━━━━━ アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ ━━━━━
ウェールズよっ! 私は帰ってきた!!!
…………帰ってきたんだけどね。
帰ってきたのはいいんだけど、どーしていきなりメルディアナ魔法学校の校長室に到着して、どーしていきなり目の前におじいちゃんがいるのかしらねー?
「…………というわけで帰ってきました、ウェールズ。
所要時間は1秒。転移魔法って本当に便利ですよね~」
「待たんか、この不法帰国者共」
「あ、おじいちゃんおひさー。ネカネ姉さんいるかな?」
ちょっと待ってーーーっ!?!?
わざわざ飛行機に乗って迎えに行った私が馬鹿みたいじゃない! 飛行機代だって安くないんだからねっ!
転移魔法で帰ってこれるんだったら、もっと頻繁に帰ってきなさいよぉーーーっ!!!
「そんなこと言われてもなぁ…………。
アーニャだって僕が転移魔法使えること知ってたはずでしょ。よくそれで故郷の村に帰ってたんだから。今回だって日本に遊びに来たかったのなら、電話してくれれば迎えに行ったのに…………」
「日本とウェールズを行き来出来るまでとは思っていなかったわよ!
そんなこと出来るんなら手紙出すだけじゃなくて、少しは顔見せに帰ってきなさいよ!」
「あのねぇ、アーニャ。僕は修行で麻帆良に行ったんだよ。それなのに転移魔法で頻繁にウェールズに帰るっていうのはどうかと思うけどね。
それだったらわざわざ遠い麻帆良まで行く必要なんかなかったでしょ。ねぇ、おじいちゃん?」
「…………間違ってはおらんが、ネギが言うと間違っているとしか思えんのは何故なんじゃろうか?」
た、正しいことを間違っている人から言われるのが、こんなに気障りなものだとは思わなかったわ。
航空チケット代……往復で1000ポンド近くしたのに…………日本円で20万円ぐらい。
で、でもこれで帰りの分のチケットはいらなくなるわね! だったら払い戻しすれば、いくらかお金が戻ってくるし…………。
「却下。それやったらアーニャは書類上帰国していないことになっちゃうよ。日本に来たときはちゃんとパスポートとか使って正規の手段で来たんだからさ。
だから僕も一度日本に戻って、予定通りに8/12に改めて飛行機で来ることになるからね。アーニャもその時に一緒に帰ってこようよ。
…………まあ、空港内部の入国管理の前に転移すれば大丈夫かもしれないけど…………」
「こんなところでそんなこと言わんでおくれ。さすがにそれはワシも認められんからのぉ」
キィィィーーーッ!!!
日本なんて行くんじゃなかったわ!
サシミ、テンプラは美味しかったし、露天風呂とかは凄かったんだけど!!!
あんな乳軍団はいるし、ネギの“魔法使いの従者”はたくさんいるしで最悪だったわよーーーっ!!!
「え、えーと…………もういいのかな、ネギ? お、お邪魔しまーす」
「へぇ~、ここがネギ君の通ってた学校なんか~。せっかく来たんだからネカネさんに挨拶せなアカンなぁ」
「え? ここって校長室ですか?」
「さ、さすがはネギ先生。故郷の村に設置してあった転移魔法陣を経由したとはいえ、麻帆良とメルディアナ魔法学校を繋げるとは…………」
「ネギ先生は治癒魔法に次いで転移魔法が得意だからねー」
「修学旅行のハワイに引き続いて2回目の海外旅行がイギリス。しかも不法入国するとは思っていなかったでござるなぁ」
「麻帆良よりは小さいアルね~」
「学園都市と学校一つを比べるのはさすがに可哀想だと思うぞ…………」
「ほほぉ、ここがメルディアナか。ブリテンに来るのはいつ以来だったかな。次はネギとナギの生まれ故郷という村も見てみたいものだが…………」
アスナ達まで!? やっぱりネカネお姉ちゃんに挨拶するつもりなの!?
っていうか“闇の福音”までメルディアナに連れて来て大丈夫なの!?
「…………やれやれ。ドネットから聞いておったがお主は変わらんのお。
とりあえずネカネを呼ぶから大人しく待っておれ。お嬢さん達の紹介はそれからお願いする。
ああ、ついでに人数分のお茶でも淹れておいてくれ。どうせ11時のお茶を見計らってきたのじゃろう」
「まあね。お土産に日本のお菓子持ってきたよ」
夕飯が終わってしばらくしてから、ネギが場所を変えて一服しようと言って転移魔法を使ったと思ったら、まさかこんなことになるなんて…………。
ううぅ…………私の馬鹿。
ネギがわけのわからないことを考えているのはいつものことだってわかってたのに。
くっ! 勝手知ったる校長室といわんばかりに手早くお茶の準備をするネギが恨めしい。
麻帆良に行ったせいで木乃香達に誘惑されてネギの性格が変わったんじゃないかと心配していたから、ネギが全然変わってなかったのは嬉しいけど…………。
それでも全然変わっていなかったのは別の意味で悲しいわ。
少しはマシになってくれていたら良かったのに…………。
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…………お土産はヨーカンか。
アンコを固めた和菓子だったわね。
最初は豆を甘く煮るっていうのは戸惑ったけど、食べてみると爽やかな甘さで美味しくて、おとといの海の家で食べた宇治金時ってカキ氷も新鮮だったわ。
日本の食べ物が美味しいってのは本当ね。このヨーカンもサッパリしていて美味しいし。
でも、紅茶にはやっぱりスコーンとクロテッドクリームみたいな濃厚な味わいの方があっていると思うわ。
…………旅館でサシミとテンプラは食べたから、今度はスシを食べてみたい。
「ん、了解。学園長に良い店聞いておくよ。麻帆良戻ったら食べに行こうか」
「あら、そう。じゃあお願いね…………って、違うわよ!!!」
「コラ、アーニャ。お客様の前でなんですか」
ご、ごめんなさい、ネカネお姉ちゃん。
「でも安心しました。
“魔法使いの従者”が7人も出来たなんて聞いたときは驚きましたけど、あなた達みたいな元気で可愛い人達に支えられて…………。
これからもネギのこと、よろしくお願いします」
「「「「「それはもう是非とも!」」」」」
「任せろ。ネギは私が最高の男に育て上げてやる」
「…………私は違います」「私も違うな」
ネ、ネカネお姉ちゃんまでも懐柔されちゃった。
そんな簡単に“魔法使いの従者”のことを流しちゃっていいの? そもそも“闇の福音”のことは…………?
それにしても麻帆良に帰ったら、また“白き角”の人が増えるなんて…………。
あのマナって人も本当に15歳なの!? カエデみたいなワガママバディじゃないっ!?
いくら麻帆良の学園長のお使いとはいえ、この人達と一緒に魔法世界に行くなんて…………。
そもそもいったい何しに魔法世界まで行くのよ?
「おじいちゃん。麻帆良の学園長から例の話は聞いてるの?」
「ん? おお、聞いとるよ。面倒なことになったようじゃな。
メルディアナにある魔法世界へのゲートは8/14の早朝に開くことになっておる。手続きとかは済ませておいたので安心せい。
ナギの友人も向こうで待っていてくれることになっておる」
「ありがと…………父さんの友人ってことはジャック・ラカンさんかな?
あ、それこそ父さんといえば、麻帆良でアルビレオ・イマさんがアーティファクト使ってだけど父さんと会ったんだよねー…………」
…………楽しそうに麻帆良での出来事を話すネギ。
本当にメルディアナにいたころと変わっていないわね。確かに背は伸びたみたいだけど、相変わらずボケボケだし…………。
「…………そんでフェイトってのにお腹に穴空けられちゃってさー」
「そ……そうか…………相変わらずじゃのぉ」
「(お、落ち着くのよ、私。大丈夫ってわかってたんだから、お客様の前で気を失っちゃ駄目…………ッ!)」
………………本当に相変わらずねー。
治癒魔法の実習で自分の腕切り落とそうとしたことを思い出すわ。
あのときはおじいちゃんが必死に止めてくれたから助かったけど…………。
「ネギも頑張っているようじゃの。コノエモンから話は聞いていたが、先生をするという修行も順調に進んで何よりじゃ。
…………タカミチ殿にはワシからお礼を言っておくからな」
「…………うん、お願い」
「ウム、任せなさい。
さて、それではワシは仕事があるのでそろそろで失礼するよ。お嬢さん方、これからもネギのことをよろしくお願いしますぞ」
「あ、もうこんな時間か。僕達もそろそろお暇しましょうか。
ネカネ姉さん、次は事前に連絡をとっておいて、もう少し長居出来るようにするからね」
「ええ、楽しみにしているわ」
「それじゃあ帰る…………前に、皆さんはちょっとここで待っていていただけますか。
一度故郷の村に戻って、あそこに設置してある転移魔法陣の様子を見てきます。あそこの魔法陣を魔法世界往来用に改造もしなきゃいけないですしね。
20分もかかりませんので」
そう言って、校長室に置かれていた大きな姿見に入り込んでいくネギ。
鏡を使った転移魔法か。ますます魔法の腕も上がっているようね。
“闇の福音”に勝てることから魔法戦闘の修行もシッカリやっているのだろうし、何より普通の魔法使いの10倍もある魔力量が…………。
というかいったいどんだけ強いのよ、ネギはっ!?!?
昔から何でも知ってて何でも出来るような底の知れなさのあったネギだけど、麻帆良に行ってから底知れなさが更に深くなった気がする。
私だって占い師の修行の傍らで戦いの修行も頑張って、今度こそ強さで追い抜いたと思ったのに…………。
キレイなお姉さんたちに囲まれてヘラヘラしちゃってさ…………。
いつも先に行っちゃうんだから…………バカ。
「…………ネギ君のいない今なら丁度ええな」
「そうね。だったら私が代表して言うからね。
…………あ、あの、ネカネさん。私達……ネギのことについて、ネカネさんに言わなきゃいけないことがあるんですけど…………」
「あら? 何でしょうか、アスナさん? ネギが何かしたのでしょうか?」
「いえ、どちらかというとしたのは私達の方です。
どうか怒らないで最後まで話しを聞いてください………………気絶もしないでください」
…………何よ。何なのよ? いきなりアスナ達が真剣な顔になるなんて…………。
何でチサメとマナはお茶を持って遠く離れた席に移動するのよ? しかもチサメ達も微妙に顔赤くない?
いったい何が起こるのよ?
━━━━━ ネカネ・スプリングフィールド ━━━━━
「……………………」
「え……えと、アスナさん…………本気で仰られているのですか?」
「はい、私達はネギのことが好きです!
…………といっても告白したのは私達からですのでネギは悪くありません! ですので気絶はしないでください!」
お、驚きましたけど、気絶はしませんよ。
ネギは私のことを何て皆さんに説明したのかしら?
…………それにしても、こんなたくさんのお嬢さんが“恋愛”という意味でネギのことを好きだなんて…………。
ネギがそんな風に女性に想われるような男の子に育ってくれたのは嬉しいけど、それでもこれは育ち過ぎな感じがしてくるわ。
「ネギは…………ネギはどうするつもりなのか言ってましたか?」
「ええ、アスナがさっきもチラッと言ったけどまだ保留中です。
まだ10歳だし、修行中の身だし、教師と生徒だし、ちょっと片付けないといけないこともあるし………………何より本心でまだ決められてないようです。
まあ、ネギ君もウチらのことは好きだと…………いや、ウチらのことが好きだ言ってくれました。けどそれでも将来のことを考えたら、迂闊には答えは出せないみたいです。ウチなんかは全員を選んでもいいみたいに思ってますけど、さすがにそれをする勇気はないみたいです。
具体的に言うなら、ネギ君の修行が終わるとき…………ウチらの卒業までに答えを出してくれるそうです」
「…………ッ!」
「…………そう。ちゃんと考えているのならいいのだけど」
いつの間にかネギも大人になってたのね。
少し寂しい気もするけど、でもそれ以上に嬉しいわ。
お互いに納得済みで慎重に答えを出そうと言うのなら、私から言えることはないわね。
麻帆良での修行中だから「ウェールズに帰ってきなさい」とは言えないし、何よりネギの性格ならアスナさん達から無理矢理引き離すのは反発して逆効果になるもの。
それにアスナさん達もちゃんとこうやって私に話を通してくれて、ネギのことを真剣に考えていてくれているのがわかるわ。
“闇の福音”さんにすら好かれてしまうネギの将来が気になってしまうけど、それでもきっとネギなら大丈夫だと思うし…………。
「そこまでお互いに考えているのなら、私から言うことはありません。
…………ネギのことをこれからもよろしくお願いします」
「………………ッ!」
あの小さかったネギがここまで大きくなっちゃったなんて…………。
さすがにこんなことになるとは麻帆良に行かせる前は考えもしなかったけど、ネギ達がそれでいいのな「ちょっと待ってよっ!!!」…………あ、あらアーニャ?
「あ……あなた達、本気なわけ!? ネギは10歳なのよ!!!」
「大丈夫よ。ネギは確かに肉体年齢的には10歳だけど、“ダイオラマ魔法球”や“幻想空間”で修行していた分、精神年齢的には私達より年上よ。
というかメルディアナにいた頃は、夜寝るときによく“幻想空間”の中で体感時間を72倍にして修行していたらしいから」
え? な、何ですかソレは!?
私知りませんでしたよ!!!
…………1日に8時間睡眠とったとするなら、それだけで24日間分?
「なっ!? …………で、でもネギは教師だし!!!」
「だからネギ先生が先生でなくなったら答えを出してもらうんだよ、アーニャちゃん。
それまでは私達も待ってるし」
「で、でもっ……いや……だから…………っ!」
「アーニャちゃん、何でそんな必死になるん?」
「え? な、何言ってるのよ木乃香!?」
「アーニャちゃん…………アーニャちゃんもネギ君のこと好きなん?」
「はぁあっ!? なっ…………なな何よソレ、木乃香!? 何でそうなるの!?」
アーニャったら顔が真っ赤よ。やっぱりアーニャもネギのこと好きなのね。
といってもアーニャはまだ子供だから、アスナさん達みたいな“恋愛”までいくかどうかは微妙なのでしょうけど。
そういえばてっきりネギはアーニャとくっつくと思ってたけど、こうなったら事情は変わってくるわねぇ。
私にとってもアーニャは妹のような子だから、アーニャが悲しむような結果にはなってほしくないのだけれど…………。
「わ、私がネギのことを好きなわけないじゃないっ!!!」
「え~、じゃウチらがネギ君と付き合っても、アーニャちゃん的には問題ないわけやね?」
「…………ッ! ~~~~~ッ!!!」
「コ、コノカさん。アーニャはまだ小さいですし、素直になれない性格なので…………」
「ネ、ネカネお姉ちゃんまで何言ってるのよっ!?」
ア、アラアラ…………どうしましょう、怒らせちゃったわ。
でもコノカさんもアーニャを挑発しないで…………。
「アハハ、ごめんなぁ。アーニャちゃん。ちょっと意地悪してもうたな。
でも……ウチらの話も落ち着いて聞いてほしいんや」
「な…………何よ?」
「まずなんやけど、もしアーニャちゃんがネギ君のことが好きだとしたら、ちゃんとそれをはっきり言葉に出して正々堂々とウチらとネギ君を取り合ってほしいんやよ。
そうやないとネギ君がウチらの誰かのことを選んでくれたとしても、もしアーニャちゃんが自分のことを好きなことを気づけなかったことに気づいたら、ネギ君はそれを気にすると思うんや。ネギ君の性格的に。
アーニャちゃんもわかるやろ。ネギ君ってかなり複雑というか…………独特な考えをしてるやんか。
例えばアーニャちゃんじゃなくて、ウチらの知らない他の同級生でもええ。ある程度親しい子がネギ君のことをずっと想っていて、ネギ君がそれに気づかなかったとするやん。
そしてネギ君がそのことにようやく気づいたとしたら、ネギ君は気づけなかったことを気にするんやないかな?
千雨ちゃんの表現では“理解出来ることには滅法強いけど、理解出来ないことにはとことん弱いタイプ”ってことなんやけど」
「…………う、私がネギのことを好きということはともかくとして、確かにネギならそういうこと気にしそうね。
チサメの表現もあっていると思うわ」
「(言葉には出してなくても態度でバレバレですけどねー)」
「(ユ、ユエ。アーニャちゃんはまだ11歳なんだし…………)」
…………そうねぇ。確かにあの子はそんな感じだわ。
何というかあの子はやることは大胆でも、性格は細かくて神経質な方だもの。
あの子は“知ってて無視する”ことは平気でも、“知らずに無視してしまった”ことは平気ではいられないわ。原因がわかっている失敗は気にも留めないけど、原因のわからない失敗のことは凄く気にするし…………。
もし親しい人のことをわかっていられなかったとしたら、ネギは絶対そのことを気にするわね。
「そんなわけで、ウチらとしては全員が納得した上でネギ君に答えを出してほしいんや。
それにネギ君のことは別に好きじゃないって言ってるけど、アーニャちゃんは他に好きな人がおるのかな? それ以前に男の子のこと好きになったことあるん?」
「べ、別に好きな人がいるわけじゃないわよ。
今までに男の子のことを好きになったこともないし…………」
「やっぱそうやよなぁ~。じゃあ、“恋愛”についてはまだわからないってことやね。
実はネギ君もつい最近までそうやったんよ。具体的には先月まで」
「…………だから何? まずはネギのことが好きかどうかをちゃんと考えてから答えを出せってこと?」
「その通り。アーニャちゃんはネギ君のことどう想ってるの?
友達? 家族? 弟? 兄? 好きな人?」
「っ! 少なくとも“兄”じゃないわよ!?」
「え~? だってよくネギ君のベッドに入り込んでたんやろ?
ネギ君そのことからアーニャちゃんを妹みたいな子って言ってたで?」
「ち、違うわよ! ウェールズは日本よりも寒いし、エアコンとかもないから…………っ!」
「はいはい。でも一緒に寝れるってことは、少なくともそれぐらいは“好き”ってことやろ。
それが“親愛”か“友愛”か“恋愛”か“愛情”か…………アーニャちゃんは厳密に区別がつく?」
「………………つかない」
「だったらそのことについて自覚することが大事やないかな。
何だったら魔法世界にアーニャちゃんもついてきて、旅行という今までとは違う環境でネギ君のことを改めて考えてもいいし…………」
「で、でも…………」
「ウチらもね。皆が納得した上で決着をつけたいんやよ。
ネギ君もアーニャちゃんへの想いはよくわからないって言ってたから、もしかしたらアーニャちゃんのことも好きなのかもしれへんし…………」
「え゛っ!?!? …………そ、そうなの?」
「いや~、少なくとも「アーニャやネカネ姉さんを嫁にするのなら、僕に勝つぐらいの男でないと」って言ってたで。
ネギ君はアーニャちゃんのことを親代わりのネカネさんと同じくらい大事に思ってるんや…………」
「(“恋愛”っていうより“兄バカ”っぽいけどね)」
「(というか、それだとネカネさんとアーニャさんが一生独身になってしまうんですけど…………)」
アラアラ、アーニャも魔法の国へ行くのかしら?
まあ、ネギがついているのなら安心でしょうね。
それにしてもアーニャが落ち着いてくれてよかったわ。コノカさんの言葉でネギのことをちゃんと深く考えているようだし…………。
今までは条件反射で照れ隠しにネギに突っかかっていたものね。
あんなことしてネギがアーニャのことを嫌いにならないか心配だったけど、ネギはネギで「アーニャはツンデレだから気にしない」って言ってたから大丈夫みたいだったけど。
…………そういえば“ツンデレ”ってどういうことなのかしら?
でもこれでアーニャも大丈夫ね。
確かにネギがアーニャの知らないうちにコノカさん達の誰かと恋人になったとしたらショックを受けるでしょうけど、コノカさん達に任せておけばアーニャにも悪いようにはしないで、なるべくお互いに納得するような方向に持っていってくれるでしょう。
コノカさん達に任せておけば安心ね。
ネギのこともアーニャのことも。
ネギのことを好きになってくれた子達が、こんな優しい人達で良かったわ。
━━━━━ 後書き ━━━━━
………………なんか木乃香が黒い?
それにどうも自分は“恋愛”を書くのには向いていないんじゃないかと思ってきました。
“恋愛”読むのは好きだけど、書くのは何だか変な感じがしてきます。
ウム、勉強になった。
よーし、100話ほど書いたら自分が書きやすい方向とかわかってきたので、おじさんこれからどんどんハッチャケていくぞー。
まあ、この作品ではフラグ回収するためにまだまだ“恋愛”頑張ります。