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No.26376の一覧
[0] けいおん モブSS[名無し](2011/05/27 23:56)
[1] けいおん モブSS (2)[名無し](2011/05/27 23:44)
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[5] けいおん モブSS (6)[名無し](2011/06/13 23:30)
[7] けいおん モブSS (7)[名無し](2011/05/27 23:47)
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[9] けいおん モブSS (9)[名無し](2011/05/27 23:54)
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[11] けいおん モブSS (11)[名無し](2011/06/12 16:34)
[12] けいおん モブSS (12)[名無し](2011/06/12 15:43)
[13] けいおん モブSS (13)[名無し](2011/09/17 00:49)
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[17] けいおん モブSS (17)[名無し](2012/02/24 04:28)
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[22] けいおん モブSS (23)[名無し](2012/08/03 00:32)
[23] けいおん モブSS (24)[名無し](2013/03/18 00:55)
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[26376] けいおん モブSS (6)
Name: 名無し◆432fae0f ID:12503c65 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/06/13 23:30
(6)




願いごとをしよう―。




授業オリエンテーションが終わって束の間。
お昼休み前の授業はロングホームルームに割り当てられていた。

「それではまず初めに」

出席番号順により最前列となっている私の席。
その左前方に見える教卓のすぐ後ろには教室の端から端まで段差が設けられている。
今は担任の山中先生に代わりその壇上に立つ少女は。
彼女の代名詞として全校生徒から認知されているところの赤のアンダーリムメガネを押し上げてから言った。

「一年次から継続して活動する管理統括系委員会の、クラス内における所属状況を把握したいと思います」

黒板には流麗達筆に踊る、三年二組第一回学級会、の文字。
桜高生徒会執行部第八十五代会長、兼、本日付で私たちのクラス長を任命された真鍋和さんである。

「自分の所属する委員会名を呼ばれたらその場で挙手をお願いします」

クラス長選出の場面。
田井中さんが放った、まなべさんでいいとおもいまーす、という一言が教室に流れる時間を止めたのはほんの一瞬で。

さすがりっちゃん隊員っ
名案ねっ
生徒会長も兼ねてるしそうしてくれると担任としても楽ね~
…先生、そういう問題ではないと思いますけど…

というような軽音部(顧問含む)のみんなの後押しもあって。
クラスの誰一人意見することなく、全会一致で拍手による承認が下りたのがついさっきの出来事。

「では、広報委員会から確認します――」

学校生活全般を生徒会執行部が主体的に運営する桜高には、その運営の手足となる各種委員会が多数存在する。
委員会の系統は二つに大別され、生徒全員が何かしらの委員会に所属するよう校則で定められている。

「…クラス長と生徒会長って、兼任できるんだね…?」
「…確かに。どうなんだろうね…」
「…山中先生うれしそうだもんね…」
「そ、そうだね…」

すぐ後ろのふみちゃんとの内緒話を余所に、真鍋さんによる確認作業は着々と進んでいく。

「――風紀委員長は、砂原さん、でよかったわよね?」
「ああ」

管理統括系と称される委員会群。
校則遵守の啓蒙と学内の治安維持を行う風紀委員会を初めとして。
学内外の広報業務を一手に担う情報宣伝委員会。
全学の膨大な蔵書の管理保存を目的とする図書委員会。
清掃活動の計画運営と教員を含む桜高関係者全員の健康管理を司る美化衛生委員会。
以上四つの委員会がこれにあたる。

「情報宣伝委員長が風…高橋さん」
「…対外呼称は情宣部長、だけど」
「図書委員長が宮本さん」
「は、はいっ…」
「そして医局長…じゃなかった…美化衛生委員長が巻上さん」
「うん」

こうしてみると…

「…管理統括系のトップが全員揃ってるなんて、すごいクラスですね」
「生徒会長の真鍋さんもいるし。クラス運営とか内申評価とか、担任冥利に尽きるわね~」
「…先生の意図は何となく読めました…」
「体育局の責任者も大体揃えてあるし、体育祭も期待できるわよっ」
「いえ、わかりましたから」

握りこぶしと共に力説する山中先生に肩をすくめる真鍋さん。
堂に入ったその仕草を見るに、軽音部サポーター(秋山澪ファンクラブ会長も兼任していることからきている、らしい)としても気苦労が絶えないようで。
見ているこちらまでなんだか苦笑してしまう。
と、横手から上がる声がひとつ。

「ちょっとちょっとさわちゃん先生っ」
「さ、さわちゃんせんせいっ?」

山中先生の愛称が、さわちゃん、であることはわたしが一年生の頃からわりと周知の事実だ。
その原因は言うまでも無く軽音部なのだけれど…。
真鍋さんが拾う。

「…はい、野島さん」
「全学新歓長のあたしも忘れてもらっちゃこまるなーっ」

野島ちかちゃん。
本人曰く、体温が高い、とのことから、ブレザーやジャージなどの上着をよく腰巻にしているいつも笑顔の明るい女の子。
そのさばさばした性格と人柄から何かと話題の中心にいる人だ。
わたしもある時期とってもお世話になったことがある。

「そ、そうね。新歓長も重要なポストね」
「新入生の歓迎と監督を一手に引き受けていますからね。新入生歓迎会の運営も彼女たちが主体ですから」
「えっへんっ。あたしがいるからにはクラスのみんなにも何かと協力してもらうことがあるかもだから、改めてよろしくねっ」

―もちろんっ
―ちかがやるならあたしもやるよー
―歓迎会、がんばって成功させようねっ
―にしてもさわちゃん、タレント揃えすぎだよね…
―職権濫用ってやつ?
―クラス間のバランス大丈夫なのかなあ

ちかちゃんの呼びかけに盛り上がるクラス内。
一部の声にはふみちゃんともども、ただ苦笑するしかないけれど。

「…時限系委員会も合わせて、所属状況の確認は以上、ね」
「ご苦労様」
「残りの時間は先生から、ですよね」
「ええ。修学旅行の班決めや進路のことなんかはまた来週のロングでやるから。ありがとう真鍋さん」

一礼して席に戻る真鍋さん。
スムーズな進行により、授業終了までにはまだ時間に余裕がある。

「さて、と…お昼休みまで時間もあることだし。何かこの時間中にやっておくべきことは他にあるかしら?」
「はーいっ」
「あら、田井中さん?」

びしっと挙手をしたのはまたもや軽音部長の田井中さん。
クラス中の注目を浴びた田井中さんは、自身もぐるりとあたりを見回してから、

「席替えしたいでーすっ」
「えっ?」

…と、いうことで。

「隣の席なんて、中学以来だねっ」
「うんっ…なんだか、うれしい…」
「もう、ふみちゃんおおげさだよお」
「しずちゃんだって…」

右隣に見る、照れ笑いの親友の姿。
中学以来のお隣さん同士になれたわたしとふみちゃん。

「あらあら、お熱いことで」

わたしの左後ろからは姫子ちゃん。

「一年のときのことを考えても、すごい確率だな」

ふみちゃんの前からはよしみちゃん。

「あ、アカネに背後をとられるなんてっ。あたしの頭、いつか割れちゃうよぉ」
「…なんなら今すぐかち割ってあげようか?」

わたしの左隣にはアカネちゃん、その前がエリちゃん。

「いちごちゃんは…」
「…」

秋山さんの前。
ちょっと、遠い…。

「ふふ…昼休み、一緒にごはんしてあげましょ」
「…うん。そうだねっ」

姫子ちゃんのこれ以上ない提案にうなずく。

「それにしても一番後ろの席だなんて、絶好のポジショニングね」
「あはは、そうだね」
「…わたしとしずちゃんも最後尾だね…」
「しずかは目、悪いんだろ?黒板、文字見えそうか?」
「あ、うん、大丈夫だよ。普段はコンタクト入れてるから…ありがとうよしみちゃん」
「そうそう。何かの拍子に意識不明に陥っていたとしても、授業のノートはよっしーのを見ればおっけーだしねっ」
「それはただの居眠りでしょ。それに、よっしーは授業の内容ノートにとらないよね?」
「ぬなっ?そ、そんなんでどうやって勉強をっ?」
「ん?ああ、まあ、大抵のことは目で見て耳で聞いて、さらに心で聴けばだいたい理解できるからな」
「て、天才っ、天才がここにいるっ」
「言葉以上の天才スキルだよね…」
「…うん。よしみちゃんはすごいね…」
「…あたし、ちゃんと卒業できるかな」
「いや、当てにしすぎだから」
「あの、わたしので良ければいつでも大丈夫ですよ?」
「えっ、いいの琴吹さんっ?」
「ええ、もちろん」
「やたーっ、これで卒業できるっ」
「だから当てにしすぎっ」
「…明日終わる頃には、エリの頭ぱっくりいってるんじゃない?」
「…脳天唐竹割り…」
「あ、あはは…」

席替え発起人の田井中さんは、例によって最前列の教卓の目前になっちゃったけれど。
この布陣はわたし的には願ってもないくらいに最高だ。
…エリちゃんの頭部は別枠として。

「はーい、みんな、席の移動は終わったわね?」

教卓から教室を見渡して山中先生。

「それじゃあついでだし、このまま生活班も決めちゃいましょうか」

―て、適当だ…っ
―以外とざっくりしてるね…

「えーと、こうしましょうか」

おもむろに手にしたチョークで、黒板に教室の俯瞰図を描いた山中先生は。
黄色のチョークに持ちかえると、前の三列三人のグループを縦に二列分になるよう囲っていく。

「…あ…」
「…班は離れちゃったね、ふみちゃん」
「…うん。でも、お隣さんだから、大丈夫…だよね…?」
「もちろんっ」

合計六つのグループを囲い終えた山中先生が向き直ったところでちょうど鳴り響くチャイム。

「―あら、ちょうど時間ね。それじゃあこれからこの生活班を基本にして提出物の集計や連絡網などを設定することにします。午後からは早速必修科目の授業だから、みんながんばってね」

これでロングホームルームを終了します、という先生の言葉を合図に。
真鍋さんの号令と共に答礼を終えたわたしたちはお昼休みを迎えた。
鞄からお弁当を取り出そうとしているいちごちゃんに、一緒に食べようと言うべく。
わたしは彼女の元へ歩を進めるのだった。




願いごとをしよう。
今は遠くに離れてしまった君が寂しくないように。
今は空いてしまった君の手を誰かが握っていてくれるように。
小さくて簡単な願いごとを、ひとつ。


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