ヴァイス大尉は、将校である。それも、練達した魔導師にして将校だ。ほぼ間断なく最前線に住まう彼は、この世界のルールを良く理解していた。つまり、彼は野戦将校であった。兵からは信頼され、上官からは認められるということである。ある種、士官の理想像と言い換えても良い。だが、不幸なことに彼の上官は“唯の”野戦将校ではない。神懸かった個人技能と、奇跡としか形容できない戦果の連続。平然と防御弾幕に率先して突入していくような戦争狂。大体において、死神が裸足で逃げていくような将校だ。とはいえ、味方である限りにおいて頼もしい。味方である限りは。そんな上官の下で、雨霰と飛んでくる銃弾を潜り抜けてきたのだ。ヴァイス大尉にとって、戦場はもはや日常の延長に過ぎない。その日も、特段変わった一日の始まり方ではなかった。早朝に行われる連邦軍の擾乱射撃と威力偵察で眼を覚まし、スクランブル。それ自体は、もはやいつものこと。だが、その日は少しばかりいつもと違った。朝方、朝駆けしてくる連邦兵を撃退し一息つこうとした時だ。ヴァイス大尉にとって、それは一本の暗号通信から始まった。「大尉、ライフルが必要だ。7.62㎜54R弾と調整済みライフルを大至急手配しろ。」前置きを投げ捨て用件のみ告げる声。要求されるのは、『連邦制式採用規格』のライフル弾。この時期に。あの中佐殿が。それを欲したもう。それだけで、直ちにヴァイス大尉は事態の重要度を理解する。啜りかけていた珈琲を杯ごとテーブルに置くと周囲に聞き耳を立てる部下がいないことを確認。機密保持の確認をしたうえで、話の続きを行う。なにしろ『連邦制式採用規格』の弾丸だ。そんなものの使い道など、限られている。わざわざそんなものを持ち出すという事はこれから為すことを顕著に物語る。一体、誰が違う事を予想し得ようか。「・・・直ちに、小官が持参いたします。それで、どちらに?」経験者は黙して語らない行い。だが、それは厳然たる一つの摂理として軍には存在する。野戦将校にしか理解できない『法』なのだ。それに従い、義務を果たす。部下に対する将校の義務は、果たさねばならない。果たされない義務に対する答えは、口にすることも憚られる。「よろしい。駐留司令部で会おう。」それに対する中佐殿の声は普段通り。これから為すことの重大さにも関わらずいつも通りだった。淡々と、事務的な口調。あの人は、あの中佐殿は、いつもそんなものだ。やはりか、という思いと共に留守を部下に任せると兵器庫へ。回収されてきた連邦軍の武装の中から、保存状態の良好なライフルを二丁選別。幸いにも、すでにこれらを回収時に試射済み。そして。「とはいえ、命令でない以上放棄できるとは思えない!」パウロン閣下のその一言に絶望する。ああ、駄目だな。まず思ったのは、そんな諦観。パウロン閣下は立派な方だ。人格という点で言えば、まったくもって完璧な人間だろう。兵と同じような防御壕で、同じ程度の食事に甘んじていることは悪いことではない。実際、その点に関して評判は悪くないのだ。だが、不運なことに選ぶ仕事を間違われたのである。軍人として、この上なく誰にとっても不幸なことだと思う。なにしろ、将兵にとってみれば上官の人格よりも能力が全てなのだ。いい人につき従って死ぬよりは、狂人だろうと生きて帰らしてくれる上官の方がまし。そして、これ以上の説得を断念した中佐殿がゆっくりと頷く。幸い参謀長以下将校らの同意はすでに取り付けてある。ヴァイス大尉は、咄嗟に周囲を見渡し他に眼が無いことを確認。制止の必要を認めず、中佐殿の御心に全てが委ねられる。後は、中佐殿が事態に幕を引く為にソレをひかれる。かくして。不幸にも。パウロン閣下は偶然司令部に飛び込んできた流れ弾によって、名誉の戦死を遂げられた。親愛なる帝国臣民並びに、敬愛なる胞友諸君。寒さがひとしお身に沁みる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか。偽悪的なことを申し上げるのであれば、前線で艱難辛苦に耐えている将兵がいる中祝い事というのはいかがなものか。とはいえ、家族や親しい友人とのひと時を過ごす喜びを妨げるのもこれまた無粋。故に、一軍人として皆さまにお願い申し上げるのはわずかなお願いであります。どうか、どうか刹那で良いので前線の将兵に思いを馳せていただきたく思う次第であります。ターニャ・デグレチャフ魔導中佐不幸な事故の後、ヨセフグラード駐留部隊は速やかに脱出作戦を開始。『想定されていなかった』ヨセフグラード駐留部隊による脱出作戦。この突発事態はB集団指揮系統に若干の混乱をきたす。されども、臨機応変なB集団司令部の統率よろしきもあり雷鳴作戦と臨時で命名された救援作戦は成功裏に完遂される。急遽派遣された救出部隊の先鋒を務める第七師団と、サラマンダー戦闘団は無事に重囲を打通。予定外のこととはいえ、随時急派されてきた増援部隊によって脱出口が維持される間に駐留部隊の脱出は成功した。純軍事的観点から結果だけ見るならば、満点に近い結果。しかし、その過程に至っては当然大きな紛糾を産まざるを得ない要素を複数含んでいた。かくして非公式ながら各種査問が行われる事となり、軍部は看過し得ない事態をそこで見出す事となる。報告によれば。B集団司令部はともかく、ヨセフグラード駐留部隊は死守命令を受諾でき得ない状況にあった。通信が途絶し、情報がない状況でパウロン元帥(戦死後二階級特進)が脱出を決断。脱出作戦の発令を命じた瞬間、流れ弾ないし狙撃弾によって昏睡。指揮権を継承した次席指揮官が脱出作戦を指揮。この動きを感知し、やむをえずB集団が救援行動を行い脱出が成功裏に完遂されたという。だが、軍事の基礎的な知識があれば誰でもこの報告に違和感を覚えることだろう。いや、素人ですら。はっきりと言えば、この報告書は騙す気が無い。わかるものは、わかると見なしての行為。むしろ、だからどうした?と言わんばかりの声なき声が込められている。気付けのために、数滴ブランデーを垂らした紅茶を飲み干し一息つく。肩の飾りが増えるにつれて、疲労と酒量が増えているのを嫌でも実感。パンドラの箱を開けるのは嫌な仕事に違いない。「・・・久しいな、中佐。」「はっ、お久しぶりであります。ゼートゥーア中将閣下。遅まきながら、ご昇進おめでとうございます。」模範的。そう、教本に乗せられるほど模範的な敬礼をしてのけるデグレチャフ中佐。もしも、もしも奴が軍服ではなく学生服でも着ていれば礼儀正しいで片付けられることだろう。あるいは、もう少し可愛げなり人間味があれば微笑ましいという気分も湧くかもしれない。だが、10代にようやく入ったばかりの小娘がやるものではないだろう。もっとも、それは今更の話だ。ゼートゥーア自身、デグレチャフはデグレチャフという一個の別枠だと既に割り切っている。要するに、種が根本から違うのだ。軍人と民間人が異なるカテゴリーに過ぎないとすれば人間とデグレチャフは、違う種として認識すべき存在。時代が時代ならば、きっと英雄というやつに違いない。大量殺戮を前提とする戦争の達人を英雄と呼ぶならば、だが。多分に頭痛を伴う認識でしかない。「前置きは良い。吐け。貴様、何をした?」「・・・いささか、理解致しかねます。」参謀本部の並大抵の参謀ならば竦み上がるような眼光。渾身の圧力を視線に込めて睨みつけるも、眼に映るのは涼しい顔だ。碧眼を細めて、拝聴するという態で疑問まで口にしてのけた。肝が太いのは、知っている。多少締め上げた程度では、全く苦にしないだろう。もともと野戦将校というやつらは、図太い精神を持ち合わせているものだ。同時に、諦めが悪い一方で降伏のタイミングも間違わない連中である。「パウロン元帥の件だ。」下手に搦め手で締め上げるよりも、単刀直入に斬り込みこちらの意志を叩きつける。一切の言い逃れを許さないと言外に込め、眼を合わせて徹底追及の意図を示す。「・・・元帥閣下に関して、小官に何を御尋ねなのでありましょうか。」「何故撃った?」一先ずは、一歩前進。パウロン元帥について、という一般化された話題になってはいるが一応踏み込めた。予想していた中でも、最も手強い反応。正直に言えば、そこまで巧みに自己防衛するのかと疑問も抱いていた。戦争ができて、おまけに政略までできる?本当に、化け物かと叫びたい心情を抑えつつ一先ずは穏便に物事を進めるべく努力。なにしろ、本当に疑問だった。知りたかった。何故、何故あそこでパウロン元帥は撃たれねばならなかったのかと。踏み込んで言うならば、何故このデグレチャフが撃ったのかが知りたい。「小官とて連邦兵の心情までは、理解致しかねます。」対するデグレチャフの解答は、撃ったことに対する間接的な肯定。対象を連邦兵に偽装しているが、自分に対する疑念は否定していない。韜晦しているようで、まったく誤魔化す意図の感じられない解答だ。ゼートゥーアは握りしめた拳がこわばっているのを今更ながら自覚する。やはりか、と思う一方でここまで明文化されたルールをこれが破るとはという驚きもあった。奴は、理解し難い。レルゲン大佐の分析では、明文化されたルールから逸脱する可能性はほとんどありえないとされていた。なにしろ、これまでのところルールに対しては絶対服従。軍人としては基本だが、その基本をとことん遵守しているという点でデグレチャフは完璧だった。模範的ですらある。実際、独断専行に近い行動に際しても奴はきっちりと法的根拠なり保険なりを用意していた。「中佐。」「はっ。」「貴様が撃ったことは、わかっている。状況証拠から考えて、貴様以外に撃ったのはいない。」それが、今回に限っては。状況証拠からして、真黒だ。少しでも疑う頭があれば、誰が下手人かなど一目瞭然である。確かに、パウロン元帥の検視結果は、連邦のライフル弾によるものと報告されてはいる。派遣した部下による追加調査の結果も、その事実は争う必要が無いことを示すもの。ただ、流れ弾というにはあまりにも異常な角度からだったという報告をゼートゥーアは握りつぶしていた。ちなみに、ちょうど子供くらいの身長で銃を構えればちょうど射角が一致するとのことである。考えるまでもなく、デグレチャフ以外に戦場で司令部内に侵入して司令官を撃とうという発想をする子供はいない。そもそも、それは子供ではなくデグレチャフという分類にすべきものだ。「だが、理解しがたいことに同じ推察に至ったはずのB集団司令部が貴様を全力で擁護している。」そこまで明白な状況証拠とはいえ、予想可能であるというのに。B集団司令部は一切を不問にしている。それどころか、公式非公式を問わずにデグレチャフ中佐に対する憲兵隊の調査が妨害された。ある憲兵分隊など、増援部隊として最前線に放り込まれかけた程だ。やむをえず、前線視察任務と称して送りこんだ参謀らまで動員する羽目になった。それでいて、結果は必ずしも満足できるものではないのだ。「ほとんど、ありとあらゆる伝手で免訴の圧力がだ。」前線での調査妨害どころか、中央でデグレチャフの査問会を行おうとすれば強硬な反対がねじ込まれる始末。曰く、前線で戦っている士官を後方で悠長に査問会議にかける暇があれば、1人でも多く増援を。少なくとも、理屈としては至極まっとうな理屈だろう。それだけにゼートゥーア中将としては困惑するほかにない。「・・・デグレチャフ。私は、貴様の才をおそらく唯一人、理解しているつもりだ。」異能という表現では生ぬるい狂気の才能。奴は、陸大時代にすでにこの戦争形態を予期し対応策を提唱していた。不完全ながらも、そのような戦局における勝算まで見つけ出し理論化している。誰が信じるだろうか?世界大戦は、眼の前の怪物にとってみれば既定事項の実証に近いという事を。ほとんど、偶然から知ってしまった秘密は恐ろしい秘密だ。「帝国にとって貴様が必要な人材であるという確信は揺るがない。」「大変、身には過分な評価を賜り恥いるほかありません。」かしこまる素振りは、自然なものだ。だからこそ、恐ろしい。やつにしてみれば、それほどまでの才すら誇るものではないのだ。まるで、それが当たり前と言わんばかりの感覚。大量の屍を築き上げる効率的な殺人競争。参謀本部で数字を眺めていることに、恐怖すら覚えるというのに。眼の前にいる怪物は、それを所与のものとして計画を立案する。「・・・帝国には貴様が必要だ。故に、私は本件には眼をつぶるつもりですらある。」だが、そんな化け物でも。戦争に勝つためならば、使える手札は全て使うほかにないのだ。そして、デグレチャフという札は文字通り鬼札である。どうあろうとも、捨てるという選択肢は選べない。なれば。なればこそ。人形のように、平然とこちらを凝視するこの化け物も使うしかない。この碧眼が何を覗き込んでいるのだろう?一体、こいつの見ている世界はどんなにおぞましいものなのだろう?「故に答えろ、中佐。何故撃った?」「閣下。小官が撃ったとすればそれは、祖国を守るべき軍を全滅から救うためでありましょう。いわば、オペであります。」「結構だ。・・・良くわかった。」平然と言ってのける口は、それが必要だったという事を確信しているからこそだろう。後ろめたいというよりは、医者が難しい手術を成し遂げた様な自信と誇りすら感じられる。やっていることにも関わらずだ!ゼートゥーア中将は、思わず舌打ちしかける自分を抑えつつデスクの上で頭を抱える。本来であれば、部下の前で将校が取るべき態度ではない。だが、そうでもしなければやっていられなかった。・・・行為にあるのは、結局効率という概念。中佐にしてみれば、それは外科的な対処法に過ぎない。軍と国家という機能からみて、患部を斬り落とすという行為。士官学校でぶち上げたという防疫官とは、本当によく言ったものだ。必要とあれば、独断だろうと構わずに上官にまで牙をむく。レルゲン大佐が危惧するのは、全くもって通常の軍制度からすれば妥当なもの。「中佐、ことがことだけに処罰は覚悟しろ。と言いたいところだが、先にも言った通りだ。」本来ならば、銃殺刑に処してさっさと軍から摘まみだすべき性質だ。上官に銃を向けるなどというのは、軍組織にとって許容できない叛乱だ。加えて、その判断基準が独断で為されるのであればそれは統帥権への反逆だ。ことがことだけに、本来ならば極刑に処すべきだろう。・・・だが、帝国軍はこれを使わざるを得ない。「貴様の東方戦線従軍記録は公式に破棄される。」東方派と内輪である程度の交渉は完了済み。形式上の処罰と、いくらか現実の処罰は行うものの経歴に傷はつかないように配慮することで手を打った。具体的には、東方戦線従軍記録の抹消。つまり、戦果と戦功が白紙になる。「軍歴は、日付を遡って今日まで参謀本部戦略研究室付きの特命将校だったと記録されるだけだ。」そして、今の今までデグレチャフは本部勤務だった。そういう事になる。本部勤務であれば、そもそも東方戦線での不祥事には関わりが無いからだ。公式には、死んだ誰かの名前をデグレチャフに置き換えればよい。「・・・当然、その分の戦果は破棄されることになるがこれが譲歩できる限界だ。」「寛大な御処分とご配慮に感謝いたします。」上司に呼び出され、締め上げられて無事解決かと思ったのは甘かった。ゼートゥーア中将閣下は人的資本の効率的な運用に際して、機能発揮を十全に行われる方だ。人員を遊ばせるということほど、この中将閣下とも無縁な思想もない。「それと、中佐。」こちらを睨みつける視線は、ようやく緩みつつある。とはいえ、並大抵の強さではないというのもまた事実。会社の上司にこれほど怖い目線をする人間はいなかったのだ。ここまで緊張させられる上司というのは、やはり軍人だからなのだろう。そんな上司の前で無様な姿を出せばどうなるかは考えるだけでも背筋が凍りつく。「はっ、何でありましょうか。」「帝国には有能な魔導師を遊ばせておく余力はない。」はっきりとした、非扶養宣言。働かないのであれば、温情ある処置も期待できないという事だろう。まあ、そもそも人手が足りないからこそ、ここまで好待遇なのだ。ここで、働かないのであれば私であっても肩を叩く。むしろ肩すら叩かずに、一枚の通告で終わらせる。「御尤もかと。任地を賜りたく思います。」形式上は、私が志願するという形式。まったく、依願退職を募集するような手口に引っ掛かるとは。こちらが散々使い古してきた手段だというのに。心中、密かに穏やかならぬターニャとは裏腹に事態はお膳立てされていたかの如く順調に進む。「結構。南方大陸で懐かしい顔が貴様を待っている。」懐かしい顔。そういう事ならば、当然ロメール将軍閣下に違いない。不幸中の幸いというやつだろう。まあ、ロメール将軍閣下の指揮下でならばそこまで不味いことになるとは思えない。数の暴力を相手にするのは気が進まないがそれはどこも同じだ。本当にいざとなったら降伏できる分、コミーよりも相手がマシかもしれない。そう思えば、ポジティブな側面にも目が向けられるというものだ。「今度は、撃つな。」同時に、太い釘が撃ち込まれる。まあ、統制上これ以上の逸脱は本当に銃殺刑に至ることになりかねないのだ絶対にそんなことは避けたい。あれは、史実の悲劇を回避するために本当にやむを得ない緊急避難的措置なのだ。ヨセフグラードで降伏し、コミーの楽しい楽しい収容所生活など、死んだ方がマシだろう。そんなことになるくらいならば、命を捨てる覚悟で別の道を選ぶしかなかった。・・・二度と、二度とあんな綱渡りはしたくないし、するつもりはない。「その必要があるとは思えませんが。」だから、ここでは自信満々に解答できる。なによりも。派遣先のボスは極めて有能なのだ。いくらなんでも、ロメール将軍を撃つ必要があるとは思えない。パウロン元帥閣下のように、歴史に名を残すような失敗もないわけだし。つまり、どちらかと言えばロメール将軍を支援すればするだけ長生きできる可能性が高い。「結構だ。ああ、それと。」「はっ。」処罰は、戦績抹消という物。軽くもないが、事に比較すれば比較的軽微だろう。実態からすれば、事実上の無罪放免。そして、未来に対する期待値も決して悪いものではない。だが、そう考えただけにターニャは少々気が緩んでいた。「貴様の部下は、引き続き対連邦だ。貴様は、現地軍と合流しろ。」・・・この言葉を耳にしたときの衝撃は忘れられない。何とかヨセフグラードで捨てずに済んだ盾。当然、南方大陸にも持っていくことを今の今まで考えていたのだから。そんなターニャの内心には全く留意せずゼートゥーアは淡々と事務的な通告事項を通達。唖然とするあまり、少々反応が遅れたことを了承と受けとったらしくその場で会見が打ち切られた。そうして、気がつけば。極寒の連邦から、灼熱の砂漠へ逆戻り。はっきり言って職場環境としてこれほど酷いものはない。おまけに、単身赴任。率いていくべき戦闘団は取り上げられて、着のみきのままで南方大陸行きの輸送船に放り込まれたのがつい先週。身を呈して私を守るべき盾もなく、使えないお荷物を背負わされるとはこれいかに。万年赤字の地方支店に、手足となる人材を取り上げられて放り込まれるようなものだ。成果が上がらねば、私がリストラされかねないような事例。到着早々、軍港に対する連合王国・自由共和国の空襲でスクランブル。敵の練度向上と、帝国軍兵士の練度低下に愕然としつつ何とか撃退。迎撃命令が下ってからが遅い上に、基準以下の戦闘能力。これで、物資集積所の防衛部隊だというのだから空恐ろしい。翌日、司令部に着任の挨拶に行くため飛び乗った輸送トラックがらくだ騎兵に襲撃されてひと悶着。砂漠でらくだの機動性を侮ったわけではないが、兵站末端が脅かされているという事実に背筋が凍りつく。特に、給水車に穴が開くだけで軍は渇きでのたうちまわらざるを得ないのだ。着任報告をロメール閣下に行うと同時に、簡潔な戦局概説を賜ったのが昨日。辛うじて、機動防御と遊撃戦で数の不足を補っているが兵站の維持まで戦力が及んでいないとのこと。加えて、非公式ながら民主主義の兵器庫から物が流入しているとの懸念まであるらしい。あの国相手に、消耗戦など無意味だ。・・・帰りたい。今すぐ、本国の安全な地下壕に帰りたい。あとがき時間が、時間が、足りないorzこんな時間に更新する理由?たぶん、逃避かなぁ・・・。ちょっと年内更新できるかわかりません。( ー`дー´)やってやれないことはない!※ちょっと、補足説明的な。流れで言うと①某司令部『悪いけど、偽の命令を伝令してくれない?』『もちろん、その後のフォローはするから!』②某幼女『おk』⇒『後退許可でました。』③某元帥(二階級特進)『そんな疑わしいモノ認められるかボケェ!!!』④某幼女『仕方ないよね、せんそうなのだもの。』⑤みんな『・・・そこまでやれって、誰もいってないんだけど(・_・;)』⑥中将閣下『・・・撃ったのは奴の独断じゃね?』※命令の偽証は、問題にもなっていません☜守られた約束※撃ったのが絶賛問責中☜誰のせいかと言えば、もういわなくても。※誤字修正ZAP