Fate/stay night~魔術師と死神~
第4夜「前哨戦、死神と槍騎士」
冬木に着いてから大体2週間、夜だと言うのにイリヤが一人で出かけて行った。大人しく城に居ろって言われたけど、やっぱ心配だな…
こっそり様子見に行くか。
城から出て、瞬歩で移動する。森の出口が見えた所で、俺は足を止めた。
森の入り口の所に、全身青タイツの男が槍を肩に担いで佇んでいるのが見えたからだ。
歩いて、そいつに近付く。
「よう、悪りィな。ワザワザそっちから出て来て貰ってよ」
フランクな感じで、青タイツが話しかけてくる。
「…サーヴァントか…やりに来たのか?」
「ああ。話が早くていいねぇ」
「チッ…間の悪りィ奴だぜ」
「女と会う用事でも有ったか?そりゃ、野暮なマネしちまったな」
青タイツはニヤニヤと笑いながら軽口を叩く。
「女は女だけどな…そういうんじゃ無ぇよ」
「なら別に良いだろ。やろうぜ?」
逃げても追ってくるよな…つまり、しょうがねぇ闘いって訳だ。
「…着いて来い。人目に付くのはパスだ」
「森の中でやんのか?」
「中にちょうど良く開けた所が有る。そこでやろうぜ」
「OKだ」
「悪りィけど急がせて貰うぜ?」
正直な話、闘いは楽しみだ。だけど、それよりイリヤの安全が最優先だ。
「はっ!俺を舐めてんのか?」
「まさか。アンタより優先する事が有るだけだ」
「へっ、上等!!槍の英霊、ランサーだ!」
槍を構え、名乗りを上げるランサー。
「バーサーカーだ!」
俺も斬月を抜き、クラス名を名乗る。本名名乗りたかったんだけど、イリヤに止められた。相手が名乗った後ならいい、って条件は付けて貰ったけどな。
一護とランサー、双方に緊張が走る。
「「行くぞ!」」
初動は同時、だが先手は一護が取った。動くとほぼ同時に、ランサーの懐に入り込んでいる。瞬歩の速度には幾ら最速を自称するランサーで有ろうとも、追いつけない。一護の斬月が横薙ぎに振るわれる。
「甘ぇ!」
しかし、それはランサーの紅い槍に防がれていた。移動速度では一護に敗れたランサーだったが、技の速度は別の話だ。
ランサーは一護が懐に入ったのに気付いた瞬間に槍を縦に構え、斬月を防ぐ態勢に入っていた。
「月牙…」
斬月に魔力と霊圧が集中する。それを見たランサーはその場から飛び退がった。
「天衝!」
斬月から巨大化された斬撃が飛ぶ。ランサーは四足の獣の様に屈み、それを躱した。
そのまま、全身のバネを使って跳び、一護に肉薄する。構えられた紅の槍より放たれる、神速の三連突。
一護はそれを斬月の面で受ける。斬月は紅い槍を受けても、ヒビ一つ入って無い。つまり、武器の強度は互角。
優劣の差をつけるのは、使用者の技と力。そして、武器に込められた宝具たり得るその能力。
火花が飛び散り続ける。攻めては守り、守っては攻めるの繰り返し。
そう言うと長い間戦っているかのように聞こえるが、彼等の戦いはまだ10分も経ってはいない。
第三者が見ていたなら、自分の時が遅くなっているのかのような印象を受けるだろう。それ程までに、ただ、速い。
「はっ!やるじゃねぇか!!油断したら持ってかれるな!」
「宝具も使ってねぇくせによく言うぜ!」
一護は冷静に戦局を見て、思考していた。
(ランサーは技術のみで戦っている。それに、恐らくだが手を抜いてやがる。このままじゃ、宝具を使われれば負けるな。)
刀と槍が鎬を削る。
(だが、それはランサーにもわかっている事の筈だ…なら何故、宝具を使わねぇ?)
ランサーの不敵な笑みからは読み取る事が出来ない。
(使えるが、使わねぇのか…理由があって、使えねぇのか…)
最悪は宝具の発動。一護が次の手を探っていると、ランサーが不意に動きを止め、槍を担ぎ、口を開く。
「なあ、ここらで引き分けって事にしねぇか?」
それは一護に取って、予想外な提案。戸惑いから一瞬動きが止まる。だが、戸惑うと同時に、納得もしていた。
一護は、ランサーは最初からここで決着をつける気は無かった…だから宝具を使わなかったのだと、確信した。
「…いいぜ。本気じゃないアンタの相手も飽きてきた所だ」
元から速く終わらせて、イリヤの元に向かいたかったのだ。断る理由は無い。
「そりゃ、良かった。んじゃ、俺は帰るぜ」
「ああ。次は本気で来いよ?」
「へっ…上等だ。その時は、ケリつけようぜ」
ランサーは木の上に飛び乗る。
「あばよ、バーサーカー!次のテメェとの闘い、楽しみに待つ!」
そう言うと、ランサーは木々を足場に、跳び去って行った。
「さて、イリヤの所に行くか」
パスを頼りにイリヤの位置を探る。城から反応がした。
戦闘に夢中になっている内に帰ってたみたいだな。俺は城まで瞬歩で跳んだ。
城の玄関には仁王立ちのイリヤとハルバートを携えたリズがいた。
「クロサキ、大人しくしててって言ったわよね?私、サーヴァントと闘っていいなんて言ったかしら?」
底冷えする声でイリヤが俺に問い掛ける。ああ、感じ取れた。俺は地に伏す事になるな…
こういう時は言い訳に意味は無い。多分、悪くないんだけどな、俺。
「マスター…謝罪する。リズ…お手柔らかにお願いします」
「覚悟はいいみたいね、クロサキ。…リズ、やっちゃえ!!」
俺に向かってハルバートの石突が振り下――
あとがき
兄貴との初戦。戦闘に疑問感じる人がいるかもしれませんが、いずれ作中で説明します。
ところで、戦闘の長さってこの位ですかね?短いですか?
リアルで、テスト間近です。
1週間程、投稿できません。すいませんm(_ _)m