プロローグ
お約束な展開というものは物語の導入において必要である。
例えば、主人公は遅刻で急いで学校に向う。曲がり角を曲がると美少女とぶつかりその美少女が実は転校生であり、その上、というか、当然、主人公と転校生の席が隣になるという在り来りな展開。
なんのへんてつもない少女がある日、声が聞こえて向かった先にはフェレットが倒れており、その後、色々あって魔法の存在を知る。
日常的な生活から一変して、何らかのきっかけで物語が進む。
自称「平凡な小学3年生」高町なのはの物語はココから始まったのだ。
出会いは突然だったが、ユーノ・スクライア、フェイト・テスタロッサなどの主要人物とロストロギアであるジュエルシードに関わり、「PT事件」に介入。高町なのはが「魔導師」となり、フェイト・テスタロッサや「時空管理局」と出会うきっかけとなったのである。
その後、「闇の書事件」にも関わり傷つきながらもなんとか事件を解決。
主要人物たちはその後、時空管理局に入隊し、JS事件と関わっていき無茶な戦い方ではあるが主犯格の人物達を無事に逮捕したのである。
と、大まかなあらすじは覚えているものの、細かな部分は覚えていないのだ。
一度目は友達が進めるので見た。
その数年後、映画化されたというので再度じっくりとアニメDVDを見たのだがそれも既に何年も前のことになる。
そう、"アニメの世界の話"だったはずの高町なのは達が住む海鳴市に来たのは俺の記憶ではもう10年前になるのだ。
精神年齢は肉体年齢とは別ものである。
私立聖祥大学付属小学校3年生。
年齢、9歳。
田村紡(たむらつむぐ)
得意な授業、体育。
嫌いな食べ物、きのこ類。
成績、常に満点。
家族、両親、姉、兄。
女装させたら右にでるものがいない美少女になれる特技がある。
中性的な顔立ちに、艶やかな黒髪は肩口あたりまで伸ばされてる。いや、伸ばすように強要されている。
しなやかな身体つきに加え、引き締まった太ももに、キュッと締まった腰回り。
割とスベスベの白い肌。整えられた眉に透き通った声質。
パッと見ボーイッシュな女の子に見える。
というか、初対面ならほぼ間違いなく女の子と間違われる。
姉曰く「リアル男の娘ハアハア」
くそっ!腐女子で年の離れた姉を持ったことがこんなにも妬ましいとは。
どんな因果か、俺は元いた世界から気づいたらこの田村紡として転生した。
というか転生したとしか考えられなかった。
目が覚めたら知らない家の赤ん坊用のベッドにいたのだ。
いや、まあ、愛情を持って育てられたので両親には感謝している。
姉と、兄にもそこそこ感謝している。
しかし、元いた世界では現在19歳の姉より年上の26歳だったのだ。
オタクでもあり、腐女子などの免疫もあったが、実害を被られると堪ったものではない。
閑話休題
自我を持ち始める年齢というのは人それぞれだと思うが、俺の場合0歳から自我を持っていた。
どうも、転生モノの話にありがちな展開で元いた世界の記憶はバッチリ残っている。
そして、ココがアニメの世界、つまりはリリカルなのはの世界だと知ったのは生後三ヶ月の頃に両親が家族が増えたから引っ越すという話を聞いていたからだ。
引っ越すと言っても手狭なアパートから一戸建ての家に変わっただけで海鳴市内の移動である。
赤ん坊である俺を連れて市役所で住所変更手続の際にリリカルなのはの世界に来たと確信した。
なぜなら、海鳴市など、俺の世界には存在していなかったし、帰りに翠屋に寄ったからである。
奇数な運命に囚われているのだと自覚したのは、私立聖祥大附属小学校に入学してからである。
なにせ、高町なのはが同じクラスにいて、なおかつ3年連続同じクラス、席も常に隣なのである。
そう、何度席替えをしようと必ず高町なのはが隣の席になるのだ。
「にゃはは~、また隣の席だね~」
慣れたものだと言わんばかりに3年生最初の席替えが終わった後に俺に声をかけてきていた。
「ああ、高町とは切っても切れない縁があるらしいな。俺は諦めたよ」
「もう!なのはって、呼んでよ~」
元いた世界で十年後の姿を知ってるので高町教官、白い悪魔、なのはさんと呼びたいと密かに思いつつも、この可愛らしい高町なのはを呼び捨てにするのはどうも気が引けた。というか、元いた世界の記憶があって、なおかつ精神年齢はかなりイッてるので小学生同士のやりとりをするのは勘弁して欲しかった。
なにやらブツブツと言っている高町なのはを放っといて俺は思考する。
魔法少女リリカルの物語に俺がどうやって関わっていくのか。
そもそも俺が魔法が使えるのか。
管理局をどうするのか。
フェイトたん可愛いとか。
シグナムの胸に飛び込みたいとか。
アリサ・バニングス、くぎゅううううとか。
思考しながら適当に学校を過ごし家に帰り、姉に今日のコスプレ撮影会を強要され、それも終わり風呂に入って着替え終わる。
シャツにGパン。
パジャマを着ると姉が一緒に寝たがるのでもう何年もパジャマを着るという文化は俺の中では終わっていた。
夜九時を周り、そろそろ寝るか、パソコンでネットサーフィンをするか迷っていた処で頭に声が聞こえた。
【聞こえますか、僕の声が……、聞こえますか!?】
この声が聞こえるということは俺に魔力があるって証明にもなるわけで。
やはり魔法少女リリカルなのはの世界に、高町なのはに縁があるらしい。
春とはいえ夜は肌寒いのでジャケットを羽織り家を出る。
家族にはコンビニに行くとだけ言い訳しておいた。
これから始まる魔法でリリカルな物語に少しだけ高揚した口調でつぶやく
「さあ、物語をはじめようか」
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あとがき
はじめまして。こんにちは。
終着点の見えないまま始めてしまった魔法少女リリカルなのはのSSのプロローグになります。
知らない人もいると思いますが別作品も書いていますのでよろしく。
毎回サブタイトルを書いている人はすごいと思います。
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