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No.26376の一覧
[0] けいおん モブSS[名無し](2011/05/27 23:56)
[1] けいおん モブSS (2)[名無し](2011/05/27 23:44)
[2] けいおん モブSS (3)[名無し](2011/05/27 23:45)
[3] けいおん モブSS (4)[名無し](2011/05/27 23:45)
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[5] けいおん モブSS (6)[名無し](2011/06/13 23:30)
[7] けいおん モブSS (7)[名無し](2011/05/27 23:47)
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[10] けいおん モブSS (10)[名無し](2011/05/30 23:18)
[11] けいおん モブSS (11)[名無し](2011/06/12 16:34)
[12] けいおん モブSS (12)[名無し](2011/06/12 15:43)
[13] けいおん モブSS (13)[名無し](2011/09/17 00:49)
[14] けいおん モブSS (14)[名無し](2012/02/24 04:27)
[15] けいおん モブSS (15)[名無し](2012/02/24 04:27)
[16] けいおん モブSS (16)[名無し](2012/02/24 04:27)
[17] けいおん モブSS (17)[名無し](2012/02/24 04:28)
[18] けいおん モブSS (18)[名無し](2012/02/24 04:42)
[19] けいおん モブSS (19)[名無し](2012/04/10 01:58)
[20] けいおん モブSS (21)[名無し](2012/05/11 22:54)
[21] けいおん モブSS (22)[名無し](2012/05/13 21:19)
[22] けいおん モブSS (23)[名無し](2012/08/03 00:32)
[23] けいおん モブSS (24)[名無し](2013/03/18 00:55)
[24] けいおん モブSS (25)[名無し](2018/02/11 22:48)
[25] けいおん モブSS (26)[名無し](2018/02/12 01:43)
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[26376] けいおん モブSS (21)
Name: 名無し◆432fae0f ID:f98ba2a0 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/05/11 22:54
3-(1)



夢。
夢を見ている。

二年前の夏休み。
課題に出された天体観測。
数十年に一度の流星群の年だったことを覚えている。

忍び込んだ校舎の屋上は夕暮れ色に満たされて。
日暮らしの声を聞きながら、沈んでいく太陽を惜しんだ。
…夕立に降られた服が乾いてよかったね。

訪れた夜は思っていたよりも、暗く、深くて。
遠目に見える街明かりは心もとない。
つないだ手と手が温もりを伝えても。
私たちの心までは、引き結べない。

―あれがデネブ アルタイル ベガ

夜空を三角に結んだ、君の細い指先。
軌跡を追う、視界の端を流れた、一瞬のきらめき。
光の尾を引く流星群。
それはまるで魔法のような…君の人差し指が降らせた星の雨。
視界を埋め尽くすまばゆい光の帯に、私たちの心ごと包まれる。
皆、同じ、星空の下。

―ああ 神様

この空はこんなにもひとつなのに。
私たちはこんなにも一緒です。

―どうか 神様

いつまでも、ただひとつのこの夜空を、皆と一緒に見ていられますように。









『―Raindrops 降り出す雨 なんてキレイなの―』

長い距離を走り続けるのに必要な要素。
それはリズムである…というのが私の持論だ。
腕の振り、歩幅、上下運動、呼吸、心臓の鼓動。
走るということを実行するために動かす身体のあまねく部位を、ある一定の律動で支配することができた時。
その人の走る力、すなわち走力を、潜在するポテンシャル以上に引き出すことができるのだ。

早く、速く。
走る、奔る。
昨日よりも、さっきよりも、一分一秒でも“はやく”だ。

…けれど。
いつまでもどこまでも“走り続ける”ためには、実は、とあるコツがいるということを私は知っている。
それはなんだか秘密めいた、小さな子供同士がその場限りで決めあった遊びのルールのようなものなのだけれど。


それでも私は。


―そうだよっ…、しずちゃんが走ってくれたからっ…、今の私があるんだよ…っ


記録のために走ることをやめた私は。


―そんなの…こっちから願い下げだよ。あたしは“走っているしずか”を撮るのが好きなだけなんだから


誰かのために走ることを課した私は。


―だから、自分のために走りなさい


そんな些細な約束のおかげで、ずっと走り続けることができた。


ただ走ることが好きな、木下しずかでいることができた。
…でも、その先は…?


『―三粒 数えて 大粒のを おでこでキャッチ―』

そう。
コツとは言ってもどうということはない。
防水仕様のトレーニングウェアのフードから額に滴り落ちた雨粒の感触を楽しむように。
それは自分の身の回りの出来事をも、自身のリズムにしてしまおう、ということなのだ。

『―きっと 五粒目はね 小鳥のミニティアラ―』イヤホンから流れる軽音部の新曲。

『―そうね七粒目は 電線のペンダントトップ―』ばしゃっと踏みしめた水たまり。

『―八粒 まつげに 九粒目は 葉っぱとダンス―』身体を叩く、土砂降りの雨。

『―恋しちゃったのかな 十粒目じゃまだわからないの―』そんなの私だってわからないよっ。

五月雨とぅえんてぃーらぶ。
…澪ちゃんってすごいなぁ。
何て思いながら。
青や紫の顔をたくさんのぞかせる紫陽花の通りを横目に。
その日の早朝ランニングは、コースの終盤である自宅近くの公園に差し掛かっていた。



六月。

梅雨、である。




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