ディケライア社本社。恒星系級惑星改造艦【創天】VR無重力会議場では、リアル時間で24時間後に迫った特別査察官来襲に向けて、必死の対策作業が展開されていた。 広めに作られた球型会議場のあちらこちらで、フレキシブルに部署が交わりつつ、それぞれの知識や情報をフルに使った総力戦の様相を呈している。 少数精鋭と言えば聞こえは良いが、単なる人手不足のディケライアでは、忙しさにかまけておざなりにしてきたため、監査時に問題視されるであろう事案が、いくつも浮かび上がっていく。 具体的には、期限ギリギリの添付観測データ複数流用等はまだ可愛い物で、列強星系国家の思惑による改訂も多く複雑怪奇な万魔殿と化した惑星開発法に精通した法務部による確認無し、もしくは簡易確認のみで製作された書類の記入不備や、それ以前の問題の書類未製作状態での仕様変更や作業続行。 現場においても、メーカーが定めた定期点検項目ではなく、簡素化した自社内点検項目のみで済ました工具及び重機の使用問題やら、安全面から問題視されている規格違いの他社製品同士での共食い整備。 または常態化している、違法すれすれな時間流加速技術を駆使した、勤務時間計算はリアルに合わせ、休憩時間及び休暇日数は加速空間側に合わせた疑似的超過勤務状態等々。 叩けば叩くほど埃が出るというか、 掘れば掘るほど、また新しく問題が出てくるのだから質が悪い。 もっともこれは致し方ないと言えば致し方ない。 元来ならばディケライア社が保有する戦力では、現状の主星たる恒星を失った地球及び各惑星を管理維持するには些か以上に心許ないからだ。 並の惑星改造艦では、4惑星の定位置維持さえも難しい過酷な状況のなか、曲がりなりにも原住民たる地球人に恒星消失という天変地異を気づかせず、仮初めの日常を変わらず過ごさせつつ、同時に3惑星を住居惑星、資源惑星、工場惑星として惑星改造する事が出来るのは、偏に艦齢は現役惑星改造艦の中では最古ながらも惑星改造艦として最上級の力を持つ創天と、ディケライア社社員の奮闘努力の賜。 転位事故という非常事態もあり、通常ならば惑星関連法上では問題視される数々の不備も、書類関連はともかく、現場側は、社内独自の整備や安全基準を代用することで大目に見てもらえる事態。 特別監査官も鬼ではない。下手をすれば現地生物全滅、惑星崩壊となりかね無い非常事態であれば、後日の改善及び報告のみで猶予を与える事だろう……そう他意さえ無ければ。 ディケライア社を潰す。 主であるアリシティア・ディケライアにとってそれが最善であると断言するディケライア社旧調査部元部長にして、現星系連合広域特別査察官シャルパ・グラッフテンでなければ。 「あっーもう! クカイ! あんたの部署! ファージー過ぎ! 感覚で仕事すんな! 書類に大体とかで数値打ち込むな!」 星外開発部部長シャモン・グラッフテンは、本日数十回目のぶち切れの雄叫びと共に立ち上がる。 そのまま自分のデスクを蹴ると、電光石火の勢いで矢のように空中を駆け抜けると、精神過労状態で人型が崩れて溶けかかったアメーバー状態で空中を漂いながらも仕事をしていた、調査探索部部長クカイ・シュアを捕まえ締め上げた。 クカイ達は第二太陽設置予定地である現宙域へと、宙域調査の終了したライトーン暗黒星雲外縁部から、稀少物質や鉱石を含む小惑星やら宇宙塵を確保して、打ち出し側のマスドライバー艦と受け取り側のマスキャッチャー艦による資源輸送を行っているのだが、その運搬軌道計算関係書類が、適当に打ち込んだことが丸わかりなやたらと端数の良い数字ばかりが並ぶ作業報告書となっていた。 「そう言ってもこんな近距離で一々軌道計算なんてしないって、こう投げるからで、じゃあここで受け取るよで、ボク達は大体伝わるのシャモンも知ってるっしょ~」 ドロドロに溶けきった身体の一部から女性体と男性体それぞれの頭と対応した触手を出しながらも書類仕事を続けるクカイは、シャモン用に第三の性。同生体の顔を立ち上げると返事を返す。 それぞれの性に合わせて異なる人格を持つクカイだから出来る3人作業だが、本人曰く全人格稼働は相当に疲労するらしく、二稼働一休憩がもっとも作業効率が良いとのこと。 休憩中だった同生体のクカイが眠たげななのも、この寸前まで20時間以上ぶっ通しの作業をしていたからに他ならない。「んなの知ってるわよ! だけどせめてもう少し整合性持たせろ!」 クカイ達種族が極めて鋭敏かつ広域な空間把握能力を持つのは周知の事実で、シャモンもその能力は絶対的に信頼している。 彼らにとっては1光年距離間があろうとも、大体このくらいの勢いでこっちの方向に投げればという大ざっぱな感覚でやっても、目的地と目的時間にほぼ誤差が無く届ける事も造作もない。 だから、忙しい中でわざわざ軌道計算やら使用エネルギー消費記載など、運搬用の書類など作らず、ドライバー艦とキャッチ艦のスペックが許す限り、バケツリレーよろしくほいほいと勢い任せで移動させていた。「感覚で出来る事を、具体的な数値にしろ、しかもそれが5桁以上ってなると、ほかにやる仕事も多いんだから、そりゃそうなるって」 その数はおおよそ数万回に及び、それを今更それぞれの艦の移動記録から逆算して、運搬書類を作れと言われても、ほかにも色々と手直しするものは多く、リアル側での工具再整備等にも手が必要。どうしてもそこら辺の数値が適当になってくるのは致し方ないというのがクカイの主張だ。「その些細なのが積み重なって運搬した物資の量が、実際の使用量に比べて滅茶苦茶少なくなってんの! 暗黒星雲の物資はツケよ! ツケ! こんなもんあの陰険女に出してみなさいよ『消費物資の過少申告ですか……会社ぐるみの詐欺行為と認定いたします』とかほざくに決まってるでしょうが! ローバー専務が仕事しやすいように何とかしてくれたのに、現場組のあたしらが妨害してたら意味ないでしょうが!」 」 元々双子として作られただけはあり、シャモンがした物まねは、確かに言いそうな、私情を加味しない突き放した物言いと冷徹な表情に瓜二つだ。 そこらを無数に漂っているとはいえ、暗黒星雲内資源は無料ではない。 暗黒星雲の法定上の所有者である星系連合から許可を貰い、使用量に基づき後払いしかも格安の破格の条件で採掘運搬許可をもらっているのだ。 ディケライア社専務ローバーが、当初開発予定だった星系の盗難事件という憂き目に星系連合と交渉し何とかもぎ取ってきた許可は、大きく事情が変わった今でも健在。 物資不足というどうしようもない弱点を補強するためにローバーが苦労してくれたのに、自分から新たな弱点を作りだしてどうするとシャモンが切れるのも、また仕方の無い事だろう。「うぅっ……耳が痛い」 感覚で仕事をするのは良いが、書類はきっちり仕上げろと主張するシャモンの説教が、自分の席まで聞こえてくると、ディケライア社の若き女社長であるアリシティア・ディケライアは、その正論に自分が説教されているように感じて、銀髪から突き出た同系色の毛で覆われたウサミミを丸く縮めた。 クカイ達が現次元空間の把握能力に優れているように、アリシティアも頭のウサミミ器官で他次元を感じ取れる空間跳躍ナビゲーターたるディメジョンベルクラド。 銀河中枢からこの辺境星域まで、地球の月と同等の大きさを持つ巨大艦である創天を運搬してきたのもアリシティアのナビゲート能力によるものだ。 そのナビゲートは複雑な計算を行い完全に割り出して具体的な数値にするよりも、許容範囲内での誤差は生じる可能性はあるが、いくつかの手順をすっ飛ばして感覚優先でやった方が圧倒的に早いのだからと、感覚優先跳躍主義。 そんなアリシティアが修正を施しているのは、その航路及び跳躍記録の見直しと補足だ。 出発地点の銀河中心域はともかく、中枢宙域と外部宙域を結ぶ常設跳躍地点の1つ、辺境星域ラプトン跳躍門を抜けてからの宙域は辺境も辺境。 ほかに飛んでいる船も少なく、有人惑星は1光年以内に皆無。 多少は広く強く空間を掻き乱して跳躍、現界しても、どうせすぐに収まるだろうと飛んできたツケが今になって回ってきた形だ。 どうせすぐに収まるから、移動時間の減少が利益に直結するからと、多少の手抜きや早飛びは、誰でもやっている事だが、それは地球で制限速度のある道路をどのドライバーも多少は速度オーバーして走っていても、捕まっていないのと同じ事。 取り締まる側に、見逃されているからに過ぎない。相手が問題視しようとすれば、いくらでも問題視できる。 問題として取り上げられる可能性が高い以上は、何とか答えられる、納得させられる理由付けに翻弄されていた。『アリシティア様。次は第413回跳躍においての、安全基準時間及び距離より早めの跳躍となった事ですが』 他の社員が物資節約のために全員冷凍睡眠状態で航行していた中で、唯一起きていたアリシティアに付いていた創天メインAIのリルが新たな跳躍記録を提示する。 間を置かない連続跳躍や同一箇所での跳躍は、次元に与える影響が相乗的に強くなるので、時間を空けつつ、なるべく距離を離すのがセオリーで、最低基準が次元跳躍移動法によって定められている。 今回の跳躍もギリギリ禁止されていない距離と時間を空けているが、余裕がなさ過ぎて、あまり推奨されていないラインに思いっきり引っかかっている。 仕事柄、跳躍距離も回数も多くなる惑星改造会社の社長が、航路の安全を重視し、モラルある行動が求められるのは、たとえ建前であろうとコンプライアンス的に当然の事だ。 一応法には触れていないので、シャルパを納得させるだけの理由があれば問題は無いが、跳躍が早まった理由欄には、他事によりと突っ込み所満載の二文字が記されているだけだ。「あーと……この時ってアプデ後ワールド再オープン間近って理由だっけ?」 しばし日付をみていても思い当たらず、しかし横に添え付けられた地球のそれも日本版の日付で端と思い出す。 安全基準時間を待っていると、リーディアンオンライン夏期大型アップデート後のログイン可能時間と丸かぶりだったからという、私的理由にもほどがある理由で跳躍を急いでいたと。『はい。三崎様やギルドのご友人方と、新しく解放される事になった高難度浮遊島へご挑戦になると仰っていました』「レベルキャプ解放に、新アイテム、モンスター、インスタダンジョン導入、それに夏休み突入記念経験値、ドロップ率三倍キャンペーン。行くしかないでしょ! って状況だったけど……シャルパ姉に通じると思う?」『無理です』 アリシティアもそんなゲーマーとしてはそれ以外に選択肢などない理由を説明しても、あの頭の硬い従姉妹に通じるわけが無いと判ってはいたが、リルも同意見らしく即断で返す。 「だよね……リル。周辺空間の情報、後あたしのバイタルデータ表示」 近くに浮遊物質があったとか、影響はないが遠く離れた恒星が活発に活動をしていた。もしくは自分の体調が一番良かった、もしくは逆に悪くなりそうだった。 何でも良いから後付けの理由を付けて誤魔化せれば良い。 無論相手がアリシティアの事をよく判っているシャルパなので、後付けだと見抜かれるだろうが、厳密には違反していない事をわざわざ突っ込んでは来ないだろう。 悲しいかな。ほかに攻める箇所は無数にあるのだから。 だが弱点は時に利点ともなる。 そんな弱点を使い、シャルパへの妨害工作を考案したのは、ほかならぬアリシティアの掛け替えのないパートナーであり、良人である三崎伸太だ。「で、シンタの妨害工作の方ってどうなってるの? PCOに新規導入した亜空間ホームの利用率とか」 表示されたデータを確認しながら、もう一つの気になっている事柄を確認する。 アリシティア達の行っているのは対策。つまりは防衛手段。その一方で対抗。攻めの手段ももちろん同時進行で行われている。『はい。地球の日本時間で早朝に緊急アップデート後、数時間が経過していますが、既にプレイヤー様789人により、亜空間ホーム内に初期配置された小惑星改造計画がゲーム内で立案や実行されています。これらの改造計画を逐次ディケライア社の新規拠点改造、もしくは資源抽出計画検討書として、開発部のデータベースに転載しています』「不備や違法行為が多ければ多いほど、チェック項目が増加する上に、日付が若いしかも検討書だから、正式に導入していないから法にも触れないし、これから検討して直していくとこですって言い張れる。普通の人なら無視するような木っ端書類だけど、完璧主義のシャルパ姉なら、逐一全部チェックするから、時間稼ぎにはなると……シンタらしい嫌な手だよね」『三崎様のご指示で、当社の本書類もその中に紛れ込ませております。記載日付で分類されないように言い回しなどの改訂を行い、新規製作の体をなして増大中。プレイヤー様の動向次第ですが、オープニングイベントとは別のクエスト群で取得可能な、新たな亜空間ホーム用衛星なども含めれば、数万から十数万の欺瞞書類が、数日中には用意が出来る試算がなされています』 伝聞だがシャルパの性格を聞いて三崎が打ちだしたのは、地球のPCOプレイヤーを巻き込んだ、人手不足のディケライアの逆を行く、それこそ数の暴力という大胆で大ざっぱな手だ。 その主目的は地球人の知識、倫理感に基づく自由な設計に基づいた計画書。 つまりは不備や欠陥のある書類を大量生産しディケライア社の正式な書類として扱うことで、それらを調べるシャルパ達監査チームの時間浪費と精神的疲労を狙うという、この上ないほどに嫌がらせが主目的の遅延作戦だ。 本人曰く『たらい回しと無駄な書類の多い日本の役所を廻れば誰でも思いつく』とのこと。 現在の主計画である第二太陽作成及び暗黒星雲探査計画の途上で起きた度重なる探査機撃墜という難事を、ゲームの難易度調整失敗というミスという形に託け、オープンイベント後の導入を計画していた亜空間ホームを早期導入。 プレイヤー全てに資源転用、もしくは工場化、小規模基地化が可能な小惑星を与え、その利用指示を、補佐AIを通じ、宇宙側の書類データとして転用。 未開文明ながら興味深い地球人の造形、建造センスに基づく、セミオーダー制惑星改造案。宇宙側のPCO計画の雛形として採用したという形を取り、一応の名聞を持たせている。「無料でいじり放題のアイテムを与えられたらみんな色々やるだろうし、それが新システムなら当然そっち優先も多くなるか。うーあたしもゲームに参加していたら、絶対格好いい秘密基地でも作るのに」 先ほどの休憩時間の際の美月達に行った新システムのシークレットレアスキルの説明が中途半端に終わらされた反動か、どうにもアリシティアの中でゲーム欲求が強まる。 小惑星に偽造した秘密基地。なんて心躍るロマンの塊だろうか。 その気になればリアルで本物を作れる立場なのだが、一応これでも一児の母にして立派な社長。 さすがに自分の趣味全開の代物に会社の物資や人員を動員するなんて考えれるわけも無く、悶々とした気持ちを抑えながら、アリシティアは地味な数値が並ぶリストを見て、どうにか跳躍が早まった理由を捻り出そうとする。 しかしアリシティア達の防衛も、三崎の攻めも、どちらも決定的な手には欠ける手段。時間稼ぎにしかならないのだ。 全ての資料と状態を調べ終わってしまえば、星連、しかも全権委任される特別監査官であるシャルパが、何かしらの理由で一時的な事業停止処分を下してもおかしくない。 いや、するはずだ。 何しろシャルパは、アリシティア個人の絶対的な味方。 ディケライア社が潰れた方が、アリシティア本人のためになると公言し、姉妹であるシャモンと殺し合いに近い喧嘩の末に片目を失っても、その意思が一切変わらずディケライアから去って行ったのだから。「次さ……シャルパ姉に会えたら、会社は建て直したよ。だから戻って来てって、胸を張って言うつもりだったのに。どうしてこうなるかな」 しょんぼりとウサミミを折り曲げたアリシティアは、リルに聞かせるためか、それとも弱さをはき出す為か、自分でも判らない言葉をぽつりとつぶやく。 アリシティアの声にリルは応えない。その思いに返すだけの言葉を思いつかないからだ。 高度な人工知能であるリルは、人の心の機微を知ることも出来るが、物事を客観視してみてもいる。 だからアリシティアや三崎、そしてその周囲の人々の努力や行いが、数多くある制限の中で行える精一杯のことをしていると判断でき、している。 それ故に、こうすれば良かったと安易に答えることが出来ないのだ。『三崎様の考案したC案が稼働すれば、特別査察官としてでは無く、シャルパ様個人としてそのご来訪、いえご帰還をお祝いする事もできますが、それはエリスティアお嬢様次第です』 「C案か……エリスもあたしとシンタの血をひいているんだから、ゲームを楽しんで、一緒に楽しめるお友達が見つかればどうにかなりそうだけど、さすがに難しいかな」 父親である三崎の嘘で、地球に隔離されて帰還できないと思わされている愛娘のエリスティアは、地球人達に混ざりPCOに参加しているが、どうもログを追うとソロプレイや、幼馴染み兼従者のカルラとばかりであまり他プレイヤーと関わってはいない。 今日は三崎の策でカルラが引き離されて、アリシティアの良き友人でもあるオーランド大佐の一人娘であり、プロゲーマーであるサクラと一緒のクエストを受けているはずだが、それもどうなるか。 しかもゲーム内宙域の近くには、エリスティアが敵視する美月や麻紀もいるという状況。 三崎の方は、三崎の方でサクラの叔父である柳原宗二にコンタクトして、星連アカデミア関連の工作中。 PCO関連によるA案。そしてアカデミア関連のB案。 今現在三崎が行っている銀河文明人への地球宣伝計画は、主にこの二通りのラインに沿って稼働中。 これらを駆使して、星連やその中心である星連議会にも一定の影響力を持っているが、監査官を止めるほどの力を発揮は出来ていない。 ただ三崎はもう一つの案。切り札的なC案を計画し、既に準備、その土台だけは出来ている。 ただ肝心要の条件が揃わず、またいつそれが揃うかは不明。それこそ愛娘次第といった所だ。 「あたしの時も大分掛かったから。だからエリスに期待するのは早すぎだし、酷かな。何とか今ある手だけでどうにか出来れば……なに?」 経営者としては魅力的だが、母親としては少し複雑なアリシティアがぼやきに近い感情を覚えていると、急に目の前にウィンドウが立ち上がり、緊急事態を知らせる画面が表示される。 それは丁度噂をしていた愛娘に取りつけた時空耳感覚補助機関であるメタリックな機械仕掛けのウサミミからの緊急連絡だった。「リル! エリスのプレイをメイン表示! シンタにも緊急連絡! C案行けるかもって!」 表示された数値を見た瞬間、アリシティアは全ての作業を中断して、起死回生の一手に繋がるかも知れない状況を逃さないために、矢継ぎ早に指示を出した。