━━━━━ 近衛木乃香 ━━━━━
「…………というわけで、何故かアーニャが日本に来ることになったそうです」
「…………何でまた? ネギが8/12にウェールズへ帰るってわかったんでしょ?」
「さあ? “せっかく帰ってくるのに、ウェールズにいるのは一日だけなんて許せない!”とかネカネ姉さんに言ってたらしいですけど…………」
あー…………やっぱりアーニャちゃんもネギ君のこと好きやからなんやろうなー。
ネギ君の従姉のネカネさんとは何度か電話で話して情報収集してたけど、アルちゃんとネカネさんから見てもアーニャちゃんはネギ君のこと好きなように見えてたらしいし…………。
きっとウチらのこととかでテンパってるんやろ。
何しろ好きな男の子が修行で日本に行ったと思ったら、女子中の教師になって女の子に囲まれている生活を送るようになって、更には“魔法使いの従者”を7人も作ったんやからなぁ。
そりゃアーニャちゃんからしたら気が気じゃないはずや。
…………これはネカネさんに実際に会って挨拶する前の前哨戦やな。
アーニャちゃんの方がウチらよりネギ君との付き合い長いんやから、ウチらの中に混ざるんいうなら歓迎するんやけど、ネカネさんから聞いたアーニャちゃんの性格からしてそんなことはしなさそうやもんなぁ。
素直じゃない性格のせいでネギ君に好きとは言えないやろうし、きっとネギ君を分け合いっこするっていうのにも反対するやろ。
まあ、ネギ君の性格なら告白していないアーニャちゃんよりも、告白したウチらの方を優先してくれるやろうけど、それでも周りの人達皆にウチらのこと受け入れて欲しいからなぁ。
何とかしてアーニャちゃんとも仲良くしないと…………。
え? ネカネさんとの電話?
…………アレやよ。ネギ君の好き嫌いとかアレルギーとかの確認するために電話しただけやよ。
電話番号はおじいちゃんに聞けば教えてくれたし、ネカネさんからもネギ君の麻帆良での生活振りを教えてくれるように頼まれたから、それからも何度か電話で話しただけやよ。
………………アスナ達はこのこと知らんけどなぁ。
「…………まあ、アーニャのことはアーニャが日本に来てから話をしましょう。
ちょうどクラスの皆さんと海に泊まりで遊びに行く日に来るみたいなので、僕は空港にアーニャを迎えにいってから合流します。
それでは次なんですが…………こういうのを超さん達に作ってもらいました」
そういってネギ君が見せてくれたのは白いユニコーンの頭を模したバッジ。
あー、コレかわええしかっこええなぁ。
「今までに渡した発信機の代わりになるものです。超さんの持ってる技術を全て叩き込んで作ってもらったので性能はいいですよ。
それと僕達の団体の対外的な名前がないと魔法世界では不便みたいなので、“CORNU ALBA”…………“白き角”って名乗ろうと思います。
父の関係上、魔法世界で“スプリングフィールド”の名前を出すとめんどくさいことになりそうですし、いちいち“スプリングフィールド御一行様”と呼ばれるのもアレですしね」
「“白き角”…………?」
「うん! ええと思う!」
白き角…………ネギ君のユニコーンガンダム由来やな。
“白き角”のメンバーはネギ君とネギ君の従者であるウチら。それと超りんとハカセちゃん、龍宮さん、茶々丸さんの学園祭でのペナルティ組に、エヴァちゃんと千雨ちゃん。あとコタ君。
そして“白き角”の目的は、魔力減少に伴う魔法世界崩壊の阻止!
とはいえ今回はそのための調査だけやけどね。
その今回の調査も大部分は魔法世界に置いてくるちびネギ君達に任せるし、実質ウチらは魔法世界の空気を感じるためにいくみたいなものやな。
さすがに1週間足らずじゃ出来ることは限られているし、ハカセちゃんは麻帆良に残って魔力輸送扉の製造に専念するんやし。
…………千雨ちゃんもついて来ることになったんは予想してたけど………………やっぱり千雨ちゃんもそうなんやろなぁ?
最近のネギ君のことを見る目が前とは違ってるし、お義父さまに会いに行くときも一緒に来たし…………。
ま、千雨ちゃんなら知らない仲やないから、ちゃんと同盟規約守ってくれるんなら別にいいんやけどね。
“白き角”の中でも、ネギ君に怯えてるハカセちゃんとネギ君の子孫の超りんは入らないと思うけど、茶々丸さんは入るやろうし………………龍宮さんはどうなんやろうなぁ? 明らかに学園祭からネギ君のこと意識し始めた感じがするんやけど?
ネギ君とばったり会ったときなんか、何故か顔赤くしながらビクついておヘソを手で隠して後ずさるようになったし。
もし更にアーニャちゃんも入るとなると、えーっと…………12人?
さすがにこれ以上は増えて欲しくないんやけどなぁ。
…………アルちゃん、とりあえずアーニャちゃんのことについて、もう一度詳しく教えてくれへんかな。
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そしてアーニャちゃんが日本にやってくることになった日、何とかジャンケンで勝利して、朝早くからアーニャちゃんを空港まで迎えに行くネギ君についていけることになった。
何人もついてったら邪魔になるし、交通費もバカにならんしね。
せっちゃんもついて来たかったみたいやけど、アスナの護衛もあるからなぁ。
ウチはネギ君が側にいれば怖いもんはないから安全やしね。アスナの方もエヴァちゃんいれば大丈夫だと思うけど。
アスナ達は…………今頃麻帆良を出発した頃やろうな。
アーニャちゃんの飛行機に遅れもなかったみたいやし、これなら予定通りに海で合流出来そうやな。
「久しぶりね! チビでボケボケなところは相変わらずみたいね、ネギ!!!」
「久しぶりだね、アーニャ。色々話したいことや聞きたいこともあるけど、まず最初にそのトンガリ帽子とローブを脱ぐんだ。明らかに目立ってる。ここは日本なんだよ、アーニャ。
ローブを脱いで…………ローブの下も微妙だなぁ。仕方がない、服買うか。木乃香さん、アーニャの服のコーディネイトお願いします。僕は切符とかお弁当とか買ってきますので」
「了解や。アーニャちゃん、近衛木乃香やよ。よろしくね」
「…………え? ちょ、ちょっと待ってよっ!?」
あーん、アーニャちゃんは写真で見たのよりかわええなぁ。
お姉ちゃんがアーニャちゃんに似合う服選んであげるからなー。
さて、それじゃアーニャちゃんの服はどうしようかな~。
空港にはブランドショップとか免税店がたくさんあって便利やわぁ。
…………フム、ここは単純に白のワンピースというのはどうやろか。
これなら今から行く海でも変じゃないし、アーニャちゃんの白い肌と赤い髪の毛に良く映えそうやね。
うん、これに決定! それと日焼け止めも忘れないように塗っとかないと駄目やな。
「え? あ…………お、お金…………」
「ええって、ええって。ネギ君から預かっとるお金があるから平気や。アーニャちゃんが持ってきたお金はネカネさん達へのお土産買うのに使ったらええよ」
「あ、ありがとう…………」
いえいえ、どういたしまして。
時間があったらもうちょっと色んな服着せてみたかったけど、それは麻帆良に行ってからにしようなぁ。
ウチとしてもアーニャちゃんとは是非とも仲良くしたいんやしね。
「え……えと、木乃香…………でいいのよね?」
「そうやよ。よろしくね、アーニャちゃん。
ついでに言うなら魔法関係者でもあるんやけど、これから海で合流する子達の半分以上は魔法関係者やないから、向こうではあまり変なこと言わんといてね。
今は第三者にはたわいのない会話に聞こえるようにする認識阻害使ってるから平気やけど」
「わ、わかったわ。その……木乃香はネギの“魔法使いの従者”…………なのよね?」
「うん、その通りや。関係者になったのは今年の3月の終わりからやからまだまだ新米やけどな。
ネギ君やエヴァちゃんに色々教わっとるんよ。特にネギ君からは治癒魔法を教わってるんや」
「そして“紅き翼”の…………ネギのお父さんの友人の近衛詠春の娘さん」
「そうやよ~。よく知ってたなぁ。ネギ君から聞いたん?」
「…………くっ、ヤマトナデシコ…………キョウトビジン……勝ち目が…………ネギの馬鹿…………」
アハハ、アーニャちゃんたら何ブツブツ言うてんの?
別にケンカなんかするつもりはないんやから仲良くしようや。
アーニャちゃんのことならせっちゃんやアスナ達も歓迎してくれるからな~。
そうこうしてるうちにネギ君がビニール袋を片手に提げて合流してきた。
よし、それなら海に向かって出発やな。とりあえずアスナ達にメール送って、予定通りでええこと伝えておこか。
「お待たせしました。次の電車はまだ少し余裕はありますから、走らなくても大丈夫そうです。
それにしても………………小さくなったね、アーニャ」
「誰が豆粒チビかぁっ!?」
「ゴメン、僕が大きくなったんだった。でもちゃんと日本語も出来るようになったなんて凄いじゃないか。
あと可愛くなったね、アーニャ」
「フフン! ちゃんと日本語の勉強したんだからね…………って、いきなりいったい何言ってんのよ!?」
「さ、電車はアッチだよ。とりあえずホームについてから話をしようか」
「え、ちょっ! 待ちなさいよ、このボケネギッ!!!」
フフフ、2人とも仲ええなぁ。きっとイギリスでもいつもこんな感じやったんやろな。
ネギ君がからかって、アーニャちゃんがそれに反応する。
こういう幼馴染の形もええなぁ。
せっちゃんはからかったら顔真っ赤になって恥ずかしがるから、あまり良い反応してくれないんやもん。
いや、もちろん顔真っ赤なせっちゃんも可愛いけどね。
それにしてもアーニャちゃんが良い子でよかった。
でもやっぱりアーニャちゃんは予想通りの性格みたいやから、慎重にことを進めていかんとなぁ。
━━━━━ アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ ━━━━━
な…………なななどーなってるのこのクラスは?
皆15歳くらいなんじゃなかったっけ?
「この子がネギ君の幼馴染のアーニャちゃんかぁ。
マクギネスさんから聞いてたよぉー」
「へぇ、小っちゃくて可愛いねー。
あとでネギ君の昔について取材させてくれない?」
「アラアラ」
何よ…………コレ? このクラスってば巨乳の巣窟じゃない!?
こんなところにいたらネギは駄目になっちゃうわ!
ユエやノドカ達とは友達になれそうだけど、この人なんか…………っていうか、この人って本当に中学生?
見た感じ一番の巨乳みたいだけど、どう見ても中学生じゃなくて20代にしか見えn「オホホホホ」ってヒィッ!? 殺気!?!?
「あら? どうかしたのかしら、アーニャちゃん?」
「何でもないです、マムッ!!!」
…………くっ、でも本当に大人っぽい人が多いわね。
皆ビキニとかが似合っていて、ネギが買ってくれた私のワンピースの水着はどう見ても子供用だし…………。
いや、ネギが似合うって選んでくれたのはいいんだけどね。
私と同じくらいの背丈の人は、あの双子姉妹と金髪の女の子ぐらいじゃない。
あの人達が15歳ってのもおかしいように感じるけど、仲間だからそれは別に気にしn「殺すぞ、小娘」ってヒィッ!? またもや殺気!?!?
「(エヴァちゃんはしょうがないんやよ。10歳のときに吸血鬼になってから肉体年齢は変わってないらしいから)」
「(くそ、他のクラスメイトがいるから幻術も使えんし…………)」
ブフォッァア!?!?
何で“闇の福音”が海に遊びに来てんのよぉーーーっ!?
“闇の福音”が麻帆良にいるってのは聞いていたけど吸血鬼でしょおおぉっ!
それが何で流れる水があるところに来てんのよ!?
た、食べられるぅーーーっ!?!?
「…………ハァ、わかったわかった。少し落ち着きなよ、アーニャ。
すいません、皆さん。ちょっと休憩兼ねてアーニャと少し話をします。どうやら知らない人がたくさんいるせいでテンパッちゃってるみたいで…………」
「あははー、わかったよー。
アーニャちゃんもせっかく日本まで来たんだからネギ君とお話したいよねぇ」
「よーし、じゃ私らはビーチバレーでもやるかぁ!」
何アンタはそんなに平然としてんのよーーーっ!?
電車の中じゃ私のロンドンでの暮らしぶりを聞かれただけで終わっちゃったし、いったいネギは麻帆良で何をやっているのよ!?
ああ、もうこのボケネギッ!!!
「はいはい、こっちこっち」
ネギに手を引っ張られて“海の家”っていう店に移動する。
“海の家”って砂浜にたくさんあったけどチェーン店かしら…………? “月極”って駐車場みたいに。
近い場所に密集して建てても利益上がるものなのかしらね?
木乃香とかユエとかが一緒についてきたんだけど、よくよく皆の水着を見るとユニコーンのバッジをつけている。
しかもそのバッジ自体には一般人が気づかないような認識阻害がかかっているのがわかるわ。関係者ならすぐにわかる簡易的なものでしかないけど。
ネギも同じバッジをつけてる。
…………ということは?
「…………ネギ、この人達って関係者なの?」
「そうだよ。皆さん関係者。そして僕の“魔法使いの従者”の人達。こっちのエヴァさんと茶々丸さん、長谷川さんは“魔法使いの従者”じゃないし、長谷川さんは魔法とかも使えないけどね。
今度“白き角”って団体を作ることになってさ。バッジつけてる人はその団員」
「…………っ、何で女の人ばっかりなのよ!?」
「僕以外の男もいるよ。今頃麻帆良で宿題しているだろうけど。
ああ、その彼とは『仮契約』なんかしていないから勘違いしないでね」
さすがに男もなんてのは嫌よっ!
『仮契約』するとしてもキスでじゃないと思うけど…………。
それにしても、こんな人達がネギの“魔法使いの従者”になってるなんて…………。
1人はネギと一緒に迎えに来てくれた木乃香。確かネギが木乃香の部屋に居候しているはず…………。
流れるような黒絹の髪をしていて、体つきは年相応で凄いとはいえないけど、それでも日本美人なのは間違いないわね。日本のお嬢様って感じがするわ。
今は絶滅したといわれているヤマトナデシコが、まさか麻帆良にまだ生息していたなんて…………。
そしてアスナ。この人もネギと一緒に住んでいるのよね。
ネギから送られてきた写真の中では一番写ってたし、さっきから見ててもネギとのスキンシップを一番とっているのがこのアスナだったわ。何故かクールさとバカっぽさという相反する属性が混在している感じがするわね。
くっ、それになんてバディなの! 敵ねッ!!! 一番の要注意人物だわッ!!!
次にセツナ。
この人もヤマトナデシコって感じね。肌がとても白いし、キモノを着てコノカと並んだらとても綺麗になりそう。
体つきはスレンダーだけど痩せていてガリガリというわけじゃなくて、うっすらと筋肉がついているのがわかるわね。
逆にこのスレンダーな体が綺麗に見えるわ。
ノドカ。大人しそうな子ね。…………男ってのはこういう大人しい子の方が好きなのかしら?
セツナより体つきはいいんだけど、何だかセツナが細いせいでノドカは逆に丸っこく見えちゃう。
でも太っているわけでもないし可愛いわ。大人しく本を読んでいたら絵になりそうな子ね。
ユエは………………仲間ねッ!!!
次にカエ「ちょっと待つです! 何故私を見て嬉しそうな顔をしたのですか!?」大丈夫、私達には未来がまだあるもの! 年下の私には特に!!!「そのグッジョブは何ですかっ!?」…………次にカエデ。
な…………なんてワガママバディ!? 身長も6フィート以上ありそうだし、何よりもこのムネッ!!! アスナなんか目がないじゃいぐらい大きいじゃない!!!
え? この人本当に中学生? 15歳?
最後にクーフェイ…………チャイニーズね。名前はフェイか。
何というか…………健康的な美しさっていうのかしら。芸術品のような磨きぬかれた身体をしてるわね。
ノドカとそんなにムネの大きさとかは変わらないのに、フェイの方がスレンダーに感じるわ。
こ…………この人達がネギの“魔法使いの従者”。
く、皆可愛い子ばっかり。この人達のせいでネギは帰ってこなかったという訳?
それに“魔法使いの従者”じゃないとはいえ、チサメも可愛いわね。
確かチサメはネギと一緒にコスプレ写真撮ったりしてるはずの人じゃない。
く…………ネギがジャパニメーションに興味を持ってることからネギの気を引くなんて…………しかもこの人もスタイルいいわね。美乳だわ!
そして“闇の福音”。エヴァンジェリン・A・K・マグダウェル。
…………さっきは驚いちゃったけど、どう見ても10歳くらい。私と同じくらいの年齢よね? 本当にこの人が“闇の福音”?
木乃香が言うには肉体年齢が10歳で止まっているからみたいだけど…………金で出来たような流れる髪の毛に雪のような白い肌。くっ、美少女だわ。同年齢だとしても負けているような感じがする。オノレ…………金髪なの!? 金髪がいいの!?
ネカネお姉ちゃんが金髪だし、やっぱりネギの女の人の基準はネカネお姉ちゃんなのかしら?
…………それとこのチャチャマルって人、頭にアクセサリつけてるけど何なのかしら? 何だか違和感感じるんだけど…………認識阻害?
この人も綺麗だしワガママバディをしてるみたいだけど、どうもおかしいわね。ニセモノ?
それにしても全く何なのよ、ここは?
皆綺麗な人たちばっかりだし、皆ネギのことを熱い目で見ちゃってるし…………。
こんなところにいたらネギは駄目になっちゃうわ! さっさとネギをウェールズに連れて帰らないと!!!
━━━━━ 後書き ━━━━━
ユニコーンの語源はラテン語の“unus”と“cornu”の合成語だそうです。
ラテン語ではこれらを合わせて“Unicornis”です。
原作通りに“白き翼”ってのも捻りがないと思ったので、出番が少ないとはいえせっかくガンダムUCを使っていることから“白き角”に変更しました。“白い”が“ALBA”ですね。
バッジはバナージのパイロットスーツについているエンブレムを想像していただけるとわかりやすいと思います。
…………ちなみにバッジ内には極小の式神符が仕込まれていて、何かあったときはちびネギが発現します。
顕微鏡を使って米粒に文字を書くような作業をせっせと頑張りました。内蔵魔力は『千の雷』程度です。