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No.25868の一覧
[0] 【インフィニット・ストラトス】織斑一夏は誰の嫁?(全員性別反転:ALL TS)[SSA](2011/02/20 22:40)
[1] 第二話[SSA](2011/02/23 00:21)
[2] 第三話[SSA](2011/02/09 00:27)
[3] 第四話[SSA](2011/02/23 00:21)
[4] 第五話[SSA](2011/02/23 22:31)
[5] 第六話[SSA](2011/02/12 01:32)
[6] 第七話[SSA](2011/02/13 20:45)
[7] 第八話[SSA](2011/02/14 01:05)
[8] 第九話[SSA](2011/02/16 01:06)
[9] 第十話[SSA](2011/02/17 21:54)
[10] 第十一話[SSA](2011/02/21 21:18)
[11] 第十二話[SSA](2011/02/25 01:53)
[12] 第十三話[SSA](2011/03/04 23:54)
[13] 第十四話[SSA](2011/03/19 23:37)
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[25868] 第三話
Name: SSA◆ceb5881a ID:29b98ec4 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/09 00:27



 厄介なことになった、と織斑一夏は、一番前の席に座りながら頭を抱えていた。

 理由は、四時間目の開始直後から話題にされているクラス長に一夏の名前が挙がっているからだ。最初に誰が言い出したのか分からない。しかし、誰かの「織斑さんがいいんじゃないか?」という発言から、ワイワイと話題は広がり、一夏で決まったと思ったのか、一夏がまだ名前も覚えていない男子が一夏を推薦してしまった。しかも、クラスの空気的に一夏がクラス長であることは決定事項になりつつあった。

 一夏とて、クラス長が嫌なわけではない。通常の環境であれば、だが。ただでさえ、周りが男子ばかりで気疲れが多いのに、逸れに加えてクラス長という仕事まで抱え込んでしまったら、より大変になることは目に見えている。自分が周りよりも遅れていることをつい先ほどの授業で自覚したばかりだというのに。

「他に自薦、他薦はないか? いないなら無投票当選だぞ」

「ちょ、ちょっと待ってよっ! 本当にわたしでいいの?」

 セシル・オルコットの話ではないが、先ほどの授業で一夏が分からないところを聞いていたのを彼らは知っているはずだ。そんな彼女をクラス長に選んで良いのか。しかも、普通の学校のようにクラスのお世話係のようなクラス長なら百歩譲って承諾することも考えただろう。IS学園で目立っていることに自覚はあるのだから。しかし、クラス長は、強制的に再来週行われるクラス別対抗戦に出なければならないのだ。

 一夏が、彼らに問いかけた理由は、自らの知識不足を自覚している部分もあったからだろう。こんな、わたしがクラス代表になっていいのか? と問いかけたに過ぎない。一夏は、彼らが思いなおしてくれることを期待した。しかし、クラスメイトの男子達の反応はむしろ逆だった。

「う~ん、クラス代表戦だろう? 俺たちもISに乗ったことないから誰が出て同じだろう」
「それなら、やっぱり華があるほういいよなぁ」
「女子がいるのは僕たちのクラスだけだしね。クラスをアピールするなら、織斑さんが出るのが一番だよね」
「そうだよな~、他のクラスの奴らからも頼まれたし」
「お前もかよ」

 ワイワイ、ガヤガヤと話し始める一夏。議論のために一石を投じることには成功していたが、どうやら、その効果は、むしろ逆の方向性で発揮されてしまったようだ。そもそも、彼らもISに関する知識があるとはいえ、ISに乗った事があるはずもない。ISは、今の世で最強の兵器なのだ。そう簡単に乗れるようでは問題がある。ゆえに、彼らもISに乗るのはこの学園が初めてなのだ。

 ―――若干、1名を除いて。

「ちょっと待ったっ! 俺は納得いかないぞっ!!」

 憤りに身を任せたのか、ドンッと机を叩きながら勢いよく立ち上がる男子が一人。一夏は、その金髪と整った顔立ちには見覚えがあった。忘れられるはずもない。あれほど、悪い意味で印象に残る人もいない。たとえ、気品があり、王子様と思うような顔立ちだったとしても、だ。

 そんな一夏の内心を知らず、立ち上がった男子―――セシル・オルコットは自分を見せ付けるように大きく身振り手振りで演説を始めた。

「このような選出が認められるかっ! 大体、女がクラス代表など、いい恥さらしだっ! 俺に、このセシル・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえというのかっ!?」

 一夏のクラス代表が認められないという一夏が望んだ意見だったはずなのに、どこか釈然としないものを感じるのはなぜだろうか。周りの男子も、何言ってるんだ? こいつ、という表情でセシルを見ている。しかし、鈍いのか、あるいは、自分の世界に没頭しているのか、セシルがその視線に気づくことなく、さらに気分が高揚したのか、さらに演説を続ける。

「実力から言えば、このイギリス代表候補生たる俺がクラス代表になるのは自明の理っ! それを、ただ物珍しいからという理由だけで、そんな馬鹿女に任されては、俺まで馬鹿に思われてしまうではないかっ! 俺がわざわざこんな島国まで来たのはIS技術の修練に来たのであって、サーカスをする気は毛頭ないっ!」

 イギリスだって、島国じゃないのか? という不特定多数の心の中のツッコミを無視してセシルは続ける。

「いいかっ! クラス代表とは実力トップが就任するべきであり、そして、それはこのセシル・オルコットを除いて他にいないっ!」

 一夏は、クラス代表に積極的になろうとは思っていなかった。それは、面倒だから、というよりも、本当に自分がなってもいいのか? という疑問があったからだ。確かに、空気的に断わりにくい雰囲気があったが、空気に流されるだけでは後で痛い目を見るというのは、女子の中では日常茶飯事だ。

 だから、セシルが言うクラスの実力者がなるべきだという部分には少なくとも肯定しても良いが、彼の言い方が、態度が一夏には癪に触る。自信満々なのはいい。それは性格だから。しかし、そこまでコケにされて、分かりました、あなたがクラス長です、と快く快諾できるわけもなかった。

 そんな一夏の内心にまったく気づかないセシルは興奮冷めやらぬ―――いや、誰もが自分の意見を肯定していると信じて疑わないというような様子でさらに怒涛の剣幕で言葉を続ける。

「大体、文化としても後進的なこの国で暮らすこと自体、俺にとっては耐え難い苦痛で―――」

 セシルの言葉に、ギリギリを保っていた一夏の堪忍袋の尾が切れた。他人の祖国を悪く言うのは嫌いだ。故郷が嫌いな人間など極僅かだろうから。少なくとも一夏は、自分が育った日本が好きだった。確かに辛いこともたくさんだった。しかし、それでも、織斑一夏は、確かにこの国が好きだと胸を張って言うことができた。だから、自分の国を悪く言うセシルにカチンときても変な話ではない。

「イギリスだって大したことないじゃない。自慢できるのは、世界一おいしくない料理ぐらいかしら?」

「なっ……っ!?」

 気持ちよく演説していたセシルの言葉が停まった。一夏は、趣味がお菓子作りというだけあって、様々な国のお菓子を調べる事がある。だからこそ、イギリスの料理の雑さは知っていた。ただでさえ、日本は、食に関することしか本気を出さないというほど食には自信がある国だ。だからこそ、イギリスの雑さはよほど目に付いた。

「き、貴様はっ! 女のくせに我が祖国を侮辱するのかっ!!」

「最初に侮辱したのはどちらかしらっ!?」

 自分が言ったことも棚に上げて、憤るセシルに一夏も腹が立ち、セシルと同じ立ち居地に立つために椅子から立ち上がる。もっとも、それでもさすがに男のセシルからは、見下されるような形になってしまうが。一夏の身長が153センチであることを考えれば、セシルの身長は175センチぐらいだろうか。

「決闘だっ!!」

 事実を指摘されたのが悔しいのか、あるいは、言い返された事が悔しいのか、自らの憤りを叩きつけるようにバンッと机を叩くセシル。周囲の男子が驚いたようにびくっ! と体を震わせたが、幸いにして一夏からは席が離れていたため、あまり影響はなかった。

 しかし、内心、一夏はこの展開に驚いた。どこをどうやれば、決闘という流れになるのか分からなかったからだ。男子は、揉め事に短絡的な解決方法に持っていくのだろうか? とこんな風に男子と言い争いをした事がない一夏は思った。もっとも、女子のように延々と引きずるよりも幾分かましかもしれないが。

「受けて立つわ」

 おお、というようなクラス全体が揺れる。セシルも一夏が決闘を受けた瞬間に笑った。それが嘲笑の笑みか、あるいは、勝利を確信した笑みなのか。しかし、そうは問屋が許さない。

「でも、まさか、女のわたし相手に殴り合いなんて手段を選んだりしないでしょうね」

 憤っているのはこちらも同じなのだ。相手が決闘というのであれば、受けて立つぐらいの気概はある。しかし、決闘だからといって、殴る蹴るなどの格闘技を持ち込まれては不利―――というよりも、勝ち目がない。それは、男女という性差である。しかも、彼らは将来軍人になるかもしれない人間なのだ。当然、常人よりも鍛えているのは、制服の上からでも分かる。そんなセシルに真正面から挑むような真似ができるわけもなかった。

 しかし、セシルは、決闘といった時点で、一夏が拒否したような条件での決闘を考えていたのか、一夏が決闘を受けた瞬間は、馬鹿な女だ、というような笑みを浮かべていたが、一夏が条件を出すと突然うろたえだした。しかも、周りの空気は一夏の味方が大勢だ。

 偉そうな男と美少女のどちらに味方するか、と聞かれれば、男ならば当然、後者だろう。セシルにもまさか、そんな手段選ばないよな? というような監視するような視線が纏わりついている。

「……当然だろう。もっとも、決闘の内容は、受けた側が決めるものだ」

 おそらく何も思いつかなかったのだろう。決闘の内容を一夏に丸投げするセシル。一夏の位置からは見えないが、おそらく、セシルの背中は冷や汗がたくさん流れていることだろう。もっとも、この流れは一夏が望んだものだ。真正面から挑んでは不利、だからといって、相手に決めさせて相手の土俵に乗るのも不利。だからこそ、こうしてクラスの雰囲気を利用させてもらった。

「そう? じゃあ、わたしが決めるわね」

 う~ん、と少し目を瞑って考える振りをする一夏。実は、どんな内容で勝負するかは既に決まっていた。しかし、すぐに提案したのでは、最初から考えていた事が分かってしまう。それでは不味い。一夏が演出するのはあくまで、尊大な男に決闘を申し込まれ、果敢にも立ち向かう女の子なのだから。決して、騙して自分の土俵にもって行く狡猾な女の子ではないのだ。

「そうね……料理対決はどう?」

 まるで、今思いつきました、といわんばかりに勝負の内容を口にする一夏。しかし、それに納得できないのは、一夏の提案した内容に驚愕という表情のセシルだ。

「なっ! 貴様っ! 卑怯だぞっ! 料理は貴様の得意とするところ。それを決闘に持ってくるなど……」

「決闘の内容をわたしに決めさせたのはあなたよ。そもそも、最初にあなたが怒ったのは、自国の料理が世界おいしくないと馬鹿にされたからでしょうに。なら、この決闘で汚名を返上すればいいわ」

 ぐっ、と苦虫でも噛み潰したような表情をするセシル。一夏がセシルの演説の途中でイギリスについて料理のことを口にしたのは、偶然だが、今はこの偶然に感謝した。ただ、決闘の内容を料理にするよりも、自分が得意だからという理由だけで決闘の内容を選んだわけではないということを印象付けられれば言いのだ。もちろん、自分の得意分野に持ってくる事が目的だったわけだが。

「そうね。決闘の内容は、お互いの料理をこのクラスの皆に食べてもらって審査しましょう。過半数を獲得した方が勝ちよ」

 おぉぉぉっ! と先ほど一夏が決闘を受けたときよりも教室が沸く。むろん、彼らが望んでいるのは一夏の手料理―――というよりも、女の子の手料理というべきだろうか。しかし、一夏にとってはそれで十分だった。決闘に勝つための条件は十分に揃ったのだから。

「どうかしら?」

 もはや勝者の笑みで一夏はセシルに話しかける。セシルも周りの空気が分かっているのだろう。断われば、コロスとでも言うような空気を。これで、セシルは一夏の提案を断わる事ができない。いや、そもそも、自分の仕掛けた決闘で、逃げる事は彼の高すぎるプライドが許さないだろう。

 ―――あっけないわね。

 そう、一夏からしてみれば、実にあっけない幕切れだ。彼らがもしも、女だったら、女の子の世界で生きていけるとは思わない。決闘まではいかないが、似たようなやり取りは日常茶飯事だ。そもそも、相手が女の子ならば、一夏に条件を丸投げするような真似はしない。ギリギリまで条件を突きつけてくるだろう。一夏に丸投げした時点でセシルの負けは決まっているようなものなのだ。

「文句はないようね」

 ぐぎぎぎ、と歯軋りでもしそうな表情で一夏を睨むセシル。しかし、それはただの強がりだ。今の彼の状況は袋小路に追い込まれ、追っ手は、ISによる完全武装とでも言うような状況なのだから。だから、一夏も笑みを崩さないし、セシルも睨みつけることしかできない。しかし、そんな状況が長く続くとは思わない。せめてもの意地なのだろうか。受けるときぐらいは堂々とでも言うつもりなのだろうか。セシルは胸を張り、許諾の言葉を口に―――しようとした瞬間、別の場所から横槍が入った。

「大有りだ。馬鹿者」

 ポコンと一夏の頭を叩かれる。別段痛いものではなかったが、それでも不意打ちに近い状態だ。驚いて、後ろを見てみると。先ほどまで静観していた千冬先生が、一夏の後ろに立っていた。

「ここは、どこだ? ここは、IS学園だぞ。ISのための学園だ。そこで、決闘の内容が、料理? そんなことが許されると思っているのか?」

 それは、暗に言えば、決闘の内容を決められたも同じだった。ぶ~、ぶ~、とブーイングで埋め尽くされる教室だが、それを千冬先生は、一睨みするだけで押さえてしまった。教室全体を一睨みし、静かになった教室を確認すると千冬先生は、コホンと空気を変えるように咳払いし、口を開いた。

「よかろう。織斑一夏、およびセシル・オルコットをクラス長の立候補と認める。また、クラス長の選出方法は、ISによる模擬戦闘とする」

「「っ!?」」

 先ほどの千冬先生の言葉から予想できていたとはいえ、さすがに正式に決められると衝撃を受ける。特に張本人である一夏とセシルからしてみれば、その衝撃は大きい。セシルは地獄から天国、一夏は天国から地獄といった感じだろうか。

「もちろん、オルコット側には制限をかけさせてもらう。シールドエネルギー半減、および兵装の制限だ」

 いいな? という確認を視線で取る千冬先生。

「もちろんでありますっ! 織斑教官っ!」

 先ほどの勝ち目のない地獄から比べれば、それしきのハンデ、セシルからしてみれば、ないに等しいのだろう。返事をする声は、嬉々としていた。

 ISのHPともいえるシールドエネルギーが半分。および、兵装の制限。ハンデとしては妥当なのだろうか。初心者と国家代表候補との力の差というのは、その程度なのだろうか。一夏の頭の中に疑問が浮かぶ。しかしながら、一夏にはその妥当性が分からなかった。なにより、ISを教える千冬を初心者の一夏が妥当な制限になるように説得できるとは思えない。

 だから―――

「織斑もいいな?」

「はい……」

 千冬先生の確認に唯々諾々と頷くことしかできない。

「よろしい。それでは、勝負は一週間後の第三アリーナで行う。織斑、オルコットの両名はそれまでに準備をしておくように」

 ――― 一週間で一体何ができるんだろう?

 そんな風に頭の中で考えながら、一夏は四時間目の千冬先生の授業を聞きながら、頭の中で必死に考えるのだった。




つづく








あとがき
 性別の違いが、ここまでうざさを生むとは想像できただろうか?
 タイトル候補 『ISで乙女ゲー』『IS/TS』『織斑一夏は誰の嫁?』『IS SOT』『Infinite Lithosphere(インフィニット リソスフィア)』
 まだまだ、募集中


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