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No.27923の一覧
[0] 続・殺戮のハヤたん-地獄の魔法少年-(オリキャラチート主人公視点・まどか☆マギカ二次創作SS)[闇憑](2011/07/22 09:26)
[1] 第一話:「もう、キュゥべえなんかの言葉に、耳を貸しちゃダメだぞ」[闇憑](2011/05/22 06:22)
[2] 第二話:「マズった」[闇憑](2011/05/22 06:27)
[3] 第一話:「もう、キュゥべえなんかの言葉に、耳を貸しちゃダメだぞ」[闇憑](2011/05/22 06:27)
[4] 第三話:「…………………………いっそ、殺せ…………………………」[闇憑](2011/09/03 11:27)
[5] 第四話:「待って! 報酬ならある」[闇憑](2011/05/22 14:38)
[6] 第五話:「お前は、信じるかい?」(修正版)[闇憑](2011/06/12 13:42)
[7] 第六話:「一人ぼっちは、寂しいんだもん」(微修正版)[闇憑](2011/09/03 11:16)
[8] 第七話:「頼む! 沙紀のダチになってやってくれ! この通りだ!!」[闇憑](2011/09/03 11:19)
[9] 幕間『元ネタパロディ集』(注:キャラ崩壊[闇憑](2011/05/22 16:31)
[10] 第八話:「今宵の虎徹は『正義』に餓えているらしい」[闇憑](2011/05/29 09:50)
[11] 第九話:「私を、弟子にしてください! 師匠!!」[闇憑](2011/05/24 03:00)
[12] 第十話:「魔法少女は、何で強いと思う?」[闇憑](2011/05/29 09:51)
[13] 第十一話:「……くそ、くら、え」(微修正版)[闇憑](2011/07/03 00:29)
[14] 第十二話:「ゆっくり休んで……お兄ちゃん」(修正版)[闇憑](2011/07/03 00:31)
[15] 第十三話:「……俺、知ーらね、っと♪」[闇憑](2011/05/29 02:56)
[16] 第十四話:「……どうしてこうなった?」[闇憑](2011/05/29 12:51)
[17] 第十五話:「後悔、したくなかったの」[闇憑](2011/05/30 09:02)
[18] 第十六話:「そうやってな、人間は夢見て幸せに死んで行くんだ」[闇憑](2011/05/31 05:06)
[19] 第十七話:「……私って、ほんと馬鹿……」[闇憑](2011/06/04 00:21)
[20] 第十八話:「……ひょっとして、褒めてんのか?」[闇憑](2012/03/03 01:24)
[21] 第十九話:「なに、魔法少年から、魔法少女へのタダの苦情だよ」[闇憑](2011/06/06 19:26)
[22] 第二十話:「まさか……あなたの考え過ぎよ」[闇憑](2011/09/07 17:50)
[23] 第二十一話:「『もう手遅れな』俺が、全部やってやる!」[闇憑](2012/03/03 01:28)
[24] 第二十二話:「……あなたは最悪よ、御剣颯太!!」[闇憑](2011/07/07 07:27)
[25] 幕間「魔術師(バカ)とニンジャと魔法少年」[闇憑](2011/06/15 03:50)
[26] 第二十三話:「これで……昨日の演奏分、って所かな?」[闇憑](2011/06/17 04:56)
[27] 第二十四話:「未来なんて誰にも分かるもんかい!!」[闇憑](2011/06/17 17:05)
[28] 第二十五話:「……ぐしゃっ……」(微修正版)[闇憑](2011/06/18 20:28)
[29] 第二十六話:「忘れてください!!」[闇憑](2011/06/18 23:20)
[30] 第二十七話:「だから私は『御剣詐欺』に育っちゃったんじゃないの!」[闇憑](2011/06/19 10:46)
[31] 第二十八話:「……奇跡も、魔法も、クソッタレだぜ」[闇憑](2011/06/19 22:52)
[32] 第二十九話:「……『借り』ねぇ」[闇憑](2011/06/21 19:13)
[33] 第三十話:「決まりですね。颯太さん、よろしくお願いします」[闇憑](2011/06/23 05:46)
[34] 第三十一話:「……しかし、本当、おかしな成り行きですね」[闇憑](2011/07/29 02:55)
[35] 第三十二話:「だから、地獄に落ちる馬鹿な俺の行動を……せめて、天国で笑ってください」[闇憑](2011/06/26 08:41)
[36] 幕間:「~ミッドナイト・ティー・パーティ~ 御剣沙紀の三度の博打」[闇憑](2011/06/26 23:06)
[37] 幕間:「魔法少年の作り方 その1」[闇憑](2011/07/20 17:03)
[38] 幕間:「ボーイ・ミーツ・ボーイ……上条恭介の場合 その1」[闇憑](2011/07/04 08:52)
[39] 第三十三話:「そうか……読めてきたぞ」[闇憑](2011/07/05 00:13)
[40] 第三十四話:「誰かが、赦してくれるンならね……それも良かったんでしょーや」[闇憑](2011/07/05 20:11)
[41] 第三十五話:「さあ、小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いキメる覚悟完了、OK!?」[闇憑](2011/12/30 17:53)
[42] 第三十六話:「ねぇ、お兄ちゃん? ……私ね、お兄ちゃんに、感謝してるんだよ?」[闇憑](2011/07/08 18:43)
[43] 第三十七話:「泣いたり笑ったり出来なくしてやるぞ♪」[闇憑](2011/07/12 21:14)
[44] 第三十八話:「……なんか、最近、余裕が出てきてから、自分の根性がネジ曲がって悪くなっていった気がするなぁ」[闇憑](2011/07/13 08:26)
[45] 第三十九話:「『死ぬよりマシ』か『死んだ方がマシ』かは、あいつら次第ですがね♪」[闇憑](2011/07/18 14:42)
[46] 第四十話:『……し、師匠は優しいです、ハイ……』[闇憑](2011/07/23 11:00)
[47] 第四十一話:「まだ共に歩める可能性があるのなら! 『感傷なんて無駄な残骸では無い』というのなら! 是非、それを証明したい!」[闇憑](2011/07/22 00:51)
[48] 第四十二話:「……ありがとう、巴さん。今日の御恩は忘れません。本当に、感謝しています」[闇憑](2011/07/26 10:15)
[49] 第四十三話:「お兄ちゃんひとりだけで闘うなんて、そんなの不可能に決まってるじゃないの」[闇憑](2011/07/25 23:58)
[50] 幕間:「特異点の視野」[闇憑](2011/07/31 06:22)
[51] 幕間:「教会での遭遇」[闇憑](2011/07/27 12:16)
[52] 第四十四話:「……少し……二人で考えさせてくれ」[闇憑](2011/07/29 05:28)
[53] 第四十五話:「営業遅ぇんだよ、キュゥべえ……とっくの昔に、俺はもう『魔法少年』なんだよ……」[闇憑](2011/07/31 11:24)
[54] 幕間:「御剣沙紀、最大の博打」[闇憑](2011/07/31 18:28)
[55] 四十六話:「来いよ、佐倉杏子(ワガママ娘)……お前の全てを、否定してやる」[闇憑](2011/08/01 00:14)
[56] 第四十七話:「いや、付き合ってもらうぜ……あたしと一緒になぁっ!!」[闇憑](2011/08/01 12:45)
[57] 第四十八話:「問おう。あなたが私の、魔法少女か?」[闇憑](2011/08/04 00:58)
[58] 第四十九話:「俺の妹は最強だ!」[闇憑](2011/08/06 07:59)
[59] 第五十話:「さあって、反撃開始だ! 魔法少年の……魔法少女の相棒(マスコット)の『喧嘩』は、魔法少女よりもエグいぜぇ……」[闇憑](2011/08/07 08:51)
[60] 幕間:「特異点の視野、その2」[闇憑](2011/08/09 18:08)
[61] 終幕?:「無意味な概念」[闇憑](2011/08/14 21:37)
[62] 幕間:「神々の会話」[闇憑](2011/08/09 04:55)
[63] 幕間:「師弟の会話、その1」[闇憑](2011/08/10 08:12)
[64] 幕間:「師弟の会話、その2」[闇憑](2011/08/11 14:22)
[65] 終幕:「阿修羅の如く その1」[闇憑](2011/08/13 21:46)
[66] 終幕:「阿修羅の如く、その2」[闇憑](2011/08/14 17:37)
[67] 終幕:「阿修羅の如く その3」[闇憑](2011/08/16 06:33)
[68] 終幕:「阿修羅の如く その4」[闇憑](2011/09/04 08:25)
[69] 幕間:「特異点の視野 その3」[闇憑](2011/08/21 10:17)
[70] 終幕:「阿修羅の如く その5」(修正版)[闇憑](2011/09/03 20:17)
[71] 幕間:「御剣家の人々」[闇憑](2011/09/16 10:25)
[72] 嘘CM[闇憑](2011/09/08 09:26)
[73] 終幕:「御剣家の乱 その1」[闇憑](2011/09/30 20:58)
[74] 幕間:「御剣沙紀のちょっとした博打」[闇憑](2011/09/11 01:58)
[75] 幕間:「御剣沙紀、最大の試練」[闇憑](2011/09/11 23:14)
[76] 幕間:「御剣冴子の憂鬱」[闇憑](2011/09/16 20:12)
[77] 幕間:「御剣家の人々 その2」[闇憑](2011/09/17 06:53)
[78] 終幕:「御剣家の乱 その2」[闇憑](2011/09/30 20:58)
[79] 終幕:「御剣家の乱 その3」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[80] 幕間:「御剣沙紀、最大の試練 その2」[闇憑](2011/09/22 20:36)
[81] お笑い[闇憑](2011/09/25 09:22)
[82] 終幕:「御剣家の乱 その4」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[83] 幕間:「作戦会議――御剣家の乱・決戦前夜」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[84] 終幕:「御剣家の乱 その5」[闇憑](2011/10/01 09:05)
[85] 終幕:「御剣家の乱 その6」[闇憑](2011/10/21 09:25)
[86] 終幕:「水曜どーしよぉ…… その1」[闇憑](2011/10/04 08:23)
[87] 終幕:「水曜どーしよぉ…… その2」[闇憑](2012/01/12 14:53)
[88] 幕間:「斜太チカの初恋 その1」[闇憑](2011/10/14 11:55)
[89] 幕間:「斜太チカの初恋 その2」[闇憑](2011/10/19 20:20)
[90] 幕間:「斜太チカの初恋 その3」[闇憑](2011/10/30 03:00)
[91] 幕間:「斜太チカの初恋 その4」[闇憑](2011/11/07 04:25)
[92] 幕間:「斜太チカの初恋 その5」[闇憑](2011/11/13 18:04)
[93] 終幕:「水曜どーしよぉ…… 3」[闇憑](2011/11/21 04:06)
[94] 終幕:「最後に残った、道しるべ」[闇憑](2012/01/10 07:40)
[95] 終幕:「奥様は魔女」[闇憑](2012/01/10 07:39)
[96] 幕間:「神々の会話 その2」[闇憑](2012/03/11 00:41)
[97] 最終話:「パパはゴッド・ファーザー」[闇憑](2012/01/16 17:17)
[98] あとがき[闇憑](2012/01/16 17:51)
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[27923] 第二十二話:「……あなたは最悪よ、御剣颯太!!」
Name: 闇憑◆27c607b4 ID:cb2385d9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/07 07:27
「……すまねぇ。ちょっと……落ち着かせてくれ。かっこ悪い所、見せた」

 全く。
 今日は、なんて日だろうか。一日に二度も、ボダ泣きして……しかも、魔法少女の前で。

「ああ、くそっ!!」

 ぶびーっ!! と鼻水をティッシュでかんで、涙をぬぐう。

「道半ば、道半ば! 気ぃ引き締めて! ……よし!!」

 引退……『死』という希望は見えた。
 あとは後進……沙紀に、後を託せるだけのモノを伝え、俺はワルプルギスの夜への復讐に前進するのみだ。
 そう思うと、綺麗さっぱり。『いつもの俺』に戻る事が出来た。

「……すまん。取り乱しちまった。悪ぃな」
「いえ……その……あなたの意外な『願い』を知った気がしたわ」
「あ? こないだも言っただローが?
 俺みてーなどーんなクソ野郎の馬鹿なチンピラだってヨ、未来に希望を託して祈るくらいは、誰だってやってる話じゃねーの?
 家族大事で、ンで未来を信じて足を進めるってなぁ、魔法少女だけの特権ってワケじゃあんめぇヨ?」

 ゲッゲッゲッゲッゲ、といつもの調子で笑ってやると、暁美ほむらは溜息をついた。

「……」
「……あ? ンだヨ? 溜息なんぞついて……」
「いえ……いつもどおりに戻って、ある意味、安心したわ」
「気持ちの切り替えの速さってなぁ、生き延びるアタリマエの秘訣だろーが?
 っつーかヨ、野郎がウジウジ泣いてたって、誰だって助けちゃくれねーんだから、気合い入れて足踏ん張って前進むしかねーだろーが。おめーもそーだろ?」
「……そうね、その通りだわ」
「おうよ! おめーが知ってるかは知らねーが、ボダ泣きの泣きっ面晒しながら、パンツ一丁、いや、フルチンになったって前に進めるよーな、根性据えた奴が、世の中回してってるんだぜ?
 以前、インキュベーターが反抗的な俺を説得するために、ご大層にインチキ臭ぇ『人間様の歴史』なんてモン見せやがったんだけどヨ。連中が、何様だかこちとら知ったこっちゃねーが、奇跡も魔法も無くたって、人間前にゃ進めンだ。
 あいつらが居なけりゃ、人類は穴倉ン中で暮らしてたなんて寝言、嘘っパチもいいトコだって俺は思ってる!」
「あなたは……」
「人間やめちまったアンタら魔法少女に言うのも何だけどヨ。
 人間は、スゲェぜ?
 俺の剣の師匠もそーだし、PMCで訓練してくれた教官も、武器を買い付けてる武器商人たちも、俺が心の中で尊敬する和菓子屋の店長もヨ。俺も知らねぇまだ見ぬ誰かだって、人間が人間活かすために、必死ンなって世の中みんな頑張ってんだ。
 ぶっちゃけ、神様ヅラした宇宙人の寝言なんぞ、どんな真実だろーが、そいつらの言葉に比べりゃ軽すぎンだよ。
 言葉ってなぁ、タダじゃねぇ。そいつが背負ったモンに比例して、キッチリと重みってモンが出て来る。無論、間違いもある。過ちだってある。だが、そいつ全部ひっくるめて、それは吐いた人間が背負ってきたモンが、きっちり上乗ってンのさ。
 だから俺ぁ、アンタが時間遡行者だっつー言葉を、信じる事が出来たんだぜ」

 自覚できる程にハイんなって口走る俺に、暁美ほむらが目を見開く。

「……何だヨ?
 高一の俺が言えた義理じゃぁねえが、その年齢とナリで、女がそんな思いつめたツラぁしてりゃあ、なんかヤベーモン背負ってンじゃねーかって推察くらいはつくっつの。アンタは他の魔法少女とは、面構えが違ったしな。
 まー、理屈は突拍子もネェけっどヨ。……ま、理屈通りの連中ばっか相手してきたワケじゃねー、むしろ非常識の部類ばっかが喧嘩相手だったからな」
「あなたが柔軟な人間で、助かったわ」
「まー。確証を得たのは、あの佐倉杏子との遭遇戦だったけど。
 それまでは半信半疑ではあったし、あくまで仮定の行動だったんだが……ま、そのへんはどーだっていーや。
 俺にとって重要なのは、ワルプルギスの夜への復讐。そンために、佐倉杏子を引っ張り込む必要性があるのも、理解はしてんのさ」
「それよ。あなた、本当に彼女に、何をしたの?」
「何、っつわれてもなぁ……強いて言うなら、ソウルジェム持ってない状態で急襲受けて、気をそらすために色々喋ったダケなんだけど」
「色々?」
「ワルプルギスの夜の話とか、あと、俺が何でアイツ恨んでるか、とか……あ、そーいや、俺の事情をアイツに話したとたん、アイツいきなりブチギレちまってなー。
 ま、八つ当たりだってのがムカついたんじゃねーか、とは思うんだが……にしても、尋常じゃねぇキレようだったしなぁ」
「っ!!」

 考えても答えの出ない俺に対して、何か得心が行ったかのような、暁美ほむらの表情。

「……心当たり、あるんだな?」
「ええ。でも、あなたに教える事が出来ない情報よ」
「んー、それは……同盟関係を破棄しても、か?」
「ええ。最悪の事態を招きかねない情報を、私は今、知ってしまった」

 なんか、蒼白な表情でもったいつける暁美ほむらに、俺は首をかしげた。

「……なーにが最悪なんだか知らねっけど、ワルプルギスの夜に喧嘩売る以上に、最悪のネタって、あんのか?」
「あるわ。ある意味、あなたの握っている『魔女の釜』に匹敵する情報よ」
「っ……オーライ、分かった。お前さんがそこまで言うなら、そいつは聞かないでおいてやる。
 元々俺は、カッとなって馬鹿やる性質の人間だからな。正味、佐倉杏子本人を前にして、冷静に殺せるか自信が無かったんだ」

 そう。それが、俺が佐倉杏子を嫌いながらも、避け続けてた理由。
 佐倉杏子自身が手錬の魔法少女である以上、戦闘者としては超の字のつく存在である。
 そして、俺はそういう魔法少女に対して、一切舐めた感情は持ち合わせていない。こっちは最弱の存在なのだから。
 だが……『俺の復讐』という要素で動いた場合、自分で自分の感情を、どこまで制御できるか分からない。むしろ、あの時のように、成り行き任せで暴走して、馬鹿をやってしまう可能性が高い。
 俺が立てたプランで、自分を員数外の要撃ポジションに置いたのも、それが理由の一端でもある。

「ま、それは兎も角、引き続き佐倉杏子関係は、お前さんに任せるしかない。俺がノコノコ顔を出そうモンなら、お互いに殺し合いに発展しかねねぇからな。
 ……まあ、ムカつく度の優先順位からして、佐倉杏子はワルプルギスの夜よりかは、遥かに下だ。復讐の順番を違えるつもりは無ぇから安心してくれ。仕事はこなすさ」
「そう願いたいわ」
「任せろよ。っつーか、そーでも無けりゃ、元々、魔法少女と組んだりなんぞ、するわきゃ無かったんだしな。
 毒を食らわば佐倉杏子まで、だ……やれる所まで、トコトンやんなきゃ、ワルプルギスの夜にゃ、対抗できるワケがねぇ」
「……あなたにとって、彼女は毒以下って事?」
「それ以外の何が?」

 俺の言葉に、頭痛じみた表情で頭を抱える暁美ほむら。
 ……無理も無い。
 御剣颯太と佐倉杏子。これ以上無い、水と油な相性の組み合わせを御しながら、ワルプルギスの夜を相手にしつつ、かつ鹿目まどかを守りながら、この闘いを越えねばならないからだ。
 正味、俺が彼女の立場だったら、放棄していたかもしれない。
 だからこそ、俺は真剣な目で、彼女に語りかけた。

「お前も知ってんだろ? ワルプルギスの夜が現れた街の有様を。
 人間が建物ごとミンチんなってヨ。ブチブチと人間が、まるで梱包材のエアクッション潰すみてーに轢き潰されてく、あン時の絶叫がヨ……俺ぁ、今でも耳に残って離れねぇンだ。
 しかも、そいつはフツーの人間にゃ『災害』としか認識出来ねぇ。
 アイツの元がどんな魔法少女だったンかなんざぁ、コッチの知ったこっちゃ無ぇっけどヨ。……ソイツが、あのクソッタレのインキュベーターが持ち込んだ『汚ェクソ』だって事だきゃあ間違いがネェだろうが?
 そんで、その『汚ェクソ』から、必死に逃げ回るしか出来なかった自分がな……こんなクサレ悪党になっちまった今でも、俺ぁ我慢ならねぇのさ」
「……降りるつもりは無い、って事ね?」
「少なくとも、お前さんがワルプルギスの夜に挑むという事実を以ってすれば、一縷の勝機はある。
 あいつは姉さんの敵であり、俺自身の敵でもある。そんで、スッて悔いのない博打になりそーだから、俺はお前さんに張ってるんだ。
 だからまぁ……あのワガママ女の説得は大変だとは思うが、がんばってくれ。仮に、作戦会議でツラを合わせたとしても『こちらから手は出さない』くらいの自制心は、持ってるからさ」
「手を出さなくても、無駄な挑発はやめてちょうだい。彼女は今、かなりナーバスになってるわ。
 だから……あなたの悪辣な理性と、復讐心にかけて、誓ってちょうだい。無駄な挑発とちょっかいは出さない、と」
「……オーライ。可能な限り、自制はするさ」

 諸手をあげて、降伏の意思を示す。
 ……まあ、何とかやってみる、か。

「さて、話はまぁ……こんなトコか?」
「そうね。とりあえず、細かいツメの協議は、佐倉杏子を引き入れてからにしましょう」
「おいおい、気が早いぜ。美樹さやかの一件を、お前、忘れてんじゃネェだろーな?」
「……ふぅ。だから、あなたの考え過ぎよ」
「順番として考えろって言ってんだ。
 最悪、佐倉杏子が居なくても、美樹さやかさえ確保できていれば、ワルプルギスの夜から、彼女が鹿目まどかを守りながら逃げ回る事だって、不可能じゃあるめぇ?」
「!?」

 その発想は無かった、と言わんばかりに、暁美ほむらの目が開かれる。

「『闘う』ってのは、何も相手を倒す事に固執するばかりが全てじゃねぇ。敵から『逃げる』って事だって、十分に戦闘行動なんだ。でなけりゃ、俺は今、この場に立って息をしているワケが無ぇ。
 ……俺の剣の師匠に『正心』って教わったんだがな。
 個人の正義で戦う上で『正しい事』ってのは、ただ一つ。『目的を達成する』という事なんだ。
 アンタにとっても、鹿目まどかを守る事が『正しい事』な以上、『ワルプルギスの夜を倒す』ってのは二番目の目標なハズだ。そーいう意味でも、な……俺は、佐倉杏子よりも、美樹さやかの確保のほうが、先だと思っている」
「なるほど、ね」
「ついでに言わせて貰うなら、彼女は最悪の魔女のモトなワケだ? ……ワルプルギスの夜よりも、最悪ってのは、ちょっと想像のケタが追いつかないんだが……まあ、兎も角、そのへんはお前さんを信じるとして、だ。アレより最悪な事態になっちまったら、誰だって本格的にお手上げだろ?
 そうならないためにも『美樹さやかの確保』ってのは、この喧嘩を始める上での必須条件だ。
 お前さんはワルプルギスの夜に『勝てる喧嘩』を目指してるのかもしれないが、不確定要素な要件が重なりまくったような、今回のケースの場合、ワルプルギスの夜に『負けない喧嘩』をする事のほうが、より重要だと、俺は思う。
 最悪中の最悪のケースでも、俺もお前も佐倉杏子も巴マミも全員戦死したとしても、鹿目まどかと御剣沙紀、そしてついでに美樹さやかは生き残る。
 無論、誰ひとり死ぬつもりで戦う気は無いだろうが、保険はかけておくに越したことは無い。
 ……どうだ、間違ってるか?」
「貴重な意見と、受け止めておくわ。でも、本当に期待しないで頂戴。
 時間遡行者として言わせて貰うけど、彼女は本当に私と相性が悪いの。……あなたと佐倉杏子よりは、マシかもしれないけど」

 はぁ……そう来ましたか。

「オーライ。んじゃ、互いが互いの苦手な相手を、何とかする、って事で。
 俺は美樹さやか担当、お前さんは佐倉杏子担当。これでOK?」
「了解したわ。でも……本当に大丈夫? 彼女もあなたとは相性が悪そうだけど」
「佐倉杏子よりかは、ナンボかマシに人間の話の通じる相手だ。少なくとも『不可能』ってワケじゃねぇ。
 ……暴走気味の地雷魔ってのが、難点だけどヨ。きっと通信簿に『人の話をよく聞きましょう』とか、書かれたりするタイプだと見たが、どうだろうなー?」

 と……

「案外、あなたもそう書かれてたんじゃないの?」
「……よく分かってんじゃねぇか」

 かつての、『正義の味方』を気取ってた己を思い出し……ふと、それが美樹さやかとダブってしまい、内心、悶絶してしまった。
 ……俺は、あそこまでバカじゃなかった……と、思いたい。思いたい俺がいる。

「一つ、いいかしら?」
「何だヨ?」
「彼女を弟子にしようとしない理由って、現実的な部分だけじゃなくて……もしかして、昔の自分を見ているようだから?」
「うるせぇヨ!!
 ……あー、かもなー。それに似てんだよ……あいつのソウルジェムの色がヨ、冴子姐さんの色に」
「色?」
「……魔法少年の衣装の色ってのはな、デザインはともかく、力を借り受ける魔法少女の『色』になるんだよ」

 つまりは……そーいう事である。
 というか、あの新撰組をモチーフにした衣装も、冴子姐さんのソウルジェムの色に合わせたからなのだ。

「なるほど、ね。
 ならばなおのこと、美樹さやかへの説得の適任者は、あなたしかいないわ」
「……今更ながら言わせてもらうが、荷が重いなぁ……」

 深々と、溜息をつく。つかざるを得ない。
 あの四方爆弾に囲まれたボンバーマン女の、爆弾解体作業。
 想像するだけで、気が遠くなる。

「期待してるわ、イレギュラー。
 ……それと、賭けの事は忘れちゃダメよ」
「そっちこそ。……で、行くのかい?」
「ええ、もう話す事は無さそうだし。あなたからは?」
「……いや、俺も特には。あ、そうだ」

 そう言って、俺はメモ書きにペンを走らせる。

「ほい、俺のケータイの番号だ。
 自前でソウルジェム持ってるわけじゃねぇから、テレパシーなんぞよりも、よっぽど確実に繋がるぜ」
「ありがとう。助かるわ」

 そう言うと、彼女は窓から出て行こうとし……ふと、足を止めた。

「今、気付いたのだけど。あなた、『武器を買い付ける』と言ったわね」
「ああ?」
「その武器の出所は、どこから?」

 ……チッ……

「……ホントは、もう少し時間をかけて真っ当な武器商人と接触したかったんだが、あいにくとワルプルギスの夜が来るまでに時間が無ぇ。
 ダークサイドの話になるが、東南アジアの物騒なマーケットで、闇商人から買い付けるしか、あるめぇよ」
「……それによって、彼らに泣かされた少女たちが、魔法少女になる可能性を、あなたは考えているの?」
「安心しろ。そーやって増えた分まで、俺がキッチリ消してやるさ」
「っ!! あなたはっ!!」

 激昂する暁美ほむらに、俺は指を立てて睨みつける。

「……ひとつ、お前は勘違いをしてる。
 俺は魔法少女殺しの常習犯だ。だからこそ、『テメェのケツはテメェで拭く』のは当然の話だ。
 俺がムカついたのは『自覚も無いまま他人にケツを拭かせるよーなマネをすんな』ってダケの話であって、『ケツから垂れたクソの量を比べたい』なんて下らネェ事は、これっぽっちも言ってねぇ」
「っ……!!」
「言ったろ? 俺は人殺しの外道だって、な……その外道と手ぇ組んだ以上、そのへんの覚悟だきゃあ、しておくんだな」

 そう言って、俺はベッドに横になろうとし……

「一つ、聞かせなさい。自衛官の娘さんの話。『嘘だ』って言ったわね?」
「ああ、そうだけど?」

 俺の言葉に、彼女が真剣な目で迫って来る。

「あなたの言葉の、何が『嘘』だったか……説明して頂戴、イレギュラー」

 ……チッ!!

「答える義理は、無い気がすんだがなぁ……」
「義務はあると思うわ、イレギュラー。
 言っておくけど、武器を返した段階で露見するような、安易な嘘を、あなたがつく事は無いとは、信じたいのだけど?」

 ……あー、そう来るかぁ……

 はぁ……と、溜息をついて、一言。

「……何も、わざわざ自分でソウルジェム濁らせるよーな事を、ほじくり返す事もあんめーのに。
 おめーも馬鹿だなー」
「っ!! あっ、あっ……あなたはっ!!」
「……軽蔑したか?」

 その言葉に、彼女は俺の病院服の襟首を掴んで、捩りあげる。

「これまで、数えるのも馬鹿らしいほどの時を繰り返してきた私だけど、インキュベーターよりおぞましい存在を見たのは、初めてだわ! いえ、暗殺なんかの実力行使も視野に入れている分、尚更タチが悪い!
 ……あなたは最悪よ、御剣颯太!!」
「……やっと気付いたのかよ。
 でなけりゃ魔女の釜を運用して、あんな宇宙妖怪と、喧嘩なんか出来るかよ」
「っ!! ……っ!!」
「『He who fights with monsters might take care lest he thereby become a monster(怪物と戦う者は、みずからも怪物とならぬように心せよ)』。
 そういう意味で、な。俺はもー魔女と一緒で、とっくにモンスターなのさ。
 だから、マトモな人間の心が残ってるうちに、俺は復讐を成し遂げて、後に全てを託して、死んで行きてぇんだヨ。
 ……ああ、安心しろ。ワルプルギスの夜との戦いで、特攻しようってんじゃねぇ。あのドンくさい沙紀に俺の技を伝えるには、圧倒的にまだまだ時間が足りねぇからな。
 そういう意味で、お前が信じる生き意地汚さは、まだまだ健在だぜ?」

 今すぐ殺したい。
 そう目線で訴えて葛藤する暁美ほむらを見据えながら、俺は言い切る。

「……人間、舐めるなよ、時間遡行者。
 人間はな、必要とあらば、インキュベーターなんぞ目じゃねぇ程に、ドス黒くなれるモンなんだヨ。
 第一、俺の力を必要として、同盟を持ちかけたのは、そっちだろーが?」
「……今、私は自分の判断に対して、迷っているわ。本当に正しかったかどうか、これほど迷った事は無い!」
「正しいかどうかじゃねー、必要かどーかで考えろよ? そーやって闘って来たんだろ? 俺も、そして、お前も……よ」
「っ!!」
「『正義なんざ犬に食わせた』……そんなツラしてたお前さんだからこそ、俺とやってけるって信じてたんだがなぁ。
 ま、見込み違いだったら、謝るわ。それなら、こっちはこっちで、勝手にお前さんのワルプルギスの夜との戦いに、乱入させてもらうだけだよ。……どーする、時間遡行者?」

 沈黙。やがて……

「……今の私には、あなたの力と経験、そして『視点』が必要だわ。御剣颯太」
「いい答えだ。カーネギー名語録に載せたいくらいだな」
「茶化さないで!
 ……本当にあなたは……喰えないわ」

 そう言うと、暁美ほむらは、病室の窓から消えていった。


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