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No.27923の一覧
[0] 続・殺戮のハヤたん-地獄の魔法少年-(オリキャラチート主人公視点・まどか☆マギカ二次創作SS)[闇憑](2011/07/22 09:26)
[1] 第一話:「もう、キュゥべえなんかの言葉に、耳を貸しちゃダメだぞ」[闇憑](2011/05/22 06:22)
[2] 第二話:「マズった」[闇憑](2011/05/22 06:27)
[3] 第一話:「もう、キュゥべえなんかの言葉に、耳を貸しちゃダメだぞ」[闇憑](2011/05/22 06:27)
[4] 第三話:「…………………………いっそ、殺せ…………………………」[闇憑](2011/09/03 11:27)
[5] 第四話:「待って! 報酬ならある」[闇憑](2011/05/22 14:38)
[6] 第五話:「お前は、信じるかい?」(修正版)[闇憑](2011/06/12 13:42)
[7] 第六話:「一人ぼっちは、寂しいんだもん」(微修正版)[闇憑](2011/09/03 11:16)
[8] 第七話:「頼む! 沙紀のダチになってやってくれ! この通りだ!!」[闇憑](2011/09/03 11:19)
[9] 幕間『元ネタパロディ集』(注:キャラ崩壊[闇憑](2011/05/22 16:31)
[10] 第八話:「今宵の虎徹は『正義』に餓えているらしい」[闇憑](2011/05/29 09:50)
[11] 第九話:「私を、弟子にしてください! 師匠!!」[闇憑](2011/05/24 03:00)
[12] 第十話:「魔法少女は、何で強いと思う?」[闇憑](2011/05/29 09:51)
[13] 第十一話:「……くそ、くら、え」(微修正版)[闇憑](2011/07/03 00:29)
[14] 第十二話:「ゆっくり休んで……お兄ちゃん」(修正版)[闇憑](2011/07/03 00:31)
[15] 第十三話:「……俺、知ーらね、っと♪」[闇憑](2011/05/29 02:56)
[16] 第十四話:「……どうしてこうなった?」[闇憑](2011/05/29 12:51)
[17] 第十五話:「後悔、したくなかったの」[闇憑](2011/05/30 09:02)
[18] 第十六話:「そうやってな、人間は夢見て幸せに死んで行くんだ」[闇憑](2011/05/31 05:06)
[19] 第十七話:「……私って、ほんと馬鹿……」[闇憑](2011/06/04 00:21)
[20] 第十八話:「……ひょっとして、褒めてんのか?」[闇憑](2012/03/03 01:24)
[21] 第十九話:「なに、魔法少年から、魔法少女へのタダの苦情だよ」[闇憑](2011/06/06 19:26)
[22] 第二十話:「まさか……あなたの考え過ぎよ」[闇憑](2011/09/07 17:50)
[23] 第二十一話:「『もう手遅れな』俺が、全部やってやる!」[闇憑](2012/03/03 01:28)
[24] 第二十二話:「……あなたは最悪よ、御剣颯太!!」[闇憑](2011/07/07 07:27)
[25] 幕間「魔術師(バカ)とニンジャと魔法少年」[闇憑](2011/06/15 03:50)
[26] 第二十三話:「これで……昨日の演奏分、って所かな?」[闇憑](2011/06/17 04:56)
[27] 第二十四話:「未来なんて誰にも分かるもんかい!!」[闇憑](2011/06/17 17:05)
[28] 第二十五話:「……ぐしゃっ……」(微修正版)[闇憑](2011/06/18 20:28)
[29] 第二十六話:「忘れてください!!」[闇憑](2011/06/18 23:20)
[30] 第二十七話:「だから私は『御剣詐欺』に育っちゃったんじゃないの!」[闇憑](2011/06/19 10:46)
[31] 第二十八話:「……奇跡も、魔法も、クソッタレだぜ」[闇憑](2011/06/19 22:52)
[32] 第二十九話:「……『借り』ねぇ」[闇憑](2011/06/21 19:13)
[33] 第三十話:「決まりですね。颯太さん、よろしくお願いします」[闇憑](2011/06/23 05:46)
[34] 第三十一話:「……しかし、本当、おかしな成り行きですね」[闇憑](2011/07/29 02:55)
[35] 第三十二話:「だから、地獄に落ちる馬鹿な俺の行動を……せめて、天国で笑ってください」[闇憑](2011/06/26 08:41)
[36] 幕間:「~ミッドナイト・ティー・パーティ~ 御剣沙紀の三度の博打」[闇憑](2011/06/26 23:06)
[37] 幕間:「魔法少年の作り方 その1」[闇憑](2011/07/20 17:03)
[38] 幕間:「ボーイ・ミーツ・ボーイ……上条恭介の場合 その1」[闇憑](2011/07/04 08:52)
[39] 第三十三話:「そうか……読めてきたぞ」[闇憑](2011/07/05 00:13)
[40] 第三十四話:「誰かが、赦してくれるンならね……それも良かったんでしょーや」[闇憑](2011/07/05 20:11)
[41] 第三十五話:「さあ、小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いキメる覚悟完了、OK!?」[闇憑](2011/12/30 17:53)
[42] 第三十六話:「ねぇ、お兄ちゃん? ……私ね、お兄ちゃんに、感謝してるんだよ?」[闇憑](2011/07/08 18:43)
[43] 第三十七話:「泣いたり笑ったり出来なくしてやるぞ♪」[闇憑](2011/07/12 21:14)
[44] 第三十八話:「……なんか、最近、余裕が出てきてから、自分の根性がネジ曲がって悪くなっていった気がするなぁ」[闇憑](2011/07/13 08:26)
[45] 第三十九話:「『死ぬよりマシ』か『死んだ方がマシ』かは、あいつら次第ですがね♪」[闇憑](2011/07/18 14:42)
[46] 第四十話:『……し、師匠は優しいです、ハイ……』[闇憑](2011/07/23 11:00)
[47] 第四十一話:「まだ共に歩める可能性があるのなら! 『感傷なんて無駄な残骸では無い』というのなら! 是非、それを証明したい!」[闇憑](2011/07/22 00:51)
[48] 第四十二話:「……ありがとう、巴さん。今日の御恩は忘れません。本当に、感謝しています」[闇憑](2011/07/26 10:15)
[49] 第四十三話:「お兄ちゃんひとりだけで闘うなんて、そんなの不可能に決まってるじゃないの」[闇憑](2011/07/25 23:58)
[50] 幕間:「特異点の視野」[闇憑](2011/07/31 06:22)
[51] 幕間:「教会での遭遇」[闇憑](2011/07/27 12:16)
[52] 第四十四話:「……少し……二人で考えさせてくれ」[闇憑](2011/07/29 05:28)
[53] 第四十五話:「営業遅ぇんだよ、キュゥべえ……とっくの昔に、俺はもう『魔法少年』なんだよ……」[闇憑](2011/07/31 11:24)
[54] 幕間:「御剣沙紀、最大の博打」[闇憑](2011/07/31 18:28)
[55] 四十六話:「来いよ、佐倉杏子(ワガママ娘)……お前の全てを、否定してやる」[闇憑](2011/08/01 00:14)
[56] 第四十七話:「いや、付き合ってもらうぜ……あたしと一緒になぁっ!!」[闇憑](2011/08/01 12:45)
[57] 第四十八話:「問おう。あなたが私の、魔法少女か?」[闇憑](2011/08/04 00:58)
[58] 第四十九話:「俺の妹は最強だ!」[闇憑](2011/08/06 07:59)
[59] 第五十話:「さあって、反撃開始だ! 魔法少年の……魔法少女の相棒(マスコット)の『喧嘩』は、魔法少女よりもエグいぜぇ……」[闇憑](2011/08/07 08:51)
[60] 幕間:「特異点の視野、その2」[闇憑](2011/08/09 18:08)
[61] 終幕?:「無意味な概念」[闇憑](2011/08/14 21:37)
[62] 幕間:「神々の会話」[闇憑](2011/08/09 04:55)
[63] 幕間:「師弟の会話、その1」[闇憑](2011/08/10 08:12)
[64] 幕間:「師弟の会話、その2」[闇憑](2011/08/11 14:22)
[65] 終幕:「阿修羅の如く その1」[闇憑](2011/08/13 21:46)
[66] 終幕:「阿修羅の如く、その2」[闇憑](2011/08/14 17:37)
[67] 終幕:「阿修羅の如く その3」[闇憑](2011/08/16 06:33)
[68] 終幕:「阿修羅の如く その4」[闇憑](2011/09/04 08:25)
[69] 幕間:「特異点の視野 その3」[闇憑](2011/08/21 10:17)
[70] 終幕:「阿修羅の如く その5」(修正版)[闇憑](2011/09/03 20:17)
[71] 幕間:「御剣家の人々」[闇憑](2011/09/16 10:25)
[72] 嘘CM[闇憑](2011/09/08 09:26)
[73] 終幕:「御剣家の乱 その1」[闇憑](2011/09/30 20:58)
[74] 幕間:「御剣沙紀のちょっとした博打」[闇憑](2011/09/11 01:58)
[75] 幕間:「御剣沙紀、最大の試練」[闇憑](2011/09/11 23:14)
[76] 幕間:「御剣冴子の憂鬱」[闇憑](2011/09/16 20:12)
[77] 幕間:「御剣家の人々 その2」[闇憑](2011/09/17 06:53)
[78] 終幕:「御剣家の乱 その2」[闇憑](2011/09/30 20:58)
[79] 終幕:「御剣家の乱 その3」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[80] 幕間:「御剣沙紀、最大の試練 その2」[闇憑](2011/09/22 20:36)
[81] お笑い[闇憑](2011/09/25 09:22)
[82] 終幕:「御剣家の乱 その4」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[83] 幕間:「作戦会議――御剣家の乱・決戦前夜」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[84] 終幕:「御剣家の乱 その5」[闇憑](2011/10/01 09:05)
[85] 終幕:「御剣家の乱 その6」[闇憑](2011/10/21 09:25)
[86] 終幕:「水曜どーしよぉ…… その1」[闇憑](2011/10/04 08:23)
[87] 終幕:「水曜どーしよぉ…… その2」[闇憑](2012/01/12 14:53)
[88] 幕間:「斜太チカの初恋 その1」[闇憑](2011/10/14 11:55)
[89] 幕間:「斜太チカの初恋 その2」[闇憑](2011/10/19 20:20)
[90] 幕間:「斜太チカの初恋 その3」[闇憑](2011/10/30 03:00)
[91] 幕間:「斜太チカの初恋 その4」[闇憑](2011/11/07 04:25)
[92] 幕間:「斜太チカの初恋 その5」[闇憑](2011/11/13 18:04)
[93] 終幕:「水曜どーしよぉ…… 3」[闇憑](2011/11/21 04:06)
[94] 終幕:「最後に残った、道しるべ」[闇憑](2012/01/10 07:40)
[95] 終幕:「奥様は魔女」[闇憑](2012/01/10 07:39)
[96] 幕間:「神々の会話 その2」[闇憑](2012/03/11 00:41)
[97] 最終話:「パパはゴッド・ファーザー」[闇憑](2012/01/16 17:17)
[98] あとがき[闇憑](2012/01/16 17:51)
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[27923] 第三十三話:「そうか……読めてきたぞ」
Name: 闇憑◆27c607b4 ID:cb2385d9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/07/05 00:13
「……ぶはぁ!」

 税関を抜け、成田国際空港のターミナルに出た俺と沙紀は、ようやっと一息ついた。
 ……流石に、何回もやっている事とはいえど、検査員の目線は結構怖かったりする。
 特に、今回の仕入れは武器弾薬の量が尋常じゃなかったりするから、見つかったりしたら洒落にならない。
 よく、麻薬入りのトランクに現地ですり替えられて、何も知らない旅行者が運び屋として持ちこんじゃいました……なんて理屈が通るような量でもないし。
 第一、こっちは確信犯でやってるわけで、いろいろやましい分ドキドキものだ。

「……にしても。トンでもないモン、現地で見つけちまったよなぁ……」

 さらに、短い時間ながら回ってきた現地のブラックマーケットで『ありえない代物』を見つけてしまい、思わずその場で全て一式、買い取ってきてしまった。
 ……きっと、裏でトンデモネェ事になってんじゃねぇかと思うのだが……まあ、何にせよ『暁美ほむらにとっては』僥倖だろう。
 しっかし……現地で試射した限りだが、確かに『アレ』はイイモノだった。扱いやすく、取り回しも楽。正に、日本人のための装備とも言えよう。……扱いやすさ優先で、暁美ほむらが愛用してた(であろう)理由も、分かる気がする。

「さって、と……空港土産でも買って行かんとなぁ」

 何しろ、現地では、かなりバタバタな強行軍だったのだ。帰りの飛行機に乗るまで、土産物どころでは無かったし。

「……誰に?」
「っ!?」

 ふと、漏らした言葉に、沙紀がニヤニヤと笑っている。

「巴さんだよ。縄張りの面倒、見てもらってんだ。義理を欠かすわけにゃ行かんだろ? あと、学校の先生とかだな。休んじまって迷惑かけてんだし」
「美樹さんとか、暁美ほむらさんとかは?」
「なんであいつらに、わざわざ金使わにゃならんのだ?」
「んじゃ、上条さん♪」
「……あー、確かに上条さんは、重要だな」

 とはいえど。
 元々、都内に住んでいた我が身としては『東京土産』と言われても何を持っていけばいいのやら、サッパリ分からないのである(成田は千葉だけど、空港内の土産物屋は大体似たようなもんだ)。
 一応、元々住んでた場所に行けば、某所の駄菓子屋にある、物珍しい一風変わったアイスクリーム(というより、アイスシャーベット?)とかあるが、時間的にそんな穴場的な所に寄る余裕も無く。
 かといって、『おのぼりさん』目当て丸出しの、自称『東京土産』や『東京名物』なる代物に手を出す気にもなれず(いや、中身は大概そう悪いモノじゃないんだけど、何も知らない悪徳セールスに引っかかったみたいで、元地元民として土産にするにはシャクなのだ)。
 ……結局、無難に、テナント出店している老舗のセンベイを買い求めた。

「何でもあるって、何も無いってのと、ある意味一緒だよなぁ……」
「でも、地方色丸出しで、特産品『しか』無いのよりは、マシなんじゃない? 昔、行った某所の××とか、ドコ某の××とか、地元向けの商店街まで、特産品一色に染まってて、気持ち悪かったじゃない」
「そうか? その『それしか無い』縛りの中から生まれた、突拍子もない発想のモンこそが、土産物のネタじゃないの?」

 地方旅行に出かけた時によく見かける。
 一般人には想像もつかない用法で地元の特産品を軸に据えて作られた、明らかに突拍子もない発想の商品とか。
 そういった、開発者の発想のネジがどこか狂った産物というのは、俺は実は大好きだったりするのだ。
 ……無論、買う以上は、胃の中に入って後に残らないという事が、大前提だが。我が家に後々まで残るようなガラクタを持ちこむ余裕、無いし。(こういう発想が抜け切らないあたり、生活空間そのものが極度に限られた貧乏都民の発想かもしれないなぁ……と、見滝原に引っ越して自覚するようになった。何しろ俺が小学三年で引っ越すまでは、1DKのアパートで親子五人川の字になって身を寄せ合うように毎日寝てたし)。

「それに、そこから生まれたモノが、スタンダードに化ける可能性だって、無きにしも非ずだろ?
 サツマイモとかを使ったケーキあたりなんて、確かそーだったんじゃなかったっけか?」
「んー、あれはメジャーとマイナーの中間くらいじゃない? 美味しいのは認めるけど、まだまだ認知度からいえば低いよ」
「一般的に認知はされてんだから、もう十分メジャーだろ? 見滝原のデパ地下にだって、専門店、あったハズだし」

 などと、沙紀と、武器調達のたびに交わされる『旅行の土産物論』を語り合いながら。上野駅へと向かう成田エクスプレスに乗りこむ。
 そこから先は、見滝原までは新幹線。と……大宮につく前に、沙紀がケータイを弄り始める。

「……沙紀? 誰にメールだ?」
「えへへ、秘密♪」

 これである。

 ……最近、やけに『御剣詐欺』に引っかかるようになってきたので、我が妹ながら油断が出来ない。
 っつか、マジでほんっとーに、誰に似たんだろうか!? 最近、本性現してきやがった、この悪辣な妹は?
 これでは、もし仮に魔法少女を辞められたとしても、嫁の貰い手が存在するのだろうか?
 上条さんに向けた、あのアプローチからしても、きっと旦那を尻に敷きまくるに違いない。そんで、逃げられるか、はたまた旦那が俺に泣きついてくるか。

 ……いかん、これは本気でイカンぞ……マジで!

 俺が計画した『御剣沙紀、大和撫子計画』では、現段階で男を立てるおしとやかさを備えているハズが、どうしてこうなった!?

「くっ……これも、インキュベーターの陰謀かっ! あの口先の魔術師めっ!
 沙紀を魔法少女にするだけでは飽き足らず、人格までネヂネヂ曲げて魔女化を促進させようというのかっ!」

 俺の脳裏に、美樹さやかよろしく、旦那にフられて魔女化する沙紀の構図が脳裏に浮かび上がる。
 正味、あそこで啖呵を切ってのけた上条さん程の男は、そうはおるまい。だとするなら、現実的にソコソコの野郎での妥協が在り得るわけだが………いかん! これはイカンぞ、兄としてっ! 親代わりとしてっ!
 沙紀の破滅だけは、何としてでも回避せねばっ!

「……………馬鹿兄……………」
「なんか言ったか、沙紀?」
「ううん、何でも♪ えへへへへへー♪」

 ふと、嫌な予感を憶える。
 沙紀の目の邪悪な光……『御剣詐欺』にかけようとしている、沙紀の前兆。

「沙紀。お前、ナニを考えている?」
「ん? イイコト♪」
「……………………お前、さっき、誰にメールしてたんだ?」
「マミお姉ちゃん♪」

 嫌な予感がする。
 果てしなく、嫌な予感。

「……どんな内容を?」
「理由も無くプライバシーに首突っ込むのは、良くないと思うよ?」
「いや、何かこう……俺の命に関わりそうな予感がするんだが?」
「確証が無いのなら、調査を拒否します」
「くっ……」

 これである。
 最近、本当に生意気になってきた。巴マミとあってからか? いや、それ以前も前兆のようなモノはあったし……やはり、インキュベーターの陰謀と考えるのが、順当であろう!
 悶々と悩み続ける俺だが、結局、沙紀の陰謀がどんなモノなのか結論が出無いまま。
 電車は見滝原駅のホームへと、滑り込もうとしていた。



「さってっと……」

 帰ってきた段階で、暁美ほむらと連絡を取って、武器の選定をせねばならない。
 とりあえず、金が勿体ないがタクシーでも拾って、自宅へと帰るべきか……あ。

「晩飯、どうしよう?」

 既に、夕方を超えて八時を回っていた。
 駅のコンコースを沙紀と歩きながら、とりあえず。

「沙紀、何が食べたい?」
「んっとねー……マミお姉ちゃんと一緒に、どっかレストランに食べに行きたい♪」
「……はぁ?」

 何故、そこで巴マミが出て来……!!??

「えっ!?」

 駅の改札口で、ニコニコと手を振る、巴マミの姿がそこに在った。



「……………」
「………」

 とりあえず、駅のそばのファミレスに入り。
 適当にメニューを選び、注文すると。

「そっ、その……待ってて、くれたんッスね。ああ、これ、空港土産ッス。
 現地じゃバタバタしてて、土産買う余裕なくて申し訳ないんですが」
「あっ、どうも……」

 とりあえず、袋の中の土産物を、巴マミに手渡す。
 ……と。

「ドリンク、入れて来るね。マミお姉ちゃんは何がいい?」
「……あ、紅茶系があれば……」
「了解。お兄ちゃんはいつもどおり、コーラね」
「ああ」

 そう言って、スタスタと沙紀が去っていってしまう。

 ……気まずい。
 ガールズトーク全開な沙紀と違い、巴マミとは、そもそも、こういう普段接する場での、共通する話題そのものが無い。
 というか、やけに沙紀の奴が静かで、間が持たないのだ。
 差し当たって……

「そういえば、縄張りはどうでした? 俺らが居ない間、変わった事は?」
「いえ、特には……あ、一件だけ、颯太さんの縄張りに来た魔法少女が居ましたが、居ないとわかると去って行きました」
「ほう、俺の? 巴さんにじゃなくて?」
「ええ。見かけて警告したのですが、無視されまして……逃げて行ったので放置しましたが」

 中々に洒落に成らない情報を耳にし、俺は首をかしげる。

「……それは古参、新人?」
「新人です。
 名前は知りませんが……以前、魔法少女の力で、その……違法薬物の売買に手を染めてた子でして。
 見るに見かねて、以前『颯太さんの名前を使って』警告したんですが、その時も舌打ちして去って行きました。
 海賊みたいな帽子を被った……メアリー・リードって感じの魔法少女でしたね」
「罠にかかった様子は?」
「ありませんでした。ただ、争うつもりは無いようでしたので」
「……そうですか」

 何か、嫌な予感がした。
 ……そう。

「偵察行動、の可能性が高いですね」
「偵察、ですか?」
「襲撃の下準備、って事です。
 巴さん。あなたが俺の縄張りを保護下に置いたって状況にある以上、俺への苦情なり連絡なりは、まず巴さんに行くのがスジだ。
 そのほうが、安全だし、第一、俺の縄張りの危険さは、魔法少女たちに知れ渡ってる。だっていうのに、何故、『彼女は俺の縄張りに直接足を踏み入れた』のです?」
「っ!?」
「……確かに、新人だから何も知らずに突っ込んだ、って可能性はありますが。
 それならば、巴さんの警告を無視した理由が分からない……ワルプルギスの夜を前に何ですが、警戒は厳にしておいたほうが良さそうですね」
「まさか! 新人が、私の保護下にある縄張りに、ちょっかいを出そうというのですか?」
「心当たりはあるのでしょう? 巴さんも、俺も。
 ……まして、魔法少女の力で、コナツマもうなんて尋常じゃありません。
 その魔法少女がプッシャー(売人)だとしても、上にはおそらく大人……ヤクザが絡んでますね」
「どうやら、相当大きな話になりそうですわね」
「まったく! 大概は、俺がツブしたハズなんだがなぁ……」
「……え?」
「忘れてください。寝言です。……ですが、どうやら本格的に『俺向き』な喧嘩みたいですね……」

 おそらく……以前、師匠や俺が供給ルート潰したせいで、見滝原の街での末端価格がハネたのだろう。あるいは、プッシャー狩りに業を煮やした組が動いたか。
 だが、俺の知る限り、ノミ屋や金貸し、建設、建築関係で喰ってるヤクザは居ても、積極的にこの見滝原でコナを撒くような組は……ああ居たなぁ、一か所。

「射太興業……確か、あそこは○○系の組筋で、見滝原に入ってきたはいいけど、結局、開発利権にありつけなかった組ですからね。
 しかも、威嚇じゃない、本気の武闘派だからこそ、他のヤクザとは別の意味でアブない連中ですよ」
「と、おっしゃいますと?」
「警察の締め付けの厳しい昨今じゃ、ヤクザはむしろ経済活動重視に変わってきてます。
 抗争だの何だののドンパチは、正直『割に合わない』んですよ。そりゃ、自衛用の武装くらいはすると思いますが、せいぜいトカレフレベルが限度。まあ、どんな問題がこじれても、事務所のガラス割りと指積めくらいがせいぜいだと思います。
 そんな中で、あえて武闘派を気取る連中ってのは……まあ、言い方は悪いですが、脳筋仕様がイク所までイッちゃってるとしか思えませんね。きっと、事務所の中に、マジで武器とか隠してるんじゃないかなぁ? ……警察に踏みこまれたら、イッパツだろうに。
 それに、ココら見滝原一帯は、言わば政府肝いりでの開発のモデル地区でもあります。そこでコナ撒いてるなんて知れたら、警察やマ取りが本気でツブしにかかるでしょう」

 と……

「……颯太さん。それをひっくり返す力として、『魔法少女』が使われているとしたら?」
「!?」
「仮定、なんですけど。
 最近、新しい魔法少女のグループが出来つつあるらしいのですが。どうも、その新人の子が中心になっているそうなんです……そう、確か……そう、思い出しました、『斜太チカ』!」
「おいおいおいおい!! そりゃ最悪じゃねーか!! っていうか『斜太』って名字からして、組長の娘とかじゃねーだろうな!?」

 インキュベーターが、何も知らない少女を食い物にするように、ヤクザが何も知らない子供を食い物にする。
 正味、俺は一般人に対しては迷惑をかけるつもりは無いが、ヤクザ……それも『カタギを守る』のではなく『カタギを喰いものにする』ような類のヤクザに対しては、全く遠慮するつもりは無いし、その必要も無い……と、師匠から教わってる。

 ……実際に、師匠が嬉々として埋めてるの、手伝ったりしたしなぁ……

「しかし、撒くにしても、ブツはどんな代物なんだろうなぁ……恐らく、調達そのものは一番手軽な覚せい剤系だと思うんですが、種類によって色々対処が変わって来るからなぁ」
「と、おっしゃいますと?」
「ドラッグにも、合法と非合法がありましてね。
 合法のほうだって、かなり危険なモノは一杯あるんですけど、そういうのって、法規制すると別用途で不都合が出るから規制されないだけで、ドラッグとして使うと非合法のモノよりも危険だったりするケースも、ままあるんですよ。
 アンパン……シンナーなんかは、その典型例ですね。あれは、お手軽に思われてますが、実はかなり危険なんです。グラム当たりの中毒性はともかく、吸引量そのものが大きく取れちゃうから、ハマると一気に人間がボロボロになっていきます。
 そういう風に『合法だから大丈夫』って思いこんで、どっぷり嵌ってボロボロにってのが、最近のドラッグ中毒の大概のパターンですね。
 しかも、その場合、法的に締め上げるって事が、困難なんですよ」
「魔法少女と違法薬物……本当に最悪の組み合わせですわね」
「まったくだ。
 タダでさえグリーフシード不足で魔女化寸前の魔法少女なんて、グリーフシード欲しさに何でもやりますからね。
 マジで末期の薬物中毒患者と変わんな……あっ、しっ、失礼しました!」
「いっ、いえ……お気になさらず」

 と……

「そうか……読めてきたぞ」
「え?」
「最悪ですが。新人でも、魔法少女を『手っ取り早く』強くする方法があります」
「……どんな、方法で?」

 俺が、真剣な目で、巴さんを見る。

「ドラッグですよ。精神的にハイにして、自分は無敵だと思いこませる。
 思いや感情をエネルギーにする魔法少女にとっては、これほど効率のいい手段は無い。
 感情を生み出すエンドルフィンだって何だって、基本は脳内麻薬なんですから、『外付けで足しちゃった』ほうが、より効率的だ!」
「まさかっ! そんな事が!」
「ドラッグってのは、そういうモノなんですよ。脳内麻薬の足りないぶん、あるいは、それを作りだす中枢に作用して、『多幸感なり何なりの感情』を人工的に作り出す。
 勿論、そんな事すりゃ破滅一直線です。使ってる魔力だって暴走状態だろうし、ドラッグが無ければ、何も出来ない人間になっていく……いや、普通の人間より魔法少女の場合、遥かに最悪の末路を辿る事になる」

 例え、麻薬でボロボロになった体を治すにしても、それには魔力が要る。そして、魔力を確保するためには、グリーフシードが要る。
 結局、彼女たちが破滅する末路は変わらない。むしろ、加速度的に、それは増して行くだろう。

「……どうやら、ワルプルギスの夜よりも前に、私たちが動くしかないかもしれませんわね」
「まったく……どうしたもんかね」

 と……

「沙紀?」

 ドリンクを取りに行った、沙紀の姿が見えない事に気付き……俺は、顔面が蒼白になった。


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