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No.31326の一覧
[0] WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」[ RCL/i8QS0](2012/10/06 22:13)
[1] 通夜【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/01 19:12)
[2] アラサー3人の家呑み【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/01 19:12)
[3] はじめての夕食当番【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/11/21 18:54)
[4] 女優(前篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/01 19:12)
[5] 女優(中篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/05/07 07:10)
[6] 女優(後篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/07 22:19)
[7] ストーリーテラー(前篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/02 19:12)
[8] ストーリーテラー(中篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/12 14:21)
[9] ストーリーテラー(後篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/05 22:44)
[10] 「見る前に跳べ」【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/07 22:20)
[11] ガールズトーク+1【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/11/21 19:10)
[12] 虚勢(前篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/15 13:46)
[13] 虚勢(後篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/02/28 13:35)
[14] 大好きなもの(前篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/08/12 10:58)
[15] 大好きなもの(後篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/05/05 12:54)
[16] わがまま【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】 [RCL/i8QS0](2012/05/06 18:50)
[17] 三文小説(前篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/05/13 01:14)
[18] 三文小説(中篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】 [RCL/i8QS0](2012/05/13 18:35)
[19] 三文小説(後篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】 [RCL/i8QS0](2012/05/27 22:15)
[20] 春の雪【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/08/23 01:14)
[21] 門出【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2012/06/08 01:17)
[22] 嘘つき【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/07/06 12:04)
[23] 関門1【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2014/02/03 16:36)
[24] 関門2【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2012/11/22 19:08)
[25] 「歓喜の歌」【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2012/10/05 19:49)
[26] 墓参り【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】 [ RCL/i8QS0](2014/01/02 20:10)
[27] マリッジブルー、そして初夜(R‐15?)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2012/08/12 15:09)
[28] 翌日(R‐15?)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】 [ RCL/i8QS0](2012/08/13 16:27)
[29] 挙式、そして引越し【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2012/11/21 18:44)
[30] 夕餉のひとこま【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】 [ RCL/i8QS0](2013/01/04 21:32)
[31] 手探り【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2012/08/17 21:14)
[32] ガールズトーク再び【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2012/08/23 19:32)
[33] 眠れぬ夜【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/09/20 21:25)
[34] 訓練(前篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2012/10/10 21:50)
[35] 訓練(中篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2012/11/15 19:49)
[36] 訓練(後篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2013/05/06 10:55)
[37] 本家の噂【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】 [RCL/i8QS0](2013/06/12 17:32)
[38] 再会(前篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2016/01/23 21:37)
[39] 再会(後篇)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2014/01/01 21:54)
[40] 蜜月【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[ RCL/i8QS0](2014/02/10 19:21)
[41] 父と子【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2014/07/17 09:09)
[42] 甘え下手【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2014/07/24 21:35)
[43] 愛読者【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2017/05/26 19:42)
[44] 秘め事(R‐15?)【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2015/06/26 19:15)
[45] ピアノ――未完のプロジェクト【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2015/08/25 18:16)
[46] 営業戦略【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2015/08/24 22:52)
[47] キャンペーン【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2016/07/23 23:15)
[48] 連弾【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】[RCL/i8QS0](2018/01/12 17:23)
[49] エピローグ[RCL/i8QS0◆17a7a866](2021/08/11 15:04)
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[31326] 愛読者【WHITE ALBUM2雪菜trueアフター「雪菜のいない日々」】
Name: RCL/i8QS0◆2e426366 ID:129b0297 前を表示する / 次を表示する
Date: 2017/05/26 19:42
「とりあえず、少し手直しして、『鴻』の今度の新人賞、出してみていただけませんか? これで。」
 このところ、だいたい月一のペースで続いている、いつもの御宿のカフェでのミーティング。紙束から目を上げた小春の一言に、春希は思わず知らず緊張した。
「――これで、か?」
 反問した春希に、小春はきっぱりとうなずいた。
「――ええ。気になりますか? これをこれとして独立させたんじゃ、本来あるべきところに収まらなくなるんじゃ、とか?」
「……そういう気持ちも、なくはない。でも、君の言いたいこともわかる。これはあくまでもフィクションで、あれとは違う、ってね。」
「ええ、そうです。大丈夫、しっかり別物として、自立できますよ、これ。――それとも、モデルのご意向を、気にされてるんですか?」
「……い、いや、そんなことはないよ。お義母さんは、これくらいのことを気にする人じゃない。むしろ手を叩いて喜ぶよ。かずさの方は……まあ、怒るだろうけど……。」
「――じゃあ、基本的に、問題はないと?」
 少しばかり意地悪に微笑む小春に、春希はうなずいて、
「わかった。おっしゃるとおりにやってみるよ。よろしくお願いします。」
と頭を下げた。小春も背筋を伸ばして、
「――はい、わかりました。ご応募、お待ちしています。ご存じとは思いますが、私も下読みに加わってはいますけど、応募作はあくまでランダムに割り振られますから、特別推したりすることは多分、できません。最終選考に残ってしまえば、あとは委員の先生方次第ですから。――でも、贔屓目かもしれませんが、結構いいところまで行けるんじゃないか、って思います。なんていうか、素材が――モデルの力に、先輩の筆が引っ張られてる感じがするんです。」
と応えた。
「いや、こちらこそ、最大限頑張るから、よろしくお願いします――で、そろそろ、時間じゃないのか?」
「そうですね、そろそろ社に戻らないと――先輩の方こそお忙しいところ、ご苦労様でした。」
 春希と小春は二人して立ち上がり、頭を下げ、そしてしばらく、このカフェの勘定をどちらが持つかで揉めた。

「はーるきくん?」
「はい、何です、お義母さん?」
 その夜、子どもたちが寝静まった後のリビングで、一週間ぶりの寝酒のワイングラスを揺らしながら、曜子がいたずらっぽく微笑みかけた。かずさは少し離れたダイニングのテーブルで、わざとらしく向こうを向いていた。
「結局、例の原稿、どうするの?」
「――あれはあれできちんと小説として仕上げて、新人賞に投稿します。……よろしいですか?」
「――わたしに聞くことじゃないわ。……ふーん……そう。やってみるの。いいわね、面白いじゃない。――ねえかずさ、モデルとして、あなたからも何か言ってあげなさいよ?」
 曜子は楽しげに笑って、向こうを向いたままのかずさに声をかけた。その声にかずさはゆっくりと顔をこちらに向けたが、何とも言い難い表情を浮かべていた。その顔に曜子はぷっと吹きだした。
「なーにあなたその顔? どうしたっての? 怒ってるの? 泣いてるの?」
 別に露骨に感情を表した、乱れた顔をしていたわけではない。あえて言うならば、「戸惑った」顔だった。その戸惑いをたたえた顔のまま、かずさは言った。
「……いや、別に怒ってるわけじゃないし、泣いてるわけでもないよ。こいつの書く小説もどきがひどいのは、今に始まったことじゃないし。あたしはもう、あきらめてるよ……まあ、雪菜のやつが、夢枕に立って、こいつのことを叱りつけてくれないかな、とか思わないでもないけどさ。考えてみれば今度の原稿なんて、あの、こいつの「出世作」か? 『アンサンブル』のあたしについての最初の記事の続きというか、書き直しみたいなもんだから、今更どうこう言っても仕方がない、って気持ちもある。でも……。」
 かずさの真剣なまなざしに、曜子は首をかしげて、
「でも、何?」
と優しく問うたので、かずさはひと呼吸おいて、
「――母さんは、平気なのか?」
と反問した。
「――平気も何も、春希君がいずれあたしの伝記書いてくれる、っていうのでずっと協力してるの、あなただってよく知ってるじゃない。今更よ。」
「――でも、今回のはきちんとした伝記じゃない。デフォルメした、ある意味面白おかしくふくらましてゆがめた、フィクションなんだぞ? その中で、母さん、結構ひどいやつに描かれてるじゃないか。――いいの?」
「なーによ、自分のことでもないのに、ナイーブねえ。私がこれまで云十年生きてきて、どれだけ面白おかしいゴシップ記事を、それこそ何か国語で書かれまくってきたと思うの? そんなのいちいち気にしてたら、やってらんないわよ。」
 言い募るかずさに、曜子は愉快そうに言い放った。しかし
「でもさ……。」
とかずさがなおも食い下がるので、曜子はぐい、とグラスを空け、一息入れてつづけた。
「――それにね、かずさ。私は、春希君の、小説、って、読ませてもらったのは今回初めてだけど、なかなかよく書けてるとは思うわよ? そりゃ、傑作……とは、思わないけどさ? でも、世に出られるかどうか、売り物になるかどうか、チャレンジさせてあげるくらいの価値は、あるんじゃないかな、って思ったわ? それにね?」
「――それに?」
「――これまでのを読んでないから、こんなこと言うのなんだけど、これまでと違って、今回、春希君は、登場してこないでしょう? ――それって、何か、新しい展開じゃないの? 春希君のなかで、何かあった、ってことなんじゃないかしら? 編集者さんも、それを感じたんじゃないの?」
 ――やはり、わかってしまうか……。自分もワインをちびりちびりやりながら、春希は内心でひとりごちた。と、かずさの次の一声に、春希は思わず顔を上げた。
「――それは、わかるよ。なんかこれまでは、やっぱり、春希は自分のために書いてたんだと思う。でも、今度のは、そういうんじゃない。自分をわかりたいとか、自分を癒したいとか、そうやって書いてるわけじゃない、って思う。あたしのことを書いていても、自分にとってのあたし、を書くんじゃなくて、なにかこう、うまく言えないけど、自分とは関係ないところで存在している、他人としてのあたし、のことを書いてると思う.そして、母さんのことも。」
 それを聞いて曜子はおかしそうに笑い、
「なーんだ、やっぱりあなた、北原春希の愛読者じゃない? ずいぶんきちんと、読んであげてるのね?」
とからかった。かずさは憮然として、再びそっぽを向いた。

(気にしてるのは、それだけじゃないでしょ?)
(……ん。んん――。)
(書き手としての春希君の成長、一番わかってるのは、たぶん杉浦さん以上に、かずさだもんね?)
(おだてても、何も出ないぞ……大体お前に何を出しゃいいんだ? お供えか?)
(――お供えしてくれたところで、全部かずさのカロリーになっちゃうもんね? ――そんなことはいいから、さ。)
(……そうだよ。お前の言う通りだ。あいつが書いた、自分が登場しない最初の小説の主人公が、あたしと母さんで、お前――雪菜じゃないことが、腹立たしくもあるし、戸惑わせもするんだ……。)
(そんなのある意味仕方のないことじゃない? そもそも春希君は、曜子さんとかずさの伝記を、言ってみればライフワークとして考えてるんだよ? 今回の小説は、そのために積み重ねてきてる準備の副産物に過ぎないんだから。自分の個人的な思い出とか印象とかを超えて、客観的な資料を総合して冬馬曜子・かずさ親子の全体像に迫ろうなんてしてれば、勢い、そうなるって……それに……。)
(それに、何だ?)
(私は結局一回も見られなかったけど、千晶さんのお芝居。あれの主人公って結局、雪音――私、だよね?)
(……。)
(悲しいかな、まだそれを超える自信がない、ってところじゃないの?)
 ――そう意地悪な笑みを残して雪菜の姿は急にぼやけ、そこでかずさは目を覚ました。ベッドの上に起き直り、かすかに酔いが残る頭を振って、それから傍らに眠る春希を見やった。安らかな寝息を立てる夫に、軽く口づけると、彼女はベッドから立ち上がった。
 ――キッチンで水を一杯飲んだら、雪菜の写真に一言、文句を言ってやろう。
(ライブで見てないのは、あたしも一緒なんだぞ?)


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