我が765プロのアイドルはまだまだいる。
今回も、他のメンバーを紹介しよう。
「「兄ちゃん兄ちゃん!」」
「ん?どうしたんだ、亜美、真美」
俺の目の前には顔も性格も瓜二つの双子アイドル『双海 亜美』と『双海 真美』が楽しそうな顔をしてはしゃいでいた。
ちなみに俺から向かって左側に結んでいるのが真美、右に結んでいるのが亜美である。
2人を瞬時に見分けるのは難しく、声の高低や、結んでいる髪の向き、服の特徴など様々な部分を見る必要がある。
まぁ2人はほとんど、ずっと一緒だから大抵は二人一緒に呼ぶことが多い。
「実は亜美たちぃ!すっごいことに気が付いたんだ~!」
俺の顔すれすれぐらいに顔を近づける二人。
こんなことして恥ずかしいと思わんのか…俺は、思う。
「ふ~ん。何に気づいたんだ?(息、息が当たってる!?)」
俺はできるだけ冷静を装い、2人に応答する。
いや、なぜか2人から『聞き返してよっ!』ってぐらいのオーラが出てたからで、ほっといたら泣き出すんだろうなぁと思ったからだぞ!
「ふっふ~!よくぞ聞いてくれたぞ、兄ちゃん」
顎に手を当てて何か変な空気を作り出す亜美に(いや、お前さっきから言ってただろ)と内心つっ込みを入れる。
「ふっふ~!真美たちが気づいたのはね~…」
真美はそういうと間を置き
「「胸を大きく見せるには、服の中に風船を入れたらいいって気づいたんだ!」」
…そんなことを豪語しやがりました。
「…さーて、仕事に戻るかー」
俺はなぜか引きとめようとしてくる二人を極力無視しながら仕事を再開した。
「あふぅ…眠いの~」
「馬鹿、もう昼過ぎだぞ?」
事務所のソファでうつらうつらとしてるのは『星井 美希』。
顔もルックスもボン!キュッ!ボン!で歌も完璧の才女だが、その所為か天狗になっていてほとんど動くことがない。
何でも出来るのはいいが、それをもっと磨いていけばトップアイドルもすぐに目指せると思うのは俺だけではないだろう。
現に彼女は一日約20回は異性に告られているらしい。
一体いつどこで告白されてるほどの時間があるのか教えて欲しいものだ。
「zzz」
「おーい、寝るなよー?」
俺はソファで寝息をしている美希の肩をゆするが、まったく起きる気配が無い。
こうなれば手段は一つ
「はぁ…わぁーおいしいおにぎりだー(棒読み)」
俺が美希の耳元でそう呟くと
『バッ』
「…おにぎり、どこなの」
美希は完全に覚醒した目で周りを探索し始める。
「ずずっー、やべぇそばうめぇ」
そんな至る所を探し回る美希を見ながらそばを食うのが、最近の日課になってきた気がする。
「プロデュ~サ~」
俺の服のすそを掴みながらぷるぷる震えている少女が一人。
「どうした、やよい。また給食費か?」
「そうなんですよぉ!今月も給食費がはらえないんですぅ~!」
俺はその絶叫を聞きながら頭を抱え、どうしたものかと思案に耽る。
かえるのポーチを首にぶら下げ、オレンジ色のツインテールで、服もそれに合わせたかのようにオレンジの色が協調されている。
お金がほとんどない貧乏アイドル『高槻 やよい』は人の10倍以上はあるであろうはじける元気がチャームポイントの765プロのムードメーカーだ。
「まぁ、できる範囲でなら払うが…お前、今日何円持ってる?」
そう聞くとやよいはポーチの中をごそごそと物色した後、小さな声で
「841円です…」
「…全額払うわ」
彼女の家庭環境は厳しく、父親は職も収入も不安定で転々としているらしい。
…やべぇ、やよいの親父さんといい酒飲めそうだわ。
しかも5人兄妹の長女という事もあり、やよいは懸命にアイドルとして活動し、その収入で生活を楽にしてあげたいと思っているらしく、かなりしっかりものである。
「うぅ、ごめんなさい~」
やよいは目を潤ませながら俯き、謝罪するが、どうもこの雰囲気では俺が悪い感じになってしまう。
「大丈夫だよ、給食費ぐらいで俺がぶっ倒れるわけねーだろ。でも、踏み倒すなよ」
俺は軽くやよいの頭を撫でながら言うと、やよいはさらに目に涙を浮かべ、最終的に
「うわぁあああああーーん!ありがとうございまずぅーー!!」
「うぉい!?大声で泣きすぎだ!ていうか鼻水ふけーー!!」
号泣してあらゆる穴から出た水でスーツがぐしょぐしょになりました。
…クリーニング代も請求してやろうか、このやろー。
「貴音」
「どうかなさいましたか?プロデューサー」
俺は銀色のロングヘアーと高価そうなドレスを着た可憐な少女、『四条 貴音』を呼びとめた。
「あぁ、実は今回のオーディションのことなんだが…」
俺は黒鞄からオーディションの書類を取り出し、貴音に渡す。
「オーディション、ですか?」
「そう、『月の標(しるべ)』って言うドラマの月から来た宇宙人役を決めるんだが」
俺がそこまで言い終わると、貴音が資料を読みながら何か難しい顔をしているのに気が付いた。
「どうしたんだ、貴音?もしかして、その役嫌だったか?」
「え、あぁ、いえ…嫌ということではないのですが」
貴音はそういうと何かブツブツと言い、俯いてしまった。
(もしかして緊張してるのか?)
オーディションで受かる事が少ないからうちのアイドルたちはほとんどがオーディションから緊張してしまうので、こういうこともめずらしくはないが。
(貴音はいっつも冷静だから緊張しないと思ってたんだけどな)
彼女にも意外な一面があると俺は知ったときだった。
(この役の宇宙人…何処か私と似ている…)
「プロデューサー、この書類、訂正があるんですけど」
「え、マジか」
「はい、ここと、ここ…あとこの出費なんですけど」
俺のデスクに書類を置いて指示してくれているのはアイドル候補生兼事務員の『秋月 律子』である。
特徴的なのは黒いスーツとメガネ、そして栗色の髪をうしろで結んで理知的な雰囲気をかもし出していることである。
彼女はアイドルとしてよりも、事務員としての経歴が長いため、俺は彼女と小鳥さんからプロデューサーとしての基礎などを学んだ、つまり彼女はプロデューサーとしては俺の先輩になるのである。
「そうか?でもこの出費は妥当だと思うんだが」
「でもこれをもう少し減らせば雪歩が掘った床の修繕費にまわせるんだけど」
「「う~~~む…」」
俺と律子は腕を組んで天井を見つめながら数分考え込んで、いい案を出そうと思ったが
「「どうしよう…」」
俺たち2人はデスクに突っ伏して嘆くしかなかった。
「俺なんか買ってこようか?」
「いいんですか?じゃぁ、アンパンで」
(@@)あとがき
うぃーすっ!愛ドルですー!
今回は短いですが、出来るだけ頑張って亜美真美・美希・貴音・律子を書いてみました。
う~む。アニメの律子はなんか見てると嫁にしたkおっと誰かきたようだ。
そんなわけで『アイドル紹介編』も次回で終わり。
まこちー(真)!ちーちゃーん(千早)!あーずささーん(あずさ)!で行きます。