ごく普通の二人が、ごく普通に恋をし、ごく普通の結婚式を挙げようとしていました。でもただひとつ違っていたのは……奥様は魔法少女だったのです。「なんて、な……」「やっぱ居た! お兄ちゃん、どうしてココに居るのよ!?」 教会の裏手、生活スペースのキッチンで。 俺は『いつものよーに』エプロンをつけて普段着で料理をしていたら、見滝原高校の制服を着た、沙紀の奴に怒鳴られた。 ……学生服って便利だよなぁ……冠婚葬祭、コレ一着でオールOKって服、中々無いぜ?「あ? いや……式が終わったらパーティだろ? 食物が無けりゃ盛り上がらんだろーし」「だからって、明日の式の料理、お兄ちゃんが作るなんて……しかもお兄ちゃん、新郎でしょ!!」「そー言うな。何だかんだ、今の今までキッチンに立ち続けたんだ。 忘れたのか?キッチンは『俺の聖域』なんだぜ?」 その言葉に、沙紀の奴が溜息をつく。「どうしてこう……お兄ちゃんはいつも変わんない、自分ペースのままなんだから。 『もう時間が無い』っていうのに」 そう。 マミと共に過ごした日々は……『神様の短い春休み』は、もう終わりを告げようとしていた。 あの告白の後。 とりあえず成り行きから『世界の危機』とやらを6回ばかり(ついでに、日本の危機はソレ含めて10回)救う羽目になり……結果、俺の『人間としての』命数は、尽きようとしていたのだ。 ……ま、そのうち一回は、俺自身が招いたと言えるかもしれない。 何しろ、沙紀との戦闘を見ていた、他所の星の魔法少女の王女様が『是非、ザ・ワンを婿に迎えたい』などと寝言を吐いて、宇宙船の艦隊を率いて、俺とマミとの間に割りこもうとしやがったのだ。 ……何でも、種族全員、ほぼ魔法少女と化した結果、男がいなくなって、種の存続の危機に陥ったとか。 アタリマエである。 『女のワガママ全部聞いてたら』、そりゃ世界が滅ぶわ馬鹿タレが。 しかも、男は下僕や労働力扱いで、俺も実験動物(モルモット)として欲しているとの本音が透けて見えて。 で……とりあえず『反省して種族丸ごと滅んでしまえ。っつーか馬鹿女に興味は無い。俺はマミを愛してるんだ。男は理想のナイト様ばっかじゃねーんだぞ豚女』と断固拒否してバッサリ斬り捨てた結果、嫉妬の余り、いきなり地球破壊爆弾で地球を吹っ飛ばそうなんて暴挙に出やがったので、逆に爆弾ごと戦艦を消し飛ばしてやった。『悪いな、俺……『本当の意味で』『男女平等主義者』なんだ』 そんな感じで『本気の男の暴力』を目の当たりにし、彼女たちは小便漏らして逃げ帰っていってもらった。 これで反省すりゃいいんだけど……嫉妬に狂った女って、ホント頭オカシイ行動に出るよなぁ……『御剣颯太。 君は一個人でありながら宇宙のパワーバランスをも壊しかねない程の存在だ。 ……今更だけど、僕にもようやっと理解が出来たよ。この魔法少女のシステムの危うさが。 もし、鹿目まどかや、君が……僕も含めた宇宙の覇権種族の族滅を願っていたとしたら、それに抗う術なんて無い』「だろ? 俺や鹿目まどかが『温厚でマトモな奴』だった事に、感謝しやがれ」 その宇宙のパワーバランスをブッ壊しかねない神様は、こーやって結婚式を前に、キッチンで客に振る舞うための料理をしているワケですが。「そーいやキュゥべえ。少しは『感情』ってモン、理解出来たか?」『まだ研究中だよ。でも……』「でも?」『君という存在に対しての、『恐怖』という感情はよく理解出来たよ。 そして、その研究と体験は僕らの中で最重要課題さ。何しろ僕たちは『神様に滅ぼされたくない』 その言葉に、俺は大笑いする。「そうだよ。 人間はな、赤ん坊は、生まれた最初は、怖くて怖くてしかたねぇから泣き叫ぶんだ。 知ってるか、キュゥべえ……『神様』からの忠告だがな、宇宙ってのは、赤ん坊の形をしてるモンなのさ」『……?』「要は、宇宙が膨張していく家庭で、それを感情で埋めようってぇのはさ……『成長した子供にいろんなものを教えて行こう』って事でもあるのさ。 だからってな……『悲劇』や『絶望』ばっか教えていったら、そりゃどんどん『冷めたガキに育っちまう』んだよ」『何が言いたいんだい?』「いや? ただ単にハッピーエンドだとか、幸福だとか、そーいったモンも『形として示して行かないと』、どーしょーもないガキに育っちまうぞ、って事さ」 と……「颯太さん、手伝いますよ」「お、すまねぇな」 マミと一緒に、キッチンに並ぶ。「砂糖とって」「はい。あ、ブランデーを」 目を合わせず、それだけで、お互いがお互いに何を作るか、何をしたいかを理解しあえる関係。 ……ああ、ようやっと俺は……手に入れたんだ。 失い続けるだけだった『家族』って奴を。俺はやっと……手にする事が出来たんだ。 キッチンでマミと共に立ち続けながら。 俺はその幸せを噛み締めていた。 かつて、佐倉杏子の父の教会であり、今は魔法少女の孤児院であり……そして、今日、この日に限って、教会はかつての意味を取り戻す。 俺と、マミとの……結婚式。 タキシード姿で待つのは、新郎である俺。ベストマンは馬……美樹さやか。 そして神父役は……佐倉杏子だ。 最初、話を振った時は、全力で嫌な顔をされたのだが…… まあ、何だ。俺がマミと知り合って、みんなと知り合う切っ掛けの大本の元は、コイツの無茶で馬鹿な祈りだったワケで。「あんた、いちおー仏教徒じゃなかったっけか?」「ンなモン特に拘りは無ぇっつーか……だってさ、俺とマミが知り合う切っ掛けを作ったのは、結局お前さんじゃん? 俺を不幸にしたんなら、せめて議事進行取り仕切って、ちゃーんと『未来の幸せを祈る』手伝いくらいはしろよ」「まあ……わかったよ」 八千代の弾くオルガンの流れる中。 ウエディングドレス姿のマミが、バージンロードを沙希に手を引かれて、入ってくる。 讃美歌を歌い、式が始まる。 もっとも……スイートウォー○ー賛歌なのは、まあ……アイツの影響と、俺のリクエストだ。「汝、御剣颯太。 あなたは、病める時も、健やかなる時も、巴マミを妻として添い遂げる事を、誓いますか?」「誓います」 堂々と、宣言。「汝、巴マミ。 あなたは病める時も、健やかなる時も、御剣颯太を夫として添い遂げる事を……本当に、本当に、誓えるのか? だって……もう、こいつは……」「誓います」 はっきりと。 マミはそう、言った。言い切って……くれた。「っ……では、指輪の交換を」 俺は馬鹿弟子から。 マミは沙希から。 二人が指輪を受け取り、交換する。「契約は成立した。 汝らを円環の理の下に、夫婦と認める」 差し出されたのは、役所への書類。 婚姻届……の、コピーのほう。本当の書類は既に、二人で提出済みだ。 それに俺もマミも、サインを入れる。 この瞬間。 巴マミは、御剣マミになり。 俺達は、本当の意味で、夫婦になり、家族になった。「おめでとう!!」「おめでとう!!」 列席者たちのライスシャワーの中を、二人で歩く。 何だかんだと……男友達でも、事情を知ってる知り合い、その他。 他にも色んな魔法少女が、この式に集まってくれた。 だが……みんなが少し、湿っぽいのは……まあ、しょうがないよな。「そんじゃまぁ、ブーケトスと行きましょうか!」 その言葉に、目の色が変わる魔法少女たち。 マミの手から放られるブーケ。そして……それをキャッチするための壮絶な争奪戦が始まる。「ゲットーっ!!」 中でも、一番目の色が変わってるのは、つい最近、8回目の失恋を経験した沙希だ。 もーなんというか……我が妹ながら、色々な意味で情けないっつーか泣きたいっつーか……『目玉焼きは生焼けだとおもう!? 丸焦げだとおもう!?』って……そりゃ男にフられるわ!! 『花嫁修業しろ』って、マミと並んで口酸っぱく言っても『お兄ちゃんとマミお姉ちゃんの式が先でしょー』とか、のらりくらりとかわしやがって……だからあれほど料理覚えろと言ったのに。 しかも背は伸びないわ、絶壁ツルツル行進曲、大平原の小さな胸なのは相変わらずだし……マジで婚期逃すぞ、コイツ。 だがまぁ……多分、最終的には……「破ぁっ!!」 そんな沙希を飛び超えて、予想通り、いちばん高々と跳躍したのは、馬鹿弟子……美樹さやかだった。 そして……「えへへー、やっほー、恭介!! 次はあたしたちの番だよーっ!!」「さっ、さやかっ!!」 上条恭介が顔を真っ赤にさせて、あたふたとあわてている。 ……海外留学した後に、新進気鋭の若手バイオリニストとして成功を掴んだ彼は、今日、この日の為に欧州から一時帰国して駆けつけてくれたのだが。 ……うん、まあ、逃げようもないし、逃げられんな、コイツは。料理とか剣術とか、俺が色々教えこんだ結果、いろいろと美樹さやかに尻に敷かれてるみたいだし。……布団の中以外では。「ほんと、羨ましいですわ……」 そう言って、ため息をつくのは、志筑仁美だった。 結局、何だかんだと彼女もお見合いで、相手が決まったらしいが……やっぱりブルジョワな一族というのは、色々あるそうで。 それでも、相手の人は誠実な人みたいだし……まあ、見合いもまた出会いの一つの形だし。 彼女が不幸になる事は、多分無かろう。「そういや、キュゥべえ。あのシステムは、役に立ったか?」『うん。だけど、これは……君の持つ『鹿目まどかより前の世界』の知識なんだね?』 そう。 俺は……『再び、神へと戻る間際に』、全てを思い出していた。 闘争に明け暮れ、死と隣り合わせの日々を歩み、敵も味方も家族も。全てを殺して殺して殺しまくった、絶望に満ちたあの戦いの日々を。 そして、その果てに手に入れた、奇跡も魔法も関係ない、宇宙を維持するシステムを。 もっとも、効率的に現時点でかなり劣る代物だからこそ、しばらくは魔法少女のシステムと併用する形になるが……いずれ、研究が進んで効率化が進めば、魔法少女の存在も不要になるだろう、との事だった。 『誰かの願いは、誰かの呪い』。 そして、奇跡や魔法のシステムで生み出された願いが、魔獣を発生させる呪いを生み出す元だとするならば。 俺が闘争の果てに見出したこのシステムは、いずれ宇宙の平和への架け橋になってくれるだろう。そう、信じたい。 何しろ、鹿目まどかや、俺といった、次元をぶっちぎりに超越した神様を作ってしまう可能性のある、奇跡や魔法のシステムより、この方法のほうが、宇宙人たちにとっても、はるかに低リスクなのだから。 実際に、俺の存在。 そして俺が存在する事によって二次方程式的に証明された、鹿目まどかの存在が、宇宙の覇権種族の方々に、ものすごい危機感を抱かせたらしい。 『こいつはヤベェ……うっかりしたら自分たちが奴隷にされかねない』……と。 『もう二度と、人の手から、概念という神を生み出してはならない』(意訳:猿に核爆弾を持たせてはならない)。 そういった意味で、この魔法少女のシステムは、だんだんと規制がかかって来ているそうな。 数十年、もしくは数百年単位にはなるだろうが……おそらく、徐々に撤廃、封印されて行くのも時間の問題だろう。『鹿目式にせよ、御剣式にせよ……誰かの願い、誰かの祈りが、因果の糸に複雑に干渉した結果、『神』を生み出してしまう可能性がある以上、このシステムは宇宙にとっても、危険極まりないモノだと分かったからね』「気づくのが遅ぇよ……ってか、馬鹿だろ、お前ら?」『だって、ワケが分からないじゃないか。神様なんて』「ま、そりゃそうだ。 俺だって好きこのんで神様になったワケじゃねぇからな……でも、ワケが分からないって事には、まず疑問を持って、疑って、恐怖を抱いたほうがいいぜ? 今のお前に足りないモノは、『未知の存在への危機感』と『それを乗り越える用心深さと好奇心だ』」 俺は、ただの男だった。ただ、家族を守りたかった。 鹿目まどかも、普通の少女だった。普通の女の子だった。 ただ、誰かに託された思いがあった。願いがあった。 それにNoと言わず、受け止める覚悟を決めて、思いに答えた結果。 俺も彼女も神様なんて、分不相応なモンになってしまった。 正直……「メンドクセェ。 ……けど、ヨ。義理ぁ果たねぇとな……」 そう呟いて、俺はマミの腰を抱き寄せて、キスを交わす。 そして……その薬指につけた結婚指輪。それに埋め込まれた、『俺のソウルジェムの欠片』を介して、彼女の中に、俺の記憶の一部を『伝えた』。 闘争と死。 その果てに行きついた、俺の神としての破滅と……そこを救った女神の事。 そして再び死と破滅を前提に、『約束を果たすために』戻ってきた事を。「あっ……は、颯太……さん……」「約束……守ったぜ。マミ」 そして、無言で俺の胸の中で涙を流すマミを抱きしめながら。 その向こう。 この場に来ていた鹿目まどかと、それに連れられたチカの奴に、頭を下げた。 『すまない』 そして 『ごめん』と。 そして、一度、マミの背中を撫でて、目を離したときには。 もう彼女たちはその場から姿を消していた。 ……そして……「ん……そろそろ、限界が近いみたいだ」 俺の肉体のソウルジェム化は、いよいよ最終局面へと入ってしまった。「暁美ほむらよぉ、お前もわかってると思うが…………魔法や奇跡で直接起こしたことは、同じモンで元に戻せるかもだがな。 それが引き金になって『起こっちまった事』ってのは、魔法や奇跡じゃ、どーにもなんねーって……分かってるよな?」「……何が、言いたいの?」「お前、最近さ、『無駄に魔力が増えている』だろ? つまり……お前も『俺と同じような道を歩み始めている』って事さ」 それが、並行世界を繰り返しつづけた因果だとするならば。おそらくは……俺と同じような理屈が、彼女にも適応されるハズだ。 何しろ、彼女は……『並行世界の自分』という『赤の他人の人生を乗っ取って使い捨てにする』という罪深い事を、繰り返しまくったのだから。「お前が『人として生きる事に価値を見出す』か、それとも『親友に会いに行くために、本格的に人間をやめるか』。それを選ぶのはお前さん自身だが……ひとつ、先達からの忠告だ」「何?」「その答えはな……『一人で戦い続けるだけじゃ、決して見えて来ねぇ答えだ』、って事さ。 『全ての答えを、自分一人で掴めると思うな』。 それは、どんな天才や超人や神様にだって絶対不可能だ。しかも、その個人が掴んだ答えは『全ての万人に適用出来るわけじゃない』。 だから、男がいて、女がいる。 性別が違えば、視野が違う。視点も違う。そして『正義』もまた違ってくる。 ……つまりは、そういう事なのさ」 きっと、多分。 永久に男と女は、どこかで求めあい、争いあう運命なのだろう。 もしかしたら……どっかに男と女の性別を二つに分か立った神様が、居たのかもしれない。 なにしろ『完璧』という事は……『そこから一歩も進歩出来なくなってしまう』という事なのだから。 『完全でない事が完全』であり……だからこそ、連綿と続いたモノ、受け継がれたモノは尊いのだ。個性と個性が衝突し、高め合う事。ぶつかりあいの中から生み出す火花の答え。 それは全てにおいて、理由があり、意味があり、尊いモノだと……俺は、思う。 だからこそ……「忠告、感謝するわ。『正義のヒーロー』」「ん。って、やべぇ……そろそろか」 マミから離れ……俺は一人、歩き出す。「じゃあな、マミ。……ちょっと神様になって来る」「……いってらっしゃい、あなた」「うん、行ってくる。 ……達者でやれよ、みんな! ちゃーんと『神様は見てるんだからな!』」 肉体が石(ソウルジェム)へと全て置き換わっていく。 そのまま、ザラザラと風化し、肉体は朽ち果て……俺は再び、神へと……概念へと成り果てていった。「行っちゃったね、師匠……」 ブーケを手にした美樹さやかが、遠い目をして呟く。「寂しくなるなぁ……あの人の怒鳴り声が、今じゃ懐かしいっつーか……『つけあがるな、この馬鹿弟子がーっ!!』って……ほんとに師匠なんだもんなぁ、あの人」「美樹さん、よく耐えられたね……あのスパルタ教育に」「まあ……ガチでギアナ高地に放り込まれた時は、どうしようかと思ったっけ。 他にも暴走する特急電車でテロリスト相手にする事になったり、戦艦で暴れる魔獣をキッチンで相手にしたり……は、ハハハハハハ」 御剣沙希につっこまれ、何やら、トラウマまでぶり返したのか、目がドンヨリと曇り始める美樹さやか。 と……「あら? 寂しくなんて、ならないわよ? むしろ……私にとって、これからが大変、かな?」 そう言って巴マミ……否、御剣マミは微笑んだ。「だって……『これから家族が増えるんだから』」『え?』 慈愛に満ちた表情で、ウエディングドレスのおなかをさする、マミ。 その、意味は……「まさか……マミ、おめぇ……」「御医者様に三か月って言われたわ。……母子共に順調だ、って」『えええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!』 騒然となる教会前。「おっ、おっ……お兄ちゃん……なんて無責任な……」「ちょっと待て、おい! いいのかよ、本当に! マミ!」「いいの。むしろ、颯太さんは反対したんだし。それに……一番、私が望んだんだから」 そこに居たのは、母親としての顔を持ち始めた、御剣マミの姿。「希望を信じるなら、夢を信じるなら。いつまでも『夢見る少女じゃ居られない』……居られるわけが無いのよ。 夢や希望って、本人のモノだけで終わったら意味がない。『自分の夢や希望を叶えた上で』、『誰かに後に続きたいと思える夢や希望を分け与える』。 それが出来るのが、一番じゃない。 確かに、物凄く難しいし、イバラの道だけど。それでも颯太さんとだったら……愛する人とだったら、一緒に歩く価値がある。挑む意味がある。 それが出来れば……多分それはとっても嬉しいな、って」 にっこり微笑む、御剣マミ。「だからね、私……『魔法少女』って名乗るの、やめようと思うの」「あー、まあ、確かに……二十歳超えて結婚して、子供が出来たのに『魔法少女』も無いよね」 年長の列席者が何人か、うんうんと頷く。「うん。 でも、この奇跡や魔法の力は……みんなに夢や希望を分け与えられる力も、ものすごく大切だから。 ……だから、ちょっと縁起が悪いんだけど……」 母親の表情で。 それもとびっきり魅力的な笑顔で。「『魔女』とでも、名乗っちゃおうかな、って♪」