クリムゾングと陰謀の双璧をなすネルガルのトップ2人組に捕まってしまった我等がシンジ君。
はてさて、これからいったいどうなることやら。
第10話?
「さて、シンジ君。幾つか聞きたいことがあるのだけど、いいかしら?」
「ふぁい?」
まったくもう、人がケーキを美味しく美味しく、幸せに頬張っている時に話し掛けてくるなんて失礼千万。 この罪は万死に価しちゃいますよ!!
ぷい
「シ、シンジ君…??? ちょっと顔を背けないでよ!」
ぷい
「い、いいかげんにしなさい!!」
怒ったって知らないですよーだ。 僕の幸せを奪った罪はそう簡単に許せるものじゃありません!
「は~…。 会長、何とかしてくださいよ」
「さすがにエリナ君も参ってるようだね。 …それにしてもよく食べるねー、君は」
何言ってるんですか! まだ高だか、ショートケーキ23個しか食べてないんですよ!!
変な場所から無理して脱出したおかげで、カロリーが極限の僕にはまだまだ足りないんですよ!
「おっと、どうだい? これも食べてみるかい?」
お、これはモンブランかな? ショートケーキにも飽きてきたし、頂きますか。
「はい、頂きます。」
「で、食べ終わってからで良いんだけど、僕らと話をしてくれないかな?」
んー、このアカツキさんは話が判る人のようだ。
「食べ終わってからで良いのでしたら、構いませんよ」
「お、そうかい。 じゃ、待ってるからどんどん食べてくれたまえ」
…………………
2時間後。
「ふー、ご地層様でした。」
「よ、ようやく終わったようだね」
あれ? アカツキさん達、なんか疲れきってるけど大丈夫かな? って、食べ始めてから3時間もたってる!?
おおう、世界不思議発見!! ケーキを食べるとこんなにも時間が経つものなんだね。 知らなかったよ、僕。
「で、話、良いかな?」
「はい。」
話って何だろう? 僕なんて何処も怪しくない、唯の中学生なのに。
「シンジ君、どうやってここに来たのかな? 僕にはいきなり部屋の中に落ちてきたように思えたんだけど」
ああ、そう言えば、どうやってきたんだっけ? 変な縞々模様の場所から気が付いたらここに落ちてきたんだけど…。
「んー、よく判らない場所にあったスイッチ押して暫くしたら、そこら中が縞々模様に光りだして、気が付いたときにはここにいましたね。」
「よ、よく判らない場所? そこにはどうやっていったんだい?」
「えーと、ナデシコに乗ってて…」
「「ナデシコ!!」」
「シンジ君、ナデシコに乗ってたのかい!?」
何だろう? 変なこと言ったかな? アカツキさん、かなり身を乗り出しているけど。 エリナさんもアカツキさんと見事にハーモニーをかなえてたし。
「ええ、ちょっとなり行きで乗ることになりまして。 んで、火星でナデシコの中の人達にいじめられたんで、なんていいましたっけ…。 ああ、エステバリス、でしたっけ。 あれで飛び出したら気が付いたらその変な場所にいたんですよ。」
「「…………」」
あれ? 静まり返っちゃった。 どうしたんだろう?
「シンジ君? つかぬこと聞くけど、君って、IFS付けてないよね?」
「なんです? それは?」
IFS? なんだろうそれって?
「こう言うものなんだけど」
アカツキさんが手の甲を僕に見えるように持ち上げて教えてくれた。
「ああ、それ、IFSっていうですか。 僕はそんなのないですよ」
そう言えば、アキトさんとかルリちゃんとか付けてたな。
「は~…。 こりゃ参ったね。 まさかそんなことも聞けるとは…。」
「会長」
エリナさんがいかめつい顔してアカツキさんに何か言おうとしてる。
「ああ、判ってるよ。 シンジ君、すまないけど君を拘束しなくちゃならない。 おとなしく従ってくれるとうれしいんだけど?」
「!?」
こ、拘束だって!! 僕が一体何をやったって言うんだよ! 僕の人生は僕のもの! マイライフは誰にも汚させはしないんだ。
僕が席をたとうとした瞬間、昔見慣れた黒服の大群が部屋に雪崩こんできた。
嗚呼、僕の人生、どうなっちゃうの?
つづく?