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No.24286の一覧
[0] (習作)ボーカロイドの軍事転用の可能性について[ストルガツキー](2010/11/20 21:09)
[1] 中隊本部[ストルガツキー](2010/11/20 21:07)
[2] 小隊指揮所[ストルガツキー](2010/11/20 21:24)
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[24286] 小隊指揮所
Name: ストルガツキー◆bb3fb9a5 ID:d77b6e6a 前を表示する
Date: 2010/11/20 21:24
其の鉄兜などを以つて、生体との見分けを違わなくすることを禁ず

機械兵を見分けるのは条約を守っている相手ならば簡単だ、頭部に関する防護処置を施していないのだ。
もっとも、高硬度フレームの頭部は対戦車火器の直撃でもなければ割れはしないし、NBC兵器もきかないからいらないのだが。

だから、おれはそいつの後頭部で結い上げた青翠の髪がテッパチの邪魔になるだろう、という言葉をすんでのところで思い出した条文によって飲み込まなくてはならなかったんだ。まったくもって調子が狂う。



強襲歩兵小隊(機械化)の基本編成は人員7名、ドロイド50台からなる。

分隊支援用に機関銃、携帯対装甲火器、狙撃銃、軽迫撃砲が各小隊に配置されている。

本来、歩兵は中隊規模が基本単位となるが、上記のように強襲歩兵に関しては機動力を重視して、小隊ごとに戦域に投入されるため、軽迫撃砲を含む小隊編成となっている。
なお、本来7名である人員は、小隊指揮官、小隊付軍曹、1~5分隊長であるが、現在、この小隊において、人員不足と試験運用も兼ねて、自立ai装備の高機能ドロイドの小隊軍曹によるC4I2(小隊内指揮統制用)を利用した小隊運用の試験中である。

現在小隊は、試験運用期間として割り当てられた、来月九日までの間、現相馬が原演習場にて訓練中であり・・・

おれは、小隊勤務計画を作成しながら一息つくと、改めて編成表を見て妙な気分になった。

小隊を構成する兵隊どもは、機械兵であり、軍事用ドロイドというのは大方武骨な外見をしている。
大陸で戦っていた時に見かけた機体は殆どが『宇宙の戦士』みたいなのばっかりだったし、アライアンスやヘゲモニーの各陣営が擁している機械兵も特徴は違えど、『機械』という外見をしていた。
これは別段不思議なことではない。
砲迫に晒される表面をわざわざデコレートするなんてことはよほどの暇人くらいなものだ。
それに、戦闘用に重要な機能を詰め込むと、たいていは着膨れしたゴリラみたいな外見になるし、逆に簡易製造で最低限の機能と製造効率を求めると、スターウォーズに出てきたドロイドみたいになる。
少なくとも、人間型の、しかも女性型なんてのは戦地では見かけなかったし、おれはまさか部下にそんな奴が来るとは思っても見なかった。
まだ、新兵でぶらぶらしていたころには幹部室に給仕として配備されていたのを見たことがあったが、戦況が厳しくなってからは殆どが司令部要員として接収されたらしい。

「マスター、どうぞ。コーヒーのお代わりです」
まあ、隣で給仕してくれている小隊軍曹は書類上では飛びぬけて優秀な軍事ドロイドらしいのだが、なぜか民間のときの癖が抜けないらしく、おれのことをマスターと呼ぶ。

「マスターはやめろ。もう民間人じゃないんだぞ」
「あ、す、すいません。また言っちゃいましたか・・・」
この二週間で何度も訂正してはいるんだが一向に治る気配がない。
AIの不調を疑って後方支援連隊をたずねてはみたが、結果、「異常なし」。
この固体の個癖らしく、どうしても修正したいなら、完全にフォーマットするしかないといわれた。

すでに、基本強襲課程(戦前で言うところの基本偵察課程、基本降下課程を合わせたようなものだ)を履修させ実地訓練を行った後だけに、もう一度やりなおすだけの気力も時間も残ってはいなかった。


しかし、道北防衛戦当時並の空中核爆発のようなemp状況下でさえなければ、この機械化歩兵は思ったよりも効率がいいということに、おれはこの二週間で若干苦い思いをしながら実感していた。
この小隊軍曹にさえ命令を理解させれば、小隊全員が即座に反応する。
これはアライアンスの機動歩兵並に訓練された部隊に匹敵する。
ちなみに、この部隊は工場から出荷されてまだ一ヶ月しか経っていない。
アライアンスの機動歩兵は1年掛けて兵隊を育てる。

おれは、自分が機械に家から追い出される夢をここ最近よく見るようになった。


まあ、それでも、この小隊軍曹を見ているとそんな苦い思いもどこかに言ってしまう。
たしかにアイドルタイプとして作られただけはあり、見ているとこちらがキンチョウしてしまうほどだ。
とくに、士官学校に入校してからほとんど目の回る勢いで業務と試験を繰り返してきたため、外出する機会などはほとんどなかった。
結果、女っ気のほとんどない状況だったせいもあり、まるで、部隊配備されたばかりの兵隊のような有様だ。

青い流れるような長髪は二つに結って左右に下げている。
透けるような白い肌は見ている限りでは人間となんら変わりはない。
長い手足とスレンダーな体はか細いという印象を受ける程だ。
単純に言えば美人なのだ。
今は制服を着ているが、オリーブドラブを基調とした陸軍制服すら似合うのだから、着飾ればすごいことになるだろう。

とてもではないが強襲歩兵の甲武装を扱えるようには見えない、見えないのだが、この二週間の戦闘訓練における彼女の能力の高さはおれが自身をなくすほどだった。

まったく、せめて指揮官としてしっかりやらないと、本当におれは軍隊から放り出されてしまいそうだな。


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