765プロのプロデューサーとして働く事を決意した日から数日後。
俺は様々なアイドルたちの面倒を見ることになった。
そのアイドルたちを今回は紹介しようと思う。
「きゃあああ!?」
『どんがらがっしゃーん!』
「うぉおっ!?こ、この声は…」
俺は事務所の階段付近から聞こえてきた声と騒音を聞き、急いでデスクから立ち退き、音のほうまで駆けていく。
そこにいたのは
「う~~…なんで踊り場に掃除用具が置きっぱなしなんですか~!?」
「だ、大丈夫か、春香?」
階段の踊り場にあった掃除用具につまずいたのであろう我が765プロのアイドルの一人『天海 春香』は女の子座りで動きもしない道具に軽く愚痴っていた。
彼女の特徴は髪を結んでいる可愛らしいピンクのリボンと、このように毎回ドジをすることである。
まぁ、後者は大抵自然的に発動するので、阻止するのは中々難しいのである。
前のダンスレッスンを見たときは足をもつれさせて盛大に尻餅をついていたなぁ…。
「ぷ、プロデューサーさん!?」
彼女は俺の存在に気づくと驚き満点の表情をして見てきた。
そんな彼女に俺は苦笑いで答えると、春香はゆっくりと立ち上がりスカートのゴミを払う。
「あははは、今日も転んじゃいました…」
春香は転んでいたところを見られて軽く照れていたようで、頬が心なしか赤い。
「す、すみません。すぐにそっちにいきますからぁっ!?」
『どんがらがっしゃーん…ころん』
階段を昇ろうとしたところ、偶然にも足元にあった雑巾で彼女は今日2回目の転倒を繰り広げた。
もちろんその後は一緒に事務所内に入り、打ったところの手当てをしておいた。
春香の手当てをしたあと、俺は書類の整理をするために机で仕事をしていると、
「ハム蔵ぉおおおぅ!どーこだーぁあ!?」
「うぇい!?」
ドデカイ声でペットのハムスターの名前を呼んでいるのは沖縄生まれのアイドル『我那覇 響』。
彼女の特徴は南国で育ったことを主張するような小麦色の肌と、買っているペットである。
彼女のペットはハムスターならまだ可愛いが、ワニやら蛇やら巨大セントバーナードやらで、一般では到底ありえない動物を飼っている。
「ハム蔵ー!」
さっきから響はずっとハム蔵を呼んでいるのだが、一向にハム蔵が姿を見せない。
さすがにおかしいなと思った俺は響を呼びとめ聞いてみる。
「どうしたんだ響?今日はえらくハム蔵がご立腹みたいだな」
「うぅ…。そうなんだよぉ、実は自分。ハム蔵が食べてたご飯がおいしそうだったからつい、食べちゃって…」
響は半泣きになりながらも訳を説明してくれた。
って言うか、ハムスターのご飯がおいしそうって…。
(まぁ、響らしいっちゃ、らしいな)
俺は軽く頭をかきながら響の頭を撫でる。
「プロデューサー?」
「仕事はまだ残ってるけど、ハム蔵探し。俺も手伝うよ」
「ほ、ほんとうか!?」
俺がそういうと響は驚いた後に礼を言ってきて、すぐさま一緒に探す事にした。
ちなみにハム蔵は待合室の春香のスカートの上で熟睡していたので、結構すぐに見つかった。
…なぜそこにいた、ハム蔵。
そして時期は変わるが、ある日俺は2人のアイドルをオーディションに受けさせにいったときのこと。
「ちょっと、雪歩!アンタ何埋まろうとしてんのよ!」
「そ、そうだ。ていうか待合室に穴掘るな!」
「だ、だって私このオーディション受かる自信ないんですよ~!?」
オーディション前、そのスタジオの待合室で待っていた俺と二人のアイドルは不毛なやり取りをしていた。
俺と一緒にシャベルで穴掘って埋まろうとしていているアイドルの一人『荻原 雪歩』をウサギの人形を持っているアイドル『水瀬 伊織』は必死に説得していた。
「アンタここまで着といて逃げるつもり!?」
「で、でもぉ~~…」
俺の隣で説得をしている少女、伊織はアップのおでこといつも持ち歩いているウサギのぬいぐるみが特徴的である。
水瀬産業の令嬢でコネで765プロに入ったらしく、育ちはいいらしい。
まぁ、水瀬産業のことはよくは知らないんだが…。
「は、はうぅ~~、なんだか目眩が~~」
雪歩は自信を無くしたりすると何かと穴を掘って埋まろうとする癖があり、その所為か、事務所の床の修繕費の出費は激しい。
この性格を無くせば、顔もスタイルも良いアイドルになれるほどの力量は持っているのだが…。
「も、もうすぐ私の出番ですぅ~~」
「お、おい!?落ち着け、雪歩!」
俺はシャベルを持ちながらふらふらと危なっかしく動く雪歩をなだめるが、あまり効果はなく、その行動は止まらない。
すると突然
「あーもー…。うじうじしてないでどーんと行けばいいのよ!どーんと!」
伊織はそろそろ我慢できなくなったのか、怒声のような声でいいながら雪歩をなだめようとしていた。
「伊織…ちゃん?」
雪歩もその声を聞いて我に返り、不思議そうに伊織を見つめる。
「アンタはその性格さえ出さなきゃオーディションなんて目じゃないんだから、もっと自分に自信持ちなさい!」
(い、伊織が良いこと言った!)
俺は(ほとんど無い)胸を張る伊織を見ながら涙を流し、雪歩はそれで少しは自信がついたのか
「う、うん。私…がんばるよ!」
と小さいが、決意のこもった声で言い、オーディションへ向かった。
だが、俺たちはそのオーディションで雪歩の『苦手』とするものがあることに気づいたのは…
「お、男の人ばっかりですぅううううう!!?」
((や、やっぱりか…))
絶叫を聞いたすぐ後のことだった。
ちなみに伊織もオーディションを受けたが、事務所にかかってきた電話で、落とされたことを知った。
伊織はその日、審査員の愚痴を3時間くらい俺に聞かせていたのを覚えている。
(OwO)あとがき
うっう~!暑い夏ですね~。
どうも、愛ドルです。
今回は春香・響・伊織&雪歩のお話をしてみました。
え?肝心な入社のところが抜けてる?ハテ、ナンノコトデスカ?
すいません、嘘です。
でも、入社となると結構引っ張りそうになるので、数日たったことにしてしまいました。
とりあえず、がんばって書いていこうと思うので、涼ちんを見て疲労回復してきます!ww