作者「え?オリジナルキャラの性別はなんにするって?
もちろん 全 員 女 で ! 」(ぇ
秋に入り少し肌寒くなった頃、765プロに吉報が舞い込んだ。
「え~それでは。
765プロの新プロデューサーからあいさつを!」
小鳥さんが嬉々とした表情で隣にいる一人の女性に注目を浴びせる。
「は、はいっ!
え、っと…本日から765プロでプロデューサーをさせていただくことになりました。
名前は『紀野 純(きの じゅん)』といいます。
これからよろしくおねがいします!」
そういうと女性…紀野 純は風切りそうな速度で頭を下げた。
彼女の容姿は黒髪のツインテールと、少し主張の激しい胸が特徴的な、いたって普通の女性だ。
「おぉー!これまた美人なねぇちゃんだー!」
「あ、新しいプロデューサーさん…プロデューサーさん!これってすごいことですよね!?」
「でも、胸はミキのほうが大きいよ?」
「……くっ!」←(紀野の胸を見て
皆、新しいプロデューサーの誕生に興味津々で、亜美・真美にいたっては今にも食いかかりそうなほどである。
「これで少し肩の荷が降りますよ」
「まぁ、これで律子もアイドル復帰に一歩近づいたな」
この後、顔を真っ赤に染めた律子に長々と説教されたのは言うまでもない。
「えっと、ご指導よろしくお願いします。先輩!」
「せ、先輩て…まぁ、別にいいけど」
とりあえずは彼女にプロデューサーの主な仕事の指導をすることになった。
律子は俺が適任と言っていたが…あれは完全にこっちの手を増やしたな…。悪女め。
「とりあえず、君はここに来たばかりだし、アイドルの名前と顔を覚えてもらって、軽く小話でもしてもらおうかな」
「はい!…と言っても、テレビでよく見たりしてるんですけど」
「そうかも知れないけど、アイドル本人の雰囲気や特徴はテレビや雑誌の記事だけでは分からないこともあるし、ね?」
「なるほど…勉強になります!」
元気に返事を返してくれるのはこちらとしてもうれしい限りである。
しかし、彼女に尻尾と耳があったら某軽音楽部のにゃんにゃん言う子みたいになるだろうな。
数分後
「どうだった?ウチのアイドルたちは」
「はい。テレビや資料だけでなく、直にアイドルと接することで分かる事もあるんですね!」
彼女は全員のアイドル個人との顔合わせ&トークをやりこなし、何か得るものがあったようだ。
「…でも、伊織ちゃんは」
「それ以上は言わないほうがいい」
得たく無いものも得たようだが……。
「プロデューサーたるもの、最初からスケジュールを完璧とまでは言わないけれど、合わせることも大事だ」
「突然のキャンセルとかがありますからね」
彼女も中々鋭い。
伊達にプロデュース関係のところに通っていたわけではなさそうだ。
(それに比べて俺はバイトバイトの日々だったからなぁ…)
時たまこの近くで働いている義姉に金を取られたこともあったな。
あのときは本気で警察に訴えようとしたら、チョークスリーパーキメられたなぁ。
「あ、あのー?先輩、どうしたんですか?」
ふと我に返ると、目の前には後輩の紀野が、上目遣いで心配そうに見つめていた。
「いや、少し義姉に(悪い)念を送っていただけさ」
「?」
後輩は首を傾げていたが、分からないのは当然である。
「ま、まさかアイドルに同行して仕事が出来るなんて…感激です!」
「感激するのはいいけど、今は録音中だから。音響さんに迷惑がかかるよ」
「あ!す、すいません…」
後輩は少し声のトーンを落として音響さんに謝る。
ここで大事なのは曲の録音は歌い手だけの問題ではない、という事だ。
その声を録る音響やギターなどで曲に肉付を加える演奏者や、宣伝をする会社など、その一つの曲やCDに様々な人が関わっているのだ。
もし面白半分で音響が勝手に声をいじったり、わざと楽器の音を外したり、嘘の宣伝をしようものなら恐ろしいことになりかねない。
そして収録の邪魔するなんてことをプロデューサーがすれば、事務所の評判はがた落ちだ。
「一人のファンじゃなく、一人のプロデューサーとしての自覚を持たないと、アイドルたちにプロデューサーとして認められないよ」
「はいぃ…」
まぁ、反省してるようだし、これ以上は何も言わないでおこう。
『プロデューサー』
私の父の家系はそれなりに腕のたつ敏腕プロデューサーの血を引いているらしい。
私は純粋に数々のアイドルたちを世に放つ父の姿に憧れ、いずれ父のようにプロデューサーとなり、
アイドルたちをプロデュースしたいと思った。
「でも、現実は甘くないなぁ…」
初日からプロデューサーじゃなく、ただの追っかけと変わらない行動までするなんて…。
「サインを貰おうとするのも、普通プロデューサーはしないよね…」
ちょっと自信なくなってきちゃったな…。
そんな風に事務所の屋上で自虐的になっていると
「どうした後輩」
「!?せ、先輩!」
両手に缶コーヒーを持ちながら先輩のプロデューサーがやってきた。
「い、いえ少し一人になりたいなぁ、って」
「奇遇だな、俺もなんだよ」
その言葉を聞いて私はもう一つの缶をもらいながら少し呆然とした。
(先輩も一人になりたかった?)
私が少し不思議に思っていると、先輩はコーヒーを少し呑み
「いやぁ、実は今日仕事でごたごたがあってね。それで仕事場の空気が悪くなった、って伊織に延々愚痴られて」
「はぁ…」
先輩は少し遠い目をしていた。
先輩も嫌な気分になるんだなぁ、と思うと同時に、心の中で『諦めちゃダメです』、と思った。
「でも、伊織は難なく仕事をこなしてたから空気も良くなったよ。
俺もまだまだ力が足りないな」
「!そ、そんな。先輩はすごいですよ…」
「ははっ、こんなことに会うのも慣れてるからいいけど…。
でも、こんなところで自虐的になってる場合じゃないよな。
あいつらはその場その場でがんばってる、だから俺もあいつらががんばれるように努力しないと」
(…まるで先輩が私をはげますために言ってるみたい)
自意識過剰かもしれないが、私はそう思った。
でも、先輩の言葉は何処か説得力があり、私の枯れ果てかけていた心に潤いを取り戻させてくれた。
『あー!もう!あのバカプロデューサーは何処いったのよ!
まだ話は終わってないわよ!』
『い、伊織ちゃん落ち着いて~!』
『あ、あぅ~~』
『雪歩!?廊下に穴掘って埋まろうとしちゃだめだよ!』
「……やっぱ一人にはなりきれないな」
「あはは…私も手伝います」
「サンキュー、後輩」
私、がんばって一人前のプロデューサーになります!。
あとがき(O*O)
やぁ、最近少しネタに困ってきた、愛ドルだよ!(某ネズミ風
後、最初の言葉通りオリジナルキャラとかは9割の確立で女性になるぞ!
男は嫌いだ!(ケンカ売ってんのか?
嘘です!男はあんまりこのSSで出したくないからです!
だってアイドルで男はジュピターだけで結構ですよ…。
あ、涼ちんは別だけど。