前回までの超あらすじ
・そろそろあらすじを考えるのが面倒になってきたからこれまでの話を読んでね!
「まあ次にいこか。次は……ギンガ!」
「私ですか」
セインやウェンディと味噌仕立て鶏団子鍋を食べていたギンガが反応する。
「よろしく」
「はい。と言っても皆さんみたいに色々あったわけではありませんけど。では……」
私とユーノさんの出会いはお見合いの席でです。
「……お見合い?」
ええ。後でユーノさんに聞いたところ、何でもちょっと断れないような筋から、結婚とは言わないがいい加減見合い位したらどうだ、と言われたそうです。
それでユーノさんが周りに、直接の面識は無くて、予め断るという事を伝えられて角が立たないような人間はいないか、と相談したらしいんです。
そうしたら紆余曲折の末、私に話が回ってきました。
「へー……。何時ぐらいの話?」
えっと、チンク達が養子に来た頃でしたね、確か。
「ならまだ独身でいたかったのかもね」
かもしれませんね。まあユーノさん、自分を過小評価するところがありますから、もしかしたら面識がある人間ならともかくそうでない人といてもつまらない思いをさせるだけ、とか思っていたのかもしれません。
「確かにね」
はい。話を戻します。
最初、自分にそんな話が来たときはびっくりしました。更にそれがかなりのお偉いさんだと知って二度びっくりしました。
まあ形式だけで本当に結婚までいくわけでは無いから、と聞かされて納得しましたけど。
それで適当に話をして美味しい物を食べてくるだけだから、と言われて私はお見合いに行きました。
「ふんふん。それで?」
まあそれでお見合いの席で会話をしている内に……何というか意気投合したというか。
「どんな風に?」
手間がかかる妹達のことで。
「ユーノに妹なんていないと思うけど」
えー……っと、その、なのはさんとかハラオウン提督を始めとする幼馴染達のことです。
「……」
「……」
「……」
ま、まあとにかくそういった事で意気投合した私達は、そのお見合いが終わった後も連絡を取って、やがてそういう関係になって……。
「私の場合はこんな感じでした。私が戦闘機人であることもあっさり受け入れてくれて……嬉しかった」
そう言って一息つき、お茶を飲むギンガ。そこに話しかけるフェイト。
「手間がかかる幼馴染って……そっちの私達、どんなだったの?」
「……名誉の為、秘密にしておきます」
「ええ!?」
ギンガの返答に思わず叫ぶフェイト。
そうこう話をしていると、はやてが次のくじを引く。
「次は……おー、また気になるのが。アインハルト!」
「私ですか」
なのはとヴィヴィオと自作のレアチーズケーキを食べていたアインハルトが顔を上げる。
「よろしくな」
「はい。では……」
私が初めてユーノさんと出会ったのは、無限書庫に行った時ヴィヴィオさんに紹介されて、です。
「ふんふん」
当時の私には悩みがありました。それは覇王流の事です。
「どういう?」
……気が付いたのです。覇王流とは覇王イングヴァルトが自分の為に、自分専用に編み出した流派です。
「それで?」
それはつまり覇王の肉体、つまり成人男性の体格等が前提のものです。
確かに当時の私は成長期ではありましたが、例え成長しきったとしても女である私が成人男性と同じ体格になるわけがありません。性転換手術を受ける気もありませんし。
「成程ね」
はい。尤も、ならばイングヴァルトの覇王流をベースに自分の、アインハルト=ストラトスの覇王流を作ればいい、という結論には達していまして。
「ならどういう悩みだったの?」
はい。イングヴァルトの記憶は受け継いでいます。しかしそれは完全なものではありません。
よってベースにするにも元々不完全なものだったのです、イングヴァルトの覇王流は。
そこでどうするか、と考えていた所、ヴィヴィオさんに何か資料があるかもしれないと無限書庫を紹介されまして。
当時は無限書庫とはどういった所なのか知りませんでしたが、話を聞いて納得し、行き、そしてユーノさんを紹介されました。
「それが出会いだね。さっき言った通り」
はい。そうです。それからユーノさんやヴィヴィオさんに検索魔法を教わり、検索を始めました。
勿論ユーノさんは仕事もありますから、偶にしか手伝ってもらえませんでしたけど。
「それで?」
それで最初は司書ではないので整理済みの所で探していたのですが、それらしいものは見つからなくて。
だから未整理区画に行きたかったのですが、そこは司書資格を持っていないと行けません。
ですからユーノさんやヴィヴィオさんに勉強を教わって司書資格を取りました。
「へぇ……」
多分、その頃からユーノさんを意識し始めたんだと思います。まあ優しい年上のお兄さんに憧れる思春期特有のなんとやら、だとは思いますけど。
それで司書資格を取り、パートタイマーな司書をしながら探していたある日、その光景を目撃しました。
「どんな?」
緊急依頼がありまして、ユーノさんも検索に加わっていたんです。
あの大量の本が翠色の光に導かれて舞う光景。それはとてもとても綺麗で……目が離せませんでした。
「確かにあれは綺麗な光景だよね」
はい。何というか……魔力光というか、そういった物に惚れたというか……強く、恋を自覚しました。
「ほほう」
そしてその後、ユーノさんにそれとなくアプローチを始めました。でも子供なのでそういった方向で受け止めてもらえなかったようですが。
さらになんやかんやでイングヴァルトの手記が見つかり、さらにそこからイングヴァルトが覇王流の元にした武術が分かった辺りでユーノさんに告白をしました。
……けど相手にしてもらえませんでした。まだ十五にもなってませんでしたし……。
「……そうだよね。歳の差が一番の敵ですよね」
ええ。……まあしかし、それから開き直ってユーノさんに攻め入りました。ここらへんはティアナさんと似てますね。
そして六年。六年かけてユーノさんを陥落させるのに成功しました。
「以上です」
そう言って茶を飲むアインハルト。そのアインハルトに訊ねるヴィヴィオ。
「それでできたのが、今のアインハルトさんの……?」
「はい。ちなみにその後、そのイングヴァルトが元にした武術を元に、更に私自身で私の、アインハルト=ストラトスの覇王流を作り上げました」
そう言うアインハルト。周りもいろいろと言っている。
そんな中、はやてが話を進める。
「やー……。じゃあ次に行く……前に一つええかな?」
「何かな?」
皆を代表してなのはがはやてに訊く。
「うん。あんな、キャロ達の世界ではユーノ君、誰とくっ付いてたんやろな、って思て」
その言葉に皆の視線がキャロとルーテシアに向く。
その視線を受けて答える二人。
「なのはさんでした」
「私の所も」
その二人の言葉に勝ち誇った笑みを浮かべるなのは。キャロは言葉を続ける。
「でも……」
「でも?」
「でも、その、なのはさん、結婚式で亡くなられまして……。狙撃され暗殺されました」
その言葉に皆無言。しかしなのははあっけらかんとしている。
「あ。それ多分私の世界だね。……ねえキャロ」
「はい?」
そしてなのははキャロに訊ねる。
「その……私が死んだあと、ユーノ君はどうだった?」
「はい。その、亡くなった後暫くはショックで引きこもっていられまして……なのはさんのお葬式にも出られませんでした。
しかしその後、詳しくは知りませんけどクロノさんに発破をかけられて立ち直り、執務官になり、なのはさんを殺した組織の壊滅を始めとする様々なことをやりました。現役を引退した後101歳で老衰で亡くなられました」
「……そっか。ちゃんと立ち直ってくれたんだ」
キャロの言葉を受けてなのはは安心した様子だった。
しかしそこでキャロに言葉をかけるルーテシア。
「私の所と違うね」
「へ?」
目をぱちくりさせるキャロ。
「どう違うの?」
「うん。私の所で結婚式で亡くなったのは、ユーノさん」
「あ、それユーノ君のだ」
なのはだけは納得している様子。そのなのはに訊ねるフェイト。
「なのは、ユーノのって?」
「うん。どうもユーノ君と話をするとね、私たちは微妙に違うみたいなんだ。違いは分かると思うけど、結婚式でどっちが殺されたか」
「……そうなんだ。…………でもさ」
「?」
納得した様子のフェイトだが、何かを言いかける。
「でも?」
なのはは先を促す。
「でも、そういう事ならお互いの片割れは何処に行ったんだろう?」
「うーん……」
そこに口をはさむはやて。
「どっか別の並行世界に行ったんちゃうかな?或いはある日突然思い出したりな」
「かもね」
はやての言葉に同意し、笑うなのは。
「さて、疑問も一つ片付いたとこで次行こか。次は……」
さて、次は―――。
おまけ ユニゾンデバイス三人
時間軸的には半日ほど前。時空管理局本局技術部デバイスルーム。
「と、言う訳で我々は一泊二日で人間ドックです」
「人間ドックです!」
「いや、あたし達はデバイスだからオーバーホール……」
リインフォースⅠ・Ⅱとアギトがいた。
「やはり年に一度は人間ドックを受診したいですね」
「そうですね母様!」
「だからあたし達はデバイス……」
二人にぼやくようにツッコんでいるアギト。
「さて。それでは二人とも、準備を」
「はい!」
「今さらだけどデバイスにオーバーホールされるデバイスっていうのも妙な話だよな」
やっぱりぼやいているアギト。
「ところで母様、レイハ姉様は?」
「明日来ます。私とレイジングハートが受診するのは明日です」
「そうですか」
頷いているツヴァイ。
「それではよろしくお願いします母様!」
「よろしくな」
「ええ。では始めましょうか」
そしてオーバーホールが始まったのであった。
続くといいなあ。
あと少し改訂。具体的にはリインフォースⅠはザッフィーの嫁に。他のssを読んでいたら自分の中でそうなっちゃいましたのでw