前回の超あらすじ
・人生を一番謳歌しているのはスカさん
「ま、まあそれはそれとして、次に行こう。次は……ヴィータ!」
「あたしか」
ヴィータに当たったようだ。ウーロンハイで口の中の物を流し込むヴィータ。
「ふう……。じゃ、はじめていいかな?」
「どうぞどうぞ」
あたしとユーノとの出会いは闇の書事件の最中。白い魔導師―なのは―を追いつめた時に現れたのがユーノとフェイトだった。
「私の所と同じだね」
そっか。で、まあ紆余曲折の末事件は終わった。で、その後にあたし達とユーノ達は改めて自己紹介をし合った。その頃はまだそういった感情は無かったな。
それで暫くは友人だった。
「ふんふん」
それが変わったのはなのはが墜ちた事件。あの時だ。
「ほう。どう変わったんや?」
あたし達な、二人でえらく鬱になったんだよ。あたしは現場にいたのに守れなかったと、ユーノは魔法を教えてこちらの世界に巻き込んだと、そういう責任を感じてな。
「……何度も言っているけどそれは二人に責任は無いよ。私が調子に乗って体調管理を怠っていただけなんだから」
そう言われてもあたし達は納得しないだろう?
「うん」
まあそういうわけで二人してかなり鬱になっていたわけだ。
喧嘩もした。あたしの責任だ、いや僕の責任だ、何言ってやがるあたしに決まってんだろ、馬鹿言うな僕に決まっている、みたいな感じでな。
「うわ……」
なのはの前ではそんなところを見せないようにしたけど。
まあそれでな……なんていうか、徐々にお互いの傷?を舐めあう関係みたいになって……。なのはが退院する頃には一緒にいるのが普通になってたな。
「へー……」
多分、お互いどこかで互いに依存していたんだと思う。
それで後はまあ……フェイトみたいに、だな。流石に税金云々な理由では無かったけど。
「以上。簡単にだけどあたしはこんな感じ」
「依存ってどんな感じだったん?」
周りが感想を言っている中、はやてがそんな疑問を言う。
「んー。ピーク時は二日もユーノに会わないと精神的に不安定になっていたな」
「そこまで来ると精神病だと思うんやけど」
はやてがぼやく。
「……まあ実際そうなんだよな。自覚があったけど病んでた。ユーノが見知らぬ女と話していると無意識にアイゼンを握りしめててふと我に返る、みたいなこともあったし。
ユーノと二人でカウンセリングを受けに行ったこともあったな。年が経つにしたがって落ち着いたけど」
「うわあ……。ま、まあ次に行こう。えっと次は……気になるのが来たなあ。クアットロ!」
「あら。私ですかー?」
クアットロがそう言う。なんだか話したくて堪らなそうだ。
「凄い興味深いんだけど」
「私も興味深いな」
セインとチンクがそう言う。
「あら、そうかしら。それでは話しますわー。ええっと……」
私とユーノさんの出会いは私が無限書庫に潜入任務を負った時でしたわ。
「潜入任務……?私の所はそのようなことをしていなかったぞ」
「私の所もしていなかったな」
「っていうかその手の工作は私がやると思うけど」
あら?そうですの?ちなみにドゥーエ姉様が無理だった理由は後で。そして他の面子を見渡してみると……見事に適任者がいない。
トーレ姉様やディエチちゃん、ノーヴェちゃんは戦闘専門だし、セインちゃんやウェンディちゃんは性格があれ。チンクちゃんは外見に特徴があり過ぎ、セッテちゃん、オットーちゃん、ディードちゃんに至ってはまだ生まれていない。
強いて言えばウーノ姉様ですけど……ウーノ姉様はドクターの傍から離れるわけにはいきませんし。と、いうわけで私になったのですわ。
「性格があれって……。まあそれはともかく、何で書庫に潜入したの?」
あら。そういえば言っていませんでしたわね。まあ簡単に言うとロストロギアの奪取ですよ。幸い、持ち出せる状態でしたしね。
「へー……」
でもそれが持ち出せる状態だとは言え現実に持ち出せるかというとまた別問題。司書長権限が必要な所にあったのですわ。
だから最初はドゥーエ姉様がプロテクトなんかを破って何とかしようと思ったのですけど……。
「無理だったんだね。書庫のそういったのは凄いからね……。性格も悪いし。主にユーノさんのせいだけど」
ええ、その通り。精々、侵入した痕跡を残さないのが精いっぱいだったとのことでしたわ。
「正直それでも凄いと思う」
だから如何にかして司書長殿を丸め込む必要が出てきたのですわ。よって他で長期潜入任務をしているドゥーエ姉様は駄目。
「それでお前が潜入したのか」
その通りですよ。籠絡するために。それに無限書庫の司書長なら味方に付けることが出来たら他にも役に立つことがあるだろうって。
そして私は髪型を変えて眼鏡を外し『フィーア』という偽名を使って無限書庫の司書になりました。
「ああ、だからユーノはお前の事を『フィー』と呼んでいるのか」
ええ、そうですわ。
そして私は籠絡作戦を開始しました。それこそ無意識と思わせての肉体的な密着やら弁当作りやらなんやらから始まって、やや親しくなっていったら普段の生活の面倒まで。
何度か高町なのはと鉢合わせて張り合ったりすることもありましたね。
「……私と?」
ええ、そうですわ。……多分、貴女も彼に好意を持っていたのでしょう。
何はともあれ、そうやって私は彼を利用するために籠絡しようとしていましたわ。けれども……。
「けれども?」
……けれども、私は本気になってしまいました。自覚はありませんでしたけどね。
「おおう」
今まで周りにいないタイプで。最初こそ内心馬鹿にしていたのですけど、その人柄に触れていくうちに……。
「うわー……。とてもあのクア姉とは思えない」
うっさい、ですわ。まあそれで結局迷っている内に帰還命令が下されました。私は葛藤しましたが帰還しました。結局目的は果たせませんでした。
そして……私達は行動を本格化させました。
「JS事件の始まりだね」
ええ。そうですわ。そして事件は……まあ私達が敗北しましたね。
ええ、今でもあの最後のあの壁をぶち抜いてきた桃色の破壊光線は忘れられませんわ。偶に夢に出てきます。
「はは……私達との事件の差異は無いのかな?」
多分、ありませんわね。ドゥーエ姉様やトーレ姉様、チンクちゃんにセインちゃんにノーヴェちゃんから聞いたものから考えると。
「あたしは訊かれていないっス……」
まあその頃には予想が出来ていたから。
それで話が再び動くのは私が軌道拘置所に入ってから。
私は周りの司法取引やらなんやらの言葉には耳を傾けず、ただそこに居ました。楽しみはあの無限書庫で働いていた日々を思い返すことくらいでしたわね。
「……」
そんなある日、私を訪ねてきた人がいたのですわ。
「ユーノ君?」
ええ。私は彼を見た時、嬉しさやら失望やらが沸き起こりました。
「嬉しさは分かるけど何故失望?」
ああ、彼も管理局に従って私にでも会いに来たのかと思って。どうせ記録で私が無限書庫にいた事は知られているのでしょうしね。
まあそうではなかったのですけど。
「と、いうと?」
ただ単純に私に会いに来たくれただけでしたわ。そして私とまるで久しぶりに会った友人と雑談をするような感じでその日は終わりました。
「……」
それから何度か会いに来てくれました。けれども彼は私に司法取引云々とかそういった話は一切しませんでした。そしてある日、私は彼に訊ねます。
「何を?」
何故そういった話をしないのか、と。彼は言いました。友人に会うのがおかしなことかな、と。
「あー、言いそう」
ええ。それで私はその言葉に一瞬呆けました。そしてまた不満が出てきました。
「どんな?」
私は友人か、と。そしてその日、彼が帰った後にその不満の理由を考えて……自覚しました。
「おおう」
自覚したからにはいろいろ考えが止まりませんでした。彼の傍に居たい、とか彼と共に生きたい、とか彼を他の女に取られたくない、むしろ次に会った時結婚報告とかされたらどうしよう、とか……。
「……なんだかクア姉が凄く可愛いんだけど」
うっさい、ですわ。それでいっそ司法取引に応じようか、とかいや、そんなことは……と迷っていたある日、私に一通のメールが届きます。
「……誰から?」
ウーノ姉様からでした。勿論検閲はされていたのでしょうけど。
「内容は?」
ただ一言『自分に素直になりなさい』と。……どうやらウーノ姉様には全てを見透かされていたみたいだったのですわ。出所した後、聞いたところでは私の様子が書庫にいた頃から変だったとかで。
まあそれで……私は決心をしました。
「そっか」
ええ。そして妹達に遅れること一年少し、私も社会復帰プログラムを受け始めました。妹達にはとても驚かれましたわね。
その後、出所して、ユーノさんが保護責任者となってくれて、私は再び無限書庫で働き始めました。
そして何時かの様に、但しあの時とは違って自分の本心から彼の事を手に入れるために行動を開始して……。
「まあこんな感じですわね。それで陥落に成功して結婚をしました」
そう言って一息つくクアットロ。周りも感想を言っている。そんな中はやては訊く。
「んー……。でもあんたの罪状だととても簡単には出てこれるとは思えへんけど。どうやったん?」
「まあ司法取引、というやつですよー。それにそちらでは私が潜入していないのでしょう?そちらでその頃にやった罪状はありませんし」
「それにユーノの影響か、性格が大分丸いからな。だから内容が違うとかもあるのだろう」
クアットロが答え、チンクが補足を入れる。
「あら?そっちの私はそんなに性格が悪かったかしら?」
「ああ。性格が悪い、という意味ではお前と変わらんがあっちはそういった意味で無く、外道だったな。満面の笑みで『無力な命を弄んだり蹂躙したり、もがく様を観察するのが楽しい』みたいなことを言っていたぞ」
「ふむ……確かに、彼の影響を受けなければそうなっていたかもしれないわね」
チンクの言葉に頷いているクアットロ。
「ふむ……気になるのが一人終わったとこで次にいこか。次は……」
そうして続いていく。次は誰になるのであろうか?
おまけ 男だらけの温泉旅行 場面3
「ほう、これが酒か……」
「なんでえ。飲んだことが無かったのか?」
宴会場。夕食時。ずっとウーロン茶を飲んでいたが、勧められて酒を口にしたジェイルが漏らした一言にゲンヤが反応する。
「ああ、初めてだよ。クアットロが作ったブランデーが入ったケーキを食べたことはあるが、それは飲酒にならないだろう?ちなみにケーキは凄く美味かった!」
「そういやうちに来た時も酒は飲んでいなかったか」
親馬鹿発言は無視して頷いているゲンヤ。
「で、どうだい?」
「ふむ。中々に美味いね。少々鼻にアルコールが来るが」
ちなみに飲んでいるのは日本酒の様な酒。
「熱燗だしな。で、どうだいもう一杯?」
「貰おう」
そう言って猪口を差し出すジェイルに注いでやるゲンヤ。
「いや、酔っ払いたちが酒を飲む理由が少し分かった気がするよ」
「そうかい。だがあのザル達に張り合って飲まない様に。ああなるぞ」
「はい?」
「ん?」
「む?」
そう言ってユーノ、ザフィーラ、ゼスト、そしてクロノをを指さすゲンヤ。クロノは撃沈済みで既に寝ている。
「……気を付けよう。私も注ぐべきなのかな?」
「そうだな。それが酒飲みの礼儀だな」
そして空になったゲンヤの猪口に酒を注ぐジェイルだった。
続いたんだけど最後まで続くとは限らない。
ちなみにクアットロルートは選択肢を少し変えると、なのユノクアルートへ。その場合、なのはさんとクア姉は普段は仲良く喧嘩をしていますw
なのはさんが(一悶着あったがクア姉にも懐いた)ヴィヴィオを味方につけようとすると「私はなのはママの味方でもクアママの味方でもなくてパパの味方」って言われたりとかw