作者「誰だ今フリーダイヤル500-500とか言ったやつ。」
「おつかれさまでしたー!」
「おつかれさまです!」
今日はやよいが出演するドラマ撮影があった。
今取り終わった最後のシーンはセットを使っていたので、出演者の中には、もう楽屋へ帰っていったり、台本を見ながらうまく演技が出来ていたかを監督に聞いている人もいた。
「さて、やよいは楽屋にいるらしいし、早くつれて帰らないと…」
俺は関係者しか通れない通路で、やよいがいる楽屋を探していた。
しかしここはかなり広く、今回のドラマは初回ということもあってそれなりに人が多いので、この通路の右も左も今日のドラマ出演者の楽屋で満杯だった。
「えー…おっ、あったあった。やよいー、入るぞー?」
『あ、プロデューサーさん!どうぞー!』
俺はやっとやよいの楽屋を見つけだし、扉をノックしてやよいから承諾を受けてから部屋へ入る。
「やよいー、そろそろ事務所にもど」
「「「わーーー(シュバッ)!!」」」
「うぉおおっ!!?」
俺が扉を開けた瞬間女性特有の声の高さと匂いをもつ何かによって顔・上半身・下半身に飛びつかれて後ろに倒れてしまった。
「ぷ、プロデューサーさーん!?だいじょーぶですかー?」
「わーい!」
「この人のお胸あったかーだよー」
「…スリスリ」
やよいが心配して駆けつけてくれる足音と、謎の3つの声が聞こえ、俺はまず両腕で顔にしがみついている何かを引き剥がした。
「よいしょー!」
「わー!たかいたかーい!」
…まず驚いたのは言うまでもない。
俺の腕にはまだ小学生らしき舌ッ足らずな喋りで喜んでいる少女がいる。
髪は少女らしく黒色のツインテールで、顔も喜怒哀楽が激しそうな感情豊かそうな子だった。
彼女は仰向けの俺に上から持ち上げられているので、もしここで離せばこの子の体は重力に逆らって下落ちる。
いうなれば
ここで離せば彼女も俺も危ないだろう。
しかしまだ俺の上・下半身にへばりついている何かがいるので、迂闊には動けない。
俺は腕で彼女を持ち上げながら顔を動かし、残る2つの存在を確かめた。
…驚いた。
「…ん?だよー」
「…はてな」
俺の上半身には響と真を足したような活発そうな子で、髪は栗色のショートカットヘアーだった。
下半身には口で擬音をしゃべる腰まで伸ばしている紫色の髪が印象的な不思議系の少女が、いまだに俺のふとももに頬を擦りつけながらそこにいた。
数分後
「なるほど、この子たちも同じドラマに出てて、話をするうちに仲良くなったのか」
あの後なんやかんやでやよいに助けてもらい、説明を受けていた。
「はい!この子たち、589(こやく)プロに所属してるんです!」
「こやくプロ?…そんな事務所があったのか」
俺はなぜかじっと俺を凝視している3人娘に顔を向ける。
「さっきプロデューサーの顔に飛び込んだのが『芦乃(あしの) ララ』ちゃんで、
胸にに飛び込んだのが『加美 実花(かみの みか)』ちゃん
それでふとももにスリスリしていたのが『杉浦 月野(すぎうら つきの)』ちゃんです」
「…分かりやすい説明ありがとうやよい」
どうやらこの3人は589プロの所属で、今日もドラマで役を演じていたらしい。
「それでこの3人、すっごく演技がうまいんですよー!私も驚いちゃいました!」
「へー、そうなのか?…まぁ最近は子役の育成にも手を入れてるところもあるからなぁ。
あ、俺も自己紹介しないと。
俺は765プロでやよいたちのプロデューサーをしてるんだ」
俺は感心しながら3人を見て、自己紹介をしていると、3つの椅子のうち、一番右側に座っていたララちゃんが
「…わー!」
「ってうぉ!?」
またしても飛び込んできた。
しかし先ほどのフェイントとは違い、どこか動きたそうにしていたので、何をするかは大体予想が付いていたので、優しく受け止めてあげることができた。
これもいたずら好きの亜美・真美のおかげで鍛えられた技である。
「にゃぅ~~」
「プロデューサーさん、ララちゃんにすごく懐かれてますね~」
「ははっ、こんな可愛い子に好かれるなんてうれしいかぎりだよ」
俺の胸に顔をうずめているララちゃんの頭を撫でながら、娘を持つ父親の気持ちが分かるような気がした。
この子は真とやよいを足した感じだなぁ…。
「わたしもなでてー!だよー」
こんどは真ん中に座っていた実花ちゃんがとててと走りよって俺のズボンをくいくい引っ張る。
語尾の「だよー」はどことなく響の「だぞー」と似ている感じがする。
「…くいくい」
その後に続いて一番左に座っていた月野ちゃんも、擬音を口にしながらねだって(?)きた。
…っていうかこのミステリアス感、貴音に似てるな…。
「むぅ…やーやー!プロはわたしのなのー!」
ララちゃんは俺の腕の中で体を大きく揺さぶりながら俺の撫でている方の手をがっちり掴み、赤子のように嘆いた。
っていうか、きちんと喋れたんだね。
月野ちゃんもしゃべれるのかな…今度ドラマを見てみよう。
後プロってなんの?
そう思っていると、下の2人も黙っていられないようで
「わたしもなでられたいー!だよー」
「ぷんぷん」
ご立腹らしく、今にも俺の脚から登って来そうな迫力がある。
「とりあえず順番だ、順番…ってあー!?やよい、早く戻らないといけないんだった!」
「あ、そういえばプロデューサーさん。私、もう帰らなきゃでしたよね?」
俺はララちゃんを床に優しくおろして、帰る準備をする。
「もうかえるの?」
「…ゲロゲロ」
「あぁ、ゴメンネ。それじゃ先に失礼させてもらうよ」
俺は寂しそうに見つめる3人の頭を撫でてから、やよいと共に車の場所まで向かった。
「3人ともー、迎えに来た…って、どうしたの?そんなヘラヘラして」
やよいたちが楽屋を出てから少したった後、今度は秘書スタイルの女性が楽屋に入ってきた。
「あ、プロちゃんだ!」
「あのねーわたしたち、かっこいいおにいさんにあたまをなでてもらったんだよー」
「ポカポカ」
3人は女性のほうへ駆け寄ってはヘラヘラしていた理由を話した。
「おにいさん?…ここのスタッフかしら?」
女性は終始、首を傾げていた。
あとがき(8 7 8)
ついに登場オリジナル事務所!愛ドルです。
まぁ、読んでてもなんのこっちゃと言う人も多いでしょうが、作者のオリジナルですから。
まぁ、最近は芦田真菜ちゃんとか子役が注目されているので、これを書く前から温めていた『589プロ』を登場させました。
誰だ今妄想のしすぎっていったやつ。
細かい内容はおいおい設定集として出すので、話だけを楽しんでください。
決して投げたんじゃない、後、プロデューサーはロリコンではない…と思う。