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No.26376の一覧
[0] けいおん モブSS[名無し](2011/05/27 23:56)
[1] けいおん モブSS (2)[名無し](2011/05/27 23:44)
[2] けいおん モブSS (3)[名無し](2011/05/27 23:45)
[3] けいおん モブSS (4)[名無し](2011/05/27 23:45)
[4] けいおん モブSS (5)[名無し](2011/05/27 23:46)
[5] けいおん モブSS (6)[名無し](2011/06/13 23:30)
[7] けいおん モブSS (7)[名無し](2011/05/27 23:47)
[8] けいおん モブSS (8)[名無し](2011/05/27 23:47)
[9] けいおん モブSS (9)[名無し](2011/05/27 23:54)
[10] けいおん モブSS (10)[名無し](2011/05/30 23:18)
[11] けいおん モブSS (11)[名無し](2011/06/12 16:34)
[12] けいおん モブSS (12)[名無し](2011/06/12 15:43)
[13] けいおん モブSS (13)[名無し](2011/09/17 00:49)
[14] けいおん モブSS (14)[名無し](2012/02/24 04:27)
[15] けいおん モブSS (15)[名無し](2012/02/24 04:27)
[16] けいおん モブSS (16)[名無し](2012/02/24 04:27)
[17] けいおん モブSS (17)[名無し](2012/02/24 04:28)
[18] けいおん モブSS (18)[名無し](2012/02/24 04:42)
[19] けいおん モブSS (19)[名無し](2012/04/10 01:58)
[20] けいおん モブSS (21)[名無し](2012/05/11 22:54)
[21] けいおん モブSS (22)[名無し](2012/05/13 21:19)
[22] けいおん モブSS (23)[名無し](2012/08/03 00:32)
[23] けいおん モブSS (24)[名無し](2013/03/18 00:55)
[24] けいおん モブSS (25)[名無し](2018/02/11 22:48)
[25] けいおん モブSS (26)[名無し](2018/02/12 01:43)
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[26376] けいおん モブSS (2)
Name: 名無し◆432fae0f ID:12503c65 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/05/27 23:44
(2)




信じている。
あのときの私たちは、日本中で。
ううん、きっと世界中でだって。
一番楽しくて、かがやいていたんだって。
そう、今でも信じている――-。






ついてるのは私だけじゃない。

「姫子ちゃん、それって―-」

どういう意――

「しずかぁっ」
「わぁっ」

姫子ちゃんに手を引かれて入った3年2組の教室。
普段から落ち着いている彼女が発した言葉。
ちょっと弾んでいるような、浮かれているのを抑えているような。
そんなふうに滲み出ていた喜色に興味を引かれた私がその理由を尋ねようとした、その矢先。
横手からそれこそ体当たりのように飛び込んできた人物に頭からすっぽり抱きしめられた。

この声は――、

「え、エリちゃんっ?」
「大丈夫っ?姫子にわるいこと、されなかったっ?」
「え?え?」
「おーよしよしっ。こわかったねー、あぶなかったねーっ。でも、もう大乗仏教お釈迦様、だよっ」

とりゃぁっという雄雄しい掛け声とともに、抱きすくめられたまま横に振り回される小柄な私。
勢い、姫子ちゃんとつないだ手が離れる。
するとエリちゃんは戦隊ヒーローもののレッド役の人が悪者を糾弾するかのごとく、

びしぃっ
と姫子ちゃんに指を突きつけると、

「あたしのかわいいしずかにっ。これ以上手出しはさせんぞっ」
「いや、あたしのって」
「このおっぱい如来めぇっ」

・・・エリちゃんって、本当に仏像が好きなんだなぁ。

「はい朝からおっぱいネタ、禁止」
「あだっ」
「あら。おはよ、アカネ」
「おはよー。姫子も朝から大変だね」
「そっくりそのまま返すよ。お勤めご苦労様です、瀧さんの保護者さん」
「いえいえこちらこそご丁寧に」
「だれが保護者かっ」
「・・・うるさい」
「って、いちごっ。あたしたちのしずか明王がピンチなのにどうしてあんたはそんなに冷めていられんのっ」
「別に。私は関係ないし」
「ぬなっ」
「いちご、久しぶりだね」
「うん」
「おはよーいちご。ゆっても私たちは昨日ぶりだけどね」
「うん」
「あら、バトバレって昨日練習だったの?」
「午前練だけだったけどね・・・っていうか、バドバレって久々に聞いたよ」
「そう?桜高じゃぁ共通語のひとつじゃない。英語と一緒よ」
「や、そこまでグローバルじゃないでしょ・・・」
「不愉快」
「せめてバレバドならねー」
「・・・後先の問題じゃない」

エリちゃんに抱きとめられたままの私の頭上で交わされているやりとり。
確か、うちのバレー部とバトン部は伝統的に仲が悪い、んだっけ・・・?

ぼんやり聞き入っていた私が上げた視線は、

「あ」
「・・・おはよ、しずか」
「う、うんっ。おはよういちごちゃんっ」

このお姫様みたいにかわいい女の子は、若王子いちごちゃん。
誰が見ても口をついて出るのはかわいいの一言で、私もいちごちゃんみたいになりたいなあって、ひそかに憧れていたりもします。

あの巻き毛、どうやってセットしてるのかなあ。

「ひさしぶり」
「うん。部室のお掃除以来だよね、元気だった?」
「私はね。あの時は助かった」

口下手な私との会話はいつもつっけんどんで、無表情を地でゆく彼女ですが、

「ありがとうございました。また、よろしく」

こんなふうにちょっと他人行儀に聞こえるかもしれないけれど。
ちょっと誤解されやすいかもしれないけれど。
正義感が強くて、実は恥ずかしがりやさんな一面があることを。
私は彼女と過ごしたこれまでの2年間でたくさん知ることができていました。

「・・・暑くない」
「え?あ、ううん?エリちゃんはあったかい、って感じかなぁ」
「厚くない」
「え?」
「こらーっ、そこっ。いま、いま言ってはいけないことを言ったよっ?言いましたよねっ?」
「だって、ほんとのことなんだから、別にいいんじゃない?」
「ぬなーっ?修羅よっ、あんたは阿修羅よっ」
「・・・まないた」
「むきーっ」

あんたコーラ飲ますよっ、コーラっー――---
どたどたばたた――---

行っちゃった・・・。

「しずか、おはよー」
「アカネちゃん。おはよー」
「朝からおもちゃ、だね」
「あはは。いつものことだし。私は楽しいから」
「しずかは懐が大きいよね。いつもうちの瀧がすいません」
「いえいえこちらこそご丁寧に」

お馴染みのやり取りで思わず笑いあってしまう。

すらりと高い長身のこの女の子は、佐藤アカネちゃん。
桜高バレー部の主将で、普段はおとなしいけれど練習のときはちょっぴり厳しい。
そんな風にしっかりしていて、まじめそうに見える彼女ですが、

「どれどれ、父さんは無事かね?」
「もう、やめてよー」

わしゃわしゃと私の頭がかきまぜられる。
私の髪型があのゲゲゲの主人公に似ていることから、よくこうやってからかわれます。
でも、嫌じゃない。
こうやってお話してくれるアカネちゃんに、私はいつもとっても感謝してるんだよ?
そして、服の上からじゃわからない、その抜群のスタイルも、これまたひそかな憧れです・・・。

・・・同じ、高校生なのに・・・。
どうしてこんなに違うんだろう・・・。

尽きない疑問はさておいて。
スタイルとか、この手の話題になるとゆでだこ状態になるアカネちゃんも、いちごちゃんと同じくらいにかわいいのです。

そして、教卓の前でいちごちゃんとどちらがコーラの一気飲みができるのかを議論?
している女の子が、瀧エリちゃん。
アカネちゃんと同じバレー部に所属していて、いつも元気いっぱいの明るい女の子。
アカネちゃんとは小学校からの付合いで、いわゆる腐れ縁だったと、いつだったかに聞いたことがある。

「まあ、今年はエリも同じクラスだし・・・やっぱり、私が面倒見ないとね」
「ほんとにそうだよ?アカネがいなかったら、エリはただの仏像マニアの問題児なんだからね」
「姫子ちゃん、言い過ぎ言い過ぎ」

そうなのだ。
小学校から高校1年生まで常に同じクラスだったエリちゃんとアカネちゃんは、高校2年生のクラス替えで別々のクラスになってしまったのだ。
しかも、1年生で一緒だった私や姫子ちゃんとも離れ離れになってしまい・・・。
肩を落として落胆していたエリちゃんの表情は、今でも胸が締め付けられます。

「・・・でも」
「うん?」
「しずか?」

でも、と思うのだ。

「こうやってまたみんなと一緒になれて、私、うれしい」
「・・・ふふ、そうだね」
「うん。しずか明王癒されるね」
「もう、アカネちゃんっ」
「ごめんごめん」
「でもねしずか。今日のあたしたちのツキは、まだまだこんなもんじゃぁないんだよ?」
「・・・どういうこと?」
「おおっ。キャプテン姫子、さてをあれを出す気ですなぁ?」
「これが出さずにいられるかっ、って、キャプテンはつけなくていいでしょ」

そんな掛け合いの後、窓側に向かって手を振る姫子ちゃん。

「よっしー」
「え、よしみちゃんもっ?」
「うん、同じクラスだよ」
「わーっ?ほんとに?すごいね、ほんとについてるね私たちっ」
「ねー。これで宿題とかテストとかの心配事が減るもんねー」
「そ、そうだね・・・」

よっしーこと、砂原よしみちゃん。
桜高建学以来の才媛としてその名を校内に轟かす天才少女。
勉学だけでなく、運動もそつなくこなす彼女は家庭部という部活動に所属し、手芸と呼ばれる部門では入学以来、連続で全国高文祭金賞を受賞している。
平凡な私とは対極に位置する、まさにすーぱーではいぱーでぱーふぇくとな女の子。

「おはよふたりとも。しずかは終業式以来だね」
「うん。ひさしぶり、よしみちゃん」
「あれ?今度は何の本読んでるの?さっきおはよーしたときはブックカバーが違う気がするけど」
「さすがバレー部主将。目の付け所が違うよね。姫なんてソフト部のキャプテンのくせにそのへん鈍感だから」
「別にいいでしょ。ブックカバーで読んでた本を見分ける、なんて、ソフトの試合にはいらない技術だし」
「そんなんだからこの前の試合でエラーしちゃうんだよ」
「ちょ、なんで知ってるのっ」
「見に行ってたからね」
「へー。姫子にしてはめずらしいっていうか、想像できないね」
「姫のやつ、最終回で相方のサインを変に勘違いして、しなくてもいい牽制をしちゃったの。そしたら」
「・・・ランナーのいるはずの無い一塁へ送球、しかも大暴投。慌てて捕りに行ってる間に最後のランナーが生還して」
「2点リードだったところを憐れさよなら負け。めでたしめでたし」
「めでたくないでしょっ」
「・・・どんまい、姫子」
「・・・ありがと、アカネ。でも、どうしてかなあ。本番になって追い詰められるとつい緊張しちゃうんだよね」
「・・・姫子ちゃんでもそんなこと、あるんだね」
「あはは。それはもう、女の子ですから」
「そうだよしずか。姫はこれでも恋に恋する女の――」
「ちょ、よっしーっ。なにあること無いことゆってるのっ」
「あれ?無かったっけ」
「ないでしょっ」
「よっしーにかかれば姫子お姉さんも形無しだね」
「あ、あはは・・・」

よしみちゃんとお話している姫子ちゃんは時々子供っぽいところを見せてくれるので、なんだか新鮮です。
よしみちゃんも天才肌の割りにさばさばしていて、そしてとっても友達思い。

「ほんとに夢みたい」
「みんな一緒のクラスになれたこと?」
「うん」
「あーあ。見てご覧よっしー。これが純情乙女の模範的女子高校生ってやつですよ」
「姫の言うことにも一理ある」
「バレー部としても一票を投じたいところね」

え?え?えっ?

きょろきょろする私の頭をなでになでまわす三人のお友達。
これまたやはり定評のある髪質のよさで、私の髪はぼさぼさにならずすぐにもとに戻る。
そうしてアカネちゃんのお父さんいるかチェックがまた入って・・・。
でも、嫌じゃない。
どうしてだろう。
胸のおくが温かい。
なんだかすごく、うれしい。

「しずか」
「え?」
「講堂行く前に出席だけとるって」
「そのときの席は出席番号順」
「そろそろ先生も来るだろうし、もどろ」
「うん」

遅刻寸前の身の上ゆえ、今日の予定や今やるべきことに全くの無頓着な私に、三人がそれぞれ解説してくれて。
そんな小さなことにもいちいち感謝してしまう私。
・・・始業式の校歌はしっかり歌おう。
そんなちいさな気合とともに自分の席を見つけにいこうとした私に、

「しずか」
「姫子ちゃん?」
「ほんとにほんと、今日のしずかはついてるよ」

待ってるから、早く行ってあげてね――。
ウィンクとともに送られたそんな言葉を受け取り、自分の席へと向かう。
これ以上についてることがある?
・・・机とイスが新品、とか?

「・・・あっ」
「おはよ、しずちゃん」
「ふみちゃんっ」

木村文恵ちゃん。
花柄の髪留めが似合う、優しい女の子。
おっとりしていて料理が大得意な彼女とは、中学以来の親友同士。
そして、桜高家庭部に所属する彼女は、あのよしみちゃんと並んで、全国高文祭の創作料理部門で2年連続金賞を獲得している。
どこに出しても恥ずかしくない、私の自慢のお友達です。

「・・なんだか1年生の頃、思い出すね」
「うん」

桜高入学式の日。
今日みたいに桜が舞う青空。
お互い集合時間と集合場所を決めていたのにうまく落ち合うことができず。
講堂で式を迎えてみたら、同じクラスで出席番号も隣同士で。
そこでようやく集合できたことも、今では楽しい思い出のひとつで。

「・・・しずちゃん?」
「あ、ごめんふみちゃん。なんだかうれしくってぼーとしちゃった」
「ふふ・・・しずちゃん、朝から大変だったね」
「それ、教室に入ってからずっと言われっぱなしだよぉ」
「・・・しずちゃん、かわいいから」
「もう。ふみちゃんだってかわいいよ」
「・・・なでていい?」
「今日はもう店じまいですっ」

そんな風に言い合ってお互い小さく笑い合う。
そうして見つめることができる、大切な友達の顔。

「・・・これから1年、またよろしくね」
「うんっ」





信じている。
あのときの私たちは、日本中で。
ううん、きっと世界中でだって。
一番楽しくて、かがやいていたんだって。

そう、今でも信じている――-。


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