ミニライブも無事成功し、トップアイドルへの道に近づいていく765プロ。
アイドルたちは日夜努力と活動を惜しまずに日々を送っていく中。
プロデューサーの俺は思った。
「こんだけかんばってるんだからプレゼントとか送ってやってもいいですよね?」
「マジメな話って、それですか?」
俺は小さなファミレス店の席で向かい側に座る律子に相談をしていた。
そんな律子は俺の案に表情を険しくして考え込んでいる。
がんばっているアイドルたちにプレゼント。
…と聞いてみると聞こえはいいが765プロもまだまだ裕福ではない。
13人もいるアイドル+αの小鳥さん(←後の律子の案)にプレゼントと、しかも女性となると男友達で買いあう安っぽいものではいけない。
お年頃の子もいれば大人なあずささんや小鳥さんにもそれなりの額を振り込む事となる。
しかも長い付き合いの俺だがいまだにアイドルたちの趣向・好みがよく分からないので、一番相談に乗ってくれそうな律子に頼んだのである。
「まぁ確かに、最近皆がんばってるしプレゼントをあげるのも気持ちが奮い立つからいいですけど…」
「出費とアイツ等のほしいものが分からんからなぁ…」
俺たち2人はファミレスの席で腕を組んで考えた結果。
「まぁなせばなる」
「…なんでいきなり小物店なんですか」
考えててもラチが明かないので、小物店で見ながら選ぶことにした。
「とりあえず俺は女の子がほしそうなものは良くわかんないから、ほとんどは律子に任せることになると思うけど」
「まっ、そういうと思ってましたけどね。任せてください、私がキッチリプロデューサーが変なものを買わないように見張りますから」
「…なんか違う気がするぞ、律子さんや」
げんなりする俺を見ながら軽く笑いながらも、律子はしっかりプレゼントを選ぶために「まずはアクセサリー関係を見ましょう」と提案した。
「最近のアクセサリーって派手なんだなぁ」
「そうですか?美希とかは結構こういうの持ってるみたいですけど」
俺たちは互いに話合いながらアクセサリーを見る。
「お、この銀色の月がついた首飾りとか貴音に似合いそうだな」
「こっちのウサギの飾りつきのペンダントは伊織が喜びそうですね」
「この虹色リボン…春香につけさせてみたいな」
「マジメに選んでください、プロデューサー」
「この置物可愛らしいな」
「雪歩の優しい雰囲気と何処か似てますね」
「どうした律子?マグカップなんか見つめて」
「え?あ、いや…これ、小鳥さんとかにどうかな、って」
「あの人最近インカムが小さくなったって言ってたなぁ」
((ここにインカムあるわけ無いよなぁ…))
「プロデューサー、どうしたんですか?」
「ちょい、トイレ行ってくるから。お前先に外で待っててくれ」
そして数時間後
プレゼントを選ぶのに手間はとったが、とりあえず全員分は買えた。
「いや~今日はある意味いい仕事した感じがする」
「プロデューサー、前かがみになってたら姿勢が悪くなりますよ」
俺たちは店で皆に渡すプレゼントを買った後、事務所へ帰る途中だった。
俺は背筋を伸ばした後だら~っと体を前のめりしていたところ、律子に喝を入れられた。
さすがは765プロのアイドルのまとめ役だな。と俺は関心しながら体を起こしながら歩いた。
765プロ・事務所内
皆にプレゼントを渡し終え、俺と律子、そして小鳥さん以外の皆は家に帰っていった。
「小鳥さんコーヒーお待ち。ってもう付けてるんですか、それ?」
「はい。こんなオシャレな髪飾り貰えてとってもうれしいです」
小鳥さんは俺たちに蝶の形をした髪飾りをつけながら嬉しそうに微笑んでいた。
「いや~ホント良かった良かった。今回のプレゼントの件は成功だったな」
俺は頷きながら律子を見ると、律子はなぜか浮かない顔をしていた。
「どうした律子、そんな昔の俺みたいな鬱なオーラを出して」
「うぅ…まさか皆の分を買うのに必死になりすぎて自分の分を買い忘れるなんて…」
どうやら皆のプレゼントのことばかり考えていたために自分のプレゼントを買うのを忘れていたようである。
(まぁ、わざわざ『自分のプレゼント』を自分で買うのはな)
俺は苦笑いしながら落ち込む律子の肩を軽く叩いてやった。
「…あ、そうだ。律子、ちょい待ってろ!」
「うわっ!?どうしたんですか、いきなり大声で?」
俺は大変なことを忘れてしまっていたため、声が大きくなって律子を驚かせてしまったらしい。
俺はそれを謝ったあと、自分のカバンの中から袋を取り出し、袋の中の四角形の箱を律子に渡す。
「ほれ、お前の分だ」
「え?わ、私の?」
律子はオドオドしながら俺と四角い箱を見比べる。
「びっくり箱じゃないから安心して開けてみろ」
「は、はぁ…」
律子はゆっくりと箱を開いて中身を取り出す。
律子はその手に持っている箱の中から出したものをマジマジと見つめていた。
「この緑色のマグカップ…!まさか!?」
「へへっ、お前が店の中でじーっと見てたから、もしかしてと思って買っといたんだ」
俺は少し照れくさくなって笑っていると律子は嬉しそう笑っていたが、すぐに不思議そうに質問してきた。
「確かにこれがほしかったんですけど…一体何時買ったんですか?プロデューサーはずっと私と一緒にプレゼントを選んでたのに」
「え?あぁ。俺がトイレに行ってくるって言ったときあるだろ。実はあんときにな」
『プロデューサー、どうしたんですか?』
『ちょい、トイレ行ってくるから。お前先に外で待っててくれ』
「あ!?あの時ですか!」
「そう、あの時」
律子は俺の行動に驚いたのか呆れて呆けていたのか良く分からないが、少しの間動かなかったが、急にクスクスと笑い出した。
「ぷ、プロデューサーも、男らしい一面ってあるんですね」
「なっ!当たり前だ!…ってそんなおかしい事だったか?」
俺はベタすぎたかなと思っていたが、律子は「いいえ」と首を横へ振って満面の笑みを浮かべてお礼を言ってくれた。
「プロデューサー、今日はありがとうございました。
…私、このプレゼントをプロデューサーと思いながら大事に使いますから」
「ははっ!なんじゃそりゃ」
「ふふ、プロデューサーさんも隅に置けませんね」
俺と律子と小鳥さんはその後も笑いを絶やす事がなく、談笑に花を咲かせた。
そして次の日、律子は俺のプレゼントしたマグカップをさっそく使用しながらイキイキと仕事をしていた。
プレゼント大作戦は大成功だった。
(^p^)あとがき
カルピスちょーだい。愛ドルです。
今回はプレゼント大作戦編ということで、事務員兼アイドル兼地味員担当の律子さんを登場。
だがそこに惹かれる好きになるぅ!!
え?伊織は?デレはどうしたって?
しりゃぁせんよ、そげなこと(ぇ
おまけ
伊織「べ、別にプレゼント貰ったからって嬉しくなんかないんだからね!!?」
内心(こ、このペンダント…すごく可愛い)
↑のセリフは好きないおりんの表情・言い方などでご自由に脳内再生してください。
(//゜ロ゜//)ツンデレいおりん…マジ可愛ええ
(作者、脳内再生後の一言)