「かずさ・・・重いぞ・・・」
「失礼だな。あたしは重くないぞ」
いや、そういう意味じゃ・・・と、言いかけたがやめた
俺は今、テーブルの上に置いたノートパソコンに向かい合っている
そして俺の頭の上に重なるようにかずさの頭
つまり俺の頭の後ろには豊かな二つのふくらみが・・・じゃなくて
「今日はフリューゲル氏のところに行く日だろ?俺もこれが終わったらすぐ向かうから先に行っててくれ」
これ、つまり来週に迫ったコンサートのインタビューへの返信メールなのだが・・・
一応かずさにやらせてみたら項目の半分が「わからない」「知るか」、残りの半分が未回答という予想通りの内容
仕方ないのでいつも通り俺が手直しという名目で捏造をしてるわけだが、これの返答期限が今日の正午
ちなみに忘れていたわけではなく、朝一からやれば余裕で間に合う仕事なのだが、その朝一から別の事を頑張ってしまった為ギリギリになってしまった
「んー、春希分の充電完了まであと10分ー」
「お前、ついこの前も同じことを言って遅刻して怒られたろ」
しかもそんな使い古された言い回しを・・・
「じゃあ糖分摂取完了まであと10分ー」
「俺の体は砂糖でできて・・っひぅ!」
俺の首をやわらかく、そしてしっとりとした何かが這った
や、やばい!これは洒落にならん
「や、やめろ・・・集中できん!」
「やーだ。あたしは甘いものが大好物なんだ」
かずさの舌が首、首筋、耳、頬と這い回り、そしてついに甘い蜜の元へと辿り着く
「ゴール・・・んちゅ・・・ぴちゃ・・・んく・・・」
俺の口の中をかずさの舌が蹂躙する
もっと蜜を出せ、もっと蜜を出せと催促をしてくる
「かずさ・・・んん・・・ぁあ・・・ちゅ・・・」
そしていつしか俺の舌もかずさの舌を求めて、かずさの口の中を這い回ってた
俺の手は完全に止まり、そのままキスに夢中になってしまった
・・・
「んちゅ・・・はい摂取完了」
「んぅ・・はぁ・・・あ、あれ?」
かずさの口が遠ざかっていった
唇に物寂しさを感じながら時計を見たらさっきから30分経過していた
俺、そんなに長い間キスに没頭してたのか・・・
「これで完全に遅刻確定だな、春希」
「・・・はぁ、10分でこれ仕上げるから待ってろ。一緒に怒られてやるから」
俺はノートパソコンに向き直りさっさと仕上げに入る
実は仕上げも何もとっくに終わっていたのだが、ギリギリまでかずさと触れ合っていたかったから終わってない振りをしてたのは内緒だ
「やっぱり春希は甘いなぁ。だってさっきからそのインタビュー終わってただろ?」
はは、バレてたか
じゃあさっさと返信して怒られに行くか