「え~~、皆さん。世界はナルカナ様によって救われます。
ナルカナ様こそは、現世におわす生き神様にして、全ての生態系のみならず、
全宇宙の頂点に立つ永遠の美女。どんな花よりも可憐であり……
世界中の宝石を掻き集めたとしても、ナルカナ様の煌びやかさの前には霞む事でしょう」
場所は、人通りの多い駅前の改札前。
『超絶美女神ナルカナ様』と明朝体で書かれたのぼりを片手に、
もう片方の手ではスピーカーに接続されたマイクを持ち、斉藤浩二は演説を行っていた。
「ナルカナ様を崇め、奉り、信じる者には、輝かしい未来が約束される事でしょう。
しかし、仮にっ! この世の全ての罪よりも重い、大罪を犯すもの―――
ナルカナ様を信じないと言う不敬な輩がいたとしても……
慈愛の神以上の愛を持つナルカナ様は、それを許してくださる事でしょう。
皆さん! 今からでも遅くはありません!
改心し、毎朝毎晩。ナルカナ様を信じて居なかった自らを悔い改めるならば、
我等が唯一神ナルカナ様はお許しくださるでしょう。みなさん。目覚めるのですっ!
ナルカナ様こそが絶対。ナルカナ様こそが唯一。ナルカナ様こそが真理なのですっ!」
グッと拳を握りながら、熱く演説する浩二。
しかし、道行く人は浩二の話や姿など耳にも目にも止めずに通り過ぎていく。
「…………」
『あれ? 相棒? もうナルカナ様の布教活動はやらへんのでっか?』
その様子を見ていた浩二は『超絶美女神ナルカナ様』と書かれた鉢巻と、襷を外し、
地面に思いっきり叩きつけた。
「もー嫌だ! てゆーか俺が、何の因果で……
宗教活動みたいな事しなきゃいけねーんだよ! バカヤロウ!!」
『って、オイ! 相棒! やばいって!』
「何だ? 今の俺の状態以上にヤバイものなど無いぞっ!
もう一度言うぞ! 何でッ! この俺がっ! こんな事をしなくちゃならんのだ!」
『警察や! このまま職務質問されたら、えらいこっちゃでー』
「警察だとうっ!」
浩二が顔をあげて辺りを見回すと、青と白の制服でお馴染みの、
町のお巡りさんが、凄い形相で何かを言いながらこちらに向かって走ってきていた。
「やばい! 撤収だ!」
「こら、待ちなさい! キミ、ちょっと交番まで!」
待てる訳がないだろうと、浩二は機材一式を抱えて走り出す。
見ると、パトカーが自分の進路を塞ぐように前に回りこんできた。
『ぬお! パトカーまできおった!』
「捕まってたまるかよ―――っ!」
「止まりなさい! キミ! 止まりなさーーーい!!!」
街中で神剣の力を使う訳にはいかないので、
浩二はあくまで人間の力のまま国家権力の手から逃走するのだった。
「任意ですか? 強制ですか? 逮捕状はもってますかーーーーー!」
***********************
冒頭より、遡る事1日前―――
『天の箱舟』は、世刻望が夢に見たナルカナという少女の指定した世界へと、
ものべーを着陸させて、大地に足を踏みしめていた。
「つーか、ここって……」
「ええ。私達が集団催眠にでも掛かっている訳じゃなければ……」
「望? 本当に、そのナルカナという女が指定したのはこの世界なのか?」
浩二。沙月。絶。この世界とは縁深い三人の神剣マスターが、
驚いたように、あるいは呆れたように声をあげる。
「……あ、うん……その筈……なんだけど……」
答える望も歯切れが悪い。すると、辺りをきょろきょろと見回していたルプトナが、
見覚えのある景色だという事に気がついたのか、ポンと手を叩いた。
「あーーーっ! ここ、望達の世界だーーーーっ!」
見覚えのある建物。見覚えのある街並み。
そう、ここは自分達がいた世界。元の世界と呼んでいる場所だったのである。
ものべーを森に下ろし、他の人に見つからないように結界を展開すると、
森から町に降りてきた『天の箱舟』のメンバー達。
着陸する時に、ずっとみんなが思ってた……まさかね? そんな事あるわけないよな?
という想いはすべて裏切られ。そのまさか―――
この場所は自分達が十数年過ごしてきた世界。
元の世界にある自分達の街だったのだから、それは呆然とするというモノだろう。
「―――あ、あの建物、見覚えがあります。
え~っと、ぼーりんぐじょう? でしたっけ……森殿や美里殿と一緒に行きましたよね」
「見てみて。カティマ! えーっと、そうカラオケ!
僕達がその後に行ったカラオケもあるよ!」
「へぇ~っ、ここが望さん達の世界なんですかぁ?」
「そうだよ。自然やマナが少なくて、ゴチャゴチャしてるけど……
遊ぶところはいっぱいある、ヘンテコな世界だよ!」
「あれ? ルプトナさんは、この世界を知ってるんですか?」
「へっへー。一度、来たことあるからねー! この世界の事なら、何でも聞いてよ!」
ルプトナがノリノリだ。何でも聞いてくれと言われたユーフォリアは、
それならと言って、色々と気になっていたモノをルプトナに尋ねる。
「じゃあ。あの、凄い速さで移動する、でっかい蛇はなんですか?」
「それはもう、そのままだね。凄い速さのでっかい蛇だよ。
人を食べちゃっては走り、吐き出しては食べてを繰り返すんだ」
二人がでっかい蛇と言ってるのは、電車の事である。
説明としては100%中の5%ぐらいは真実を告げている。
「じゃあじゃあ。あのでっかい塔は?」
「あれはね。えーと……そうだ。デンパって言う見えない光線をだす建物だよ」
「何ですか? デンパって」
「う~ん……そうだね。ボクもよく解らないけど……
名前に、そこはかとなくエロスを感じるから、いかがわしいモノだと思うよ!」
「そ、そうなんですかっ! あれはそんな、エッチなモノなんですかっ!」
「むしろ、エロエロだよっ!」
「え、エロエロ!?」
ちなみ、その如何わしいとかエロスとか言われているのは、テレビ塔。
これの説明もまた、100%中の5%ぐらいは真実を告げている。
こうして、元の世界がどんどん摩訶不思議な世界としてユーフォリアに認識されていくのだった。
『……相棒。相棒』
「何だ、最弱?」
見覚えのある駅前に、全員で呆然と立っていたが、
しばらくして浩二の腰の『最弱』が、声をかけてくる。
『みんな勘違いしてるようやけど……この世界。
相棒のいた世界とはちゃいまんねんで?』
「そんな訳はないだろう? ここは、どこからどう見ても俺達の世界だ」
『いや、ま―――見た目にはそうなんやけど……』
彼の神剣―――
反永遠神剣『最弱』は、この世界を知っている。
何故なら、この世界は浩二と出会う前に居た事のある世界だから。
岬今日子。碧光陰。高嶺悠人と、その妹香織。そして、秋月瞬―――
今はファンタズマゴリアと呼ばれる世界で行われた、
統一戦争の主役となる少年少女達が生まれ育った世界であるのだから。
反永遠神剣『最弱』が、マスターである斉藤浩二と出会う前に居た世界。
その時はマスターが居らずに、喋る事はできなかったが、
岬今日子のハリセンとして、意識だけはしっかりともっていた。
『この世界はな、相棒……相棒の世界と瓜二つ。
生態系も同じではありまんねんけど……そこに住む人間や動物だけが別人の、
写し鏡のような世界―――言わば、写しの世界やねん』
「何っ!」
『嘘だと思うなら、実家に戻ってみなはれ。
特に危険は無いはずやから、2~3時間くらい各自解散して、
皆にも実際に街の様子を見てもろたら、おかしいって気づいて貰える筈や』
にわかには信じがたいが『最弱』は至って真面目だ。
その言葉に嘘や冗談は無いだろうと確信すると、リーダーの望にその旨を話した。
「それじゃ、みんな! また3時間後ぐらいに、ここへ集合しよう!」
浩二に事情を聞いた望が、彼の提案を受け入れてそう言うと、解散する事になった。
ついでに、ナルカナという少女についての手掛かりを探すことも目的としている。
世界の座標までは望に教えたが、その世界の何処に居るとまでは教えてもらっていないのだそうだ。
「写しの世界……ねぇ。
とりあえず私は、自分が住んでいた神社に行って見る事にするわ」
「俺も、自分の家を見てきます」
「あっ、それならボクも望について行っていい?」
「……あの、できれば私も……勝手が解りませんから……」
沙月と望は、自分達の家があった場所に戻る事にしたらしく、
ルプトナとカティマが望に同行したいと申し出る。
「それでは、俺とナナシは物部学園に向かうとしよう。
後は、まぁ……俺が元の世界でアルバイトしていた店でも覗いてみるとするか」
「イエス。マスター」
そう言って、絶は一人で背を向けて歩いていく。
服装は全員が学生服なので問題ないが、肩にナナシが乗ってるのが気になる所だろう。
まぁ、もっとも……望も同じように肩にレーメを乗せており、
浩二の『最弱』は、普通の永遠神剣のように姿を隠すことができないので、
学生服の腰にハリセンをぶら下げているという……
はたから見れば三人の男の内二人は、肩に女の子の人形を乗せたキモイやつ。
一人は白いハリセンを腰にぶら下げたアホなのだが、
このメンバーの中では当然な光景なので、誰も指摘しなかった。
みんな異世界での冒険が長いので、元の世界の常識が薄れていた。
「あのあのっ! おにーさん!」
皆がそれぞれの方向に歩き出すと、最後に一人で残されたユーフォリアが、
浩二の後を追いかけてきて、袖を掴む。
「……ん? 何だユーフォリア?」
「私っ、おにーさんについて行っていいですか?
こんなエロエロな建物が、堂々とそそり建っている恐ろしい世界に、
一人で取り残されるのは……その……襲われそうなので……」
「安心しろ。この世界に、おまえをどーこーできる生物はいない。
ピクルが襲ってきても、おまえなら勝てる」
世界中の軍事力を集めても勝てるかどうかは微妙だ。
もしかしたら、核爆弾をあるだけ全部落とせば勝てるかもしれないが、それではこの世界は無茶苦茶だ。
「でもでも!」
「あー、解った解った。ならついて来い。時間が惜しい」
「―――はいっ!」
本音を言えば一人の方が気が楽だったが……
たぶん、この状態のユーフォリアは、何を言っても引き下がらない。
それは、魔法の世界で『行かせて、行かないで』のやり取りをやった浩二は、骨身に染みて知っている。
このまま成長したら男を束縛する女になるのではないかと、一抹の不安を感じる浩二だったが、
それは、まぁ自分の知った事では無い。
将来出来るかどうかは知らないが、恋人になるヤツが苦労するだけだと思う。
「最終兵器彼女。もしくは地上最強の嫁―――か……
何かそんな漫画あったなぁ……」
「何か言いましたか? おにーさん」
「いや。何でもない……未来におまえが出会うだろう一人の男に、
がんばれよとエールを送っていただけだ」
「―――はい?」
************************
「……俺は、もう……当分の間……カレーは食わんぞ……」
『ナハハ。ご苦労様やったなぁ……相棒』
斉藤浩二は、公園のベンチにぐったりと背を持たれ、ソフトクリームをなめていた。
その隣では、同じようにユーフォリアが浩二に買ってもらったトリプルアイスを、
崩さないように美味しそうになめている。
「あんなに辛いのは、もう……カレーじゃ、ない……
カライと言うよりもツライなんて……もはや別の食べ物だ……」
この写しの世界をユーフォリアと共に散策し、
実家や繁華街周辺を調べまわった浩二は『最弱』の言うとおり、
この世界が別世界である事を知ったのだった。
実家の料亭は、名前と建物こそ同じであったが、
店の料理人も全てが見知らぬ顔で、オーナー兼板長も浩二の父親ではなく、別の人がやっており、
母屋の表札も斉藤から鈴木に変わっていた。
その辺りで時間は正午を過ぎており、食事を取りたいと思ったが、生憎と浩二には持ち合わせが無い。
元の世界の金でも持っていたら、使えたかもしれないが……
それは全部、この旅に出るときに自分の部屋へ置いてきたのだった。
そんな時に見つけたのが、一軒のカレーショップ。張り紙には―――
『ドミニカ共和国人もケツから火を噴く激辛カレー。三十分で全部食べたら賞金1万円』という、
色々とツッコミをいれずにはいられない張り紙がしてあった。
浩二はそれに挑戦したのである。
自分には永遠神剣の肉体強化がある。それで胃を活性化させて、
無理矢理口に流し込んでやれば、楽勝だろうと思って挑戦したら、
張り紙に偽りはなく、火を噴きそうな辛さであった。
しかし、失敗したら、払う金が無くて無銭飲食だ。
故に浩二は死ぬ気で食べた。何度か挫けそうになったが、俺に出来ない事は無いと、
心の中で呪文のように唱えながら、辛さで涙腺を刺激されても、泣きながら食べた。
そして完食。涙を流しながら、ご馳走様でしたーと告げたとき、ギャラリーが総立ちで拍手をした。
初めて『ドミニカ共和国人もケツから火を噴く激辛カレー』を完食したのが浩二だったからである。
その後、浩二には賞金が渡され、連れであるユーフォリアと共にデジカメで撮られた写真を、
大きく引き伸ばしたモノが店には飾られるのだった。
「ユーフォリア。何か食べたいものはあるか? 俺は、何も食べたくないが……」
「いえ。おにーさんに買ってもらった屋台のたこ焼きと、
このアイスクリームで十分ですよ?」
「そうか。ならば、それを食い終わったら図書館にでも行くとするか」
「はいっ!」
笑顔で頷くユーフォリア。その後、浩二はナルカナなる存在について、
文献やインターネットから色々と探すが、結局何の手がかりも得られず、
集合時間が近くなったので、駅前に戻るのだった。
「ただいま」
「ただいま戻りました」
「あ、おかえりー」
浩二とユーフォリアが戻ると、もう他のメンバーは全員帰ってきていたようで、
何かを話しこんでいる。出迎えてくれたのは、一人だけ暇そうにしていたルプトナだけだった。
「図書館で、神話の本とか土地の本を見たんだけど、こっちは何の成果もなしだよ」
「あ、うん。それについてなんだけどさ。解決した」
「何! 望。じゃあオマエ……ナルカナを見つけたのか?」
「本人に会った訳じゃないんだけど、ナルカナの使いって巫女さんに会ってさ、
えーと、どうやらその人達が言うには、ナルカナは出雲にいるらしい」
「出雲か……出雲大社?」
「いや、そこまでは解らないけど……ものべーで空から見れば解るって」
「よし、それじゃ『箱舟』の中に戻ろうぜ?」
そう言って浩二が促すと、望はああと頷く。
少し離れた場所では、ユーフォリアとルプトナが昼に何を食べたのかで盛り上がっていた。
どうやら望は、浩二と違って、元の世界の金を持っていたから、
試しに店で使って見たら使えたので、それでハンバーガーを食べたらしい。
いくら写しの世界とはいえ、別世界の金だから偽札である。
「……望。おまえ……犯罪をおかしたな? これは偽札事件だぞ?」
「いやっ、だってほら! 仕方ないだろ!」
「あ、すまん―――斉藤。俺も昼食には元の世界の金を使った」
「ごめん。私も」
自分とユーフォリア以外は、みんな偽札を使って買い物をしている。
やりたい放題。フリーダムだった。
「通貨も札も、まったく同じだから……
まぁ、バレる事はないと思うけど……少しは自重しろよ……」
まぁ、異世界人のやった事だから大目に見てくれと、浩二は心の中で謝るのだった。
****************************
「ようこそお越しくださいました。私は綺羅と申します。
御当主様より、皆様をご案内するように仰せつかっております」
出雲へとやってきた『天の箱舟』一行。
彼等を出迎えたのは、巫女服に身を包んだ、頭の犬耳と白髪が特徴的な少女であった。
ケモノ耳のある少女に出会うのは、魔法の世界のナーヤに続いて二人目である。
「あ、あぁ……えと、ご丁寧にどうも……あの、俺……世刻望って言います。
えーと、一応この『天の箱舟』のリーダーという事になってます」
丁寧にお辞儀で迎えられた望は、少し慌てた様子で答える。
「存じ上げております。世刻望様、斑鳩沙月様、暁絶様……
それに、カティマ様にルプトナ様。ユーフォリア様ですね」
「……あれ?」
今、自分の名前だけ呼ばれなかったようなと首を捻る浩二。
しかし、いや聞き間違いだろうと思って、先導するように歩き出した綺羅の後を追った。
「……あの」
「ん? 何だ?」
「今向かっている場所は神聖な場所。
部外者についてこられると困るのですが……」
「……部外者って―――俺?」
「はい」
他に誰がいるのだという目で見られる。やはり先のは聞き間違いで無かったようだ。
どうやら、この『天の箱舟』のメンバーで……
自分だけがナルカナとやらには、お呼ばれされていないと察する浩二。
しかし、ここまで来て自分一人だけ留守番というのも面白くないので、浩二は食い下がった。
「一人ぐらい気にするな。俺の分のお茶と茶菓子が出なくても文句いわないから」
「いえ、そういう理由ではありません」
「じゃあ何だ? もしかしてイジメか?
俺一人だけダメだなんて……おまえはスネ夫か?」
「……言葉の意味は解りませんが、今何か酷く侮辱されたような気がします」
「てゆーか、何でそんな意地悪を言うんだ。酷いじゃないか!
こんな酷いイジメを受けたのは初めてだ。クソ―――この犬っ娘ならぬ、いじめっ娘め!」
「……ムッ。意地悪で言っている訳ではありません。
この橋より先にあるのは、神聖な場所なのです。だから、御当主―――
ナルカナ様のお許しが無い方は、誰であろうとお通しする事はできないのです」
浩二は食い下がるが、綺羅はダメですを繰り返すだけだ。
他の『天の箱舟』のメンバー達は、二人の言い合いを微笑ましそうに見ながら、
橋の先にある社に向かって、さっさと行ってしまう。
「―――あ、クソ。テメーら置いてくな! 薄情者め!
ええい。綺羅じゃ話にならん。もう一人の犬耳娘を呼べ。
綺羅がいるなら明日乱もいるだろう!」
「そのような者はおりません。誰ですか、明日乱って……」
「じゃあ虎だ。砂漠の虎か、巨乳艦長を連れて来い!」
「もう、意味が解りません!」
浩二と綺羅の、不毛なやり取りは続いている。
「もういい。ならば俺は勝手に行く! 俺に出来ない事は無い!」
「待ちなさい」
「待たぬ」
そう言って浩二は、綺羅の横をさっとすり抜けて走り出す。
「待ちなさい。止まりなさい。この罰当たり者!」
「待たぬ。止まらぬ。省みぬ! それが帝王の生き様よ!」
いつの間にか帝王になっていたらしい浩二は、
橋を歩いている他のメンバーを抜き去って、一直線に社に向かって走っていく。
「待ちなさい! この不届き者ーーーーッ!!!
名を名乗りなさい! 神罰を与えてやりますーーー!」
「それはデスノートに名前を書くと言う事かーーーっ!」
「だから、意味の解らない事を言わないでくださいーーーーっ!
綺羅も、それを追いかけて望達を追い越しておっかけて行くのだった。
「……あの娘……俺達の案内するんじゃなかったっけ?」
苦笑しながら言う望。
そんな望に同調するように、みんな苦笑をうかべて見つめ合うと、
同時にプッと噴き出して大笑いするのだった。