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No.26248の一覧
[0] 【ネタ】僕らの戦争【オリジナル】[吾輩は猫である](2011/02/27 07:18)
[1] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part1[吾輩は猫である](2011/03/10 16:07)
[2] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part2[吾輩は猫である](2011/03/05 06:14)
[3] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part3[吾輩は猫である](2011/03/05 20:02)
[4] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part4[吾輩は猫である](2011/03/06 03:29)
[5] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part5[吾輩は猫である](2011/03/08 23:10)
[6] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part6[吾輩は猫である](2011/03/10 13:32)
[7] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part7[吾輩は猫である](2011/03/19 19:54)
[9] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part8[吾輩は猫である](2011/03/21 03:24)
[10] 幕間「このメールを送信しますか?」[吾輩は猫である](2011/03/24 01:49)
[11] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part9[吾輩は猫である](2011/03/28 18:19)
[12] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part10[吾輩は猫である](2011/04/01 20:55)
[13] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part11[吾輩は猫である](2011/04/03 23:37)
[14] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part12[吾輩は猫である](2011/04/06 01:03)
[15] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part13[吾輩は猫である](2011/04/09 01:22)
[16] 「俺、この戦いが終わったら結婚するんだ」part14[吾輩は猫である](2011/04/10 00:35)
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[26248] 【ネタ】僕らの戦争【オリジナル】
Name: 吾輩は猫である◆2afb4bfd ID:8e3bdfc3 次を表示する
Date: 2011/02/27 07:18
 これは戦争なのだと誰かが言った。

 参加の是非を問われた気がして、はっと辺りを見回す。

 授業中だったのだろうか、前後の記憶は不明瞭でぼやけているのが常だ……「残った」クラスメイト数人が僕と同じ仕草をしていた。目が合って、微妙に気まずくなる。

 教室は暑くもないし寒くもない。窓から差し込む陽光は、空を覆う分厚い雲に遮られて届いていない。にも拘わらず視界ははっきりしていた。蛍光灯は点いていない。

 異界に放り込まれたのだと理解して、念のために制服の懐をまさぐると、引き寄せられるような感覚がする。間違いない。ここは間もなく戦場になる。

「異界」という名称が正しいのかは分からない。夢の中なのだという説もあるし、無意識下の集合意識が云々……という説もある。

 世界中で同じことが起こってるのか? 何百年と繰り返されているのか? それらは全て謎に包まれている。

 今のところ、はっきりしているのはこれだけだ。

・参加の是非を問われ、非と答えれば、原則として永遠に参加権利を失う。その場合、過去の異界に関する記憶も失われる。

・参加者は、異界において個々人の資質?に応じた武器?を持っている。

・異界に突入して、数秒~数分後に「敵」の軍勢が現れる。

・一定の「耐久力」のようなものが設定されており、痛覚は伴わないものの、敵の攻撃を何度か受けると戦死扱いになり、異界から追放される。

・戦死する、もしくは戦線離脱を強く願った場合も、永続的に参加権利と記憶を失う。ただし、その場合は復帰したケースもあるらしい。

・敵の「王」を倒せば、全員が現実世界に復帰できる。その場合、破壊された建造物等は復元される。

 簡単にまとめると、自由意思で参加するサバイバルゲームのようなもので、勝ってもメリットがない。全滅した場合は……どうなるか分からない。

 参加者のほとんどは子供だ。大人はあまりいない。僕は十四歳の頃から、ずっと参加している。それが僕の仕事だからだ。

 意思を込めてブレザーから手を引き抜くと、玩具と言われても仕方のないチャチな造りの銃器を手に握っていた。これが僕の「ツール」だ。単純に「武器」と呼ぶ人もいるし、「能力」と呼ぶ人もいる。

 銃型のツールを片手に、スカートのポケットからケータイを取り出して、僕は叫ぶ。

「委員長! 僕はカガミのところに行く。何かあったらメールして」

「うん、任せた。今回はたぶん騎士型はいない。増援が来たら一度メールする。それと、何度も言うようだけど……」

「分かってる!」

 さすがに手慣れた様子で必要最小限のことを告げてくる委員長に、僕は勢いよく返事して教室を飛び出した。

 バラバラに動くのも効率が悪いので、参加者はクラス単位で小隊を組んで動くことになる。小隊の隊長格は、たいてい感知型のツールを持っている。

 委員長は、立場上「異世界の侵略者説」には積極的に同意していないけど、「敵」と自分たちが同じ立場にあると考えている。

 すなわち、敵に「王」がいるなら、自分たちにも「王」がいて、僕の警護対象である少年がそうではないのかと心配しているのだ。

 教室を飛び出す直前に、クラスメイトの一人が「旦那によろしく」と言っていたので、廊下を走りながら片腕を振り回して銃をぶっ放す。銃口から放たれた光弾が教室のドアを貫通して、天井に大穴を穿つ。

 誰が旦那だ。戦果を確認して満足気に頷くと、僕はケータイの履歴から目当ての人物のナンバーを呼び出して、通話ボタンを押し込んだ。

 コール音が鳴ること十数回、至極当然のように居留守を決め込まれて、僕は通話を叩き切った。

 こんなこともあろうかと、発信器を仕込んでおいて良かった。本当に大活躍だよ、発信器。ケータイにパスコードを打ち込んで、追跡用のアプリを起動させる。

 ディスプレイに市内のマップが映ったのを確認して、拡大表示するよう操作する。校舎内にいるようだ……。ホイールをぐりぐりと動かして、詳細マップを三次元表示に移行。屋上ですね、分かります……。

 あの男は、授業をサボって屋上でぼんやりと空を眺めていることが多い。趣味なのだろうか……?

 みんなが戦ってるというのに……。

「ったく、あのバカガミ!」

 圧倒的な力があるのに、あいつは戦おうとしない。委員長あたりはそれでいいと考えているようだが、僕は不満だった。悪態を吐いて階段を駆けあがると、果たして屋上には浜辺に打ち上げられたアザラシのように寝転んでいる少年がいた。

「カガミ!」

 両腕を三重の手錠で固定されて、両足を鎖付きの鉄球で拘束されている。哀れな姿だった。

 よく分からないが、「上」から派遣されたカガミは、異界に突入すると同時に「呪い」とやらで自由を束縛される仕組みになっている。正直、下手に動き回られると面倒なので、助かる。

「…………」

 駆けつけた僕を、カガミは無言で見詰めた。死んだ魚のような目をしている。この男は、基本的に無口で無表情だ。ついでに無気力の権化でもある。

 とりあえず無事ならいい。

 僕は屋上の柵から身を乗り出して、眼下のグラウンドを見やる。校庭に展開した大隊の中に、クラスメイトたちの小隊を見つけて手を振ると、こちらに気付いた女子数名が手を振り返してくれた。

 後ろでぐったりしていたカガミが、もぞもぞと身じろぎをした。

(来る……!)

 カガミのツールは感知型ではないのだが、本人の感覚が凄まじく敏感らしい。クラスメイトの中にも、何人かその手の感覚に鋭い者がいる。

 僕が周囲を警戒しながら、じっと虚空を睨み付けていると、やがてガラスの破砕音に似た振動が鼓膜を刺激した。このへんは個人差で、人によっては鈴の鳴る音と表現する者もいる。

 りい、ん

 校庭の上空に、ぼう……と半透明の人型が無数に浮かび上がる。頭部と胴体を中心に、腕部と脚部が一対ずつ。関節部はなく、手足が独立して宙に浮いているように見える。

 あれが、僕らの「敵」……。

 中でも「グレムリン」と呼ばれる小型タイプだ。火力も機動力も最低の部類だが、とにかく数が多いのが特徴である。

 その数、およそ百。まだ増える。二百……三百……

 そして最後に、飛び抜けて巨大な人型が現れる。全長三十メートルは下らないだろう、あれが「王」だ。

 この高校の教師は全て「離脱者」だ、それは珍しいことではない。代わりというわけでもないのだが、校内の全部隊を生徒会長が統括している。学級委員長はその手足だ。

 離脱者には分からない水面下の現実がここにある。

 ゆっくりと下降してくるグレムリンたちに、生徒たちは浮き立つ様子もない。こう言っては何だが、みんな慣れているのだ。負ければ記憶を失う。それは恐怖だが、実際に死んでしまうわけではない。……けど本当に? 内面の事情までは調べようがない。

 負ければどうなるのか……先の見えない戦いが今日も始まる。

 いつの間にか身体を起こしていたカガミが、じぃ……と「王」を見詰めている。大きいなあ、とか他人事のように考えているに違いない。

 間もなく開戦だ。僕は、カガミの頭をぽかりと叩いてから、しゃがみ込んで彼の手を取った。

 前から訊きたかったことだ。

「カガミ。お前は僕たちの王なのか?」

「…………」

 カガミは無言で、僕の瞳を見詰めた。何を言ってるんだろうこの人……という顔がとてつもなくむかつく。怒りに任せてもう一度ぽかりとやると、彼は涙目になって、こそこそと僕から離れた。何なんだ、まったく……。

 ……まあいい。僕はカガミの護衛として、この学校に派遣された軍人だ。カガミが王だろうと何だろうと、職務を全うするのみである。

「そこでじっとしてろ! 動くなよ」

 ぎろりと睨み付けるも、カガミはまるで堪えた様子もなく脱力して空を眺めた。むかつく……!

 やつの腐りきった性根を叩き直してやろうと腕まくりして近付こうとすると、突然目の前に双方向性回線が開いた。これは生徒会長のツールだ。

 空間を四角に切り取った半透明の画面に、閣下のご尊顔が映っている。彼女は言った。

『連崎さん、角島くんと一緒?』

 レンザキというのは僕のことだ。僕に苗字はない。

「はい、会長。カガミは……やつはいつも通りです」

 カガミにも苗字はないし、それ以前に「カガミ」という名前からして偽名くさいのだが、とある家族にご厄介になっているため、今は「角島」の姓を名乗らせてもらっている。

 僕の不機嫌な口調に、会長は苦笑した。

『彼のこと、お願いね。わたしの回線、角島くんには介入できないから』

「はい」

 ケータイよりも遥かに便利で、即時性に優れ、広範に情報を送受信できる会長のツールだが、どうやら念話に近いらしく、カガミのツールとは相性が悪い。というか、たぶんカガミが自分の意思でシャットダウンしてる。

 またむかついてきたので、僕は目の前の会長と建設的な会話をして気分を紛らわそうと試みる。

「会長、やはり今回も?」

『…そうね』

 少し悩んでから、会長は首肯した。彼女は反戦派である。本格的に開戦する前に、必ず停戦交渉を、それが果たされない場合は宣戦布告を行う。

 僕としては、連中が下降してくる前に問答無用で砲火を浴びせた方がいいと思っている。

 会長は、やや音量を上げて言う。カガミにも聞いて欲しいと思っているのかもしれない。

『わたしは、もう六年も同じことを繰り返してる』

 最初に参戦する年齢には個人差がある。平均的に男子より女子の方が早熟とは言われるものの、それを差し引いても十二歳からというのは相当早い部類だ。

『この戦いは勝っても終わらないし、負けても終わるかどうか分からない。だから、どこかで終わらせなくちゃね』

「ですが、話し合いに応じる相手とも思えません」

 具体的に何年前から続いている争いなのかは不明だが、コンタクトを試みようとしてことごとく失敗に終わっているのは確かだ。

 僕がそう言うと、会長は儚く微笑み、

『時間がないの。このまま続いたら、わたしたちは、いつか負ける』

 はっきりと断言した。

 ……自由意思で参加の是非を選べるが、拒否した場合は永続的に参戦できなくなる。長い目で見れば、いずれはそうなるのだろう。

 会長は、他の学校でも同じことが起こっていたことを知っている。そして敗北したことも。

 結果、参戦者の人員が一定の水準に達する間、敵の戦力が「生き残った」学校に集中しているのが現状だ。

 戦況は、年々悪くなっている。市内に戦えるものがいなくなったとき、あるいは全国、世界で同様のことが起こった場合、何かがあるのだろうか……?

 結局のところ、何も分かっていないのだ。敵の正体、異界とは何なのか、ツールとは? その全てが。 

 カガミは知っているのだろうか。ふと思って目をやると、いない。

 少し目を離した隙に脱走しただと……。

「会長、カガミが消えました。僕は、やつを追います」

『あら、そうなの。何だか、ごめんなさいね……』

「いえ、いつものことです」

 あの男が本気で逃げ出したら、誰にも止められない。

 ……発信器も無力化されたようだ。小賢しい真似を……。

 幸い、当たりはついている。

 警護する意味もあるのかどうか疑問だが、とにかく追わねばならない。

「ご武運を」

 そう言って敬礼してから、僕は屋上をあとにした。

 あの忌々しい人形どもが、この戦いについてどう考えているのかは定かではないが、少なくともカガミは「大将首」に値するらしい。

 校舎の窓を破って侵入したグレムリンが、カガミの姿を求めて校内を徘徊している。

 僕は、物陰から物陰へと移動を繰り返しつつ、出力を絞った射撃で淡々と連中を無力化してゆく。

 敵が小型でよかった。僕の中では銃器が刀剣に火力で劣るイメージはないのだが、どういうわけかこの世界では「射程」と「威力」が反比例する傾向にある。

 僕のツールは、使い回しはいい方なのだが、いささか決定力に欠けるのだ。

 敵の先手を打って、一階から侵入してきた人型をあらかた片付け終わると、僕は一年B組の教室に向かう。

 カガミの「妹」のクラスだ。

 戸籍上カガミの妹ということになっている少女。名を、角島スズキという。僕も何かとお世話になっている下宿先の娘さんだ。

 カガミは、いつも彼女が座っている席を、切なそうに見詰めていた。

 会長にも尋ねてみたことがあるのだが、角島スズキには参戦経歴がない。おそらく最初から参加する意思がなかったのだろう。それが普通だ。

「カガミ、またお前……」

 彼が何を考えて、ここに避難するのかは分からない。やつなりに「妹」を大事に思っているのだろうか? そんな殊勝な性格をしているようには思えないのだが……。

「カガミ、角島スズキはいない。女なら、遅くとも十五歳までには徴兵が掛かる。……みんな戦ってるんだ。行くぞ」

「…………」

 そう僕が促しても、カガミは一向に動こうとしない。

 校庭では、グレムリンを一掃した生徒たちが、上空で滞空している敵の親玉に砲火を浴びせ始めている。

 僕は内心で焦りを感じていた。「王」は、特殊な能力を持っているケースが多い。戦死者が出るのは、たいてい「王」と砲火を交える終盤戦だ。

 カガミが参戦すれば一瞬で片が付くが、この男にそれを期待すること自体が間違っている。

 僕も砲撃に加わろう。教室の窓から身を乗り出して、出力を最大に設定した光弾を放射する。僕のツールは「連射性能」と「火力」が反比例するタイプなので、威力と射程を伸ばすと連射が利かないのが難点だ。

 手下が全滅したのを察したのか、「王」がゆっくりと下降してくる。砲撃をものともしていない……。その肩?と言っていいのかどうか、胴体上部の突起に「人影」が立っているのを見て、僕はびびった。

「なにぃっ!?」

 とっさに振り返ると、カガミの姿が忽然と消失していた。

 僕は慌てて叫んだ。

「待って! カガミが乗ってる!」

 僕より逸早く発見したらしく、会長の下達で砲撃がぴたりと止んだ。

「何してんだ、あのばか!」

 僕は窓枠を飛び越えて、グラウンドに駆け出す。

 ……まあ、さして珍しいことではない。カガミが、余人には計り知れないタイミングで参戦するのは……参戦すること自体が稀なのだが……ままあることだ。

 だけど、分かってほしい。僕の仕事は、やつの護衛なのだ。

「王」が、胴体と独立した頭部を回し、中央の目らしき部分をぴかりと発光させる。カガミは、無言で「王」の目を見上げている。

 ……次の瞬間。「王」の胴体を、巨大な「腕」が貫いていた。

 突如として虚空に浮かび上がった巨体が、もう片方の腕で「王」の腕をひねり上げていた。

「王」の腕から火花が散る。

 人型と似て非なる巨人が、牙を剥き出しにして吠えた。

 抵抗しようとして振り上げた「王」の無傷の腕が、不可視の力によりねじ曲がる。

 桁が違う……。

 圧倒的な膂力を誇る巨人……あれがカガミのツールだ。普段はカガミの影に潜んでいるらしく、自由自在に空間を渡ることができる。

「王」の肩に立っているカガミは、両雄の争いにまったく無関心だった。最初に「王」と目を合わせて以来、興味を失ったかのように住宅街の方を見詰めている。

 徹底的に破壊された「王」は、人型の末路と同様、宙に溶けて消える。足場を失って落下するカガミを、巨人が指で摘まんで自分の肩に乗せる。

 かくして「王」を撃退したカガミだが、拍手喝采とは行かなかった。あの巨人の圧倒的な力を目の当たりにすると、たいていの人間はこう思うのだ。

 ……いや、初めから自分でやればいいじゃん、と。もちろん僕も例外ではない。

 以上が、今回の戦いの顛末である。

 ちなみに、現実世界に復帰したあと僕はカガミに参戦した理由を尋ねてみたのだが、やつは首を傾げただけで一切何も言わなかった。角島スズキの言葉を借りれば、こうだ。

「何か言え」

 翌日、忙しい母に代わって家事を担当している角島スズキが、「兄」ということになっているカガミに言い放った言葉である。

 こんがり焼けたトーストと目玉焼きを前に、しずしずと手を合わせたカガミは、無言で味噌汁をすするのであった。

 いたたまれなくなった僕は、迎合の意味を込めて相槌を打つ。

「……スズキ嬢は、良き妻になれるな」

 学生服の上にエプロンを羽織った角島スズキが、両手を腰に当てて僕を睨み付けた。角島家の人間は、代々色素が薄いとか。染めてもいないのに鳶色の髪が、朝日に透けて輝いて見えた。

 彼女は「不機嫌です」と言わんばかりに眉を跳ね上げて、

「連崎! あんたも女の子なんだから、ちょっとは手伝ったらどうなの!」

「僕の任務について君は知る権利がないが……少なくともカガミの健康状態に関しては及ぶところではない、とだけ言っておく」

「何なのこいつら!」

 彼女は、ヒステリックに叫んだ。守るものがあるというのは、良いことだ。僕はそう思って、少し笑った。

「…………」

 怒鳴る妹を尻目に、カガミは無言でもそもそとトーストをかじっている。


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