「昨日今日明日とユーノ君、ザフィーラ、クロノ君、エリオ、ロッサ、師匠、ティーダさん、ゼストさん、それにマッドSが『ドキッ☆男だらけの温泉旅行』に行っとる。
そこで対抗して我々は、八神家にて例の面子+キャロルーで『ドキッ☆女だらけの大宴会~ポロリもあるとええなぁ~』をやっとるんよ」
「はやてー、一体誰に説明してるんだよ?」
と、いうわけで八神家に集まって飲み会なんぞをしている面々。中には仕事の都合で来られなかった人間もいるが。一応、彼女らは別段仲が悪いわけではないのである。
持ち寄った料理に舌鼓を打ち、酒やジュースや茶を飲む。
「それでな、書を修復して一番驚いたのは勿論あの事やけど、その次に驚いたのはシャマルが普通に美味い料理ができるようになっていた事や」
「え!?嘘!シャマルさんが!?」
「せやで。今、なのはちゃんが食べているきんぴらごぼう、シャマル作やでー」
「……確かに普通に美味しいね」
「あたしたちもすげー驚いたんだよ」
「……ひどい。わ、私だってやればできたんだから!」
「まあ実際に作られた以上否定できないけど。だけどどうしてできるようになったんだ?」
「ちゃんと、レシピ通り作るようになったから」
「いや、それが普通やろ?」
「慣れると目分量でやったり、適当なアレンジを加えたりするでしょう?そういうのは失敗の元だから一切やりません。
おかげでうちのキッチンは計量カップや計量スプーン、ストップウォッチ機能付きのキッチン時計が大活躍でした」
「……成程」
「それにしても前回はヴィヴィオにやられたねー」
「ええ。私の使う【覇王拳】と対をなす【聖王拳】、まさかこちらは使えるようになっているとは……」
「うん。あっちのアインハルトさんとの決戦は、今でも覚えているよ……」
「覇王拳?聖王拳?」
「【聖王拳】とは私が使う拳のことです。体内を走る魔力の流れを操作し、超人的な力を得ます。極めた者は他者の内部から人体を破壊することも。
指先一つで真竜をも打ち倒すことができる、古代ベルカにて最強と謳われていた拳です。無限書庫で見つかった資料を基に再現したので、私はそこまではできませんけど」
「【覇王拳】とは勿論私が使う拳の事です。体内の魔力を覚醒、全身あるいは武器に転化させ如何なる物体をも外部から打ち倒す拳。ベルカ式魔法の元になったものです。
現代のベルカ式のそれよりも使いにくいが強力な技術などもあります。何より特徴はその分派の数で、108とも88とも言われており、どれが正統か分かりません。
私が使うものは【覇王金剛拳】をベースに【覇王迅雷拳】を組み合わせた物。
分派は非常にバリエーションに富んでおり、戦闘機人やサイボーグが使う【覇王機人拳】や、守護獣が使う【覇王牙爪拳】といったものから
爆発物を投擲する【覇王爆殺拳】やまるでロボットの様なデバイスに乗って使う【覇王電人拳】といった拳法なのか疑わしいものまであります。
いずれにしろ、極めた者は戦艦の装甲すらも易く粉砕する、無双と謳われていた拳です」
「最強と無双、並び立つはずもなく昔から争っていたそうです。聖王拳は基本的に聖王の系譜が使いますが覇王拳は違います。分派が多すぎですから」
「そ、そうなんだ……」
そんなこんなで宴会が進んでいき、ある時はやてが前に進み出て、声を上げた。
「よっしゃ!んじゃ今日のメインイベントやー!」
その言葉に皆が振り向く。
「メインイベント?何をするの?」
皆を代表してなのはが訊く。うんうんと頷くはやて。
「いい質問や。ここにいる面子はキャロルー以外は皆一回ユーノ君とくっついとる。勿論わかっとるやろ?」
頷く一同。
「だけどな……中にはどうやってくっついたか非常に気になるのもおる!ドゥーエとかトーレとかクアットロとかアインハルトとかクアットロとか!クアットロは特にわからんから二回言った!」
やっぱり頷いている面々。だけどちょっと違う反応の人も。
「へ?私も?クアットロとかトーレとかと違ってそこまで問題があるように思えないいけど……」
と、ドゥーエさん。
「いや、あんたJS事件で死んでたから……。ちなみにうちのほかの面子に確認したところ生きていたケースは無いそうや」
「へ?」
驚き顔。
「え、え?私、そんなに死亡率高いの?……私が死んでた人ー」
周りに問いかける。次々と手が上がる。ちょっと落ち込むドゥーエ。それに声をかけるセイン。
「ほ、ほらドゥーエ姉!あたしの所では生きていたから!」
「でもそれだけ……」
やっぱり落ち込んでいるドゥーエ。けれどもマイペースにはやては進める。
「まあそういうわけや。このくじで決まった人間からそのいきさつを話すってことで。話したくないことがあったら話さんでもええけど。
ええかな?時間の都合上、全員分出来るとも思えんけど」
「いいんじゃないかな」
「確かに気になるしね」
賛同する一同。決まったようだ。よし、とはやては続ける。
「それじゃ、記念すべき一人目は……私かい」
引いてきたくじに書かれている名前を見てツッコむはやて。
「じゃ、はやてちゃんどうぞ」
なのはが先を促す。
「うん。じゃ、話すな」
出会いは闇の書事件の後、なのはちゃんに紹介されて、やな。
まあそれから十数年友人やった。間違い無く男友達では一番親しかったけど……そういう感情は向けていなかった、正しくは気が付いてなかった。
ま、偶に八神家に夕食招待したりしていたけれど。それが変わったのはあることが境やな。
「出会いなんかは私の所と一緒だね。それであることって?」
うん。……もう何でそこまで互いにイライラしていたのか忘れたけどな、その鬱憤を晴らすために一緒に飲みに行ったんや。
で、お互いぐでんぐでんになるまで酔った。
「何となく先が読めた気がする……。でもユーノがそこまで酔うのは珍しいね」
うん、私もそう思う。で、察しの通り次の日朝目を覚ましたら
・知らない天井
・ガンガン痛む頭
・全裸の自分
・隣には自分と同じく全裸のユーノ君
・なんだか違和感がある股間
・ついでにベットのシーツには赤いシミ
というコンボだったんや。
「やっぱそんな感じか!」
そんな感じだったんよ。で、混乱のあまり騒いで頭が痛んで蹲ったりしていたらユーノ君も目を覚ましてな。
もう大変や。やっぱり混乱のあまり騒いで頭が痛んで蹲ったりした後にな、きっぱり責任を取るって言ってくれた。
「おおー。じゃ、そこから……?」
いや。私は混乱のあまり昨日ことは忘れるからユーノ君も忘れて、と言ってささっと服を着てそのホテルから逃げるように帰った。
「……ヘタレ」
そう言わんといてー!?大体ユーノ君のことどう思っているのか自分でも気が付いていなかったし……。
で、それからなー。ユーノ君の顔はまともにみれんし、気が付くとユーノ君の事を考えとるし……。
「自覚したんだね……」
うん。でもな……気恥ずかしくってなあ……。やっぱりユーノ君と会えん。
「……ヘタレ」
だからそう言わんといてー!?だけどな、ある日とあることが発覚してなあ……。
「とあること?」
うん。なんか体調が悪いなー、と思ってシャマルに診てもらったらな……妊娠、してた。
「うわ……」
一発大当たりやったんやな。まあ危険日では無かったけど。確かに中々こんなー、とは思っとったけど。
で、勿論父親は誰だと大騒ぎや。シグナムとヴィータは相手を殺さんばかりの勢いやし、ザフィーラはずっと無言でプレッシャーを放っとるし、シャマルとリインは場合によっては……、てな感じやし。アギトはそうでもなかったけど。
「間違い無くそうなるな」
「うん、なるな」
「ええ、そうね」
そして白状させられた。無限書庫にこれからカチコミをかけんとばかりに盛り上がる八神家!そこで鳴るチャイム!
「うわ、もしかして……」
その通り、ユーノ君や。アギトに迎えられてリビングに入ってくるユーノ君。勿論リビングのボルテージは最高潮。選択肢によっては死にかねん。
「はは……」
で、そんな空気の中な、ユーノ君はいきなり私にプロポーズしてくれた。『はやて。あれから落ち着いて考えたけれど、やっぱり僕は君が好きだ!責任云々は関係無い!僕と結婚して欲しい!』と。
「ほほう」
一気に、こう、なんというかさっきまでと違った方向で混乱するリビング。勿論一番混乱する私。
もう一度、畳み掛けるようにプロポーズの言葉を贈るユーノ君。私は一息ついてそれを受け入れた。
「そんな感じかー」
うん。ユーノ君も私同様あれから想いに気が付いたって言っとった。本当に、嬉しかった。
その後妊娠の事実を伝えるとユーノ君もひときしり混乱した後にえらい喜んでくれてなー。後はとんとん拍子に進んでいった。
ユーノ君はシグナム達と色々OHANASHI、もといお話ししたりしていたけど。
あ、ちなみにユーノ君、リビングの空気、読めてなかったらしいで。緊張でそれどころじゃなかったって。
「以上。私のいきさつはこんな感じやな」
話し終わったはやてが茶を飲む。
「はやてちゃんはそんな感じかー。しかし一発大当たりとは……」
「まあそんなことになったら我々は間違いなく無限書庫に突入しただろうな」
周りも口々に感想を言っている。一息入れたはやてが次のくじを引く。
「んじゃ次いこか。次は……セイン!」
「へ?あたし!?」
ちょっと驚いたようなセイン。
「そうやで。じゃ、はい」
「え、えっと……」
あたしがユーノさんの事を知ったのはJS事件の際に要注意人物として渡された資料に書いてあったから。
それで、表には出てこないけど、無限書庫からゆりかごの情報が出てくる可能性が十分あるっていうことで終盤に暗殺に向かったんだ。
「ふむ。私と違うな。セインは暗殺になど行かなかった」
「あたしも行ってないっスね」
「と、いうかそんな任務があったら先に私から行くと思うけど。私も捕まった?」
うん。勿論先にドゥーエ姉が行ったんだけど、捕縛されちゃったの。結構な戦闘だったらしいよ。あ、その前に最高評議会は殺ってた、もといけりをつけといたらしいけど。
その後あたしが向かったんだけど……今までのデータからISが予想立てられていて、周囲が感知魔法と隠蔽型の罠だらけで捕縛されちゃったんだ。
「へー……」
それで事件、更生プログラムを終えた後、その縁で私とドゥーエ姉の保護責任者はユーノさんになったんだ。
「私と同じね」
「私のところは一人だけシスターシャッハが保護責任者になっていたな」
「あたしもところも」
う……。そうなの?あの人苦手だな……。嫌いな人ではないんだけど。
それはそれとしてあたし達は無限書庫で働き始めたり、保護責任者だからって同居したりして、それからだんだんと惹かれていってやがて……。
「こんな感じかなあ。ドゥーエ姉とデッドヒートを繰り広げていたことを付け加えておく」
「成程……。そこで私が勝ったのが私の世界か……」
「そうなの?」
「そうなのよ」
話終えた後、納得をしている二人。他も感想を言っている。
「ふむ、やっぱりどっかで違いがあるんやね。んじゃあ次行こうか」
はやてがくじを引き、話を先に進める。
「じゃあ次は……チンク!」
「む、私か。じゃあ始めてもいいか?」
チンクが話し始める。ちなみにこちらの世界では眼帯は無い。
「どうぞどうぞ」
「うむ。では……」
私が初めてユーノと出会ったのは、偶然だった。その日、珍しく街を歩いていてな、ちょっとしつこい連中に絡まれた。
仕方ない、叩きのめすかと考え始めたあたりで割って入った人間がいた。それがユーノだった。
「……ベタやな」
私もそう思う。それで、強引に手を引かれてその場から去り、離れたところで二、三言葉を交わして別れた。
これが最初だな。
「それだけ?」
ああ。最初はそれだけだ。無論礼は言ったぞ。
その一月後位か。やはり街中を歩いていたらな、再会した。
「ほう?」
向こうもこちらを覚えていてな、少し嬉しかったよ。多少話をしたら何でも久々の休暇で暇をしていて街をぶらぶらしていたとか。
友人連中は皆仕事をしていて一人だとかでな、暇だったら付き合ってくれないかと言われてな。
「ナンパ?」
そこまで考えてはいないと思う。単に互いに一人だったから誘っただけだろう。
私も暇だったし、もし何かあっても叩きのめせるだけの自信はあったからな、付き合うことにした。
とは言っても本当にそこら辺をぶらぶらしたり、映画を見たり、食事を奢ってもらったりしただけでそのようなことは無かったが。
「デートだね」
確かにデートだな。当時は全然そのようなことを考えなかったが。
そしてその日は適当な時間で別れた。
「ふむふむ」
それでさらに半年後位にな、また会った。公園を歩いていたらなにやらベンチで昼寝をしている男がいて、それがユーノだった。
「ユーノ君、何でそんなところで寝ているの?」
後で聞いたがやはり久々の休暇で暇していて外に出かけたが、つい陽気に誘われて寝てしまったらしい。
私も暇だったからな、一応知り合いだし万一物盗りにでも会ったら後味が悪いと思ってそのまま横に座った。
だが私も陽気に誘われてな……。目が覚めたらユーノに膝枕されていた。
「うわぁ……」
飛び起きたよ。ついでに笑顔で挨拶をされた後、からかわれた。
その後、そのままベンチに座って話をした。その中で連絡先を教えあった。私は偽造というか、官警に職質などをされた時の連絡先だったが。
そしてしばらく話をして別れた。
「それで?それで?」
ああ。それから暫く、四年ほどだな、偶に会って話をしたり、出かけたりした。
……気が付いてはいなかったが、自分の中でユーノの存在は徐々に大きくなっていった。
そのような日々だったが、私たちは行動を本格化させた。
「いわゆるJS事件やね」
そうだな。私は自分の中で何かが引っかかったまま姉妹の為に、ドクターの為にと働いた。忙しくなってユーノに会えないのは残念だと思ったな。
そんな中、渡された要注意人物リストにな、ユーノが載っていた。
「へえ。……ユーノ君の仕事は何かを知らなかったの?」
管理局に勤めているが、前線でなく後方だとしか。
正直、非常にびっくりしたよ。動揺した。その私の様子を見たウーノとクアットロに訊かれてな、知り合いだと白状した。
その場は知り合いでも容赦はするなと釘を刺されただけだったが……。後日、ある命令が私に下った。
「……どんな?」
無限書庫司書長ユーノ=スクライアを誘惑、籠絡し、出来れば味方につけろ、最低でも無限書庫は中立でいるようにしろ、と。
「うわあ……」
私も最初は嫌だ、無理だ、やりたくない、できない、というか私のような体型で大丈夫なのか、いや、でも……と大分混乱したよ。
だが結局はやりに行った。それが皆の為になると思っていたからな。
「……」
まあ結論から言えば失敗したよ。
仕事帰りに部屋で待ち伏せし、そういった香も焚いて、止めろと言うユーノを機人としての力も利用して強引に組み伏せた。だけど出来なかった。
こう、どんどん自分の中でよく分からない感情が溢れてきてな、そこをユーノに突かれた。
そして私はユーノと顔を合わせることができず、何か言っているユーノを無視して逃げ帰った。……よく、分からない感情と共にな。
「……」
それから暫くは酷かった。その感情はどんどん大きくなり、私はそれに気を取られて失敗をいくつもやった。
……やがてもっと大きな、致命的な失敗をするのではないか、と危機感を抱いた私はクアットロにある頼みをしに行った。……感情を薄くする処置を。
「……」
処置をする直前、ユーノの事を思い出した。
でもそれも一瞬、次に目を覚ました時にはよく分からない感情は小さくなっていた。……決して、無くなったわけではなかった。
「……」
ノーヴェやセイン、ウェンディには何度も大丈夫なのか訊かれたな。私はそれに毎回問題無いと返すだけ。
そしてそのまま話は進んでいく。そして何度目かの機動六課との交戦中、ユーノと再会した。
「……」
後で聞いたが資料で私の事を知り、説得するために来たらしい。だが私は取り合わない。しかし私の中で大きくなるよく分からない感情。
そのせいで後れを取った私はだったが、セインに助けられ、その場を離脱した。
「……」
幸い、大きな怪我などは無かった。ユーノが気を使ってくれたのだろう。
私以外も大体うまくいったようで、それは起動した。『聖王のゆりかご』が。
「……」
だが完全になるまではまだ時間がかかる。奴らは必ずここに来る。……恐らく、ユーノも来る。薄くなった感情だがその確信があった。
……今度こそ、後れを取るわけにはいかない。私はもう一度クアットロに頼み、今度は完全に感情を無くしてもらった。
「……」
そしてその時。予想通りユーノは来た。だが感情が無くなった私は何も感じない。
何かを叫ぶユーノ。私はそれを気にせず、スティンガーを投擲しランブルトレイターを発動する。
高密度のAMFの中、きついだろうに防御魔法を起動させ、防ぎ、なおも私に叫ぶユーノ。だが私は何も感じない、気にしない。
「……」
投擲、起動。感情と共に思考も低下しているのか、私はそれ以外何もやらない。
防御、叫ぶ。ユーノもそれ以外はすることを忘れたようにただそれだけを繰り返す。
……それを何度繰り返したか。徐々に、私の失ったはずの感情の中で、何かが膨れ上がってきた。
「……」
そして、私は攻撃が出来なくなった。スティンガーが無くなったわけでもない。ただ……ユーノを、傷つけたくなかった。
崩れ落ちる私。ユーノは、私を支えてくれた。
「……」
そしてユーノに抱きしめられた時、私の中の何かが決壊して、感情が膨れ上がったよ。
私は外見相応の様に泣きじゃくり、ユーノの名を呼び、ユーノにしがみついた。ユーノはその間、ずっと私を優しく撫でてくれた。
「……うわー、ラブだ……」
暫くして落ち着いた。同時に理解した。
――この感情が恋なのか、愛なのかと。
私はユーノに恋をしているのだ、ユーノの事を愛しているのだと。気恥ずかしさのあまりユーノの顔を見られなかった。
……そう悠長なことを言っていられる事態でもなくなったのだが。
「……どうしたの?」
簡単に言うと全部終わったんだな。ドクターはフェイト=テスタロッサに捕まり、クアットロは高町なのはの壁をぶち抜く砲撃に貫かれた。
そして私はユーノに抱きかかえられた。いわゆる、お姫様抱っこと言うやつで。慌てる私。ユーノはそれを気にしない。
「はは……」
そして途中で何人か助けながら、無事に脱出した。
「事件が終わったんだね」
ああ。私達が敗北したというのに、私は実に晴れ晴れとしていた。
そして私は、管理局に引き渡される寸前、ユーノに告白した。
「おおう」
ユーノは『僕も君の事が好きだ。……だから、待っている』と答えてくれた。
今までの生涯で、一番嬉しかった。
「ふむふむ」
そして私は妹達と共に更生プログラムを受けた。時々ユーノも訪ねてくれてな、冷やかされたよ。
やがてそれも終わり、出所する日が来る。勿論、ユーノは待っていてくれた。
出所して、最初にユーノが私にかけた言葉は『おめでとう、チンク。それで、僕と結婚しない?』だった。
「うわー……」
私は最初、何を言われているのか全く分からなかった。落ち着いてそれを理解した途端、真っ赤になった、そうだ。後でノーヴェから聞いた。
「勿論私はそれを受け入れ、そして……。といった感じだった私は」
「ず、随分チンク姉は色々あったんだね」
思わず言うセイン。自分よりかなり濃い。
「まあな」
ちょっと誇らしげなチンク。皆も口々に感想を言っている。
「なんというか、何処のお話、って感じやな……。ま、それはそれとして次いこか」
頷く皆。はやてはくじの箱に手を入れる。
「はてさて、次は……」
そうして夜も更けていく。さて、次は一体誰の番だろうか?
続くかもしれない様な気がしないわけでもないといいかもしれない