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No.26265の一覧
[0] 東方終年記(東方Project×終わりのクロニクル)[may](2011/04/06 04:33)
[1] 序章「異世界への招き手」[may](2011/04/06 04:00)
[2] 始章「幻想への誘い手」[may](2011/04/06 04:31)
[3] 第一章「草原の迷い人」[may](2011/04/06 04:59)
[4] 第二章「蒼天の断迷者」[may](2011/04/06 05:40)
[5] 第三章「冥府の鎌操者」[may](2011/04/07 03:26)
[6] 第四章「冥界屋敷の当主」[may](2011/04/07 03:40)
[7] 第五章「炬燵部屋の雪見人」[may](2011/04/07 03:52)
[8] 第六章「妖々夢の花見人」[may](2011/04/07 04:07)
[9] 第七章「通り雨の散歩者」[may](2011/04/07 04:27)
[10] 第八章「竹林の案内人」[may](2011/03/09 23:54)
[11] 第九章「迷宮の開拓者」[may](2011/03/09 23:54)
[12] 第十章「熱風の激昂者」[may](2011/03/09 23:55)
[13] 第十一章「月光の射手」[may](2011/03/10 01:18)
[14] 第十二章「炎翼の再生者」[may](2011/03/11 08:01)
[15] 第十三章「慧涙の理解者」[may](2011/03/11 08:21)
[16] 第十四章「風炎の理解者」[may](2011/03/20 14:18)
[17] 第十五章「馬乗りの説法者」[may](2011/04/08 04:54)
[18] 第十六章「幻月の出題者」[may](2011/03/24 13:23)
[19] 第十七章「永夜抄の詩詠み人」[may](2011/03/24 00:50)
[20] 第十八章「街道の情報屋」[may](2011/03/30 03:37)
[21] 第十九章「花畑の管理人」[may](2011/03/30 05:53)
[22] 第二十章「花罠の仕掛人」[may](2011/04/03 11:29)
[23] 第二十一章「弾幕の修得者」[may](2011/04/05 01:18)
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[26265] 第二十章「花罠の仕掛人」
Name: may◆8184c12d ID:fb444860 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/03 11:29
 紫と文と、周囲の花々が見守る中、佐山と幽香は無言で視線を合わせ、対峙する。

 佐山は無言の中に、いくらかの戸惑いを見せながら。
 幽香は無言の中に、不敵な笑みを魅せながら。

「どうしたのかしら? ……呼ばれたから、出てきてあげたのだけれど」
「……まずは私の前に姿を現していただけた事について、礼を言おう」

 笑みの分だけ余裕を得ていた幽香が生まれた静寂を壊し、小首をかしげて佐山に聞いた。
 聞かれた佐山は自身に生まれた戸惑いを脇に置き、幽香に会釈を送る。

 だが、幽香はそんな佐山の態度を見るやいなや、クスクスと声に出して笑いを作り、

「この子、貴方のお知り合い? 可愛くて賢い子ね」

 佐山の持つ疑惑の当事者でもある、幽香の腕に抱えられて収まる草の獣の頭を撫でる。

「……色々と聞きたい事があるが、なぜ君が草の獣と行動を共にしているのかね?」
「私の名前は風見幽香。……一度で覚えなさいな。殺すわよ?」

 言葉の後半部に隠さぬ殺意を込めて、幽香は佐山を睨んだ。

「失礼した。……風見君でよろしいかな?」
「はい、よろしい」

 佐山が名前を呼ぶと幽香はまた元のにこにこ顔に戻り、持っていた傘の柄をくるくると回す。
 その動きに追従して周囲にやわらかな風が通り、花の匂いを伴った柔らかな空気が一帯を包み込む。

『いいにおい。いいかんじ』 

 その穏やかな匂いに、草の獣は落ち着いた面持ちで幽香の胸に顔を埋め、



(……隠し通す気をまるで持たない、明確な好意と殺意を瞬時に切り替えてくるな。
 気分屋……対象の存在意義を自分にとっての価値観のみで判断している、のか?)



 佐山は緊張を解かず、目の前の妖怪、風見幽香の危険性を心中で改めた。

 幽香の思考を『周囲の事象に対し『自分にとってどうであるか』が判断の全て』とする仮説を立てた佐山は、
 新庄の下へと続く扉の管理人を紫から幽香へとシフトした事について、

「正解ではあったが……いささか、攻略の難易度が跳ね上がったようではあるね」
「あら、何のお話?」
「こちらの話だ。……無論、風見君にも大いに関係のある話でもある」

 そう口に出し、幽香の興味を引いた。

「改めて礼を……私の前へと降り立っていただき感謝する、花畑の管理人よ」
「意味も無く花畑を踏み荒らす侵入者は種別問わず挽き潰して肥料にするのだけれど……貴方は、どうなのかしら?」
「……私の名前は佐山・御言。全竜交渉を受け継いだLOW-Gの交渉役だ」

 佐山は自らの役割を名乗り、それを聞く幽香の反応を待つ。が、

「知ってるわ。幻想郷を救う為にやってきたのでしょう? そして貴方は今、目指すべき場所へ行く手段を捜し求めている」
「……やはり姿は現さずとも、私の事を観察していたのだな」
「この子と一緒に楽しく見せて貰ったわ。……紫のスキマに入っちゃえば良かったのに」

 幽香はそう言って傘を閉じてその先を地に突き立ててその手を離し、身体を一歩、前に出した。
 右足が地を踏み抜く瞬間、そこに咲いていた花達は己の茎を自ら折って花弁を倒し、幽香の足裏が乗るスペースを作る。
 対して、右足が離れた地面で身を伏せていた花はその行為の逆再生をゆっくりと行い、離れていった幽香を惜しむようにして後ろから見つめていた。

「……仮に私が八雲君の道を選んでいたとしたら、どうしていたかね?」
「別にどうもしないわ。ただ、貴方と私が出会う機会が永遠に訪れなかっただけ……。それは嬉しい事かしら? それとも悲しい事かしら?」
『かざみ あったかい かざみ いいにおい さやまも うれしい』
「あら有難う。でも他人行儀は良くないわ。私の名前は風見幽香よ?」
『……かざみ? かざみ あってる でも かざみ ちがう?』
「ゆ・う・か」
『……ゆうか!! かざみ ゆうか!!』
「Tes. 良い子ね」
 
 我が子のように草の獣と会話する幽香を見ながら、佐山は咳払いを一つ挟み、


「で、だ。幽香」
「ブチ殺されたいのかしら」
「……なかなかままならないものだね、風見君」

 
 微笑みながら言う幽香の言に率いられるかのようにして、足元の花々がその花弁で威嚇するかの如く佐山の革靴を乱打する。
 
「私はこの出会いに感謝しているよ。私の進むべき道が開けると同時に……友人との再会も果たせたのだから」
『さやま』
「元気そうでなによりだね。4th-Gの担い手よ」

 佐山は草の獣と視線を合わせ、片手を上げて会釈を送った。
 草の獣もその六足の一本を上げて佐山に振り、自分の存在を教えてきた。

「風見君が保護していてくれたのかね?」
「森で妖精に突っつかれていたから助けてあげたのよ」
『さむかったの』

 身体を震わせる草の獣を幽香は宥め、

「そしたら懐かれちゃって。それから一緒にお散歩してたのよ……ね?」
『ゆうか いいひと おはなし いっぱい はなした おはなし いっぱい きいた』
「ふふ。あったかいのね、この子」


 4th-Gの住人である草の獣は、周囲の生物が発する余剰加熱を吸い取る事を能力とする生物であった。
 他者の疲労を吸収して酸素として吐き出すその能力は、数ある世界の持つ力の中でも稀有な『癒し』の力を司っていた。


「とっても身体が軽かったから、ついつい遠くまで出掛けちゃったわ。おかげで日が暮れちゃったけれど」
「草の獣にとっても、Ex-Gを知る良い機会となっただろう。……後で私にも聞かせて欲しいものだね」
『さやま しりたい? なにを? おはなし おはなし!!』
「そうだね……差しあたって、なのだが」

 佐山はそこで言葉を切り、



「君が私の知らぬ間に行動を共にした風見幽香は、君が信頼するに足る人物だったかね?」



 幽香を見据えて、草の獣に問うた。

---

『ゆうか?』
「そう。君が思う風見君に対しての話を、私に聞かせてはくれないだろうか」

 佐山は聞く。答えるのは、

「……私の事が知りたいのなら、私に直接聞くべきじゃないのかしら?」

 幽香だ。
 だが佐山は笑いながら、

「もちろん風見君も交えての話だよこれは。嘆願するのは私で、是非を決めるのが君だ。
 私より君をよく知る私の友人と、その話を聞いて私の双方が君との信頼を確かな物にしたのならば……私は聞こう。

 私を、新庄君の待つ彼岸花の下へと運んでくれ、とね」
「貴方とこの子が私を信頼するのは勝手。……だったら、私が貴方を信頼するのも殺すのも勝手、よねぇ?」
「その通りだとも。私を信頼してくれるのならば道をつけてくれればいい。
 そうでなければ持てる力を奮ってきたまえ。拳を通じて分かり合う事もあるからね」

 佐山は己と幽香、そして草の獣の三者の間で交渉の場を作り上げた。

 佐山と幽香の間に接点を作る鍵となるのは、両者の間に繋がりを持つ草の獣であると佐山は考え、

「Ex-Gに赴き風見君と出会って、何か思う事はあったかね?」
『おもうこと?』
「君は今、どんな感じかね?」
『いいかんじ』
「具体的には?」

 草の獣は佐山を見、幽香を見、もう一度佐山を見て、



『ふかふか』

 
 
 幽香の腕に抱えられながら、その顔を胸の間に埋められている己の感情を、そのまま佐山に告げた。

「ありゃー……これはまた、珍しいもの撮れちゃいましたねぇ」

 佐山の後ろでは、紫が笑いを堪えながら肩を震わせており、
 いつの間にか手巻き式のカメラを手にした文が、せかせかとフィルムを回しながら呟いていた。

 文が珍しいと表現した幽香の表情は笑顔のままぎしりと凍らせているが、ほのかに頬が紅い。

「…………いや、そう言う事ではなくてだね」
『ちがう? ふかふか なのに ふかふかじゃ ないの? あったかくてふかふか? あってる?』
「わかった、質問の仕方を変えよう。……すまないね風見君。何分、意思の疎通が難しい種族なのだよ」

 幽香の顔から上がる上気を吸収した草の獣が、気持ち良さそうに身体を震わせる。
 握り拳を作って張り付いた笑顔のままこちらを見ている幽香に佐山は謝罪をし、聞き方を変えた。

「風見君に対して『いいかんじ』と取った理由は、今の事以外に何があったかね?」
『ゆうか 助けてくれた ゆうか いいひと』

 妖精を追い払った一件に対してだろうと、佐山は思う。

「他には?」
『ゆうか おはなし してくれた』
「何の話だったのかね」
『きしつ のうりょく すぺるかーど おやしき やま ふね じしん たいよう そら まほう』

 単語の羅列が続く草の獣の話を聞き、佐山は怪訝な顔をする。
 幽香は草の獣の言葉を黙って聞きながら、佐山を見据えてうっすらと笑みを浮かべていた。

『それと』
「それと?」

『さいばん』

 草の獣の最後の単語を聞き入れ、佐山は幽香を見る。

「……やはり風見君、君は……」
「百聞は一見にしかず。天狗の新聞よりは正確な情報をお届けするわよ?」

 笑う幽香に佐山は嘆息し、草の獣との会話を続けた。

「後は何か、あったかね?」

 問う佐山に、草の獣は頭上を見上げて幽香の顔を伺った。
 幽香は口元に人差し指を立たせるジェスチャーで返すと、

『やくそく いえない けど ゆうか やくそくした』
「約束?」
『やくそくだから いえない けど ゆうか いいひと』

 佐山はふむ と頷きながら考える。
 
(草の獣は風見幽香と何らかの約束を交わし、信頼を得た、か。
 その約束は果たされたのか……それとも、これから果たすものか……)

「私がこの子に思う所は今更言わなくてもいいかしら?
 4th-Gの事も、貴方の世界の事も、貴方自身の事も……色々聞かせてもらったわ」
「草の獣が話した事は、嘘偽りの無い真実である事と同義だ。今更確認しなくても疑いはせんよ。
 
 ……今、確認すべき事は……君達二人は、お互いの事をどう思っているのかね?」

 佐山は二人に対して聞き、

『ともだち』

 幽香と草の獣は、同時に答えた。

 佐山はその言葉を聞いて満足気に頷き、

「ならば私が異議を唱える事は何も無い。君達の間に友情と言う名の信頼が芽生えた事を祝福させてもらおう」
「あら、ありがとう」
『ともだち!! ゆうか ともだち!!』

 喜び、笑いあう幽香達を見て、佐山は一度間を置き、



「……では次に、私と風見君との交渉を始めようか」

 

---

「単刀直入に聞こう。君は私の事をどう思っているかね?」
「常識と思慮と言動と倫理を脱ぎ捨てた裸の王様って所かしら」

 佐山が聞き、幽香が答える。
 一切の思考時間無く答えたその言葉が『おはなし』の中から導き出されたものだと佐山は直感で感じ取る。

「…………草の獣は、私と言う人物を何か誤解しているようだ」
「この子の言う事は、嘘偽りの無い真実なんでしょう?」
「馬鹿には見えない服なのだよ。大方、出雲辺りが風呂で吹聴したのだろう。草の獣共々、忘れてくれたまえ」

 平然と言い切る佐山に幽香は呆れ顔で微笑みつつも、

「まぁでも、なかなか楽しい英雄譚だったわ。その行動力を霊夢に分けてあげたいくらい」
「草の獣から私の話を聞いたのならば、新庄と言う名がいくらか出てきただろう?」
「いくらか? ……貴方の名前と同じくらい出てきたわよ。耳にタコが出来ちゃったわ」

「その新庄君は、私の大切な人だ。
 そして今、新庄君が私と君と、草の獣の助けを必要としている」

 だがそこは、私の行動力をもってしても辿り着けない、高い壁に覆われた場所であると知った。
 しかしそれは……風見君、君の協力があれば打ち崩せる壁だ」

 佐山は己の胸に拳を当て、



「風見幽香……4th-Gとの理解を得た、世界の意思に通じる者よ。
 どうかこのこの私を、導いて欲しい」



 視線と態度に一切の妥協無く己の気持ちを込め、幽香に願った。

「……どうしよっか?」

 幽香は佐山の言葉を聞き、ややあって草の獣に問いかける。
 草の獣は己の六肢をばたばたと振りながら、

『さやま しんじょう ゆうか みんなともだち
 しんじょう こまる さやまも こまる だから ゆうかも こまる』

 自分の、草の獣と言う存在が持つ思考を全身を使って幽香に伝達する。

『さやまとしんじょう やくそく まもった ゆうかも やくそく まもって』 

 草の獣は幽香を見、佐山を見、もう一度幽香を見て、



『さやまを たすけて』

「……そうね。約束、したものね」



 幽香が優しく微笑み、草の獣を抱きなおして姿勢を正し、佐山に一礼をする。

「私が、彼岸への道をつけましょう」
「――感謝する」

 佐山が同じく一礼をもって返答としようとした、その時、



「……ただし」

 

 幽香がそう付け加え、優しい微笑から含みの持つ笑みへと表情を戻した。

「これから行く所は幻想郷であって幻想郷では無い場所。
 今までや今みたいに……交渉だけでどうこう出来る程甘い場所ではありません」

(……なんだ?)

 幽香が言葉を作るにつれて、次第に辺りを包む雰囲気がその形を変えていく。
 足元の花々がざわめき、身を震わせて、草木という自然が作る鳴動が佐山達を囲む。

「無駄死には御免ですし、足手纏いのお守りなんてしたくない。
 ……だから彼岸へ行く前にちょっと予行練習を兼ねて……私に貴方の力を見せてみなさい」
「……なんの、練習かね?」

 徐々に高まる幽香から生まれた重圧が、佐山を中心にして空から圧し掛かるように降り注ぐ。
 
「これから行くのは彼岸花の咲き乱れる三途の彼岸。
 
 なら、練習メニューなんて決まってるじゃない」



――それは比喩表現では無く、



「ちょっと、死ぬ気で避けてみなさい」



 風を生みながら文字通り宙に浮いた幽香は、佐山の頭上から言葉を投げかけた。

「――文!!」
「ええっ、私もですかぁ!?」

 佐山が何事かと身を構えていると、背後で一部始終をただ見ていた紫と文が佐山の下へと駆け寄りながら叫んだ。

「……そうね。最初だし、貴方達が教えてあげなさい」
「風見幽香、勝手な真似を……!!」

 幽香と紫が睨み合いながら、ゆっくりと場所を移していく。
 同じく身体を宙へと浮かせた紫と幽香が動きを止めたのは、先程幽香が地に突き立てた傘を中心とした花畑の空間だった。

「射命丸君、これは一体……」
「話は後で、やりながら説明します。……いいですか? 痛い目見たくなければ、さっさとコツを掴んでくださいね」

 文はそう言って持っていたカメラを懐にしまうと、代わりにその両手に二つの物を取り出した。
 
 一つは、佐山のよく知る天狗が戯画の中で持つような、鳥の羽で作られた大き目の扇。
 


――もう一つは、



「風符『天狗報即日限』!!」



 文の宣言と同時に手に持ったスペルカードが光を放ち、その力を発揮した。
 光が一度四散すると、向けられた対象である佐山の爪先から脚部全体を包むようにして飛んだ光が再び集まる。
 そして光が収まると、代わりに佐山の足を包んだものは、

「……風?」
「それで一時的にですが空を飛べるはずです。
 私がついていますけど、姿勢制御を第一に考えて……なるべく自分で避けてください」
「避けるだと……?」
「来ますよ!!」

 文と紫が緊迫した表情で見つめる先は、手に持った傘の先端を向け不敵に微笑む幽香の姿。
 その片腕に守られるようにして抱きかかえられた草の獣が、幽香を心配そうに見つめ、

『らんぼう だめ ゆうか さやま ともだち』
「ふふ、違う違う。ほら、さっき貴方にお話したでしょう?」
『……?』



「スペルカードを使って行う『お遊び』って、なーんだ?」

 

 幽香が意地悪く舌を出しながら、草の獣に聞く。
 
 同時に幽香の身体の周囲に色とりどりの花弁が壁のように列を成し、虹色の光を纏う傘の先端の動きに追従する。
 草の獣は幽香の胸に手を乗せてしばらく考え、

 やがて嬉々とした声で、自ら辿り着いた答えをその場にいる全員に公表した。




『――だんまく!!』

「――正解!!」



 幽香は高らかに叫び水平に構えていた傘の柄をいじり、その傘羽を佐山達に向け一気に開く。

 

 直後、澄んだ音を立てて開いた傘の勢いに押されるようにして花々が舞い、

 

 虹色の光を纏う花弁の形をした『弾』が、横殴りの豪雨のようにして佐山達に襲い掛かった。





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