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No.32231の一覧
[0] 使い魔は婚約者?【ゼロ魔・ネタ・三人称習作・オリ主転生・完】[ペスポチ](2013/10/22 22:49)
[1] 第1話 使い魔召喚の日[ペスポチ](2013/10/19 08:50)
[2] 第2話 虚無とガンダールヴ[ペスポチ](2013/10/06 16:04)
[3] 第3話 ゼロと小石[ペスポチ](2013/10/06 16:05)
[4] 第4話 2つの虚無の曜日[ペスポチ](2013/10/12 20:08)
[5] 第5話 フーケ[ペスポチ](2013/10/12 20:07)
[6] 第6話 『フリッグの舞踏会』の前後事情[ペスポチ](2013/10/06 16:07)
[7] 第7話 オスマン氏の判断[ペスポチ](2013/10/06 16:08)
[8] 第8話 姫殿下からの依頼[ペスポチ](2013/10/06 16:09)
[9] 第9話 旅の途中[ペスポチ](2013/10/06 16:10)
[10] 第10話 出航までの休日[ペスポチ](2013/10/06 16:10)
[11] 第11話 アルビオンへ[ペスポチ](2013/10/06 16:11)
[12] 第12話 ニューカッスルでの決戦前日[ペスポチ](2013/10/12 20:06)
[13] 第13話 脱出事情[ペスポチ](2013/10/12 20:06)
[14] 第14話 腹の探り合い?[ペスポチ](2013/10/06 16:13)
[15] 第15話 意図された宝探し[ペスポチ](2013/10/06 16:15)
[17] 第16話 竜の羽衣と飛ばすには[ペスポチ](2013/10/22 19:30)
[18] 第17話 いきなり最終話[ペスポチ](2013/10/23 15:15)
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[32231] 第11話 アルビオンへ
Name: ペスポチ◆b06feb3c ID:874bdb7f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/10/06 16:11
『女神の杵』亭の襲撃から脱出後、桟橋に向かった。

ワルドが丘の上にある桟橋へ向かい、樹の根元に近寄る。
樹の根本にある、各枝に通じる階段にかかっている鉄のプレートで、目当ての階段を見つけたので、駆け上がり始めた。

ケヴィンは後ろからの足音を気にしながら駆け上がっていたが、後ろから足音が聞こえてくる。

「後ろから誰かが追ってきているようだ。先に行ってくれ」

「でも……」

「ルイズ、彼の言う通りだ。ケヴィンはしんがりの役目をはたしてくれたまえ」

そう言ってワルド、ルイズが階段を登っていくあいだに、ケヴィンはまわりの木壁の一部を錬金で、目立たないようにちらばせながら小石化をおこなっていた。

階下からきたのは、白い仮面の男だったが、暗視の魔法も行っているケヴィンには、黒いマントの紋章も見えている。
グリフォンの紋章だ。
ワルドも雑な仕事をするなと、ケヴィンは苦笑するが、元より疑われているとも思っていないであろうから、しかたがなかろう。
ケヴィンはワルドとルイズが順調に登っていることから、背中に背負っていたデルフリンガーを抜くことにした。

抜き出したデルフリンガーは、買い取った時のボロボロの状態ではなく、直前にとがれたような見事にきれいな状態である。
毎晩の室内の練習がてらに、初代ガンダールヴのサーシャのことや、エルフの技術によって作られたことであろうや、ブリミルの虚無の話やら、ヴァリヤーグの話やら。
そして、デルフリンガーが、ブリミルの胸を突き刺したというところで、本来の姿にもどったのだ。

右手にデルフリンガーに、左手の杖にはブレイドの魔法をかけて、後ろからきた人物に声をかける。

「相棒、ようやっとだしてくれたのかよ」

「お前の相手をしている暇はないぜ。白仮面のメイジ、上には行かせない。と言いたいところだが、狙いは俺なんだろう?」

それにはこたえず、白い仮面の男は、杖をかまえた。
黒塗りになっているが、ワルドと同じ軍杖の杖だ。
ワルドの目的は、元々知っている内容と同じなのだろう。
ケヴィンは、今までのうっ憤をはらすかように、

「大隆起とかの相手は、サイトがするはずなのに、なんで俺なんだよ。この行き場のない怒りをお前にたたきつけてやる!」

ガンダールブが心の震えで強さが増幅されるが、使い方を間違っていないかとは誰もつっこんではくれない。
そう言って、ケヴィンは、昨日の夕刻と同じように、小石を念力でとばして、相手につっこんでいった。

相手は、ワルドの風の偏在である。
その風の偏在は、方向こそ工夫された小石がとんできたことから、青銅のかわりだろうが、また昨日と同じかと油断をしていた。
軽くウィンドの魔法で、小石をけちらして、相手の剣にカウンターをあわせることにした。
昨日と違い両刀ではあるが、昨日はワルキューレがあったことからしてみると、陰にかくれたり、武器になるものも少ない。
しかし、ケヴィンの移動速度と、剣速が予測をはるかにこえていた。
ガンダールブのルーンの力である。
ケヴィンの一振りで、致命傷をあたえたが、さらにデルフリンガーの特性でもある、魔法を吸収する能力もあり、風の偏在は一瞬できえた。

「相棒、もう少し話し相手になってくれー」

「パス」

そう言って、デルフリンガーはあっさりと、背中のさやの中にしまいこまれてしまった。
フライで上にいるルイズとワルドのところまでに行く。



ワルドは風の偏在が消えた感覚を覚えた。
まさか、あのドットに後れをとったと?
ガンダールブの特性を知らないワルドにとって、ケヴィンが単なるドットでは無いと思わせたのは、何かフラグをまたたててしまったかもしれない。

合流したあとに、そのまま階段をかけあがった先の出口は、枝が伸びていて、一艘の船が停泊している。
その船は『マリー・ガラント』号だ。
船はワルド子爵が交渉して出航することになった。
その就航間際になって、グリフォンも口笛で呼ばれて飛んできたが、ケヴィンも同じように、口笛でカイザーを呼んで到着をした。

船のことはワルドが船長と交渉して、情報収集なども行っている。
ケヴィンとルイズは、ここでは横で聞いているだけだ。
情報としては、王党派がニューカッスル付近に軍を配置しているが、苦戦しているとのこと。
ウェールズ皇太子が死んだという情報は入っていないが、この船が到着するスカボローの港からニューカッスルまで、馬なら1日、グリフォンや、カイザーの今わかっている速度と持続力の範囲内なら、夜遅くにつくだろう。
ここでワルドが、

「確かに、ニューカッスルの王党派と接触できるかもしれないが、夜の闇を理由にトリステインの貴族だと気が付かなかったと攻撃される恐れがある。陣中突破をするにしても、朝をまってからが良いだろう」

ケヴィンとしては、その夜の間に襲ってくるのがワルドではないかとも思うのだが、今のところは、ニューカッスルに一番近い宿へ泊まるぐらいしか対策を思いつかない。
結局のところ、王党派がくるか、こないかは運任せでしかない。
ただ、いまのところは、ジョゼフのおこなっている一人遊びと称されている、サイコロを使ったシミュレーシィンウォーゲームをベースとしたアルビオンの戦争も、大きな変更が無いようだ。

アルビオンの最新の情報もわかったことだし、アルビオンへ着いた後の、基本的な方針もきまったことから、ルイズは眠りその横でケヴィンは眠った。
ルイズの横には、船の風石が足りない分を補うためにレビテーションの魔法をワルドがかけながらも、苦々しげにケヴィン見つめていたが。


翌朝、船員たちの「アルビオンがみえたぞー」との声で起こされたケヴィンは、知識ではわかっていた浮遊大陸であるアルビオンを見ていた。
その様子をおもしろがったのかルイズは、

「初めて見た?」

「ああ、噂には聞いていたが、きれいなものだな」

空中にういたアルビオン大陸から、水が空に落ち込んでいる。
その際、白い霧となって、大陸の下半分を包み込んでいた。
斬りは雲となり、大雨を広範囲にわたってハルケギニアの大陸に降らしている。
多分、前世のヨーロッパよりも雨の降る領が多いだろう。
初めて見るアルビオン大陸の幻想的な美しさにぼんやりとケヴィンが気を取られていると、見張りの船員が大声をあげた。

「右舷情報の雲中より、船が接近してきます!」

その接近してくる船は舷側から大砲が付き出ている。
それを見てルイズが、

「いやだわ。反乱勢……、貴族派の軍艦かしら」

このタイミングで黒くタールで塗られた軍艦らしきものが旗もあげずにいる。
ケヴィンは空賊であるか、空賊に偽装した王党派か、判断をつきかねたが、黄竜ならばいざという時に逃げることができると考えていた。
通常、ハルケギニアの竜に対して、人間の魔法など、よほど上位のメイジでない限りまともには効かない。
スリープクラウドも大丈夫だろう。

そうした中で、船長へは空賊からの停戦命令が、船員から伝えられた。
船長はワルドに向かって、助けを求めるように見つめるが、

「魔法は、この船を浮かべるために打ち止めだよ。あの船に従うんだな」

ワルドとしては、最後の段階で、貴族派もといレコン・キスタに所属していると言えば、自分の身の安全は保障されている。

一報ケヴィンは判断をつきかねているが、ルイズを心配させないように、

「ルイズ。相手には王党派へのトリステイン王国大使としての、正当な待遇を要求すれば良いと思う」

「それって?」

「まだ、王党派が負けているわけでは無いから、貴族派か、貴族派と密接な関係にある空賊としても、あからさまなことはしないいであろう」

「貴族派と空賊が密接な関係?」

「空賊が自由に動けるほど、貴族派の戦力が少ないとは思えない。多分、この解釈で良いはずだと思う」

ルイズに解釈という単語で、この状態が予言書に書かれていることを匂わせる。

「先は?」

「押し通してみよう」

そんなやりとりを、精神力が切れたワルドは、それでうまくいくのかと思いながらみていた。

一方、空賊たちは、大砲を打ったあとに停戦したマリー・ガラント号に乗りこんできた。
船との間に張ったロープを伝ってわたり始めた。
その数は数十人で、それに気が付いた、グリフォンと黄竜が鳴き声を立て始めた。
そうすると、共にスリープクラウドの魔法による眠りの雲が頭に発生して、グリフォンはそのまま眠りについた。

カイザーには、スリープクラウドは効かないかと思っていたら、あっさりと眠りにつき、ケヴィンは内心焦り始めた。
東方の竜だが、竜なのに、たかだかメイジのそれほど強くは無いスリープクラウドで眠らされるとは計算外だったのである。
せめて、王党派であってくれと思った時に、派手な恰好の人物をみつけた。
ぼさぼさの長い黒髪を赤い布、無精ひげに片目の眼帯をして、まるで昔ながらの海賊のイメージそのものである。

その男が、船長に帽子を取り上げたところで、甲板にたたずむルイズとワルドとケヴィンに気づいた。

「おや、貴族の客まで乗せているのか」

その男がルイズの方にきたところで言う。

「わたしは王党派への使いよ。わたしはトリステインを代表としてそこに向かう貴族で、大使よ。だから大使としての扱いをあんたたちに要求するわ」

「王党派と言ったな?」

「言ったわ」

「なにしに行くんだ? あいつらは、明日にでもきえちまうよ」

「あんたらに言うことじゃないわ」

ケヴィンは、それに続いて言う。

「言ってもいいんだけどね。ウェールズ皇太子」

「この俺が、よりによって王党派のウェールズ皇太子? 笑わしちゃいけねぇなぁ」

「こんな時にまで始祖のルビーをなさっているからですよ。ルイズ、水のルビーを彼の指輪にちかづけてごらん」

ルイズが不思議そうにしながらも、水のルビーを、相手の男の指輪にちかづけると、二つの指輪についているルビーが共鳴しあい、虹色の光を振りまいた。

「まいったね。そうやすやすとみやぶられるとわ。その通り、僕が、ウェールズ・テューダーだ」

「本物なんですか?」

「ああ、すまない」

そう言って、カツラや、眼帯に、作り物の髭をとると若い金髪の男性が現れた。

「アルビオン王国へようこそ。大使殿。さて、御用の向きをうかがおうか」

ルイズはぼけっとして、ワルドはこれを興味深げにみていた。
代わりにケヴィンが、

「彼女が、アンリエッタ姫殿下より預かった物があります。ここで話すには、はばかれますので、場所を移動されてはいかがでしょうか?」

「そうだね。移動することにしよう」



そこには、空賊のふりをした軍艦『イーグル』号の船長室に移動した一向とウェールズ皇太子の側近であろう3人ばかりの人が一緒についた。

「さて、預かってきた物とは?」

「アンリエッタ姫殿下より、密書を預かってまいりました」

ルイズが、一礼をしていった。

「密書とな。名をきかせてもらえないだろうか。大使殿」

ルイズが緊張しているのか、なかなか次の言葉を出せないでいるとワルドが優雅に頭を下げて言う。

「こちらが姫殿下より大使の大任をおおせつかったラ・ヴァリエール嬢とその使い魔の少年でございます。」

ケヴィンは、紹介で単に使い魔扱いとされたところで、このワルドめと思ったが言葉にするわけにもいかずにいた。

「それで、きみは?」

「トリステイン王国魔法衛士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵」

「なるほど! きみのように立派な貴族が、私の親衛隊にあと十人ばかりいたら、このようなみじめな今日を迎えることもなかったろうに!」

それ、勘違いですよ、と思うケヴィンだが、

「して、密書とやらは?」

ルイズが胸のポケットからアンリエッタの手紙を取り出し、ウェールズに手渡す。
ウェールズは、愛しそうにその手紙を見つめて、花押に接吻し、慎重に中の手紙を取り出して読み始めた。
真剣な顔で、手紙を読んでいたが、そのうち顔をあげた。

「姫は結婚するのか? あの、愛らしいアンリエッタが。私の可愛い……、従妹は」

ワルドが無言で頭を下げ、肯定の意を表した。
こういう場面は、ワルドがなれているので、しかたがなかろう。

ウェールズは笑いながら、

「姫の手紙は、ニューカッスルの城にある。多少、面倒だが、ニューカッスルまで足労願いたい」


ケヴィンたちは、ニューカッスルに向かうことになったが、ケヴィンとしては、このあとのどうつじつまを、どうあわせようかと悩んでいた。


*****
7巻でジョゼフがおこなっている一人遊びは、特殊なタイプのシミュレーションウォーゲームと解釈しています。ここでは、結果として大まかな差が発生していないことにしています。

2012.04.27:初出


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