私もびっくりしたんだけどね、最近レイジングハートがデータの中に隠しておいた、とあるデータを使って人化できるようになったよ。
ロストロギアみたいなもので量産は不可能らしいけど。同時に、インテリジェントデバイスからユニゾンデバイスに変わったし」
それを聞いたヴィヴィオはさらに驚いている。ふとした疑問。
「じゃあ、今のママの戦闘スタイルはどうなっているの?」
「ユニゾンレイジングハート+(開発部に作らせた)ストライクカノン」
それを聞いたヴィヴィオは顔を引きつらせる。
「ええー……。そ、そうだ。今レイジングハートは何処にいるの?」
どんな火力かとりあえず考えないことにして、話をそらす。
「本局でフルメンテ中だよ。ヴィヴィオの事を伝えたらすぐに会えないのが残念だって」
「そっか」
ヴィヴィオは嬉しそう。
「じゃあ、次のチームに行ってもいいかな?」
「うん、お願い」
次に移る。
「次は通称八神家。チームは勿論はやてちゃん、ヴィータちゃん、シグナムさん、シャマルさん。八神家は以上だけど、デバイスだからリインフォースさんとツヴァイとアギトもいるから」
「リインフォースさん……?」
はて、リインフォースと言えば彼女だか、母はさん付けなどしていたか?
「多分、ヴィヴィオは会ったことが無いと思う。夜天の書の管制人格だよ」
「そういえば、話に聞いたことがある気がする……」
うん、確かに聞いたと思う。
「そっか。ちなみに大きい方のリインさんをアインス、小さい方のリインをツヴァイと分ける時は呼ぶからね」
「分かった」
頷く。
「アインスさんとツヴァイとアギトは違うの」
「うん、違うみたい。アインスさんはザフィーラと一緒になった記憶があるみたいだしね」
「そうなんだ……」
ちょっと安堵するヴィヴィオ。焼け石に水だとも思うが。
「うん。じゃあ最後。チーム戦闘機人。メンバーはドゥーエ・トーレ・クアットロ・チンク・セイン・ノーヴェ・ウェンディ。それにスバルとギンガ」
「……なんだかとても問題がある名前があったんだけど。っていうか、ドゥーエって人、死んでなかったっけ?」
メンバーを聞いていろいろ突っ込みどころがあるヴィヴィオ。
「私達の歴史では死んでいたけど。まあパラレルワールドだしね」
「パラレルワールド……。ジェイル=スカリエッティとかどうなっているの?パラレルワールドだから犯罪者でもなかったとか?」
次の疑問を聞く。
「ううん。そんなことは無いよ。でもこの繋がりができたからね……そこからなんやかんやで自首して、最高評議会とのつながりとかを始めとする諸々を連中が手出し出来ないスピードでやったんだよ。
そこからね、情状酌量の余地ありと判断されて、今は勤労奉仕中。同時に最高評議会とか亡くなった、もとい無くなったよ。
最初の方はいろいろ混乱とかもあって大変だったけど、今では地上の治安もだいぶ良くなったし」
「あはは……」
ヴィヴィオは苦笑いしている。
「ちなみに前回の勝者。油断は禁物だよ。あのマッドSのせいで大分強化されているから」
ヴィヴィオはうん、と頷いている。
そして、なのはは再度訊ねた。
「さて、ヴィヴィオ。もう一度訊くよ。私達のチームに入らないかな?勿論、一人のチームになることも認められてはいるけど」
「よろしくお願いします」
流石に一人などという、無謀な真似はできない。
「うん。それじゃあこれからよろしくね、ヴィヴィオ。さっそくだけど何ができる?それで戦略を練ったりしないといけないから」
「うん。ええっと――」
そのまましばらく夜は更けていく。さて、次回のユーノはどうなるのだろうか?
おまけ 彼女の過去
色々と話を聞いて驚いた。そんな予感はしていたのだがその人数の多さに、だ。
そして、母と呼んでいた人がもう一度親子になろうと言ってくれた。嬉しかった。
だけど……自分が、貴女ををもう一度そう呼んでもいいのですか?
貴女が愛した男性(ヒト)を、貴女を愛した男性(ヒト)を奪った、この私が。
多分、私がユーノさんの事を好きになったのは初めて会ってすぐ、それこそ一目惚れに近かったと思う。
学校に通うようになってから一番嬉しかったのは実は帰りの待ち合わせ場所が無限書庫だったことだ。だって、毎日ユーノさんに会えるから。
そして、少しでも会える時間を増やすように、自分を見てもらえる時間を増やすように、司書の資格を取るなどを始めとした様々なことをやった。
そして、確かに会える時間は増えた。見てもらえる時間も増えた。でも私は、娘のような存在としか見てもらえなかった。
理由は、まず年齢差。例えば「私、ユーノくんのお嫁さんになるー」等と言っても「うん。でももっとヴィヴィオが大きくなったらね」と流されてしまい、例え本気で言っても相手にされない。
そして、何よりも大きかったのは母の存在だった。
ユーノさんと母。その関係ははっきり言ってほとんど恋人か夫婦だった。
でも二人にそれとなく聞いてみても互いは友達だというばかり。最初は照れ隠しかと思っていたが、どうも本気で言っているらしいと気が付いた時には非常に驚いたものだ。
周りも、何度も二人の仲を進展させようと努力をしてみたが、一向に二人の仲は進まず、どうせそのうちくっ付くだろうとあきらめていた。
ともあれ、私にとって最大の障害ともいえるのは母だったわけだ。
そして年月が経った。やはり私はユーノさんから娘のような存在としか認識されていない。
私が十五歳になって暫く経った頃、二人に結婚することにしたと報告された。
ようやく、二人が自分の想いを自覚した。……私にとっては自覚してしまった。そういうことらしい。
きっかけやらなんやらの惚気トークを聞かされていた気がするが、良く覚えていない。
そんなことよりも、自分の中では母に対する憎悪にも近い嫉妬が渦巻いていた。
何で、何で今まで気が付かなかったのに何で!
……だが、同時に諦めのような感情もあった。元々勝ち目が極めて薄いとは自覚していたし、何より私にとってとても大切な二人なのだから幸せになって欲しい。その思いも事実だった。
だが……その数日後、例の事件が起きた。
母が任務で死亡。
初めて聞いた時は耳を疑った。信じられなかった。
自分にとって誰よりも強く、そして無敵の存在であった母。まあ子供心の誇張が入っていることは自覚していたが。
その母が任務によって死亡。通信が終わった後もおかしい、そんなことがあるわけ無いとずっと思っていたが、遺体を見たら理解してしまった。
――母は、死んでしまったのだと。
深い、今までの人生で最も深い悲しみに覆われた。一晩泣いた。
……だが、それからが問題だった。
一晩泣いた後、私は自分の中で悲しみ以外の感情が湧いているのに気が付いた。
――それは喜び。暗い、昏い喜び。母が亡くなったことを、私は喜んでいた。
……これで最大の障害は消えた。そう思った。
罪悪感は確かにあった。だが当時の私はそれを気にしなかった。……それよりもやりたいことがあったから。
粛々と母の葬儀は進められ、終わった。
泣いている人、何で死んだと罵倒している人、その他にも様々な人がいたがその数はとても多かった。やはり母は慕われていたのだろう。
私はユーノさんに引き取られる。任務に行く前に籍だけは入れていたのだ。周りには帰ってから伝えるつもりだったようで非常に驚かれていた。
ユーノさんは確かにそこにいて参加していたが、心ここに在らずといった感じだった。その様子を見て、周りは後追い自殺でもするんじゃないかと心配したが、私が監視をすると言って帰らせた。
……その夜の事である。
私は母達の寝室だった部屋で寝ているであろうユーノさんの元に行った。予想通りと言うかユーノさんは起きていた。寝れないのだろう。
私も寝れないと言い、眠気が出るまで話したいと言った。ユーノさんは了承してくれた。そして、私はお茶を入れにリビングに行った。
……そして、ユーノさんのお茶に一服盛った。強力な媚薬である。
私はそのまま部屋に戻り、ユーノさんにそのお茶を飲ませた。
そのまま、暫く話しているとユーノさんが挙動不審になってきた。薬が効いてきたのだろう。だが、私はそれに気が付かない振りをして話を続ける。
やがて、ユーノさんが部屋に戻るように言った。しかし、私は嫌だと言い、同時に暑くなってきたと誘惑するように上を脱いだ。
……それがきっかけとなった。
私はユーノさんに襲われた。いや、この場合は襲わせたといった方が正しいか?
だがいずれにしても嬉しかった。彼とこのようになることを何度夢見た事か!
たとえユーノさんが呼んでいるのが母の名前だったとしても、見ているのが私でなかったとしても、私は嬉しかったのだ。
そのままその夜は何度も何度も行為を行い、やがて二人で泥の様に寝た。
だが翌朝、私が目を覚ますと目に入ったものは自殺をしようとしているユーノさんだった。
私は必死に止める。しかし、彼は昨晩の行為は許されないものだ、母にも私にも申し訳が付かない、せめて死んで詫びると聞かない。
だが、私も必死に止める。その過程で話す。ずっと好きだったこと、でも母がいるから半ば諦めていた事、母が亡くなったからなんとかしようと思い、薬を使った事等々。
……今思えば本当に何故薬など使ったのか。もし急にこんなことになったらユーノさんがどうなるかなど予想できたはずなのに。よほど焦っていたらしい。本当に、ユーノさんには申し訳ない。
やがてユーノさんが落ち着いてきた。私も大丈夫だと判断して離れる。その後、説教から始まって様々な話をした。
まあ、私たちの関係はこんな感じで始まったのだった。
それから。私たちは親子でありながら肉体関係もあるという、傍から見れば極めておかしい関係になった。
勿論最初の方はユーノさんは拒んだ。だけど私は強引に攻める。やがてユーノさんが折れる。それが最初の頃のパターンだった。
なんだかんだでユーノさんも最終的には折れるのだから、彼も何かを埋めるような感情があったのだと思う。
だってその頃、行為の最中に私でなく母の名を呼ぶことが多かったから。ユーノさんはそのことを自覚していなかったから私も表に出さないようにした。本当はすごく悔しかったけれど。
だが、やがて私を見てくれる方が多くなり、母の名前を呼ぶことが無くなっていった。
私はとても嬉しかった。……心の奥でずっと罪悪感は燻っていたけれども。
そして、母が亡くなってから三年ほどの月日が経ったある日。私が妊娠していることが発覚した。
まあ正直、ずっと避妊などしていなかったのだから今まで妊娠していなかったことが逆に疑問なくらいだったし、それほど驚きは無かった。嬉しさはあったけれど。
そしてユーノさんにそれを告げる。まあ駄目だと言われても生むつもりだったがたぶん大丈夫だろう。そんな予感があった。
それは的中する。じゃあ結婚しようかと言うところまで話は進んだ。私は嬉しかった。……やはり心の奥で罪悪感は燻っていたけれども。
そして私とユーノさんは結婚した。周りの人たちは祝福してくれた。……なんでもこうなるのではないかという予想が一、二年ほど前からあったらしい。
その後、私は第一子を出産。女の子だったその子は“なのは”と名付けた。さらにその後二人、計三人の子宝に恵まれ、私は生涯をユーノさんと共に過ごした。
ずっと幸福に包まれていた。結局心の奥の罪悪感は無くならなかった。
そんな私が、貴女を再び母と呼んでも良いのですか?貴女の最も大切な男性(ヒト)を奪ったのに。
勿論分かっています。貴女の娘だったのです。そして私自身も母親だったのです。私が全部吐露しても、貴女は私を許し、母と呼ばせてくれるでしょう。
だからこれは私の問題です。……私の、罪悪感の問題です。貴女の、最も大切な存在を奪ったという。
でも……私はもう一度、貴女を母と呼びたい。例えこの罪悪感が消えないものだとしても、それでももう一度貴女と親子になりたいのです。貴女を母と呼びたいのです。
ですから、再び貴女の事を呼ばせてください。“なのはママ”と。
もう何年かしたらみんなで一緒に住んだりが始まります。そうなってからが本番だ。頑張れユーノ、いろんな意味でw