番外編です。予告どおり、「あの人」の娘が登場します。
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いらっしゃい、おねえちゃん。
今日は何して遊ぶの?
・・ふえっ?オセロ?やったことないけど・・、ルール教えてくれる?・・うん、ありがとうおねえちゃん。
ほえー、白の丸を黒の丸で挟み込めばいいんだね。うん、やってみる!
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・・・・・そ、その、おねえちゃん、別におねえちゃんが下手なわけじゃないと思うの。私の運がよかっただけなの、だから落ち込まないでほしいのー。
・・・・へ?次はチェスを持ってくる?凄いの!おねえちゃんチェスなんてできるの!
・・はぇ?やったことない?でも次までに覚えてくるから大丈夫?
・・あのお、おねえちゃん・・。わたしもっと簡単なゲームやってみたいな。・・その、あんまり頭使わなくていいやつ。ほら!あの黒髭危機一髪って面白かったよ!!
・・っへ?あれは必ずおねえちゃんが勝っちゃうから面白くない?・・・あはは・・、おねえちゃん幸運値高いもんね。・・でも、私もう一回あれやってみたいな。
・・うん、ありがとうおねえちゃん。
・・ほぇ?もう行くの?そうだよね、そっか、授業中だったもんね。
それじゃあまたね!おねえちゃん。
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ふふっ、わたしが人間と遊べる日が来るなんて、思ってもみなかったなあ・・。
【数週間前】
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(さっきからなにやってるのかな?あのお姉ちゃん)
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(道に迷ってるのかなあ?・・・そうは見えないんだけどなあ・・)
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(誰かを探してるみたいだけど・・・・。)
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(ダンジョンさーんって、よんでるけど、・・・私のことじゃないよね?)
(だって、私が喋れる事ニンゲンのお姉ちゃんが知ってるはずないし・・・)
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(うーん、やっぱり私のこと探してるのかなあ・・・)
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(・・でも、お父さんにダンジョンは人間と喋っちゃだめだって言われてるし・・。)
(間違ってたら恥ずかしいし・・、「ダンジョン」って名前の人探してるのかもしれないし)
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(・・ああ、なんだかとっても悲しそう・・、ごめんね)
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(・・!!し、しまったの!ぼーっとしてたらゴブリンの集団が近づいてきたの!!)
(おねえちゃん、逃げてー!!おねえちゃんの装備じゃやられちゃうよおー!)
(わたしがトラップでゴブリンたち捕まえておくから、その間に逃げて欲しいのー!)
(って、だめなのー、戦っちゃだめなのー、一人でいっぱいの相手と戦うのは、とって危険なのー!)
(そんな杖じゃ絶対に無理なのー!!言うこときいてほしいのー!喋ってないけど言うこときいてなのー!!)
(・・・・・・っへ???、杖にものすっごい魔力が集まって・・・?、ほへ??七つの黒い雷が?・・はれっ?・・その杖ってまさかー!!!!)
ぎゃひん!!!!!!
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ひどいのー!!天獄杖ふるっちゃめーなの!!痛いのー、シャレにならないぐらいに痛いのー!振るうなら振るうっていって欲しいのー!!貧者の指輪のせいで気づかなかったのー!!というか、なんでお姉ちゃん天獄杖もってるのー!!
・・・あー、やっぱりいたんだーって・・、しまったー!!ニンゲンの前で喋っちゃったのー!お父さんに怒られちゃうのー!!!!
【つんでれダンジョン番外編 学園ようじょん】
・・・・・・・。
・・へ?だれにも言わないから大丈夫?ホントなの?他の人間には言わないでくれるの?
・・ありがとうなのー!!おねえちゃんやっぱりいい人なのー!!・・あ、あとねお父さんにもいっちゃ駄目なの。お願いなの。
・・っへ?お父さんって、誰かって?えーとね・・、「終末のダンジョン」って知ってる?
・・って、どうしたの!?おねえちゃん?なんで突然怒りだすの?
・・・・・っへ?今からラストダンジョンのところいってくる?・・子持ちの既婚者なんて初耳?
・・って、だめだよおねえちゃん!ここからお父さんのところまで何日もかかるんだからー、今おねえちゃん授業中でしょ、それにお父さんは別に結婚してるわけじゃないよー!
・・・・・っへ?子供を作っておいて結婚もしないなんて、そんなだらしない人だとは思わなかった?やっぱり学校サボってでも一言言ってくる?
・・って、違うよー、・・お願いだから話をきいてよー。お父さんはお父さんだけど、お母さんでもあるのー!
・・ふぇっ?どういうことって?・・あのね、私達ダンジョンはみんなお父さんから生まれてきたの、だから、別にお父さんが結婚したわけでも、・・・そのぉ・・、誰かと・・・ごにょごにょ・・したわけでもないの。
・・意味がわからない?・・うーんと、なんて言ったらいいかなあ・・、そうだ!株分けって知ってる?アロエとかサボテンとか、増えてきたら誰かに分けてあげたりするでしょ?
そうなの、あれと一緒の原理なの。お父さん放って置くとどんどん大きくなっちゃうから、たまに株分けしないと駄目なの。
・・へ?じゃあ、なんでお父さんって呼んでお母さんって呼ばないのかって?
・・・一度そう呼んだら凄い怒られちゃったの・・、「だれが母親だコラ。ぶっ殺すぞこのクソようじょん」って。
・・はへっ?似てた?うふふふー、そうなのー。私おとうさんのものまね得意なのー!でもだれも解ってくれないから今まで残念だったんだー。
・・・って、あれ?あれあれ?なんでおねえちゃんがお父さんの口癖知ってるの?
・・というかおねえちゃんの装備、貧者の指輪のせいで最初はわからなかったけど、それ、天獄杖と聖骸布だよね?・・まさかおねえちゃんお父さんとこ攻略しちゃったの?
・・・はぇっ?違う?入学祝いにもらっただけ?
・・・・お・・お父さん・・・・、入学祝いになんてものあげてるの・・・・。これがあれば町ぐらい簡単に滅ぼせちゃうの・・・。
・・まあ、お姉ちゃんは変なことには使わないだろうけど・・・って、待って!そもそも口癖知ってるってことは、お父さんおねえちゃんと喋ったってことだよね?
・・はへっ?ここ数年間、ほとんど毎日喋ってた?たまにしりとりとかもしてた?
なんなのさそれはー!!お父さん、私には人間とは喋るなって言っておいて!!ひとりだけ喋ってずるいー!断固抗議するー!!
・・ほぇっ?今日からお姉ちゃんが私と毎日喋るから大丈夫?・・へっ?友達になってください?・・って、・・・私と、・・お姉ちゃんが?
・・って、おねえちゃん、私ダンジョンだよ!?そりゃ、自我もあるし、ニンゲンのことは好きだけど、でもダンジョンと友達なんて聞いたことないよ!?
・・はぇっ?私のことなんて呼べばいいかって?・・えっと、それはおねえちゃんの好きな風に呼んでくれれば・・・って、おねえちゃん私の話聞いてほしいの!
あ、でもね、「ようじょん」だけは嫌なの!お父さんいつまでたっても直してくれないんだから!!ひどいんだよ!私だってもう300万年は生きてるのに!!
・・うん、「ダンジョンちゃん」でいいよ。ふふふっ、変な感じ、そんな風に呼ばれたの初めて。
・・・へ?おねえちゃんのことはお母さんって呼んでもいいって?それは変だよー。おねえちゃんはおねえちゃんだよー。
・・ほへっ?お父さんの事を色々聞かせて欲しい?いいよー。その代わりおねえちゃんもお父さんの事いろいろ聞かせてね。
・・・うん、私がまだ小さい頃ね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・それなのにお父さんたらね・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・ほえー、そんなことがあったんだ・・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・ふふふっひどいなあ、お父さんも・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・うん、優しいんだよね、お父さん。・・・・・。
・・・あれ?もう授業の終了の鐘がなっちゃったね。・・・うん、おねえちゃんもう帰っちゃうんだよね、気をつけて帰ってね・・・。
・・それじゃあね、ばいばい・・・。
・・・・・!!
うん!!またね!おねえちゃん!!
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本編の8話と9話の間のエピソードでした。蛇足でなかったことを祈る。
次回は、もう一度この幼女一号の番外編を続けるか、あるいは、幼女の娘世代の話に突入するか・・・。