アラスカ基地。
米国最北端に位置する、地球連合軍の最高司令部――通称「ジョシュア」が存在する重要拠点だ。
そこでは地球軍に関連する様々な命令系統が集中しており、高度な人材も集中する、地球軍の心臓と言ってもいい基地である。
リナの父、デイビッド・シエルもまた、これまでの士官学校長の任務で様々な功績を残したため、高度な人材と認められて、アラスカ・スタッフとして召喚された。
「……そうか、無事に届けられたか。予備の部品も届けたな? ……よし、それでいい。ご苦労だった」
通信端末を切り、安堵の吐息をつく。地球に近く、地球軍の制空圏に近いとはいえ、まだザフトの制空圏内真っ只中のアークエンジェルに、
艦載機を満載しているとはいえ、たかが三隻のみの艦隊が強行するのだ。MSを搭載したローラシア級に一隻でも出会えば、すぐさま壊滅する可能性が高い。
それは幸運という他なかった。これで「奴」との約束が果たせる。それがデイビッドにとって、もっとも安堵を感じた。
執務室の黒革の椅子に深く腰掛け、胡乱げにため息をつく。
直後、分厚い扉がノックされて、伏せていた目を扉に向ける。ノックされる前から訪問者が来ることは気づいていた。
誰何を問わず、解錠のスイッチを押して入室を許可する。扉が押し開けられ、訪問者が扉の前に立った。
「いかがですか、シエル『准将』。無事に娘さんに贈り物は届きましたか?」
「えぇ……しかと」
デイビッドは機械的な返事を返す。この男の、鼓膜に絡みつくようなねちっこい敬語は、どうも好きになれない。
士官学校の校長の任を無事やり遂げたデイビッドは、准将に昇進していた。それゆえの個室だ。
是を聞いた訪問者は、口の端をにぃっと吊り上げて、けだるげな拍手をデイビッドに送る。
「それは何よりです。しかし、彼女は本当に、ロールアウトしたばかりの虎の子のモビルスーツを送るほど、価値があるんでしょうかね?
あなたが愛娘を贔屓にしてやりたい気持ちはわかりますが、士官学校をトップクラスの成績で卒業した……というだけでは、少々納得できないんですよ。スポンサーであるこちらとしては、ね」
薄い笑みを浮かべながらも、鋭い視線をデイビッドに向ける、スーツの男。
デイビッドはその鋭い視線を受けても、その鉄面皮を毛先ほども揺るがさずに見返す。
「……功績が無いのは確かだが、彼女には優れた能力がある。有象無象のコーディネイターなど霞むほどに。むしろ、送ったモビルスーツでは心許ないくらいです。
そちらで同時にロールアウトされた『例の三機』のどれかを譲っていただければ、より大きな戦果をお約束できたのですが」
それを聞いてスーツの男は、肩をすくめておどけて、ははは、と軽く笑って見せる。
天然なのだろうか。気障な仕草は流れるように自然で、生まれもって身についているかのようだ。
これも才能なのだろうな、と、この男から数少ない長所を見つけながら静かに続ける。
「ご冗談を。敵の手に渡るかもしれない危険な宙域を、大事な大事な機体を旅させるわけにはいきません。それに、あれは既にパイロットが決まってるんですよ」
「そのパイロットは優秀なのですか?」
「えぇ。貴方の娘さんほどかどうかは、わかりませんが」
謙虚な振りをしているが、少なくとも同等かそれ以下と思ってる様子は、その表情と語調からはまるで感じない。
自分の目で優秀ぶりを見て採用した人材と、功績の無い、優秀だという情報(しかも肉親の評価)しかない無名の人材とでは比べ物にならないのだろう。
自分も逆の立場なら、この男と同じ態度をとるだろう。実際、この男が採用した人物が、我が娘以上に優秀かどうかは疑問だ。
「それに、こちらの人材は忠実ですからね。私の意向にすべて従ってくれます。
あなたの娘さんは果たして貴方に完全に忠実ですか?」
「勿論です。彼女は父親である私に忠実に従います。そのように育てました」
「やけに自信満々ですね? 薬物投与でも?」
「あなた方の『ブーステッドマン』と一緒にしないでいただきたい。私達親子の絆は強固です」
ほう? と、興味深げに片眉を吊り上げて、余裕を見せる目の前の男は、デイビッドを観察する。
この准将は常に冷静沈着、現実主義者で通っていたはずだが、ここまで100%断言をする人物とは想像もつかなかった。
よほど娘を信頼しているのか……ただの親バカか。訪問者の男は彼の表情から心情を探ろうとしたが、鉄面皮相手では分が悪いと悟り、ふ、と笑いをこぼす。
「まあいいでしょう。貴方がこれからもブルーコスモスの一員として熱心に働いてくれることを期待してますよ? 准将」
「言われるまでもありません。――アズラエル理事」
訪問者、ムルタ・アズラエルはその言葉を聞くと満足げに頷き、退室していった。
デイビッドは閉まる扉を見てすぐアズラエルから興味を失い、思いにふけるのははるか幾万数千km上空の艦に乗っている我が愛娘。
血涙を流しながらも死地に送り込まざるを得なかった娘。できるなら送り込みたくはなかった。自分の権限で、ずっと後方待機を命じたかった。
だが、送らざるを得なかった。娘が生まれる前からの制約で。もしその場に今の自分が居たら、昔の自分を即射殺していたことだろう。
「リナ……死ぬなよ」
その独り言には、万感の思いが篭められていた――
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――起動設定確認。
各ジョイント点検。擬似皮質点検。擬似神経野接続確認。各部センサー確認。
バイラテラル角1:2.5、運動偏差――は、動いてみないとわからないが、ストライクよりかなり妥協した設定になっている。
電子兵装ヴェトロニクスオンライン。APU(補助電源)接続確認。三次元ベクターノズル、偏向テスト完了。
インプットロジカルは……ぱっと見、ナチュラル用なのかコーディネイター用なのかはわからない。
コクピットから顔を出して、足元から見上げてくる何人かの整備員を見下ろす。
そのうちの、まるでサンタクロースのように豊かな髭を蓄えた、まるでテキサスでステーキ屋でも営んでそうな太った整備員に、怪訝そうな視線を向けた。
「これ、使えるんですか?」
「俺が整備したんだ、使えないはずがあるか!」
ぶん、とたくましい腕を振り上げる男。マードックに似て、どことなく頑固一徹の職人を想起させる態度と姿。
とにかく、信用するしかないか。そう思った。そう思わなければ、命がけの戦闘になど出られない。
それに、ストライクを除けば、初めて配備されたモビルスーツ。今までMAで出撃するたびに九死に一生スペシャルに出演できそうなほど死に掛けたリナとしては、これに喜ばないはずがない。
小さな胸を弾ませながら、もう一度コクピットのシートに座って、コンソールパネルのキーに指を走らせ、コンディション画面を表示させる。
GAT-01A 先行量産型ストライクダガー。
ストライクと酷似した外見を持つ機体で、パーツはストライクと共有できるとのことだ。
見た目、あのストライクダガーと大きな違いは無い。当然だ。これから量産されるこの機体と同じ生産ラインで作られたものだから。
リナはあのゲーム上のストライクダガーしか知らないため、スペックの違いもよくわからない。動かしてみなければ……というやつだ。
「言っておくが、フェイズシフトは無いからな。装甲はメビウスと似たり寄ったりだと思っておけ!」
「……一気にありがたみが失せたなぁ」
髭の整備員の忠告に、期待感に水を差されて表情をぶすっと翳らせる。
機体は良くなっても装甲は前のまま。またあの毎度九死に以下略に出演しなければならないらしい。
そこへ、コクピットを覗き込んでくるキラ。いきなり目の前に現れて、どきりと胸の奥が跳ねて小さく目を見開いてしまう。
「? リナさん、OSの調整をしましょう」
その表情に気づいたようで、キラが疑問符を浮かべた。いかん、平常心だ……。
「う、うん、わかった。……いきなり入ってきたからびっくりしただけだよ」
「あ、ごめんなさい……」
別にいいけど、と視線を泳がせながら整備用のキーボードを引っ張り出してコンソールパネルを調整画面に切り替え、リナがコクピットから離れてキラに座席を譲る。
自分は横から見て、あれこれと指示するだけ。さすがにキラのようなスーパーコーディネイターでなければ、OSのプログラミングには手が出ない。
しばらく調整していると、外の賑わいが大きくなってきた。ストライクとゼロの整備員が集まってきたからだ。
「へぇー、こいつがG兵器に続いて初の地球軍のMSかい」
ムウは自機の整備を一段落させ、ハンガーに固定されたMSを見上げて明るい声を挙げる。
今の彼は整備員のオレンジ色の作業服を着ている。
「これでザフトのMSとも対等に渡り合える、ってわけか? だけど一機だけかよ」
「まだ地球軍に、MSの生産ラインが整ってないからな。これを含めて20機程度しか配備されてねぇんだ」
「そのうちの一機が回ってきたと。期待されてるねー、俺達」
快活に笑うムウ。まったく、気楽なものだ。MSになったとはいえ、こちとらキラみたいに万能で最強じゃない。
まあメビウス・ゼロに乗ってるムウよりはマシなのかもしれないけれど。こちらは対ビームシールドも持っているわけだし……。
時は少し遡る。
「で、このMSには誰が乗るんだ?」
パイロットの3人全員で、搬入した先行量産型ストライクダガーの部品の点検と整理をしながら、ふとムウが声を挙げた。
ぴくり、と肩を震わせたのはリナだけ。キラはきょとんとムウを見返している。
「フラガ大尉が乗るんじゃないんですか?」
まあ、実績とか階級から考えたら、キラがそう考えるのも無理は無いけど……
それを聞いてリナは、じっとキラを見上げた。ボクが乗りたい! と、視線で訴えるように。でもキラは気づかない。
キラのあっけらかんとした言葉にムウは肩をすくめて苦笑する。
「そう言いたいところだが、順当にいくと乗るのはシエルだろ。
こんな敵地のど真ん中で、突然慣れない機体に替えられてのろくさ出て行くなんて御免だからな。
シエルも同じだろうけど、ちょうど君は乗るMAが無いだろ? ちょうどいい機種転換の時期だと思うがね」
リナはその言葉に素直に頷く。視点の違いゆえに多少内容は違えど、リナが思っていたことと意味は全く同じだ。
不慣れな兵器、それも全く操縦機構の違う機体に乗り換えるのは、平時であれば無理なく行えるが……それが戦場の真ん中なら、ムウの主張は無理もないことだ。
いくら性能がいいとはいえ、操縦がよちよち歩きではすぐさま落とされて宇宙の藻屑となる。
それでは死んでも死にきれないというもの。大事なことなので二回言うが、リナも同じ事情だ。
「でも、地球軍でも数少ないMSパイロットになれるんだ。将来地球軍には嫌でもMSが大量配備されるだろうな。今のうちに慣れておけよ。
俺はしばらくは、ゼロでやっていくからな。ゼロは俺の相棒みたいなもんだ」
「はい、ではお言葉に甘えて!」
必要以上に元気に応えたリナであった。
ようやく念願のMSのパイロットになった! こう言うと殺してでも奪い取られそうな気がするが、ただの妄想だ。
そういう成り行きで、というか簡単な成り行きで、リナがこの先行量産型ストライクダガー――ストライクダガーとしておこう――の専属パイロットとなった。
「……終わりました。僕もこのMSについてはよくわからないから、細かい調整に関してはなんとも言えないですよ」
整備用のキーボードを格納しながら告げるキラ。二人で行ったOSの調整は終わるが、キラといえど専門の技術者じゃないから、1から組み上げるのは難しいようだ。
それでもリナは満足げに笑顔を浮かべて、キラの肩をぽんとたたいた。
「キラ君の整備なら大丈夫! これで百人力だよ。ありがとう」
「は、はい」
キラははにかみながら、照れるみたいに頬を掻いた。
彼はその自分のスペックに反して、妙に自信がないような態度をとるところがある。
謙虚といえば聞こえが良いが、どことなく卑屈さも混じっているような気がしてならないのだ。
彼に自信をつけさせることが、まず必要なんじゃないかとリナは思った。
だから、彼はとにかく褒めてあげよう。自信がつけば、彼はひとかどのパイロットになれるはず。
「機体の整備中とは思えないほど、楽しそうね」
「あっ……ラミアス大尉?」
キラと微笑み見つめあっていると、コクピットを覗き込んでくるマリューの姿があった。
なんでこんなところに、と思って目を丸くしていると、ふ、とマリューが笑った。
「私はG兵器つきの技術士官だったのよ。地球軍が新しいMSが作ったと知ったら、気にならないはずはないわ」
「なるほど……」
マリューといえば、オペレーターとか艦長とかのイメージが強かったから、ブリッジの虫かと思っていたけれど、最初に会ったときは整備員の格好をしていたのだった。
「地球軍のOSがどれくらい完成しているか見たかったけれど、もうキラ君がいじってしまったみたいね」
「す、すいません」
「いいのよ、別に責めてるわけじゃないの。ただ、すごい、と思ってるだけよ」
マリューがキラに向ける瞳は、リナには羨望の眼差しのように思えて、ぎくりとする。
彼女の言いたいことが、なんとなく分かってしまう。
「……機械に関する知識は学生並みくらいのはずなのに、難解複雑なMSのOSがいじれるのだから、大したものよ」
「ボク達ナチュラルには、不可能ですか?」
「えぇ、そうね。何十年に一人の天才……っていうレベルと言えるわね」
リナの問いかけに即答するマリュー。その瞳にはやはり羨望が浮かんでいる。
マリュー自身も、この技術と知識を身につけるまでに、大変な苦労があったのだろう。
G兵器の技術士官なのだから、彼女も多才と言える。だが、キラを見てナチュラルの限界を感じたのかもしれない。
「コーディネイターは、すごいわね」
最後のぼやきにも似た言葉には、キラへの皮肉があらん限り篭められていた。
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モントゴメリィを旗艦に、コープマン大佐率いる第8艦隊先遣隊の航行目的は、単純にいってアークエンジェルと合流、
のちにアークエンジェルが任務を全うするためにできる限り援護することである。
しかし、先遣隊は航行目的とは別に、荷物を運んできた。ジョージ・アルスター事務次官である。
愛娘が乗るアークエンジェルに行くために、いわば「相乗り」してきた形だ。
というわけで、荷物と一緒に「搬入」されたジョージ・アルスターが、娘のフレイ・アルスターが感動のご対面というやつをやっていた。
「イイハナシダナー……って言うと思ったかコノヤロウ」
リナはそれを遠巻きに見て、ぶつぶつと呟いた。
事務次官とはいえ、民間人がその程度のことのために相乗りするとはなんたる厚顔無恥。
リナは軍人の家庭に育ったため、民間人が軍のことにしゃしゃり出てくることに大いに抵抗があった。
ちなみにキラは棚上げしている。アカデミー生らはちゃんと階級が与えられたのでよしとする。
しかしあのオヤジは許せん。権力暈に着て民間人の身で乗り込んできやがって。とっとと帰れ。できればその娘を連れて。
腕組みして表情をぶすーっと不機嫌を露にしながら見ていると、ふと気になることを思いついてしまう。
そういえば、このオヤジはこの後どうするんだろう……。
「ああ、パパ! 本当に会えてよかった……この先不安でしょうがなかったの!」
「私も心配したんだよ、フレイ! でも、こうして無事な姿が見られてよかった」
「でもパパ、これからどうするの? この船、戦ってるみたいよ」
「大丈夫だよ、フレイ。私もこれからこの船に一緒に乗るから」
何が大丈夫なのだ。
リナ同様、ムウも頭を抱えて頭をぼりぼりと掻いていた。戦闘艦に高級文官が乗るなど……扱いに困るし、ほかの避難民の目もあるし、
特に前線指揮官であるムウには頭痛の種以外の何者でもなかろう。できればずっと中央区画に引っ込んでおとなしくしてほしいところだ。
「やれやれだな……お偉いさんの道楽もいい加減にして欲しいね」
ムウのあきれ気味の呟きに、リナは大いに頷きを返した……そこへ、アラーム!
〔総員に達す! レーダーに敵部隊らしき感あり! 総員、対空戦闘、ならびに対艦戦闘用意! 通常通路閉鎖! 非戦闘員はただちに指定された避難区画へ避難せよ!〕
だぁぁ!! KY! KY!
今度は、ぶっつけ本番でMSを操縦しなければならなくなったリナが頭を抱えた。
本当はもっと練習をしたかったんだけれど……仕方ない!
「シエル! お前さんはまだ慣熟飛行もしてないだろ! おとなしくしてろ!」
ムウがブリーフィングルームに流れていきながら、リナの出撃したがる性格を知っていて、先に釘を刺してきた。鋭い。それにこれ以上無い正論だ。
だが、リナはそれでも食い下がる。せっかくモビルスーツを使えるんだ。このチャンスを逃してたまるか!
「い、いえ、砲台くらいはできます! シミュレーションも十分やりました!」
「馬鹿言ってんじゃないの! 虎の子のモビルスーツを落としたら責任取れないぞ!」
「き、キラ君の支援に回ります……それならいいですよね!?」
「えぇ!?」
キラが不服そうな声を挙げた。なんか言ったか、とリナがキラにガンを飛ばすと、弱気な性格のキラは、たじ、と後ずさり。
ムウはそのやり取りを見て、ふむ、と一瞬考え事をする風で、
「……しょうがない! 実戦に勝る訓練は無いってとこだな……手数も要るしな。
ただし、自分の命と機体を第一にしろよ。シールド保定と着艦くらいはできるだろ!」
「は、はい……」
えらい言われようだが、我慢しよう。足手まといになりかねないのは認めるところだ。
とにかく、リナとキラも着替えのために、ロッカールームへと流れていった。
通信での緊急ブリーフィングで明らかになった情報は次のとおりだった。
敵はローラシア級が一隻。頭上から逆落としに襲ってくるらしい。もしMSを満載しているなら、六機のMSが現れることになる。
しかし、いくらMSが優位性を保っているとはいえ、こちらはアークエンジェルとストライク、そしてメビウスを満載した地球軍艦艇が三隻もいる。
少々油断しすぎではないのか。そう不審に思ったのは、ムウも同じようだ。モニターの向こうで唸っているムウ。
〔なんかあるな……囮の可能性が高い。よし、俺がこの六機を引っ掻き回す。
キラとシエルは、しっかりアークエンジェルをガードしてくれよ。キラはシエルもガードだ、いいな?〕
〔は、はい!〕
おや、キラ君のテンションがやや上がったぞ。どういうことだろう。
まあ彼のやる気が充実してくれれば、ボクも生き残る確率が高くなるというもの。がんばってもらおう。
発進シークェンスを続行。ジェネレーターに火を入れて、OSを立ち上げていく。
地球連合軍の紋章が表示。ローディング。各部センサーを順次立ち上げていく。
さっき点検したばかりなので、細かい各部点検は省略。頭部のゴーグルに光が点り、機体全体をジェネレーターの出力が上がる振動で唸りを上げる。
General
Unilateral
Neuro-Link
Dispersive
Autonomic
Maneuver_Synthesis System
「……これもガンダム?」
表示されたOSの名前に首をかしげた。まさか、ダガーの頭を被ったガンダムなのか。
だとしたら、この機体もかなり期待できるのでは……。
それともOSがこれなだけで、実は機体はへっぽこだったり。そうでないことを願いたい。
髭の整備員を信じるしかないか。不信は禁物だ。気を引き締めろ、リナ・シエル!
ぱしん! ヘルメットに包まれた頬を叩いてからバイザーを下ろし、操縦桿を握り締めた。
〔――シエル機、発進シークェンスラストフェイズ。発進を許可する〕
「了解! ……シエル機、ストライクダガー、行きます!」
号令の直後、リナが乗った機体が勢い良く宇宙へと押し出されていく――
※
無難にいきたかったんや……PHASE 19をお送りいたしました!
読んでくださった皆様、ありがとうございますっ
初のMS戦。メビウスでの初陣が遠い昔のようです。作中はつい二週間前くらいですけど。
あっさりMSに乗れちゃったリナ。MAで戦い続けると期待してくださった皆様には申し訳ない!
でも主人公が毎度死にかかるのってどうよって思いました(汗)
いや、MSに乗せた理由はそれだけではないですが…。
次回! ストライクダガーは伊達じゃない! 伊達じゃうわちょやめなにをすr(ry
それでは次回もよろしくお願いします!