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No.30788の一覧
[0] 御神と不破(とらハ3再構成)[しるうぃっしゅ](2013/02/21 22:48)
[1] 序章[しるうぃっしゅ](2011/12/07 20:12)
[2] 一章[しるうぃっしゅ](2011/12/12 19:53)
[3] 二章[しるうぃっしゅ](2011/12/16 22:08)
[4] 三章[しるうぃっしゅ](2011/12/23 00:29)
[5] 四章[しるうぃっしゅ](2011/12/23 00:39)
[6] 五章[しるうぃっしゅ](2011/12/28 17:57)
[7] 六章[しるうぃっしゅ](2012/01/09 13:32)
[8] 間章[しるうぃっしゅ](2012/01/09 13:33)
[9] 間章2[しるうぃっしゅ](2012/01/09 13:27)
[10] 七章[しるうぃっしゅ](2012/03/02 00:52)
[11] 八章[しるうぃっしゅ](2012/03/02 00:56)
[12] 九章[しるうぃっしゅ](2012/03/02 00:51)
[13] 断章[しるうぃっしゅ](2012/03/11 00:46)
[14] 間章3[しるうぃっしゅ](2012/03/11 01:30)
[15] 十章[しるうぃっしゅ](2012/06/16 23:58)
[16] 十一章[しるうぃっしゅ](2012/07/16 21:15)
[17] 十二章[しるうぃっしゅ](2012/08/02 23:26)
[18] 十三章[しるうぃっしゅ](2012/12/28 02:58)
[19] 十四章[しるうぃっしゅ](2012/12/28 03:06)
[20] 十五章[しるうぃっしゅ](2013/01/02 18:11)
[21] 十六章[しるうぃっしゅ](2012/12/31 08:55)
[22] 十七章   完[しるうぃっしゅ](2013/01/02 18:10)
[23] 断章②[しるうぃっしゅ](2013/02/21 21:56)
[24] 間章4[しるうぃっしゅ](2013/01/06 02:54)
[25] 間章5[しるうぃっしゅ](2013/01/09 21:32)
[26] 十八章 大怨霊編①[しるうぃっしゅ](2013/01/02 18:12)
[27] 十九章 大怨霊編②[しるうぃっしゅ](2013/01/06 02:53)
[28] 二十章 大怨霊編③[しるうぃっしゅ](2013/01/12 09:41)
[29] 二十一章 大怨霊編④[しるうぃっしゅ](2013/01/15 13:20)
[31] 二十二章 大怨霊編⑤[しるうぃっしゅ](2013/01/16 20:47)
[32] 二十三章 大怨霊編⑥[しるうぃっしゅ](2013/01/18 23:37)
[33] 二十四章 大怨霊編⑦[しるうぃっしゅ](2013/01/21 22:38)
[34] 二十五章 大怨霊編 完結[しるうぃっしゅ](2013/01/25 20:41)
[36] 間章0 御神と不破終焉の日[しるうぃっしゅ](2013/02/17 01:42)
[39] 間章6[しるうぃっしゅ](2013/02/21 22:12)
[40] 恭也の休日 殺音編①[しるうぃっしゅ](2014/07/24 13:13)
[41] 登場人物紹介[しるうぃっしゅ](2013/02/21 22:00)
[42] 旧作 御神と不破 一章 前編[しるうぃっしゅ](2012/03/02 01:02)
[43] 旧作 御神と不破 一章 中編[しるうぃっしゅ](2012/03/02 01:03)
[44] 旧作 御神と不破 一章 後編[しるうぃっしゅ](2012/03/02 01:04)
[45] 旧作 御神と不破 二章 美由希編 前編[しるうぃっしゅ](2012/03/11 00:53)
[47] 旧作 御神と不破 二章 美由希編 後編[しるうぃっしゅ](2012/03/11 00:55)
[48] 旧作 御神と不破 二章 恭也編 前編[しるうぃっしゅ](2012/03/11 01:02)
[49] 旧作 御神と不破 二章 恭也編 中編[しるうぃっしゅ](2012/03/11 01:00)
[50] 旧作 御神と不破 二章 恭也編 後編[しるうぃっしゅ](2012/03/11 01:02)
[51] 旧作 御神と不破 三章 前編[しるうぃっしゅ](2012/06/07 01:23)
[52] 旧作 御神と不破 三章 中編[しるうぃっしゅ](2012/06/07 01:29)
[53] 旧作 御神と不破 三章 後編[しるうぃっしゅ](2012/06/07 01:31)
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[30788] 間章5
Name: しるうぃっしゅ◆be14bceb ID:c2de4e84 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/01/09 21:32










 クンっと酒呑童子は鼻を鳴らす。
 意識せずとも臭ってくるのは、濃密な血臭。そして、強大で懐かしい気配だ。
 彼が今居る場所―――それは、屋敷の最深部。趣味でたてた家とはいえ、無駄に広い広間で胡坐をかいて座っていた。
 目の前には二本の小太刀。かつての友から預かっている、酒呑童子の宝物でもある。手入れだけはかかしていない。それが彼の日課になっているのだから。
 折角信用して預けて貰ったというのに、駄目にしてしまっては合わせる顔がない。

 その前で巨大な徳利に口をつけ、ゴクゴクと音を鳴らし酒を飲んでいる。
 酒呑童子とは少し離れた場所で、茨木童子と鬼童丸が高価そうな将棋盤を向かい合って座っていた。盤面を見れば一目で判るほどに優劣は明らかだ。
 茨木の陣地には既に王の駒のみ。対して鬼童丸の陣地には溢れんばかりに駒が置いてある。どうあがいてもというか、狙ってやらない限りこのような結果にはならないだろう。

 王一枚でなにができるでもなく、悔しそうに唇を噛み締めて悔しさでぷるぷると震えている。
 相当悔しかったのか涙目になっていて、今にも零れ落ちそうだ。

「まだやるんですか?もう諦めてくださいよ」
「う、うるさいですよ!!まだ、まだ終わってませんです!!」

 茨木が涙目でキッと睨み付けて来るが、全く気にも留めない鬼童丸はハイハイっと肩をすくめる。
 平均して一日2,3回は遊んでいる二人ではあるが、戦績は流石に覚えていない。千回を超えたあたりからどうでもよくなってきたということもあるが、鬼童丸は負けた記憶がない。
 途中で癇癪を起こした茨木が将棋盤を破壊して、引き分けに持ち込んだことは数え切れないくらいあるのだが。
 その度に将棋盤を勝ってきていた鬼童丸だったが、ここ百年ほどで自分で作ることを覚え、最近はもっぱら自作の品を使用していた。

「もういい加減にしましょう。何やら物騒な方も着ていますしね」
「そ、そうです!!つまりこの勝負は、無効なのです!!命拾いしたですね、鬼童丸!!」
「この状況で無効に持っていく貴女に称賛を覚えますよ……」

 二人が立ち上がると同時に、彼らから随分と離れた場所にあった巨大な入り口の扉が激しい音をたてて砕け散る。
 粉砕され、バラバラになった破片の隙間をぬって、一つの影が飛び込んでくる。疾風が一筋二人の間を駆け抜け、そのままの勢いで奥にいる酒呑童子へと突っ込んでいこうとしたその時―――。
 その影を邪魔するように、茨木が拳を、鬼童丸が蹴りを、二人の間を通る瞬間叩き込む。
 それにチッと舌打ちを残して、突撃することを諦めた人影は後方へと大きく飛び退いた。

「舌打ちしたいのはこちらの方なんですけどね、百鬼夜行」
「全く持ってその通りですよ。貴女さえ来なければこれからあたしの大逆転が始まったのに……」
「いえ、、それはありません」

 飛び退いた人影―――セーラー服を着た少女。百鬼夜行は相変わらず何を考えているかわからない虚ろな視線で、だが油断なく二人を見据えている。
 それと同様に茨木も鬼童丸も軽口を叩いてはいるが油断はしていない。目の前の常軌を逸した怪物の強さは重々承知している。数十年前にも大江山に攻め込んできたことがあったが、その時でも十分な怪物だった。そしてこの怪物の成長性を甘く見てはいない。数十年たった今、どれほどの成長をしているか一抹の不安がよぎる。

 己達の主である酒呑童子。彼は強い。だが、既に成長性でいえば限界に達しているだろう。
 それに加え数百年前に己に課した約束を未だ守り、人を喰らっていないことも大きい。人を喰らうという本能を常に抑え続けている酒呑童子の力は数百年前と比べるまでもなく下がっている。
 未だ成長を続けている百鬼夜行と全盛期の力が見る影もない鬼の王。世間では既に世界最強は百鬼夜行だという話が広がっている。そしてそれを全く否定しない酒呑童子。

「随分と殺してきたな、百鬼夜行」

 座っていた酒呑童子がどっこいしょと言いながら立ち上がる。
 随分と長い間座っていたせいで間接が固まってしまったのだろう、腰や肩を回すとバキバキという音がする。
 欠伸をしながら床に置いてあった徳利を片手にひっさげ、百鬼夜行に近づいていった。

「それで、何をしにきた?まさか俺様の部下を殺しに来たってわけじゃあるまい」
「―――お前を、喰らいにきた。鬼の王。お前を喰らえば、私が、この世界で、最強の存在となる」
「俺様を喰いにねぇ」

 ガシガシと頭を掻いた酒呑童子は自嘲めいた笑みを浮かべた。
 ハァっとため息をつくと、後方に置いてある小太刀をちらりと見る。数百年前の友であり、好敵手であり、仇敵だった男の姿を思い出す。

 ―――世界は、変わっちまったなぁ。

 誰にも聞こえない心の声が響き渡る。後ろを見て隙だらけであるというのに、攻撃を仕掛けてこない百鬼夜行に視線を戻すと、チョイチョイっと手招きをした。

「いいぜ。かかって来な。数十年ぶりに遊んでやるよ」
「―――私は、強くなった。数十年前と、一緒にするな」
「ごたくはいらねぇ。言葉ではなく、お前の拳でそれを示せ」

 あ、お前らは手をだすなよ―――と、茨木と鬼童丸に注意した瞬間、一つの肉体が爆ぜる。
 床が破裂。その勢いと速度で酒呑童子へと迫った百鬼夜行の右拳が―――彼の水月へと炸裂。そして、返す刀の左の貫き手が喉元へと突き刺さる。それだけで終わるはずもなく、飛翔した前蹴りが精密に、正確に顎に直撃。と、同時に振り下ろされる拳。爆撃を受けた音を残し、酒呑童子の顔を叩き潰した。

「―――きえ、ろ」

 床に飛び降りた瞬間に瞬時に詠唱を完了させた魔術を発動。百鬼夜行の眼前に展開される数個の魔法陣。そこから生み出された十数個の黒剣が酒呑童子へと突き刺さり、降り注ぐ。
 それは天眼が愛用する魔術。教えられたわけではない筈のそれを彼女は使いこなす。いや、魔術だけではない。あらゆる魔術、技術を彼女は使用可能なのだ。その身に受けた技を、魔術を―――視認さえすれば、使いこなすことができる。全ての努力を、鍛錬を一笑に付すあまりにも理不尽な能力。故に彼女の異能は【略奪】と呼ばれるのだ。 

 百鬼夜行は戦いに特化した異能力を持ちながら強さを求めていたわけではない。自分の命に価値が持てない彼女は何時死んでも良いと思ってもいた。 
 だが一人の人間と出会い、考え方を根底から覆された。ただの人間でありながら、脆弱な人間でありながら―――あまりにも強くなりすぎた剣士と邂逅してしまった。
 全てを破壊する魔獣ざからさえも打倒し、最強であり続けた剣士を超えたいという産まれて初めての欲求を抱いた。その在り方に憧れた。尊敬をした。その横に立ちたいと思った。

 だが―――彼は死んでしまった。 

 その日、百鬼夜行の心は死んだ。音をたてて砕け散った。もう会えない。もう話せない。もう横に立つことができない。ならばもはやこんな世界に興味はない。価値もない。意味もない。百鬼夜行という存在にたった一つだけ残ったもの―――それが、彼への想い。
 もはやこの世界に未練はない。だが、彼へ近づきたい。それだけは常に心を縛る鎖となっている。
 だからこそ、百鬼夜行は世界最強を目指す。世間が幾ら言っても意味はない。最強だという確かな実感が欲しいのだ。
 それ故に百鬼夜行は強者を求める。強き者を叩き潰し、打破し、殺し続けていけば―――残った自分が最強だと証明される。無敗じゃなくてもいい。不敗じゃなくてもいい。無敵じゃなくてもいい。最後に【最強】であればいい。
 そして百鬼夜行は笑う。狂ったように笑う。かつて圧倒的な差で敗れた鬼の王を打ち砕くだけの強さを手に入れたことに。また一歩世界最強に近づいたことに。

「―――お前を、乗り越え、喰らう。私が最強となるための、糧となれ!!」






















「私はね、アイン。かつて頂点を目指していたことがあったよ。君達のようなHGSとしても格別の戦闘力を誇る生物が十二体も同じ時代に存在する。そんな奇跡を目の当たりにしてしまったからね」

 
 酒呑童子と百鬼夜行が戦いを始めたほぼ同時刻。ヨーロッパにあるナンバーズの本拠地。その地下研究所にて二人の人影がいた。白衣を羽織った薄紫色の髪の美男子。ナンバーズの現最高責任者―――通称ドクターと呼ばれている男は、口元を歪めて眼前に横たわっている【モノ】を見つめていた。
 その後ろに控えているのはアイン。ナンバーズの最高戦力部隊数字持ちの統括者。そして単騎でアンチナンバーズの二桁の化け物をっも殲滅することを可能とする女性。
 二人の雰囲気、そして容姿はまるで親子のように似ている。唯一つ違うことがあったとすれば、ドクターは目の前のモノとなってしまった生物に何の感情も見せてはいないが、アインは極僅かにだが悲哀を感じているようだった。

 目の前のモノ。それはナンバーズが捉えたアンチナンバーズに属する男の人外。辺境の町にて静かに暮らしていた彼を捉え、実験材料としてこの実験施設に連れてこられた。
 ドクターは彼を切り刻み、弄んだ。恐らくただの人間だったならば当の昔に正気を失い、死んだであろう実験の毎日。
 だが、強靭な肉体を持つ彼は皮肉にもその実験でも生き延びてしまう。地獄のように続く毎日。腕を切り落とされ、再度癒着するにはどれくらいの時間がかかるのか。焼き切られた場合はどうか。時間があいた場合はどうなのか。
 
 ただひたすらに人体実験は続けられた。常人が行えるものではない。見せられるものではない。
 この地下実験施設のことを知っているのはアインとツヴァイ。そしてフィーアのみだ。他の姉妹達には、到底見せられるものでもなく―――見せたくないというのがアインの本音だ。
 ナンバーズがアンチナンバーズを生かして捕らえる目的。それはなんということもない、単純にドクターの実験材料にするためだった。

「私は随分長い時を生きてはいるが、実験漬けの毎日を送っていたせいで、結構な世間知らずだったんだ。でも、それでも君達のような怪物が十二体も創り出すことができた。これは世界の意思なのだろうと思った。君達を使って、この世界の全ての人外を殺しつくせという、ね」
「……はい」

 ドクターの眼は虚ろだった。底の見えない、全てを飲み込み無限の虚無が、漂っている。

「そこで私は世界中を見て回ったよ。アンチナンバーズと呼ばれる怪物たちをね。成る程、確かに人間では倒すには難しい化け物揃いだった。驚きはしたが、無理だとは思わなかったよ」

 目の前にあったモノにはもはや一切の視線もやらずに、ドクターは傍にあったパソコンを弄る。
 
「さて、話はかわるが、アイン。キミがアンチナンバーズで【最強】と思う怪物はどれだい?」

 キーボードを叩いていたドクターの指が最後にカチンと音をたてると、モニターに九人の写真が映し出される。
 それはナンバーズにおいて触れてはならぬ禁忌とされている一桁台の怪物達。伝承級の九人。もっとも一位と九位の二箇所の写真には、黒く塗りつぶされており不明という文字が書かれていた。

「―――私には、判りかねます」
「はっはっは。アインは真面目だねぇ。別にアインの考えている【最強】で問題はないよ」
「そういうことでしたら……」

 そして、アインは九人の情報を頭の中で整理していく。
 まずは一位の剣の上に立つ者。これは論外だ。何せ存在したかどうかすらも怪しい怪物。六百年前と三百年前の二度しかその座が埋まっていない、まさに伝説のみに謳われる男だ。そういった点ではこの存在を最強と云える要素がない。
 
 次は二位の未来視の魔人。この女が戦っている姿は滅多に見ない。戦士というより策士タイプなのは間違いない。確かに強いのだが、他の伝承級に比べれば幾分か見劣りするだろう。ただし、どこか底が見えない恐ろしさがあるのは違いない。

 次は三位の執行者。人間世界と夜の一族の世界の境界線を守ることを己に課した人からも人外からも疎まれる異端。人狼ということもあり、特にずば抜けた機動力を誇る。それに加えて人外には珍しく霊力と呼ばれる、生命エネルギーを引き出して戦うという。ここ数年は行方知れずとされていて、ナンバーズでも現在どこにいるのか確認されてはいない。

 次は四位の魔導王。単純な殺戮者数ならば他のあらゆる人外を置き去りにしてダントツのトップ。何故かわからないが、長年に渡って数百万の人間を殺しつくした殺人狂だ。確かに強かったのだが、敗北して封印されてしまった以上最強とは云い難い。

 次は五位の鬼王。この男もまた、論外だろう。数百年も表に出てきていない最古参の鬼。確認されている限り、特に特殊な能力もない。力が強く、身体が頑強なだけ。遠距離を重視して戦えば一番組み易しな相手だろう。ナンバーズでも全戦力を揃えれば殲滅可能な敵ではないかと、組織内では噂されている。

 次は六位の伝承墜とし。情報からこの存在は人間だと確認されている。かつての人形遣いを撃滅し、今度は猫神をも撃破してみせた。二つの伝説を崩したもの。確かに強いのだろうが、やはり人間。果たして最強といえるのだろうか。人間である以上基本的な性能では他の怪物達には勝てる要素はない。一撃攻撃をかわし損ねればそれで終わる。それではあまりにも危うい戦い方しかできない。

 次は七位の百鬼夜行。これは怪物の中の怪物だ。この女の特異性は想像力と応用力と修正力。戦闘の最中に彼女は相手と戦うに相応しい戦法を想像力にて創り出す。そしてそれを敵と戦っている間に徐々に修正していき、やがて【最適】な方法へと応用する。つまりは敵と戦えば戦うほどに進化していく。戦えば戦うほどに強くなっていく。
 彼女は三百年前は比べ物にならないほど弱き人外であった。戦闘に関して言えば種族中最弱であったといってもいい。だがとある異能力のおかげで―――いつしか、最強の一角に数えられるほどに強くなっていたのだ。彼女の異能力、それが不死。いや、正確には少し違うだろう。彼女の異能力は―――【略奪】。
 彼女に与えられていた想像力、応用力、修正力。これだけならば彼女は最弱から抜け出すことは出来なかった。殺されて終わる筈だった。しかし、この略奪の能力で自分よりも弱い生物の命を奪い、自分よりも強き者と戦う。そして戦いの中で、自分の力で相手に勝つ方法を想像し、応用し、修正する。
 そのまま勝てる場合もあるが、自分の戦闘方法の修正が間に合わず負ける場合もある。だが、それでもいいのだ。彼女は何十何百という命を略奪している。例え殺されてもそれを犠牲として蘇ればいいだけだ。そして蘇った彼女は既に負けた相手との戦闘に勝つ方法を創り出している。
 例えどんな相手であろうとも、何度敗北しても、彼女は最後には勝ってしまう。戦いに勝利してしまう。強敵との戦いを繰り返すことによって、その戦力は際限なくあがっていく。確かに彼女は最初は弱かった、だがその伸び代は―――決して切れることがない無限の才。不敗ではない。無敵でもない。彼女はただ、最凶なだけだ。
 彼女は―――現在のナンバーズが最も怖れる最悪の人外だ。

 次は八位の猫神。接近戦に特化した怪物。六百年前から闇の世界の魑魅魍魎に怖れられた人外の後継者。二代目ではあるが、その力は以前見た限り、数字持ちでも単騎では手に負えない。恐らくは複数の数字持ちを動員しても抑え切れるかどうか。だが、伝承墜としに敗北したということは最強というには相応しくないだろう。

 最後に九位の魔女。この存在は一位と同じく謎めいている。研究所に篭って外に出ないと言われているため、ナンバーズの誰もその姿を見たことがない。その研究所がどこにあるかすらも掴めていない。ようするに正体不明な怪物だ。ただ、天眼曰く戦闘力は九人の中で最も低い、らしい。

 九人の伝承級の怪物たちの情報を整理するアインだったが、やはり彼女はこの中では一人しか選べなかった。
 実際にあったこともあり、恐怖を植えつけてきた怪物。あらゆる生命を喰らい尽くす暴虐の鬼。

「―――私は、百鬼夜行だと判断します」
「うん、そうかい。多分誰に聞いてもそう答えるだろうね」

 ドクターはアインの答えが予想通りだったと言わんばかりに、薄く笑う。
 
「ああ、そうだね。百鬼夜行―――彼女は恐ろしい。彼女の進化は止まることを知らず、何時しか世界を滅ぼすに至るかもしれない」

 近くにあった椅子に深く座ると、虚無の瞳で天井で鈍く輝く電球を見つめる。

「だがね、私が最強だと思う怪物は―――鬼の王。酒呑童子だよ」

 そこでアインはようやく気づいた。
 椅子に座っているドクターの手が震えていることに。いや、違う。彼の全身が震えていた。
 まるで見えない何かに脅えているような、そんな様子を身体すべてで表現している。

「私が知っている最強とは、間違いなく酒呑童子だよ。鬼の王だ。ああ、アイン。キミが考えていることはわかるよ。確かに彼には特殊な能力はない。未来も見通せなければ、霊力も扱えない。魔術も使えなければ、死者を操ることも出来ない」

 両手を組み、かつて出会った人外の頂点を思い出す。
 力が衰えているとか、そんな事は関係ない。あれは存在するだけで最強の名を欲しいままに出来る怪物だ。
  
「彼はただ力が強いだけだ。ただ身体が頑強なだけだ。だがね、彼の力の前では如何なる防御も意味はない。鉄だろうがなんだろうが圧倒的な力で破壊する。彼の身体は如何なる攻撃も通用しない。武器も銃も、何もかもが意味をなさない。力が強いだけ?身体が頑強なだけ?それが極まった時の恐ろしさを誰も彼もがわかっていない。彼は―――単純なまでの暴力を極めた最強そのものさ」  
  






















 黒剣が降り注いだ一帯は、粉塵に見舞われ視界がきかない。
 着弾地点の近くにいた茨木と鬼童丸は巻き込まれないように何時の間にか、遠くはなれば場所へと避難していた。
 二人の表情は―――不思議と安堵に満ちていた。自分達の主が為すすべなく、圧倒的な力に晒されたというのに、一切の心配をしていない。そして茨木が心底安心したように呟いた。

「―――ああ、良かったです。まだその程度でしたか」

 粉塵がやんでいく。床が砕け、消滅し、更地となったその場所で酒呑童子は立っていた。傷一つなく、怪我一つなく、血を一滴さえも流さず、不動でそこにいた。
 誰もが気づかぬことだったが、酒呑童子はそこから一歩も動いてはいなかった。あれだけの攻撃を受けて、あれだけの魔術を受けて、それでもなお一歩もその場から退くことなく。

「随分と強くなったな、たいしたもんだ」

 ぼろぼろになった徳利を後ろに投げ捨て、一歩を踏み出す。
 ズシンと彼が放つ一騎当千の圧力が音をたてて周囲を圧迫していく。それに顔を顰めた茨木と鬼童丸は更に距離を取るように動く。この距離ではまだ巻き込まれる―――そう判断しての行動だった。

「だが、俺様と同じ土俵で戦うには百年はえぇ」

 鬼の王が放つ重圧に足が縫い付けられる。逃げろと本能が囁いてくる。しかし、それはもう遅い。
 百鬼夜行を嘲笑う速度で間合いを詰めてきた酒呑童子の右拳が掬い上げる一撃。それを両腕で受け止めるが―――。

「―――っな」
 
 メシリと骨が軋む音がした。衝撃が突きぬけ、弾き飛ばされる。広間から打ち飛ばされた百鬼夜行は外の地面に激突。それだけでは済まず、屋敷を覆っていた壁にめり込みようやく止まる。彼女の背中が壁に亀裂を入れたことが、その衝撃の重さを物語っていた。
   
 ごほっと咳き込んだ途端、ビチャビチャと血が地面を汚す。ゆっくりと広間から出てきた酒呑童子を威嚇するために構えようとしたが、激痛がはしる。よく見れば、たった一撃を受けとめただけで骨を見事に砕かれたらしい。
 無論百鬼夜行とてえ勝算無しで攻め込んできたわけではない。数十年前に戦い、そして敗れた時に酒呑童子の力は見抜いた筈だった。当時は基本的な性能が圧倒的にたりずにどのような戦い方でも勝てないとわかったため力を蓄えてきた。そしてようやく彼に勝てるだけの力を得た―――と思い込んでいただけらしい。
 数十年前とは相手の力も速度も桁が違う。どうやらあの時はただ遊んでいただけのようだと、百鬼夜行は理解した。

 百鬼夜行は即座に酒呑童子の力を分析し、相手に相応しい戦術を創り出そうとする。
 だが、何も思いつかない。あまりに隔絶した力の違い。如何なる方法を取っても、今の己では勝ち目がない。本能が何よりも、誰よりも雄弁に無言で語ってきた。

「―――諦めないつもりなら、また来いよ」

 その巨体からは全く想像できない電光石火。酒呑童子の動きを視認することはできた。いや、視認することしかできなかった。その動きには見覚えがあったわけではない。それでも何故か理解できた。その動きこそが―――かつて自分が憧れた剣士が時折見せていた、【神速】という技術であるということを。
 手と足が、脳からの指令を受けるよりも早く、ブチリという奇妙な音が耳を打つ。
 
 焼けるような激痛が首を襲う。妙に身体が軽くなったと感じた百鬼夜行だったが―――視界に見えたのは首から下しかない己の肉体。引き千切られた首から多量の出血が噴水のようにあがり、どさりと音をたてて地面に倒れた。
 そして気づいた。今の自分は頭だけを酒呑童子の片手に握られているということに。
 グラリと視界が揺れる。やがて鮮明だった視界は徐々に暗くなっていき、完全に闇に染まった。

 百鬼夜行が死んだことを確認した酒呑童子は、手に掴んでいた彼女の頭を地面に倒れている身体へと放り投げる。 
 決着がついたのを見届けた茨木と鬼童丸が、ある意味悲惨な殺され方をした百鬼夜行に向かって手を合わせた。

「頭を引き千切るとか外道です。超外道です」
「何で俺様が責められるのかわからんが……。まぁ、こいつ強かったから手加減できなかったんだよ」
「貴方がそう言っても嘘くさく聞こえますですよ。凄い余裕でぶち殺しておいて」

 勿論茨木は本気で言っているわけではない。
 酒呑童子の今の状態を誰よりも知っているのは茨木と鬼童丸なのだから。酒呑童子は自分達のように必要最低限とはいえ人を喰らっているわけではない。人を喰う事を止めて数百年。彼の飢餓はもはや限界に達している。何でもないように振舞ってはいるが油断すれば、本能の赴くがままに、人を殺し、喰らってしまう状態だ。
 ましてや闘争という行為を行えば、それに拍車をかける。彼が戦いにかけることができる時間は精々が数分程度だろう。それ以上の時間を使用すれば間違いなく、酒呑童子の理性が弾け飛ぶ。あらゆる存在を壊し、喰らい、殺し、滅ぼす。千年前に怖れられた最凶の鬼が降臨するだろう。 
 鬼としては正しいのかもしれない。だが、彼の信念がそれを許さない。かつての友とかわした約束は、どんなことよりも優先されるのだから。

「とりあえずどっか遠くにその死体捨てといてくれ」
「えー。嫌です。鬼童お願いしますですよ」
「いや、私だって嫌ですし。星熊にでも頼みましょう」

 頭と胴を引き千切られた百鬼夜行を指差した酒呑童子の命令にあっさりと鬼童丸に丸投げした茨木だったが、彼もうわぁと嫌そうな顔でさらに星熊童子に回そうとする。

「星熊?そーいえば最近あいつ見ないな」
「言われてみたらそうですね……。とりあえず、暇そうにしている部下でも呼びつけますか」

 少しだけ星熊童子を気にかけた酒呑童子だったが、鬼童丸は特に追求するでもなく部下の鬼を呼びに行こうとして―――得体の知れない悪寒に襲われた。

「でしたら私が持って帰りますよ?」

 その悪寒を肯定するかの如く、第三者の声がその場に響き渡る。
 即座にその場を離脱する茨木と鬼童丸。知らず知らずのうちに冷や汗が流れる。百鬼夜行とはまた別の底の見えない怪物。彼ら二人が一番厄介な相手だと確信している人外。全ての事象を見通しているといわれる未来視の魔人。

「陰険、白髪女!!」
「天の眼を持つ化け物め……」

 茨木と鬼童丸の瞳が真紅に燃え上がる。
 限界まで二人の四肢の筋肉が膨張し、今にも新たに現れた怪物に飛び掛らんばかりに大地を踏みしめた。吊り上った口元から覗くのは鋭い犬歯。
 この女は危険だと、初めて会った時から本能が訴えてきている。伝承級と呼ばれる怪物たちを幾人か見てきたが、天眼はその中でも飛びぬけて最悪な雰囲気を纏わせていた。 

「持って帰ってくれるならお前でもいいわ」

 しかし、二人とは違って酒呑童子は気にも留めない。
 早く持って帰れと言わんばかりに、しっしと手で追い払うジェスチャーをしながら、屋敷に戻ろうとしていた。

「相変わらずつれない人ですね。折角良い情報を持ってきてあげたというのに」
「―――お前の良い情報ってのはあんまり信用できないんだがな」
「今回はとびっきりですよ?何せ貴方の運命の相手の情報ですか―――」

 天眼は台詞を最後まで言うことができなかった。
 避ける暇もなく、気がついたときには首を掴まれて空中に片手で持ち上げられていたのだ。
 ミシリと骨が軋む不吉な音が響く。茨木や鬼童丸と同様に、禍々しく真紅に輝いた瞳が、獣を連想させるように瞳孔が縦に開き、天眼を貫いている。

「俺様の前で【あいつ】の不確実な情報を出すんじゃねぇ―――殺すぞ、小娘?」

 離れているはずの茨木と鬼童丸の皮膚が粟立つ。
 闘争が本質であるはずの二人が感じるのは、恐ろしいほどの圧迫感。戦えば死ぬという絶望的な恐怖が身体中に纏いつく。久々に感じる酒呑童子の本性に口内が乾いていった。

「―――いえいえ。こればかり本当ですよ。貴方が心の底から求め、欲している御神の魔刃。【青年】が貴方に予言した約束の剣士。その少年の情報を教えて差し上げますよ?」
「……」
 
 酒呑童子の腕に力が込められる。
 頚動脈を圧迫。いや、既に首が圧し折られるほどの圧力を受けていながら、天眼は笑顔を崩していなかった。

「ただし、条件があります。あと一年待って下さい。【今】の少年の力では幾ら全盛期に比べ劣るとはいえ貴方と戦うにはまだ早すぎますからね。というか、貴方が強すぎるんですよ。馬鹿ですか、貴方」

 笑顔のまま毒を吐いた天眼に、少しだけ意外そうな表情となった酒呑童子は―――首を圧し折ることなく、百鬼夜行の死体へと投げ飛ばす。
 凄まじい速度で投げられながらも、空中で体を回転させふわりと舞い降りる。不思議なことに彼女の首には凶悪な握力で握りつぶされそうになったにも関わらず、痣一つなかった。

「了承と取りますよ?恐らく貴方の部下がもう直ぐ【少年】の情報を持って帰ってくるはずです。ですが、貴方が本当に【満足】したいのならば―――後一年待ちなさい。そうすれば、【少年】の力は、貴方に匹敵するでしょう」
「―――俺様に、匹敵か」

 くはっと歓喜の息が漏れる。ついに、ついにきたのだ。
 長きに渡って待っていた宿命の敵。御神恭也が予言した、酒呑童子の【敵】に値する怪物が。
 御神恭也が死んでからこの世のあらゆることが退屈だった。アンチナンバーズの伝承級という怪物とも出会ったことは何度かあった。だが、彼からしてみればその誰もが敵にすらなりえなかった。酒呑童子という存在は、文字通り次元が違う怪物だったのだ。
 
「くっ―――ハッハッハッはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!そうか!!そうなのか!!お前はやはり約束を守ってくれたのか!!感謝するぞ、恭也ぁあああああああああああああああああ!!」

 狂気が溢れた。数百年に渡って貯め続けてきた、御神恭也への想いが報われた。
 音が成る程強く握り締めた拳を地面へと叩きつける。着弾すると同時に地面が爆発を起こし―――砂が上空へと撒き散らされる。砂塵がおさまった後には、酒呑童子を中心として巨大なクレーターが出来上がっていた。

「良いだろう!!良いだろう!!未来視の小娘!!約束してやる!!あと一年だけ待ってやる!!だが、それ以降は俺様の好きにさせてもらうぞ!!」

「ええ。それで結構です。確かに約束しましたよ、鬼の王よ」


 地面に転がっていた百鬼夜行の死体を持ち上げると、地面を蹴りつけ
壁の上へと飛び上がる。
 そのまま去るかと思われた天眼は、何かを思い出したのか壁の上から酒呑童子を見下ろす形で振り返った。
 
「もし約束を守っていただけなかったならば―――私が貴方を殺しますよ、酒呑童子」

 茨木と鬼童丸が息を呑む。普段は閉じている片目を開き、翠色に輝く瞳に睨まれた瞬間、膝を折りたくなる重圧を浴びせられた。その重圧は狂気を発する酒呑童子にも勝るとも劣らない。
 互いの狂気と狂喜がぶつかり合い、弾きあい、大江山を侵食していく。唯一平然としているのは伝説に名を残す怪物達二人のみ。

「安心しろよ。俺様も全力で戦いたいからな。一年くらいは―――待ってやる」
「それを聞いて安心しました。それでは、鬼の王よ。いずれまたお会いしましょう」

 そして天眼は姿を消していった。後に残されたのは、狂喜を漂わせている酒呑童子のみ。
 その後酒呑童子は、帰還した金熊童子と虎熊童子の話を聞くも一年の約束を守ることを徹底するように皆に言い含めた。
 それから一年後―――文字通りの世界最強は、動き出す。海鳴を目指すは五体の鬼。
 
 アンチナンバーズのⅤ。【鬼の王】酒呑童子。
 アンチナンバーズのⅩⅠ【鬼姫】茨木童子。
 アンチナンバーズのⅩⅡ【凍鬼】鬼童丸。
 アンチナンバーズのⅩⅢ【四鬼】金熊童子。
 アンチナンバーズのCM 【四鬼】虎熊童子。

 ―――そして、怪物達の饗宴が始まる。





 

























「―――私は、負けたのか」
「ええ。見事なまでに。完膚なきまでに。これ以上ないほどの敗北ですよ?」

 酒呑童子に頭を引き千切られてから半日ほどたった時間。大江山から遠く離れた場所にて岩に腰掛けて百鬼夜行の復活を待っていた天眼が、自嘲染みた呟きにそう返答する。
 百鬼夜行はここ数十年で二度の敗北を喫した。一人は目の前の未来視の魔人。もう一人が先ほど戦った酒呑童子。
 まだ、己より強い敵がいることに失望を禁じえない。特に酒呑童子の強さは底が見えない。果たして彼を倒すにはどれくらいの時がかかるのだろうか。
 
 だが―――。

「―――アレが、【神速】」
 
 今度は見えた。神速という技術を見ることが出来た。
 酒呑童子が発動させた神速に反応することは出来なかったが、視認することは確かに出来たのだ。
 三百年前はまだ弱かったために、剣の頂に立つ者の神速を視認することはできていなかった。しかし、今回は問題なく―――。

 天眼の目の前から百鬼夜行の姿が消え去った。まるで瞬間移動と勘違いしそうなほどに、彼女の動きを捉えることができなかった。集中していなかったこともあっただろうが、その動きは明らかにこれまでの彼女の限界を超えている。
 それに若干驚きながら、気配を探索。随分と離れた場所で、空を見上げていた百鬼夜行を見つけた。

「―――感謝する、鬼の王。お前のおかげで、私はまた、強くなった」

 あらゆる技術を略奪していく怪物の進化もまたとどまる所を知らず。
 【最強】への道は遠い。だがこの日―――決して彼女の手に届かない世界ではなくなった。











-------atogaki-----------

恭也をかきたいッス……
引越しまでに大怨霊編終わらせるのは厳しそうっす……


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