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No.25868の一覧
[0] 【インフィニット・ストラトス】織斑一夏は誰の嫁?(全員性別反転:ALL TS)[SSA](2011/02/20 22:40)
[1] 第二話[SSA](2011/02/23 00:21)
[2] 第三話[SSA](2011/02/09 00:27)
[3] 第四話[SSA](2011/02/23 00:21)
[4] 第五話[SSA](2011/02/23 22:31)
[5] 第六話[SSA](2011/02/12 01:32)
[6] 第七話[SSA](2011/02/13 20:45)
[7] 第八話[SSA](2011/02/14 01:05)
[8] 第九話[SSA](2011/02/16 01:06)
[9] 第十話[SSA](2011/02/17 21:54)
[10] 第十一話[SSA](2011/02/21 21:18)
[11] 第十二話[SSA](2011/02/25 01:53)
[12] 第十三話[SSA](2011/03/04 23:54)
[13] 第十四話[SSA](2011/03/19 23:37)
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[25868] 第二話
Name: SSA◆ceb5881a ID:29b98ec4 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/23 00:21



 ―――綺麗になった。

 篠ノ之箒は、6年ぶりに再会した幼馴染を見ながらそう思った。

 今は、二時間目と三時間目の間の通常は10分ほどしかない休憩時間が15分ある少し長い休憩時間だ。一時間目と二時間目の間の休み時間は、10分間、他の男子達の「お前、行けよ」「いや、お前こそ」「ぬけがけすんなよ」というような声と遠巻きの視線に耐えていた箒の幼馴染である一夏だったが、ついに、耐えられなくなったのか、不意に休み時間のチャイムが鳴った後、ツカツカと箒の席に来て、「来なさい」の一言でここまで連れて来られたのだ。

 どうやら、彼女はクラスメイトの視線に耐えられなくなって、外に出たかったようだ。廊下に出ても減ることのない、いや、むしろ、増えた視線の中を凛と背筋を伸ばして歩く彼女は、ここがIS学園という男子だけの学園でなかったとしても目を引いたことは間違いないだろう。

 その一夏は、今は屋上でう~ん、と背筋を伸ばしている。その表情は、先ほどまでの作ったような表情ではなく、何かから解放されたような穏やかな笑みを浮かべていた。ここでは、男子から視線は箒からしかないため、開放的な気分になっているのだろう。

 箒とて、一夏が戸惑っていることぐらい分かっていた。なにせ、自分以外が、男なのだ。もしも、箒が女の中に放り込まれたとしたら、右往左往していただろう。その中に一夏がいたとしたら、箒は間違いなく、彼女に助けを求めていただろう。

 いや、一夏も箒に助けを求めていたことは分かっていた。HRが始まる前に一度だけ視線が合った事を覚えている。しかし、それを箒は無視した。気づいていない振りをして視線を逸らした。彼女と何を話していいのか分からなかったのだ。6年ぶりに再会した彼女は、箒の記憶にある頃よりも可愛く―――いや、15歳といえば、少女から大人の女への過渡期だ。それは適切ではない―――可愛いというよりも綺麗になった、と感じた。

 一夏の流れるような細い黒髪は、手入れをされているのか綺麗な天使の輪を描き、長い黒髪はポニーテールという髪型で結われていた。身長は長身といえる箒の180センチよりも30センチほど低いため、150センチほどだと思われる。顔立ちは、長いまつげ、ぱっちりとした瞳、小さな鼻、ふっくらとした唇と各部位は整っている。また、黒いニーソックスに包まれた足は適度に細く、ニーソックスとスカートの絶対領域から見える太ももは黒とコントラストを描くような白さである。さらに、スカートと上着の境目である腰は、男の箒からしてみれば、折れてしまいそうなほど細い。しかし、その上にある胸部は、腰や足の細さとは対極を成すように見事な双丘である。少なくとも箒が今まで見てきた同年代の女性の中では一番大きいだろう。つまり、客観的な評価をもってしても、彼の幼馴染である織斑一夏は、美少女であると断定できた。

 だからこそ何を話していいのか分からない。ただでさえ、篠ノ之箒という男は口下手なのだ。彼女の成長した姿を視界に納めた途端、フラッシュバックのようにぶり返した幼い頃の恋心がさらに拍車をかける。現に、ここに来るまでの間、箒が話した言葉は、一夏に請われて屋上を案内する際の「こっちだ」という言葉だけだ。

 屋上のフェンスの傍で背伸びをしている一夏を箒はそれを数歩下がった芝生の上で、彼女にどんな風に話せばいいのだろう? と考えながら、彼女を見ていた。しかし、箒の考えがまとまる前に、不意に一夏がスカートの丈を翻し、振り返った。今までは、背中を見ていたが、彼女の瞳が真正面から箒を捉えた。同時に彼女が浮かべる笑みに反応して、どくん、と箒の心臓が大きく高鳴った。

「箒、久しぶり。6年ぶり……だよね。元気だった?」

「ああ」

 ああ、どうして、自分はこうも口下手なのだろうか、と生まれて初めて、自分の性格を恨んだ。せめて、一夏の様子も尋ねるべきだったのだ。これでは会話が全然繋がらない。

 表面上の表情はまったく変えず、内心で自分の口下手振りを後悔している箒。そんな箒を尻目に一夏は、くすっ、と笑った。

「相変わらずだね。その話し方も。なんだか懐かしいよ」

「そうか」

 幼い頃から自分はこうだっただろうか? と記憶を探ってみる。確かに、一夏の言うとおりだったような気もする。すべては、剣術の師匠である母親を真似てのことだ。箒の母親は、言葉少なだった。言葉よりも行動ですべてを示す。そんな母親だった。代わりに話すことは、すべて箒の兄が持っていったと箒は思うのだが。

「あ、そういえば」

「なんだ?」

「剣道の全国大会、優勝したんだってね。おめでとうっ!」

 まるで、我がことの様に満面の笑みを浮かべて喜んでくれる一夏。離れていた一夏が、箒のことを覚えていてくれて、箒の名前を気にしてくれて、剣道の全国大会で優勝したことを祝ってくれて、箒は、嬉しくて、しかし、それ以上に気恥ずかしくて、顔が赤くなるのが分かり、その表情を隠すために箒は、一夏から視線を逸らしていた。

「な、何で知ってるんだ?」

「え? 新聞に載ってたよ。それに写真ですぐに分かった。うん、まだ使っててくれたんだね。それ」

 一夏が指差したのは、箒のうなじの辺りで結われている髪の部分。そこは、蒼いスカーフのような布でリボンのように結われていた。一夏は、それを懐かしい瞳で見ていた。箒も理由は分かっている。蒼いリボンは、一夏が箒にプレゼントしたものだからだ。

「でも、最初見たときは、驚いたな。箒、最後に見たときよりも随分かっこよくなったね」

 まるで悪戯っ子のように笑う一夏。だが、彼女のそんな態度も、先ほどの言葉を前にしてみれば些事に等しい。箒の中でただただ、一夏から言われた「かっこよくなった」という言葉がリフレインされていた。正確には、一夏の一言で箒は舞い上がっていた。

 しかし、それも短い時間だ。箒が、褒められたのだから、自分も一夏を褒めなければならない。なにより、場の空気は、半ば冗談めいたものを含んでいるため、箒からしてみれば、絶好の機会だ。だから、箒は意を決して、口を開く。

「一夏も、その……見違えるぐらいき―――」

 綺麗になった、とは続けられなかった。時とは無情である。箒の一言をかき消すように休み時間の終了を告げる予鈴が鳴るのだから。後、5分後には三時間目の授業が始まってしまう。

 ―――む、無念。

 早く戻りましょうよ、と屋上の出入り口で一夏に呼ばれなければ、箒は、おそらく芝生の上で膝を折っていただろう。女性を褒めた経験がない箒からしてみれば、崖の上から飛び降りるほどの決意を折られたのだから仕方ない。箒にとっては、それほどのショックだったのだ。しかも、彼の性格を考えれば、一夏にそのような事が言えるタイミングが次にいつ訪れるか分からないのだから。



  ◇  ◇  ◇



「ふぅ」

 三時間目と四時間目の休み時間が終わった後、織斑一夏は大きくため息を吐いた。先ほどまでの授業では一時も気が抜けなかったからだ。

 IS学園における至上目的は、何か? 簡単だ。その学園に通う学生を一端のIS操縦者にすることである。つまり、通常授業以外にISに関する授業が山のようにある。例えば、国語や数学ならば、一夏も今までの蓄えがあるため、一時も気が抜けないということはない。しかし、ISに関する授業は別だ。

 ISに関する資料は、一夏も入学前の資料で必読と書かれた電話帳並の本を読んだ。女子とは基本的に群れる生き物である。いや、人であれば誰でも群れるものであるが、女子は特にグループでの結びつきが強いというべきか。一夏もその辺の女子の怖さは中学生のときに学んでいる。だから、一夏は、IS学園でグループで一人にならないように、IS学園で一番話題になるであろうISについて勉強しておくべきか、と分厚い本と辞書と格闘しながら電話帳の教科書を読破した。

 もっとも、よくよく考えれば、女子は一夏一人なので、その努力は、女の子のグループをつくるため、という目的から考えれば、無駄な努力だったのだが。しかし、それがなければ、今日の授業はついていくことは不可能だっただろう。いや、単語の意味すら理解することはできなかったはずだ。一応、勉強した今でさえ、何度も真耶先生に質問したというのに。

 しかし、本当に恐ろしいのは、男だけのクラスメイトかもしれない。彼らは、授業に対して一夏のように何度も質問することはなく、淡々と頷きながらノートに真耶先生の言うことを収めていたのだから。つまり、彼らは今日行われた授業程度のことであれば、既に理解しているのだ。

 ―――はぁ、わたし大丈夫かな?

 IS学園に通う学生は言うまでもなくエリートだ。なにせ国の代表、国防の要なのだから。競争倍率だって1万倍を超えるとも言われている。当たり前だ。他の高校のように学区ではなく、全世界区なのだから。彼らは、その戦いを制した勝者なのだ。当然、幼い頃からISについては勉強だってしているだろう。

 そんな中、一人、女性というだけで入学した一夏。男の環境の中で学ぶことは覚悟したとはいえ、さらに一段上の覚悟が必要そうだった。

 ―――とりあえず、予習と復習は必須ね。

 この環境の中、精神的にも体力的にも疲れてしまうだろうが、この学園にいる以上は、ISについては最優先事項なのだ。仕方ないだろう。何より、強制的とはいえ、この環境の中で学園に通うことは覚悟してきたのだ。今更、その覚悟に嘘はつけなかった。

「ちょっと、いいだろうか?」

 ふん、と気合を入れた一夏に話しかけてくる声。男子から話しかけられるのは、もしかすると初めてかもしれない、と思いながら一夏が振り返ると、そこには、鮮やかな金髪をした美形が立っていた。

 白人特有のブルーのやや吊り目の瞳が、身長の関係からやや見下すような形で一夏を見ていた。

「聞こえているのか?」

「あ、うん。どういう用件かしら?」

 まるで、幼い少女が思い浮かべるような王子様のような容姿と気品溢れる雰囲気に思わず思考回路が停止してしまっていたが、再び声をかけられて正気に戻った一夏は慌てて返事をする。しかし、その返事は王子様(仮)には気に食わなかったのだろうか、やや不愉快なものを見たように眉をひそめた。

「なんだ? その返事は。俺に話しかけられるだけでも光栄なことなんだから、それ相応の態度があるだろう」

 まるっきりこちらを見下したような態度だ。自分を知っていなければおかしいとでも言うような態度。自尊心に溢れるのは言いのだが、このような尊大な態度を取る男を一夏は好きではなかった。

「残念ね。わたし、貴方のことなんて知らないわ」

 そのため、自然と返事は棘のあるものになる。もしも、ここが普通の共学の高校であれば、これだけの美形相手であれば、違った対応もあったかもしれないが、ここは、孤立無援のIS学園。過去の中学校のように、相手の向こう側に見える女子に遠慮する必要はどこにもなかった。

 しかし、その一夏の対応は、王子様(仮)からしてみれば、予想外で、かなり気に入らなかったものだったらしい。吊り目を細めて、一夏を見下すような口調で言葉を続ける。

「俺を知らない? このセシル・オルコットを? イギリス代表候補にして、入試主席のこの俺をか!?」

 なるほど、それはエリートであり、自分で言うほどのことはある、と一夏は、内心思った。代表候補という言葉は知っている。電話帳の教科書に書いていたからだ。

 それぞれの国には、IS搭乗者に代表が存在する。彼らが、ISの国際大会へ出場し、世界最強を決める。代表候補とは、文字通り国の代表の候補生である。しかも、入試倍率1万倍の主席という。確かに、彼を知らない一夏のほうが異端なのかもしれないが、そもそも、ココに来るまで自分のことで手一杯だったのだ。他人のことを気にする余裕などなかった。そのくらいは、大目に見て欲しいものである。

 しかし、そんな一夏の内心を知らないセシルは、無言の一夏を自分の評価を改めていると判断したのか、先ほどよりもやや上機嫌になりながら、自分をたたえるように両手を広げて、演説を続ける。

「本来、俺のような選ばれた人間と同じクラスになれた幸運をむせび泣くべきところなのだぞ。もう少し、現実を理解したらどうだ?」

「そうね、幸運ね」

 微塵もそう思っていない。むしろ、逆のことを思っていそうな口調で一夏は、セシルの戯言を受け流すように言う。こういう手合いは、適当に褒めて、適当に受け流すのが一番だと一夏は経験からよく知っている。

 しかし、周りに女子がいないためか、多少綻びが出てしまったのだろう。僅かににじみ出た嫌悪の感情をセシルは感じ取ったのだろう。先ほどやや持ち上がった気分が、一度、自分を見直していると思っていた分、急激に落下したように落ちていた。

「貴様、俺を馬鹿にしてるのか?」

「そんなことないわよ」

 セシルに自分の感情を感じ取られたことを理解した一夏は、慌てて取り繕って、誤魔化すように微笑むが、時既に遅し。一度、感じ取られた感情を払拭するまでは至らなかった。

「大体、先ほどの授業もろくに理解できないような馬鹿が、よくこの学園に入学できたな。唯一、女でもISを動かせると聞いて、少しは他の馬鹿女どもとは違うと、少しは期待したのだがな」

 勝手に期待して、勝手に失望するな、と一夏は言いたかったが、これ以上言うと、お互いに言い合いになってしまい、収拾がつかなくなると判断した一夏は、セシルに対して何も言わなかった。

「ふん、だが、俺は優秀だからな。貴様のような女にも大きな慈悲の心でもって、優しくしてやるがな」

 そんな態度で、慈悲も優しさもあると思っているのだろうか? 心の底から思っているとすれば、彼は、手のつけようがない馬鹿者だと一夏は思う。

「ISのことで分からないことであれば、俺に聞くといい。泣いて頼むのであれば、教えてやってもいいぞ。何せ、俺はこの学園で唯一教官を倒したエリートの中のエリートだからな」

 唯一を強調するセシル。確かにIS学園の教師は、IS操縦者となる学生を教えるのだ。一夏の兄である千冬のように生半可な腕ではないだろう。しかし、教官を倒した、という事実であれば、一夏にも思い当たる節がある。

「入試の教官との戦闘なら、わたしも倒したわよ」

 果たして、あれが倒したといって良いのか若干の謎だが。なにせ、ISに搭乗した一夏を見るや否や教官が気絶してしまったのだから仕方ない。よくよく考えれば、あれは戦ったといえるのだろうか。

 悩んでいる一夏を余所に、セシルは、一夏の一言に整った顔を崩して、目を見開いて驚いていた。

「な、な、なんだと? 教官を倒したのは、俺一人だと聞いたぞ」

「男子の中では、ってオチじゃないかしら?」

 いや、本当は一夏にも分かっている。本当に戦って教官を倒したのは、おそらくセシルだけである。一夏のあれは、倒したうちには入らないだろう。しかし、先ほどまで尊大不遜の態度が崩れたかと思うと正直に真実を話す気にはならなかった。

「そ、そんなはずはないっ! 俺だけのはずだ。本当に貴様は教官を倒したのか?」

「ええ、たぶん」

「たぶんっ!? たぶんとはどういう意味だっ!?」

 教官を倒した唯一の学生というのは、彼のエリート意識を支える重要な柱の一本だったのか、やけにしつこく聞いてくる。しかも、興奮しているのか、無意識のうちに一夏に顔を近づけてくる。これで、彼のように顔立ちが整っている美形でなければひっぱたいているところだ。

「お、落ち着きなさいよ」

「俺は十分落ち着いているっ!!」

 ―――いや、それは嘘でしょう?

 思わず言いそうになったが、もしも、言ってしまえば、さらに彼を興奮させるだけだと思い、黙っておく。しかし、どうやって、彼を落ち着かせよう、と頭を捻っているところで、彼女は外的要因に救われた。すなわち、四時間目の始まりを告げるチャイムだ。ちなみに、四時間目の教師は千冬教官である。さすがの自尊心の塊であるといっても過言ではないセシルでも、千冬は怖かったのか、チャイムが鳴ると同時に自分の席に戻っていく。

 次の休み時間に詳細を聞かせろ、という捨て台詞を残して。

 ―――はぁ、昼休み、どうしようかな?

 まだ、授業も始まったばかりなのに、次の昼休みに頭を悩ます一夏だった。



つづく







あとがき
 思ったよりもセシリアの台詞を男性用に変換するとむかつく事が判明しました。
 後、タイトル募集中。いつまでも『全員性別反転作品』では、格好がつかないので。


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