ルイズ、ジョゼット、ヴィットーリオ、ティファニアの4人の虚無の担い手たちと、ジュリオにケヴィン、さらにワルド子爵や元素の四兄弟などもいる。ここはエルフのルクシャナに案内されてきたものだ。
ルクシャナに使ったのは掘れ薬で、惚れさせた相手はジャネット。強い魔力を持つ女性が好きだという変わった趣味の持ち主でもある。そして、岩の中へ通す管を通って、水韻竜である海母がいる、岩礁の一つに集まったのである。
そこでケヴィンが教皇であるヴィットーリオに
「ここが聖地だとしておこなえばいいんだな?」
「その通り。じゃあ、虚無の担い手である皆よ。手元にある生命の魔法をとなえよ」
4人の虚無の担い手が魔法を詠唱しているあいだに、ケヴィンは
「それじゃ、ワルド子爵。失敗したら、デルフリンガーを引き抜いてくれ」
「ふん。それくらいならな」
興味深げにみていたのはジュリオだが、これからおこることを知っているからであろう。
4人の虚無の担い手が生命の魔法の詠唱を完了させたところで一斉に杖を振った。
そのタイミングで自分に魔法が集中したのを感じたケヴィンは、羊皮紙で包んだデルフリンガーの刃の部分を持ち、自分へ突き刺した。
そのような行動を予想もしていなかったのは、ルイズとティファニアである。
「ケヴィン、なんでー」
ルイズはそう叫んだが、ティファニアは気を失ってしまった。
ケヴィンは気がつくと、あったのは岩の中の空間にできた扉であった。
そちらを皆はみていたので、ケヴィンに気がつくものは無く、
「何が起きたのかな?」
「えっ、死んじゃったんじゃないの?」
「いや、最悪それを避けるためにティファニアの指輪があったはずだけど、ジュリオは俺を見捨てるつもりだったのか?」
「そんなことは無いが、剣をさして死んだはずの君がなぜ生きてる?」
「はるか以前に習わされた剣術を使ってみただけど。成功するかはわからなかったがね」
ケヴィンが行ったのは前世での天心寺家の分家として育った中で、天心流抜刀術に伝わっていた仮死させるという奥義である『秘伝不殺剣』だった。
そして、魔法などに感度が高いものならば感じているのは、眼の前を通じて魔法の源となる精霊の力が扉を通っていくところである。
何がおこったかというならば、今までは聖地にある扉、あるいはエルフからはシャイターンの門と呼ばれていたところからガンダールブが使う武器や精霊の力も流れてきたのであるが、今度は精霊の力がわずかながら逆戻りをしているのである。
過去の地球にもあった精霊の力が、ブリミルがハルケギニアにきたために、元いた地球の精霊の力も流れこんできたのだが、それでは強すぎるとその精霊の力の流れを止めようとして失敗して起きたのが、かつての火山島を海に沈めたり、草原だった地を砂漠にした大災扼である。
ヴィットーリオとジュリオは、デルフリンガーにはブリミルの生命か意志が入ったのは、始祖の円鏡によりみていたが、おこることは別だと思っていた。
まさしく新しい門がつくられると想像していたのだったが、実際には殺された時点でのブリミルが現れて、虚無の担い手に分けた力を一身にしたところで、かつて自身が行った大災厄とは間逆の方向をおこなったのであった。
後の調査によってわかるのだが、地下の風石は減少をおこすことがわかった。ただその速度は遅く、1万年をこえるかもしれないとのことであったが実際にはそうはならないだろう。
門より流れていく精霊の力は元の地球にいくのであろうが、それは、新しい文明・文化を育てていくのかは不明である。
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エピローグ
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フランドル家の一室にいるのはケヴィンとルイズとおもいきやティファニアであった。
「本当にわたしでよかったの?」
「とはいわれても、残ったルーンはテファに刻まれた『リーヴスラシル』であって、『ガンダールブ』は消えたからね。ルイズとの婚約している必要性はまるっきりなくなった」
思い返してみれば、アルビオンがトリステイン王国に攻めてくるも、ルイズの虚無のエクスプローションにより、アルビオンの艦隊で降下してきたものは全滅であった。
その直後にガリア王国の国王ジョゼフは死去したが、それはジョゼフが杖を持っていない時に、モリエール夫人が神経毒のついたナイフで刺さしたものだ。
裏で行われていたのは、フランドル家から裏の者を経由して、モリエール夫人をみている医師に対してギアスを行い、その医師がモリエール夫人へギアスをかけさせたのだが、知っているものはごくわずかである。正々堂々という単語はフランドル家には無きにひとしい。
その後は、コルベール氏に協力をあおいだ。フランドル家ではロケット砲までを開発していたのに対して、『空飛ぶヘビくん』になる予定だったものを対象として風石に反応するようにしたものをつくり、アルビオンへの侵攻で使用して成功した。バックにガリア王国が無くなったアルビオン帝国は白旗を上げるしかなくなった。
その直後にケヴィンは行方不明になった。
一部ではヴァリエール家の暗殺だのという噂もあったが、ルイズとしてはそんなことも親にはまともに相談していないし、不機嫌気まわりないものだが『サモン・サーヴァント』の魔法が発動しないことからケヴィンは生きているのだろうが頭のなかでは『?』マークが飛んでいた。
一方、ケヴィンはどこにいたかというとフランドル領の孤児院で、マチルダと対面することになってしまった。本来の対面する相手はティファニアだが、その横にいるマチルダに忠告するのを忘れるという大ポカを、してしまったのである。
タバサは女王になる気はさらさらなかったので、ロマリアから持ちかけられたジョゼットが女王になることに対して、ただ一つだけ交換条件をだした。それは母親を正常に戻すことである。ロマリアも困ってはいたが、すぐに対応できるものではないのはタバサもわかっていたので、すぐには実行されはしなかった。
さて、人間界の争いが収まりつつあることに気がついていたエルフは、トリスタニアの郊外に屋敷を持つケヴィンだった。ケヴィンの方は、すでに予言書という名のゼロの使い魔の原作が手元にあったので、罠を仕掛けて待ち構えていた。使うのは延々と相手の魔法をジャミングする魔法装置である。
これにひっかかったエルフにグループだが、エルフの中にルクシャナがいたのは幸いというか、元々、そういう性格だったのだろう。
その間に、フランドル家は同盟国ともなったゲルマニアのキュルケの実家であるツェルプストー家にある依頼をする。
それは、後装式の砲にライフリングがほどこされたものを作ることである。これはトリステイン王国で作れる物ではなく、冶金技術にすぐれたゲルマニアでしか作ることができる物ではなかった。
この新型の大砲や風石追尾式のミサイルを各国の船に乗せエルフの首都アディールを攻撃している間に、聖地での行動をおこなっていたのだ。
これから6千年後に再び、ブリミルは現れて、この門そのものを閉めて、6千年前と同じぐらいの精霊の力とするのが目的らしい。
そして、フランドル家にいるケヴィンは、元々、前世でもモテた記憶もないし、ハーレムなんて面倒だと思っているので、好きになるにしろ、好かれるにしろ一番であるのは一人だけで良いと思っていた。それがたまたまこの世界では、ティファニアに呼び出されて、ルーンが残ってしまったことから今は一緒にいる。
『ガンダールブ』のルーンは先に仮死状態ゆえに消えたのであろうが、『リーヴスラシル』は生命に関するルーンでありだましきれなかったのであろう。
ルイズとは『ガンダールブ』のルーンが消えたことにより、婚約解消を申し出て。
おしまい。
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『秘伝不殺剣』は『コータローまかりとおる!』が元ネタです。
ハルケギニアにライフリングの技術が伝わっているのは原作20巻に記載があります。
タイトルが「?」だったのは、最後がオチということで。
勝訴(新しい人には謎)
さて、3年前の一時休止作品もこの作品の感想をもとに手直ししてみますか。
2013.10.22:初出