Fate/stay night~魔術師と死神~
第2夜「天を衝く」
クロサキを召喚してから一夜が明けた。木々の間から見える空は、相変わらずの曇り空。雪は降っていないのに、肌には刺すような冷たさを感じる。今日は一段と冷えるわね…
分厚いコートを着ていてこの寒さなのに、私の前を歩くクロサキは召喚した時の黒い服のまま。サーヴァントとはいえ、寒さ位は感じそうな物なのにね。
私とクロサキは今、アインツベルンの森に来ている。クロサキの戦闘能力のテストの為に。
クロサキの後を歩きながら、私は考える。クロサキには分からない事が多い。バーサーカーと名乗ったのに理性的だし、消費する魔力も通常のサーヴァント程度。
其処まではいいけど、その弊害で弱いとかだったらどうしよう…
昨日の内に幾つか質問したかったけど、妙な疲労感のせいで、気付いたらベットの上だった。
「イリヤ。ここか?」
クロサキが立ち止まる。その先には石で造られた舞台がある。そこが今日のテスト会場。この石舞台は魔力を流せば、オートでゴーレムを作成してくれる、便利な装置。昔、知り合いに貰った物だ、とお爺様が言っていた。
「ええ、そこの中央に立って」
テストは多数対一の戦闘。英雄なら楽に勝って貰わなきゃ困る程度のレベルのゴーレムを、1000体倒せば終了。
「それじゃ、始めましょうか。クロサキ」
「いつでも構わない」
「それじゃ…Tanz; die Puppe des Steines」
イリヤが魔力を流すと、舞台が隆起し、ゴーレムに姿を変えていく。その数は5体。
ゴーレムの精製の終了と同時に一護が消えた。
昨日の魔術師の時と同じように、一瞬の内に懐に入り込んで、拳を打ち付ける。
その拳を受けたゴーレムは爆発するように砕け散る。それを確認する暇も無く、次々とゴーレムは壊れていった。
しかし、ゴーレムは壊される度、倍になって復活する。幾ら速く動けても動くスペースが無くなっては意味が無い。
既に舞台上のゴーレムは300体を越えている。一護が動ける範囲にも限界が見えてきた。
それを理解した上で、一護はゴーレムを殴り続ける。
「クロサキ、宝具を使って!もうスペースが無いわ!」
「必要ねぇ!」
イリヤから指示が跳ぶが、一護はそれに従うつもりは無いようだ。彼は握り締めた拳だけを振るっていく。
ゴーレムの数が500体を越える。
その時、一体のゴーレムがイリヤに向かって走り出した。
「え?」
ゴーレムはその巨躯に見合った巨大な腕を振り下ろす。咄嗟の事にイリヤは反応できない。イリヤに石の塊が迫る。
「きゃあ!」
ガンッ!
「オイ…お前の相手は俺だろ?」
イリヤを押し潰す筈だった石の塊は、イリヤの前に立つ一護の刀によって防がれていた。
「クロサキ…」
「イリヤ、あと三歩下がっとけ」
そう言うと、クロサキのカタナに魔力が集まっていく。カタナが光だし、森を明るく照らし出す。体にピリピリと余波が伝わってくる。
私は言われた通り、きっちり三歩下がる。そしたら、急にピリピリが消えた。多分、クロサキがコントロールしているんだと思う。
「行くぜ…」
カタナから魔力が立ち昇る。私の魔力が急に減っていく。それでもバーサーカーの制御よりは全然少ない。
「―――月牙」
クロサキがカタナを振りかぶる。
「天衝!!」
ーゴッ!!
振り下ろされたカタナから、巨大な魔力の斬撃が飛ぶ。斬撃はゴーレムを全て飲み込み、石舞台さえも破壊しつくした…
「イリヤ、終わったぜ?」
「そうね…ねぇ、クロサキ」
私は気になってた事をいう事にした。
「何だ?」
やっぱりクロサキのこの口調、似合ってないわね。
「これからは気取った話し方するの止めて。戦ってる時の方が似合ってる」
「…わかった。一応サーヴァントとして遠慮してたんだけどな」
「要らないわよ、遠慮なんて。さ、帰りましょう?クロサキ」
クロサキを背に私は城に向かって歩き出した。
黒一色の部屋。中央に水が溜まった穴があり、その周囲を囲むように席が配置されている。
席に座るのは、アインツベルン現当主、ユーブスタクハイト・フォン・アインツベルンとその腹心達だ。
彼等は中央の水溜まりに映った一護とイリヤを見ていた。
「アハト老…何故ですか?」
腹心の一人がオズオズとアハトに問いかける。
「イリヤを狙った事か?それとも、奴をサーヴァントとして認めた事か?」
アハトは簡素に答える。その声に腹心はビクッとしているのだが、アハトの事をよく知る者が見たなら、アハトの機嫌がもの凄く良い事に気づいただろう。
「そのどちらもです」
「イリヤをゴーレムに襲わせたのは、バーサーカーのテストだ」
「テスト、ですか?」
さっきとは別の初老の男が聞く。
「そうだ…本当にバーサーカーか怪しい物だったが、確信が持てた。奴は紛れもない、バーサーカーだ…」
「して、奴を認めた理由は…」
昨日、一護に殴り飛ばされた男の父親が急かす様に言う。
「奴と同じ姿をした者を一度見たことが有る…」
「それだけ、ですか…?」
単純過ぎる理由に、全員が呆気に取られる。アハトはそれを見て満足そうに頷いた。
「それだけだが、重要な事だ」
そう言って、アハトはニヤリと嗤った。
ー1月半後
「お爺様、行ってまいります」
「うむ、アインツベルンの悲願、託すぞ」
「はい」
会話を終えると、イリヤは通信用の護符を燃やした。自家用ジェット機が離陸準備に入る。
ー行き先は日本。
ー求めるは聖杯。
白と黒の主従はドイツから飛び立った。
あとがき
ドイツ編終了です。
ブリーチといえばオサレバトル。ランサーに「なん…だと…」と言わせるのが楽しみです。
おまけで一護のパラメーター
バーサーカー(黒崎一護)
筋力:A(50) 魔力:E(10) 耐久:B(40) 幸運:C(30) 敏捷:A(50) 宝具:???
瞬歩:一瞬の内に移動する事ができる。
空戦:空での戦闘ができる。
技能
・戦闘続行:A(50) ・・・往生際が悪い。瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる。
・神性:B(40)・・・死神への人々のイメージから人霊ながら神性を持つ。
・直感:B(40) ・・・戦闘時、つねに自身にとって最悪な展開を”感じ取る”能力。数多の戦いの経験により、会得した。
宝具
・斬月 ・・・
ランク:B(40) 種別:対人・対軍宝具 レンジ:1〜40
技・・・月牙天衝 斬月から高密度の魔力を斬撃として飛ばす技。
一応バランスが取れる様にしたつもりです…ツッコミ所満載かも…