『パシャ!』
「いいですね~、それじゃ今度は違うポーズいきましょうか?」
「わかったぞ!」
響がポーズを決め、それをカメラマンが褒めたりしながら撮っている。
ここはとある撮影スタジオ。
ガムシャラに仕事をもらえるよう、面接やらなんやらを繰り返していたとき、我が765プロについにチャンスが来た。
有名ファッション雑誌『LOVE×LIKE』のモデルとして、美希と響が選ばれたのだ。
この雑誌は若い女性をターゲットにしていて、俺も軽く見たがモデルもそうとう顔もスタイルもよかった。
そこにスタイルも顔もいい2人(もちろん事務所には他にも該当者はいるが、2人は若くてスタイルがいい)が載れば、765プロも表舞台にドーンと出られる機会が増えるだろう。
「はいっ、次で最後でーす」
「おぅ!キレイにバッチリ写るぞー!」
響は最後にモデルとしてふさわしい、堅くもなく柔らかすぎない自然なポーズを決めた。
『パシャ!』
「はい、ありがとうございました!それじゃ、次の方ー」
「はいなの~。それじゃプロデューサー、ミキ、行って来るの!」
「おう、あんまり緊張すんなよ」
俺の隣で待機していた美希は小走りしながらカメラの前に立ち、撮影を始めた。
『パシャ!』
「お、いいね!それじゃ今度はもっと自然な感じでいってみようか!」
「はい!」
美希はカメラマンの言われた通り、俺から見ても自然で違和感のないポーズに見え、美希のアイドルとしての実力に改めに感心する。
「いや~ベストショットですな~」
「…プロデューサー、鼻の下、伸びてるゾ」
「うぉぉ!?ひ、響!いつの間に…」
俺が美希に見とれていると、響が隣で冷ややかな視線を俺に浴びせていた。
「さっきからず~~~~~~~っと!ここにいたのに…プロデューサー、全然気づいてくれないからさっ」
「え、あ~~。ご、ごめんなさい」
そして今度は寂しそうな目で、俺を見てきたので、さすがに俺も罪悪感を感じ、頭を下げて響に謝罪した。
「むぅ、別にいいけどさっ…」
(く、空気が重い)
明らかによくない雰囲気を出している響の周りには不機嫌オーラがただよって、(俺の周りだけ)空気が重くなっているように感じ、話を変えることにした。
「そ、そういえば響。お前写真写りがよくなる方法とか知ってるか?」
「んぉ?ん~~。自分はよくわからないけど、ハム蔵はよく分かるみたい」
俺の質問に考え込んでいた響はそういった。
いや、ハムスターが写真写りよくなる方法知ってるってどーよ…。
下手すればハム蔵が(動物界の)トップアイドルを目指せるかもしれないと、半分本気で思った俺だった。
「いやー、今日は疲れたな」
「美希が終わるまで待つのは疲れたぞー」
「きっと、それほどミキのルックスが良いってことなの!」
響は体をふらふらとさせ結構疲れているようで、美希はまだまだ元気はありあまっていた。
俺たちはスタジオの撮影を終え、軽くダベリながら事務所へ帰る途中だった。
(まぁ、ルックスがいいのは確かだけど…)
それを臆面もなく自慢するのもどうかと思うぞ、俺は。
俺が内心ツッコンでいると
『ぐぅ~~』
「ぅぅ…おなか減ったの~」
美希がお腹を押さえながら空腹を訴え、俺を見る。
「プロデューサー」
「はいはい、何を買ってきましょうか?お嬢さん」
俺がいつものように(美希が空腹になった2回目のときから実行)美希にいうと、美希は目を輝かせ、大声で
「高級ステーキ!」
「いやそれはむり」
こいつは俺の残り財産(12万と少し)を削り落とす気か!?
「え~~」
美希は残念そうにしながら俺を見つめてくる。
「っていうか、なんで『高級』ステーキなんだよ?普通のステーキでもいいだろ」
「やだ。ミキは高級ステーキがいーいー!」
「それはもっと仕事が入って裕福になってから奢ってやる」
俺がぶっきらぼうに美希はいい、近くのファミレスに入ったが、それでも美希はステーキが食べたいらしく、ずっと拗ねていた。
「あ、あの。ご注文は…」
「…ステーキで」
「いや、このファミレスのメニュー見ろ。ステーキのスの字もねーぞ」
美希は不機嫌そうにいい、店員がすっごく困っていたので、俺は美希に注意した。
…なんかこの女性店員、雰囲気が雪歩に似てるな。
「自分はチャンプルーで!」
「あ、はい!」
響は故郷の料理を頼んでいた。
そういえば正式にはチャンプルーていうんだな、俺ゴーヤチャンプルで覚えてたぞ。
とりあえず各自メニューを頼み、食べていると
「はむはむ。んんっ!?このデザートの『フルーツ白玉』、すっごくおいしいの~!」
美希が頬に両手をあて、幸せそうな顔をしているのを、俺は苦笑いしながら見つめていた。
「ふぃー、もうごちそうさまなの」
「自分も~」
2人はそれなりに食べ終え、箸やフォークを皿の上においた。
「そうか。んじゃ俺は払っとくから先に外で待っててくれ」
俺はそういうと2人を外へ出させて、金を払い、店を出た。
「え~と、2人は…おっ、いたいた。お~い!響~、美希~!」
俺は隣の小物売り場にいる2人を見つけ、歩み寄るが、
「ん?なんだあの男」
その隣に男性が立っている事に気が付いた。
「君たち、俺と今からお茶でもしないかい?」
しかもナンパの仕方が古い。
男の背は180mはありそうで、金髪のソフトモヒカンが印象的だった。
「美希たち、さっき食べたばかりだからもういいの」
「え、あぁ…そうだったんだ…。じゃ、じゃぁ今度俺が誘ってあげるよ」
男は美希の言葉に動揺したがめげずに、話すのをやめない。
や、やつは男の鏡か!?(嘘)
「いいの。ミキ、そんなモヒカン頭の人と一緒にいたくないの」
「なぁっ!?」
「あ、プロデューサーだ!そんじゃ自分たちはもう行くからな」
だが美希の豪速直球ストレート(モヒカンに関して)に、男も心が折れてしまい膝からくずれ落ちて真っ白になっていた。
(災難だな、あいつ…)
軽く心の中で同情しながら俺は2人と共に事務所に向けて足を進めた。
「おい、北斗」
崩れ落ちているモヒカン男の前に、茶色のミディアムヘアの目が吊りあがった男性が声をかけていた。
「だ、ダメなのか…モヒカンはダメなのか…」
しかし北斗と呼ばれた男は美希にフラレて(?)ある意味ショック状態でブツブツと独り言を呟いていた。
「あー…これ、そうとう心折れみたいだよ冬馬。」
「そうか、それじゃ翔太。こいつ引きずってでも事務所に帰るぞ」
北斗を覗き見ていた緑色の長い髪をした少年『翔太』がミディアムヘアの青年に話しかけると、冬馬と呼ばれた青年は北斗の服の襟を掴んで引きずっていった。
(¥¥)あとがき
いやはやまさかの『Jupiter』登場。
プレイボーイの北斗に美希を口説かせたらこうなりました(笑)
今回はファッション雑誌のモデルということで、もしかしたら765プロも知名度が上がるのか!?
??「はっはっはっー!それはありえないなぁ!おっちょこちょい作者くん!」
愛ドル「その鼻につく声…。お、お前はぁ!?くr」
??「それはまだ言うなぁ!」