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No.27923の一覧
[0] 続・殺戮のハヤたん-地獄の魔法少年-(オリキャラチート主人公視点・まどか☆マギカ二次創作SS)[闇憑](2011/07/22 09:26)
[1] 第一話:「もう、キュゥべえなんかの言葉に、耳を貸しちゃダメだぞ」[闇憑](2011/05/22 06:22)
[2] 第二話:「マズった」[闇憑](2011/05/22 06:27)
[3] 第一話:「もう、キュゥべえなんかの言葉に、耳を貸しちゃダメだぞ」[闇憑](2011/05/22 06:27)
[4] 第三話:「…………………………いっそ、殺せ…………………………」[闇憑](2011/09/03 11:27)
[5] 第四話:「待って! 報酬ならある」[闇憑](2011/05/22 14:38)
[6] 第五話:「お前は、信じるかい?」(修正版)[闇憑](2011/06/12 13:42)
[7] 第六話:「一人ぼっちは、寂しいんだもん」(微修正版)[闇憑](2011/09/03 11:16)
[8] 第七話:「頼む! 沙紀のダチになってやってくれ! この通りだ!!」[闇憑](2011/09/03 11:19)
[9] 幕間『元ネタパロディ集』(注:キャラ崩壊[闇憑](2011/05/22 16:31)
[10] 第八話:「今宵の虎徹は『正義』に餓えているらしい」[闇憑](2011/05/29 09:50)
[11] 第九話:「私を、弟子にしてください! 師匠!!」[闇憑](2011/05/24 03:00)
[12] 第十話:「魔法少女は、何で強いと思う?」[闇憑](2011/05/29 09:51)
[13] 第十一話:「……くそ、くら、え」(微修正版)[闇憑](2011/07/03 00:29)
[14] 第十二話:「ゆっくり休んで……お兄ちゃん」(修正版)[闇憑](2011/07/03 00:31)
[15] 第十三話:「……俺、知ーらね、っと♪」[闇憑](2011/05/29 02:56)
[16] 第十四話:「……どうしてこうなった?」[闇憑](2011/05/29 12:51)
[17] 第十五話:「後悔、したくなかったの」[闇憑](2011/05/30 09:02)
[18] 第十六話:「そうやってな、人間は夢見て幸せに死んで行くんだ」[闇憑](2011/05/31 05:06)
[19] 第十七話:「……私って、ほんと馬鹿……」[闇憑](2011/06/04 00:21)
[20] 第十八話:「……ひょっとして、褒めてんのか?」[闇憑](2012/03/03 01:24)
[21] 第十九話:「なに、魔法少年から、魔法少女へのタダの苦情だよ」[闇憑](2011/06/06 19:26)
[22] 第二十話:「まさか……あなたの考え過ぎよ」[闇憑](2011/09/07 17:50)
[23] 第二十一話:「『もう手遅れな』俺が、全部やってやる!」[闇憑](2012/03/03 01:28)
[24] 第二十二話:「……あなたは最悪よ、御剣颯太!!」[闇憑](2011/07/07 07:27)
[25] 幕間「魔術師(バカ)とニンジャと魔法少年」[闇憑](2011/06/15 03:50)
[26] 第二十三話:「これで……昨日の演奏分、って所かな?」[闇憑](2011/06/17 04:56)
[27] 第二十四話:「未来なんて誰にも分かるもんかい!!」[闇憑](2011/06/17 17:05)
[28] 第二十五話:「……ぐしゃっ……」(微修正版)[闇憑](2011/06/18 20:28)
[29] 第二十六話:「忘れてください!!」[闇憑](2011/06/18 23:20)
[30] 第二十七話:「だから私は『御剣詐欺』に育っちゃったんじゃないの!」[闇憑](2011/06/19 10:46)
[31] 第二十八話:「……奇跡も、魔法も、クソッタレだぜ」[闇憑](2011/06/19 22:52)
[32] 第二十九話:「……『借り』ねぇ」[闇憑](2011/06/21 19:13)
[33] 第三十話:「決まりですね。颯太さん、よろしくお願いします」[闇憑](2011/06/23 05:46)
[34] 第三十一話:「……しかし、本当、おかしな成り行きですね」[闇憑](2011/07/29 02:55)
[35] 第三十二話:「だから、地獄に落ちる馬鹿な俺の行動を……せめて、天国で笑ってください」[闇憑](2011/06/26 08:41)
[36] 幕間:「~ミッドナイト・ティー・パーティ~ 御剣沙紀の三度の博打」[闇憑](2011/06/26 23:06)
[37] 幕間:「魔法少年の作り方 その1」[闇憑](2011/07/20 17:03)
[38] 幕間:「ボーイ・ミーツ・ボーイ……上条恭介の場合 その1」[闇憑](2011/07/04 08:52)
[39] 第三十三話:「そうか……読めてきたぞ」[闇憑](2011/07/05 00:13)
[40] 第三十四話:「誰かが、赦してくれるンならね……それも良かったんでしょーや」[闇憑](2011/07/05 20:11)
[41] 第三十五話:「さあ、小便は済ませたか? 神様にお祈りは? 部屋の隅でガタガタ震えて命乞いキメる覚悟完了、OK!?」[闇憑](2011/12/30 17:53)
[42] 第三十六話:「ねぇ、お兄ちゃん? ……私ね、お兄ちゃんに、感謝してるんだよ?」[闇憑](2011/07/08 18:43)
[43] 第三十七話:「泣いたり笑ったり出来なくしてやるぞ♪」[闇憑](2011/07/12 21:14)
[44] 第三十八話:「……なんか、最近、余裕が出てきてから、自分の根性がネジ曲がって悪くなっていった気がするなぁ」[闇憑](2011/07/13 08:26)
[45] 第三十九話:「『死ぬよりマシ』か『死んだ方がマシ』かは、あいつら次第ですがね♪」[闇憑](2011/07/18 14:42)
[46] 第四十話:『……し、師匠は優しいです、ハイ……』[闇憑](2011/07/23 11:00)
[47] 第四十一話:「まだ共に歩める可能性があるのなら! 『感傷なんて無駄な残骸では無い』というのなら! 是非、それを証明したい!」[闇憑](2011/07/22 00:51)
[48] 第四十二話:「……ありがとう、巴さん。今日の御恩は忘れません。本当に、感謝しています」[闇憑](2011/07/26 10:15)
[49] 第四十三話:「お兄ちゃんひとりだけで闘うなんて、そんなの不可能に決まってるじゃないの」[闇憑](2011/07/25 23:58)
[50] 幕間:「特異点の視野」[闇憑](2011/07/31 06:22)
[51] 幕間:「教会での遭遇」[闇憑](2011/07/27 12:16)
[52] 第四十四話:「……少し……二人で考えさせてくれ」[闇憑](2011/07/29 05:28)
[53] 第四十五話:「営業遅ぇんだよ、キュゥべえ……とっくの昔に、俺はもう『魔法少年』なんだよ……」[闇憑](2011/07/31 11:24)
[54] 幕間:「御剣沙紀、最大の博打」[闇憑](2011/07/31 18:28)
[55] 四十六話:「来いよ、佐倉杏子(ワガママ娘)……お前の全てを、否定してやる」[闇憑](2011/08/01 00:14)
[56] 第四十七話:「いや、付き合ってもらうぜ……あたしと一緒になぁっ!!」[闇憑](2011/08/01 12:45)
[57] 第四十八話:「問おう。あなたが私の、魔法少女か?」[闇憑](2011/08/04 00:58)
[58] 第四十九話:「俺の妹は最強だ!」[闇憑](2011/08/06 07:59)
[59] 第五十話:「さあって、反撃開始だ! 魔法少年の……魔法少女の相棒(マスコット)の『喧嘩』は、魔法少女よりもエグいぜぇ……」[闇憑](2011/08/07 08:51)
[60] 幕間:「特異点の視野、その2」[闇憑](2011/08/09 18:08)
[61] 終幕?:「無意味な概念」[闇憑](2011/08/14 21:37)
[62] 幕間:「神々の会話」[闇憑](2011/08/09 04:55)
[63] 幕間:「師弟の会話、その1」[闇憑](2011/08/10 08:12)
[64] 幕間:「師弟の会話、その2」[闇憑](2011/08/11 14:22)
[65] 終幕:「阿修羅の如く その1」[闇憑](2011/08/13 21:46)
[66] 終幕:「阿修羅の如く、その2」[闇憑](2011/08/14 17:37)
[67] 終幕:「阿修羅の如く その3」[闇憑](2011/08/16 06:33)
[68] 終幕:「阿修羅の如く その4」[闇憑](2011/09/04 08:25)
[69] 幕間:「特異点の視野 その3」[闇憑](2011/08/21 10:17)
[70] 終幕:「阿修羅の如く その5」(修正版)[闇憑](2011/09/03 20:17)
[71] 幕間:「御剣家の人々」[闇憑](2011/09/16 10:25)
[72] 嘘CM[闇憑](2011/09/08 09:26)
[73] 終幕:「御剣家の乱 その1」[闇憑](2011/09/30 20:58)
[74] 幕間:「御剣沙紀のちょっとした博打」[闇憑](2011/09/11 01:58)
[75] 幕間:「御剣沙紀、最大の試練」[闇憑](2011/09/11 23:14)
[76] 幕間:「御剣冴子の憂鬱」[闇憑](2011/09/16 20:12)
[77] 幕間:「御剣家の人々 その2」[闇憑](2011/09/17 06:53)
[78] 終幕:「御剣家の乱 その2」[闇憑](2011/09/30 20:58)
[79] 終幕:「御剣家の乱 その3」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[80] 幕間:「御剣沙紀、最大の試練 その2」[闇憑](2011/09/22 20:36)
[81] お笑い[闇憑](2011/09/25 09:22)
[82] 終幕:「御剣家の乱 その4」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[83] 幕間:「作戦会議――御剣家の乱・決戦前夜」[闇憑](2011/09/30 20:59)
[84] 終幕:「御剣家の乱 その5」[闇憑](2011/10/01 09:05)
[85] 終幕:「御剣家の乱 その6」[闇憑](2011/10/21 09:25)
[86] 終幕:「水曜どーしよぉ…… その1」[闇憑](2011/10/04 08:23)
[87] 終幕:「水曜どーしよぉ…… その2」[闇憑](2012/01/12 14:53)
[88] 幕間:「斜太チカの初恋 その1」[闇憑](2011/10/14 11:55)
[89] 幕間:「斜太チカの初恋 その2」[闇憑](2011/10/19 20:20)
[90] 幕間:「斜太チカの初恋 その3」[闇憑](2011/10/30 03:00)
[91] 幕間:「斜太チカの初恋 その4」[闇憑](2011/11/07 04:25)
[92] 幕間:「斜太チカの初恋 その5」[闇憑](2011/11/13 18:04)
[93] 終幕:「水曜どーしよぉ…… 3」[闇憑](2011/11/21 04:06)
[94] 終幕:「最後に残った、道しるべ」[闇憑](2012/01/10 07:40)
[95] 終幕:「奥様は魔女」[闇憑](2012/01/10 07:39)
[96] 幕間:「神々の会話 その2」[闇憑](2012/03/11 00:41)
[97] 最終話:「パパはゴッド・ファーザー」[闇憑](2012/01/16 17:17)
[98] あとがき[闇憑](2012/01/16 17:51)
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[27923] 幕間:「師弟の会話、その2」
Name: 闇憑◆27c607b4 ID:cb2385d9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/08/11 14:22
※参考:ドリフ大爆笑より『剣の修行』


「……師匠、そろそろ、『剣の修行』をさせていただけないでしょうか?」

 ワルプルギスの夜戦以降。
 縄張りの引き継ぎだの何だかんだとあって、ひと段落ついて以降。

 俺は、縄張りの巡回ついでに、ひょっこり訪ねて来る美樹さやかを相手に、『修行』と称して、炊事洗濯や学校の勉強等を教え込んでいたのだが……どーもそれが、いたく不満だったらしい。

「剣の修行だ? ……もう教える事なんて、特に無いぞ?」

 何しろ、俺の剣は殺人剣である。
 正味、正義の魔法少女には相応しく無い。

「いやさ、もっとこう、ほら……ありそうじゃないですか、色々と……こーズババーンとか、ドカーンとか、気の利いた技とか!」

 ……はぁ……

「『剣の修行』の前に、まず『精神の修行』をしろ。馬鹿者が」

 ポコン! と小豆を煮てるオタマで、美樹さやかの脳天をひっぱたく。

「炊事洗濯掃除に勉強。それが完璧に出来て初めて『魔法少女』よ。
 『剣の修行』以前に、そんな事では『一人前の魔法少女』にはなれぬわ、馬鹿めが……目玉焼きの半熟か否かは、上条さんのよーな男の男心を左右する、最重要要素と知れぃ」

 どっかの師匠っぽく、しっかりとお説教。

「ううううう……!! 沙紀ちゃんだって、家事全然できないのに、魔法少女じゃないですか」
「あれは諦めた。俺にも手に負えん……マジで」

 はっきり言って、沙紀の料理の腕は、姉さんより始末が悪かった。色んな意味で。
 っつーか……いくらあいつの真の能力が『願望混成(ウィッシュ・オブ・マッシュアップ)』だからって、何でもかんでも混ぜりゃいいってもんじゃない!
 なんというか、こう『カルピスを牛丼にぶっかけるような真似』を、兵器……もとい、平気でやるから、おっかないのだ!

 『素材の持ち味を活かす』という概念から、まずは教え込んで行かんと……あいつはチャレンジャー過ぎる!!

「じっ、じゃあ、師匠! こうしません? 今から今日一日、晩御飯まで、私が不意打ちで撃ち込み続けるから、それで師匠から一本取れたら『何か教え込む』って事で」
「あ?」
「師匠は『達人』ですよね? だったら、私の不意打ちくらい、かわせるハズです!」

 なんだその……本当に、漫画みてーな『剣の修行』ちっくなのは……

「……はぁ。ま、いいか。
 ちょっと待ってろ、兗州(えんしゅう)虎徹持ってくる。あれが無いと、俺は対抗しようが無いからな」

 とりあえず、こいつの攻撃、全部回避しきる自信あるし。

「……さっ、隙あらば、何時でも来い」
「はい……てりゃあああっ!!」

 ていっ!

 兗州(えんしゅう)虎徹を鞘におさめたまま、斬撃を回避しつつ……美樹さやかの『足の小指』に向かって、ゴスン、と鞘の先端で一撃。

「うにゃあああああああっ、しっ、しっ、師匠……地味に痛いッス、その一撃」
「安心しろ。『否定の魔力』は手加減してやってるから……最近、調整が効くようになってきてな」
「こっ、こっ、こっ、小指、小指の爪が割れてる……地味にキッツい……などと言いつつとぉっ!!」
「色んな意味で『甘い』」

 そう言って、お玉で掬っておいた『煮えてるアンコ』を、美樹さやかの顔面にぶっかける。

「あじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃじゃ!! こ、こっ、これ、魔法少女じゃなかったら顔面大火傷ですよ!」
「何言ってるんだ? 昔は、船乗りたちの武器に『煮え立ったお粥』が使われてたんだぞ?」

 これ、ほんとの話。なにしろ、海の上でもろ肌脱いだ連中には、こーいう攻撃がかなり有効だったのだ。
 ……海に飛び込んで火傷冷やすにしても、海水って塩水だし、洒落にならなかったろうなぁ。

「教えてやるよ。『剣に拘る者は、剣に足元を掬われる』ってな。
 俺から一本取りたければ、まず剣を捨てる事から考えた方が早いぜ? さ、馬鹿な事やめて、ぐちゃぐちゃにした台所とか、綺麗にしておけよ」

 と……何でか意地になっちまったのか。

「っ……分かりました! でも『一本取るまで』諦めませんからね!」
「……いいけど、後片付けはお前がやれよ? 全部?」

 そう言って、美樹さやかが台所から立ち去って行った。




「くらえーっ!!」
「あ?」

 投擲するような剣の弾丸を、あっさり回避し……って!

「うわああああああああっ!!」

 パンッ、パンッ、パンッ、パンッ!!

 恐ろしい事に、我が家の武器庫から持ってきた拳銃……ベレッタ92Fを、俺に向かって暁美ほむら張りに発砲する、美樹さやか。
 しかも、彼女と違って、握りが『剣の握り』だからガク引きしまくってて、普通に銃口を向けられるよりも、別の意味でエラい危険である!

「これっ!」

 兗州(えんしゅう)虎徹で、ベレッタを吹っ飛ばして、馬鹿弟子の脳天に峰打ちを叩きこむ。

「うにゃあああああっ!! 痛ったぁ……」
「なーんでいきなし、リアル銃器持ちだすかなぁ? 正直、俺じゃ無ければ回避どころか、死んでたぞ!」
「うーっ……だって一本でも『撃ち込んで』みろって言ったじゃないですかー!」
「どこでそんなトンチキな言葉遊び覚えやがったテメェ!!
 いいか、教えてやる! 『魔法少女道』第二十三条に『リアル銃器を使ってはならぬ』とあるわ!」

 とりあえず、テキトーにでっち上げた理屈で、馬鹿弟子を説き伏せてみる。

「なんなんですか、その『魔法少女道』って」
「良い子の夢と希望をブッ壊さないための、お約束って奴だよ! みんなの夢と希望を叶えるのが、魔法少女って奴だ!」
「……暁美ほむらや師匠は使ってたってのに……」
「やかましい! そういうのは俺や奴みたいな、外道の使う武器だ!」
「はーい……」

 そう言いながら、美樹さやか……というか、馬鹿弟子は立ち去って行った。




 ……いーかげん、諦めたかな……

 そう思ってた、次の瞬間だった。

「ぐぼぁはああああああっ!!」

 唐突に『出現した』馬鹿弟子のブン回した『金属バット』に俺は吹き飛ばされた。

 ……はい、スピードスターの俺ですが、その分、装甲は紙装甲でございまして。
 金属バット程度でも、魔法少女の攻撃の直撃喰らったら、こんなもんである。

 しっ、しかし、何が……あっ!

 薄れゆく意識の中、ハイタッチする馬鹿弟子と沙紀。
 んで、沙紀の手には『暁美ほむらの使ってた盾』……そこまでやるかっ!!

「やだ、お兄ちゃんがチアノーゼになってる!」
「やばい、ちょっとイイ角度で入り過ぎた! 治さないと!」

 ピピ○ピルピルピピ○ピー、なんぞと悪ふざけしながら、良い笑顔で俺の傷を治して行く馬鹿弟子共。
 こっ、こっ、こいつら……

「おい、馬鹿弟子よ……お前に一言言っておく。
 『魔法少女道』第六十八条にな『金属バットで撲殺しておいて回復魔法で復活させるな』と書いてあるわ!」
「だから、なんですか、その『魔法少女道』って……」
「やかましい! 幾ら虚淵ワールドだからって、みんなの夢と希望をこんな形でブッ壊しまくるんじゃない!
 『時間停止から金属バット』なんて、そんな不意打ちで喰らったら、俺だって避けられるか! 馬鹿者が!」
「あ、やっぱり師匠、暁美ほむらの能力って苦手なんですね?」
「……あいつ個人の性格的に、色々分かりやすくて御しやすいがな」

 などとぼやきつつ、俺は馬鹿弟子共をリビングから追い出した。




「……………」

 もう、俺はピリッピリと警戒していた。

 沙紀の能力との相性からして、暁美ほむらの時間停止の能力は、そう長くは続かない。ので、時間稼ぎの柵を作っておいて、防衛戦に徹する覚悟を決めたのである。

 一体、なにをやっているのか、などとは問うてはならない。
 ここまで本気にさせた以上、この勝負、馬鹿弟子に負けるわけにはいかない。

 と……

「師匠、勝負です!」

 堂々と、入ってきた馬鹿弟子が、沙紀を背後に連れて俺の前に立つ。
 ……何でか、沙紀までペアで俺に突っかかって来る話になっちまったらしい……

「いいとも、何時でも来い!」
「とりゃああっ!!」

 と、次の瞬間。

「えいっ!!」

 無数のマスケットが展開。巴さんの能力で、沙紀が俺に一斉射撃……だが、甘い!
 そのまま、回避した……と、思いきや。

「なっ!!」

 するすると着弾したリボンが俺に巻き付き、動きを止めに来る。とはいえ、止まったのは一瞬だった。
 兗州(えんしゅう)虎徹でリボンを斬り払いながら……その動きに合わせた馬鹿弟子が、『俺の目の前に現れる』や、剣を握る俺の左腕を掴み……

「とぉぉぉぉぉっ!!」
「ごっ!!」

 両足で顔面を挟むように蹴り上げられると同時に、腕を逆関節に捻り上げられたまま……思いっきり二人分の体重をかけて、顔面から地面にブッ潰された。

「……出来た、虎王完了! って、ああああ、師匠!?」
「美樹さん、やりすぎ! お兄ちゃん脆いんだから!」

 再度、ぴくん、ぴくんと痙攣しながら、悶絶する俺を、馬鹿弟子と沙紀が治療していく。

「……馬鹿弟子よ。お前に一言いっておく。
 『魔法少女道』第六十八条……もとい、八十六条にな! 『魔法少女が関節技(サブミッション)を使ってはならぬ』と書いてあるわ!」
「自分が不意打ち喰らったもんだからって、それは無いでしょー」
「やかましいわ!
 第一、『魔女相手に』どうやって関節技極めるんだよ! しかもいきなり『か弱い人間』に魔法少女が二人がかりとか、ありうるか馬鹿者が! 本気で夢も希望もありゃせんわい! 色々ぶち壊しじゃ!
 沙紀! お前今後一切、手出し無し! っていうか、関節技かける直前に時間停止、また使っただろ!? 絶対手伝うんじゃないぞ!」
「ぶーっ!!」

 ぶんぶくれる沙紀。

 ……しかし、何だかんだと、こいつら恐ろしいコンビだな、おい。
 正味アレは、狭い屋内じゃ回避しようが無かったぞ。




「……………………」

 俺は、特に念入りに警戒していた。今の俺には、奴の立ち位置まで読める。

 壁の向こうか……だが、問題無い。 兗州(えんしゅう)虎徹の届く距離じゃないが、正味、圏内に入ったら、ガチで叩き斬ってやる心算でいた。
 もー、これ以上舐められてたまるか。

 と……何か、蒼い蛍のようなモノが飛んでいる。

 ……なんだ、まさか……

「見切ったぁっ!!」

 これはっ……まさか、『エリアサーチ』!? って事は!!

「つぇりゃあああああっ!!」

 バキャバキャバキャバキャバキャバキャ!!!

「どわあああああああああああああっ!!」

 体捨一閃……巨大化した馬鹿弟子の刃が『家の壁をぶち抜いて』刺突で俺に迫るのを、必死になって『否定の魔力』を込めた兗州(えんしゅう)虎徹で受け止める!!

「チッ……惜しい!!」

 などと嘯く、馬鹿弟子様。
 こっ、こっ、こっ、こやつは……こやつはぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!

「こんの、馬鹿弟子がぁっ!!」

 速攻で馬鹿弟子の脳天に、兗州(えんしゅう)虎徹の峰打ちを十発ばかりぶち込むと、脳天踏みしだいてぐりぐりと踏みにじる。
 勿論、『否定の魔力』全開で。死にはせんが、酷く痛いハズだ。

「『魔法少女道』第123条にな……『あたりの迷惑顧みず、エリアサーチからの壁抜きをしてはならぬ』とあるわ!
 だから貴様は馬鹿弟子なのだ、この愚か者が愚か者が愚か者がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!」
「痛くなければ憶えませぬ!! 誰が修理すっと思ってんだ、この家っ! マジで弁償させるぞ、この馬鹿弟子がーっ!!」

 怒声混じりに、俺は馬鹿弟子にグリグリ踏み踏みと蹴りを入れまくった。




「師匠」
「……」

 キレ倒しながら、俺は和菓子作りに没頭する。
 ……もー相手しない、相手してやんない。こいつ。

「師匠に頼まれた、おまんじゅうを作るための小麦粉を、倉庫から持ってきます」
「……行って来い」

 そう言って、追い出す。

 ……やっと、どっか行ったか……ん?

 馬鹿弟子の気配が、二階に上がって行く。

 ……小麦粉、小麦粉ねぇ……ああ、要するに、『コントのオチをつけてやろう』って魂胆か?
 ここまでブッ壊した家を、さらにブッ壊そうってか? 上等だ。

 案の定、天井で、何やら、ごそごそと動く気配。
 そこに向かって、俺は弓を引き絞るように兗州(えんしゅう)虎徹を構え……

「そこだぁっ!!」

 牙突一閃! 天井に向かって、兗州(えんしゅう)虎徹をぶちかました瞬間……

 みしっ……バキバキバキバキバキィ!!

「っ!! なっ、うおおおおおおおっ!!」

 さっきの馬鹿弟子の一撃で、家のヘンな所が切断されてしまったのか。
 牙突で台所の天井どついたら『天井丸ごと底が抜け始めた』

『うわああああああああああっ!!』
『きゃああああああああああああああああっ!!』

 ガットーン!!!!

 豪快に、もうもうと舞い上がる小麦粉と共に、天井が崩壊。
 そこに押しつぶされながら、辛うじて息のある俺は思った。

 魔法少女なんて……弟子にするモンじゃねぇな……と。


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