職を探して転々としていた俺は、765プロというアイドルを育てる事務所に見学に来た。
「こ、ここが765プロか…」
「はっはっ、さすがに緊張するかい?」
俺は765プロの入り口扉で少々テンパッて扉を開けることを躊躇していた。
さすがに女性ばかりがいるようなイメージがある『アイドル事務所』で、俺のこのダボダボな服装を見られたら笑いものにされそうだと思ったからだ。
(もう少しまともな服着てれば良かったなぁ…あ、全部洗濯したんだった)
「き、君。大丈夫かい?なんだか空気が重たくなっているよ」
「え?あ、あぁすいません。」
(流石にずっと躊躇してちゃいけないな…おっしっ!)
俺は頬を両手で軽く叩くと、決心し、扉のドアノブに手をかけた。
「ふむ、どうやら決めたようだね。まぁ今日は『見学』だから、そこまで気を張らなくてもいいよ」
「はい、ありがとうございます」
俺は優しい声音で応援してくれている社長に頭を下げて、礼を言う。
…なぜだろう、今度は太陽じゃなくて日陰で社長の顔が見えない。
(まぁそんなことは置いといて、落ち着いてCOOLになって…)
『ガチャ』
「し、失礼します!」
俺は扉を少し早く開け、裏返ってしまった声であいさつを事務所内にいるであろうアイドルや関係者に言った。
そしてその事務所には…
「あ…ど、どうも」
「こんにちわ」
2人の女性しかいなかった。
「くっ…!」
俺はその後長い時間地面に手をつけて泣いていたと思う。
どうやら今日はアイドルたちのほとんどが野外での活動やオーディションを受けにいったりしているらしく、事務所には2人しかいないらしい。
「あ、あの大丈夫ですか?なんか…変なオーラが」
「だ、大丈夫です。アイドルですもんね、そりゃがんばってるんですよね」
「あはは、なんかゴメンナサイね」
緑色の髪をしていて、口元のホクロが可愛らしい事務員の『音無 小鳥』さんは俺の負のオーラに少し引き気味らしい。
そしてその隣にいる髪型をアップスタイルにしているメガネっ娘の『秋月 律子』は悪くもないのにお詫びをされた…すごい罪悪感だ。
ちなみに彼女はここの事務員兼アイドル候補生になっているらしい。
さすがにアイドル全員を見ることは初日では難しいのかもしれない、と俺は実感した。
「でも、2人の可愛らしい事務員さんを見れただけも儲けもんだな」
俺はとりあえず自分を奮い立たせるためにも、何か言っておいたほうがいいと思い、二人に向かって呟いた。
「ふふっ、ありがとうございます」
「う、う~ん。可愛いと言われて喜ぶべきか、事務員と言われて怒るべきか…」
小鳥さんは淑女らしく口元を手で隠して笑い、律子は腕を組んで複雑に眉間にしわをよせていた。
「まぁ、もうお昼時だし、皆も何処かで休憩して食事をしているのかもしれないねぇ」
「じ、時期が悪すぎた…」
社長の言うとおり、アイドルたちは休憩がてら食事をしているのかもしれない。
そうなると事務所に帰ってくる時間は遅くなるのは当然かもしれない。
「ってそういえばもう昼だったのか。…今日は軽いものしか食べてなかったなぁ」
「あ、それじゃぁ私おにぎり作りましょうか?」
「い、いいんですか!?」
俺の呟いた事に小鳥さんは気前良く乗ってくれて「私のでよければ」と微笑しながら言ってくれた。
「小鳥さん、私も手伝いますよ」
「ぜ、ぜひ!おぉ…美人2人のお手製おにぎりが食えるとは、俺はついてるのか!?」
2人は事務所の給湯室へ行き、俺はそんな2人に膝をついて両手を組んで崇めていた。
すると窓際に立っていた社長が俺に話かけてきた。
「君、入ってくる前よりもなんだかリラックスして雰囲気が違うねぇ」
「あ、やっぱりそう思いました?実はバイトの同僚とかからも言われてたんですよ『お前はリラックスするとキャラが違うな』って」
俺はその後も社長と軽く談笑しながら、おにぎりが出来るまで待つことにした。
「お待たせしました~」
「おぉ、シンプル・イズ・ベストなおにぎりだ」
俺の目の前には三角形に模られたのり付きおにぎりがホクホクと白い湯気を上げながら置かれた。
「どうぞ、召し上がってください」
「はい!よろこんでいただかせてもらいます!」
俺は手を合わせていただきますと言うとおにぎりを掴んで口に運ぶ。
「うんむ、うまい!」
「ホント、おいしいの~!」
俺はそのまま二口目にいこうと口を開けたが
「……の?」
「なの?」
「…」
「あふぅ…」
だ れ こ の 子 ?
「あぁ!?美希ぃ、アンタ何処にいたのよ!」
「あ、律子。ずっと待合室で寝てたの~。でも、おにぎりの匂いがしたから起きてきたの~」
「ふぅ~ん。…って、律子『さん』でしょーが!」
律子の迫力ある説教を受けてもなお、金髪の外人っぽい少女はマイペースに答えているようで流しているような口調でしゃべっている。
「え、え~っと。…この子は」
「あぁ、彼女は『星井 美希』君。プロポーションもダンスも有望なものなんだが、少し性格に難がある子なんだよ。」
社長は俺の質問に答えてくれて、俺は美希と呼ばれた子を見てみる。
「たしかに…出てるところは出てるし、顔も整ってていいですね」
「このおにぎりおいしいの~。…zzz」
「ちょっ!?コラー!事務所のソファーはベットじゃないのよー!ねーるーなー!」
「難はありますけど…」
でも寝顔も可愛いと思ったのは内緒である。
俺はその後、社長の元により
「社長、俺…アイドル育ててみようかな、って思いました」
「ほぅ、それはいいことだ。」
社長はそれを受け入れてくれるように頷き、応答してくれる。
「社長…俺、アイドル、育てたいです」
「そうか…え!?」
社長は驚いたように俺のほうを向き、体を震わせている。
「いや、なんか美希を見てたら『こーゆー子をトップアイドルにしたら毎日がすごく楽しいんだろうな』って思って」
俺はいまだに寝息を立てている美希を見る。
「…zzz」
「それに、プロデューサーってなんか面白そうですし」
俺はこの日、
765プロに入ることを決意した。
もちろん下心もあったがな…(キリッ
(**)あとがき
どうも、アニメのアイマスをアイシテマス。愛ドルです。
今回は結構オリキャラがプロデューサーになるのが急になってしまいました。
申し訳ありません。
しかし真は俺の(ry
アニメを見たり、真を見たり、涼を見たり。
そんなせいで投降は遅くなるかもしれませんが、がんばりまっす!うっう~!