はじめまして。dragonflyと申します。
この作品は新世紀エヴァンゲリオンの逆行・憑依・(一応)TSモノになります。そういった要素が気になる方は、スルーの方向でよろしくお願いいたします。
なお、Arcadia様への投稿にあたり、当時一般公開しなかったエピソードなどを追加した増補版としてお送りいたします。
Dragonfly 2006年度作品
2006年7月10日に投稿を開始した【シンジのシンジによるシンジのための補完】をはじめシリーズ4巻を書籍化しました。
A4サイズで大変分厚く、お値段も凄いことになっていますが、もしお求めくださるのであれば、私のTwitterを覗いて見てくださいませ。(@dragonfly_lynce)
宜しくお願い申し上げます。m(_ _)m
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シンジのシンジによるシンジのための補完 プロローグ
気が付くと、膝を抱えてうずくまってたんだ。
目の前が赤い世界じゃないって、心がようやく認識したんだと思う。
『…どこだろう』
白い部屋。壁はクッションのように柔らかそう。
真正面に扉。驚いた様子のお兄さんが慌てて何処かへ。
胸元に、無骨な銀の十字架。
『ミサトさん…の?』
おかしい。この十字架は墓標代わりにしたはずだ。手元に在るわけがない。
押さえつけるように十字架を握りしめて、その手の大きさに違和感を覚える。
さらには十字架越しに伝わってくるささやかな弾力。
襟首を引っ張って中を確認しようとしたその時、扉が開いた。
「気が付いたようだね」
「あっ!はい… !!!」
「驚くのも無理はない。君は2年もの間、心を閉ざしていたのだからね」
確かに驚いた。だけど、そのおじさんが話し掛けてきた内容についてじゃない。
返事をした声が、自分のものではなかったから。まるで女の子のような声だったから。
だけど聞き覚えのある……、声。
「大丈夫。何も心配は要らないよ。葛城ミサト君」
……
「ええぇぇぇぇぇ!」
思わず絶叫した。
記憶に有るよりちょっと甲高いけど、それは確かにミサトさんの声だったんだ。
はじまる
2006.07.10 PUBLISHED
2006.09.01 REVISED