こんにちは。ネギです。
今日もエヴァさんは学校をサボって自分の面倒を見てくれようとしてましたが、
「ええっ!? エヴァさんって不良だったんですか!?」
という言葉でようやく1人の時間を手に入れることが出来ました。
現在、エヴァさんと茶々丸さんは学校に行ってます。
…………あの人、悪い男に騙されるタイプの女性ですね。
その悪い男というのが、自分の実の父親であることに心が折れそうになりますが。
「ケケケケケ。オ前ガ言エルコトカヨ」
「人聞きの悪いことを言わないでください、チャチャゼロさん。僕のどこがあの駄目親父と似てるんですか?
僕はただエヴァさんに質問しただけですよ」
1人の時間は手に入れましたが、残念ながら1人と1体の時間になってしまいました。エヴァさんより護衛役を命じられたチャチャゼロさんです。
とはいえ“坊ちゃま”と呼んでくる茶々丸さんが付いてくるよりは、チャチャゼロさんの方が気楽に付き合えます。
「ムシロアノ男ヨリ悪インジャネーカ? ゴ主人ニモ呆レタモンダゼ」
「この件については実の父よりも、育ての姉の方に責任があるかもしれませんがね」
「…………“破壊ノ魔女”ニ育テラレタンダッタカ、オ前ハ?」
「何でいきなりそんな憐れんだ表情になるんですか?」
ネカネ姉さんはいったい何をやっているんですか? “破壊の魔女”という名前は初めて聞きましたよ。
身内に魔女が多いですね、自分には。
「午前は図書館島探索です。人前では喋らないでくださいよ」
「ワカッテルヨ。寝テルカラ何カアッタラ起コセ」
「……護衛の意味ないじゃないですか」
なんでこんな人形で、原作と一緒だなぁ、とホッとしなきゃいかんのでしょうか?
昨日は入り口から中を見渡したぐらいで、本格的な探索はこれからです。
といっても、今日だけでは図書館島の一般人進入可能区域をぐるっと回るぐらいしか出来ないでしょうが。
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昼になり、家に戻って茶々丸さんが用意しておいてくれた昼食をレンジでチンして食べます。
午後は家の裏手で魔力制御の自主訓練です。日本に着てから訓練をサボっていましたから、基礎から訓練し直しです。
ちゃんと修行をしていた自分ならくしゃみで武装解除発動なんてことはありませんが、それでも基礎は大事ですからね。
そういえば近いうちにエヴァさんに弟子入りしなきゃいけませんが、弟子にしてくれますかね?
何だか「ぼーやが戦う必要はない! 私が守ってやろう!」と断られるかもしれない気がしてきました。
キャラ崩壊しすぎです、あの人は。
となると、うまい言い訳を考えとかないといけませんね。
でも「守りたい世界があるんです!」のようなことをヘタに言ったら、
「何と! ぼーやは私を守ってくれるのか!
私を母と受け入れてくれたんだな!」
とか誤変換して暴走される危険性がありますので注意しないと駄目っぽいです。
本気でキャラ崩壊しすぎです、あの人は。
「地味ナ訓練シテンダナ。ソレジャ退屈ダロ。
ヨシ、オレガ相手シテヤロウ、実戦形式デナ」
「お断りします。チャチャゼロさん。
エヴァさんの『登校地獄』が解呪されるまでは血の無駄遣いは出来ませんから」
その後2時間ほど訓練し、3時のお茶で休憩した後は魔法の勉強ですが、ボールペンのインクがきれていたのに気づきました。
もちろん予備のボールペンぐらいは持っていますが、せっかくなので散歩がてら買いに行くことにします。
1人で麻帆良を歩いてみたかったし、ちょうど下校時刻と重なっているので2-A生徒を見かけるかもしれませんしね。
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………………いました。
いましたよ、多分。2-A生徒らしき人とすれ違いました。
“せっちゃん”と“このちゃん”で呼びあっていましたから、近衛木乃香さんと桜咲刹那さんでしょうか?
“このちゃん”が京都弁で喋っていたし、多分そうだと思うんですが…………。
あ、何で疑問系なのかは、“せっちゃん”が日傘を差していたせいで2人の顔がうまく見えなかったからです。
それであの2人が近衛木乃香さんと桜咲刹那さんだったとしたら。原作との違いはまず仲の良さなんですが…………。
ふむ、“せっちゃん”は標準語で話してたことから、原作通りに中学からこっちに来たんですかね?
小学生で一緒に来たんなら、おそらく2人とも京都弁を話してるでしょう。
そして“せっちゃん”の髪の毛が白かったです。
確か桜咲刹那さんは烏族と人間のハーフでアルビノなんでしたよね。原作でも染めてるようなこといってましたので。
むう…………木乃香さんは刹那さん生まれのこと、ひいては魔法を知ってるんでしょうか?
それともただアルビノということをバラしてるだけ?
これは修学旅行に関わってくるかもしれないから、注意しておいた方がいいでしょう。
それと“せっちゃん”はあきらかに関係者でしたね。
“せっちゃん”が差している日傘が、その……なんというか…………長かったです。1m以上ありました。具体的にいうと野太刀ぐらいありました。
しかもなんだか日傘の柄が妙に曲線を描いていました。
……仕込み傘?
まあ、日光に弱いアルビノだから日傘を差すのは怪しまれないし、護衛方法としては悪くないんでしょうかね?
微妙な気持ちになりながらもボールペンを買って家に帰って勉強していたところ、日が暮れた頃にエヴァさんたちが帰ってきました。
…………帰ってきたのはいいんですが、
「お帰りなさい、エヴァさん」
と玄関に出迎えたところ、何故かエヴァさんが悶絶しました。
そしてその後何回か「お帰りなさい」を言わされました。何がしたいんでしょうか、この人は?
「遅くなってすまなかったな。
ジジイに昨日学校をサボったことを注意されてな」
「学校サボっちゃ駄目ですよ、エヴァさん。
僕の面倒を見てくれるのは嬉しいですが、そのせいでエヴァさんが不良になったら悲しいです」
「いやいやいやいやいや! 私は不良なんかじゃないぞ!
ちゃんとこれからは学校に行くさ。
ふふっ、ぼーやに「お帰りなさい」といわれるのも悪くないからな」
…………それでさっき悶絶してたんですか。
「そうだ、ジジイから伝言があったぞ。
タカミチが日曜日には帰ってくるらしくてな。月曜から本格的な先生になるための準備を始めるそうだ。
それまでは麻帆良に慣れておけ、だとさ」
ようやくきましたか。
さーて、原作との剥離はどうなりますかねぇ?
「ぼーやが担任補佐か。悪くないな。
しかし、3学期になったら担任補佐とはいえ、31人の生徒の面倒を見ることになるんだ。それは生徒の一生を左右することだからな。
頑張るんだぞ」
やっぱりキャラ崩壊しすぎです、この人。