━━━━━ 長谷川千雨 ━━━━━
朝起きたらパンツ一丁だった。
…………。
……………………。
………………………………待て。待て待て待て待て待てちょっと待って! 昨日何があった!?!?
落ち着け、落ち着くんだ千雨。KOOLになるんだ。
まずは昨日のことを思い出すんだ。
………………喉渇いた。その前に水飲もう。
喉渇いたせいで起きたみたいだし。
昨日は生まれて初めて酒飲んだからなぁ。
アルコールを分解するために水分を使うから、酒を飲んだら喉が渇くってネギ先生に聞いたし。
確か水差しがサイドテーブルに………………龍宮も一緒のベッドで寝てたのか。
おい、起きろ。お前も起きてこの状況がどうなっているか考えろ。
「…………ん、もう朝か。……今何時だ?」
「あーっと…………朝の4時だな」
「…………何でそんな時間に起こすんだ。朝食の時間にはまだ早いだ………………ん? 何で長谷川が私のベッドに?」
「いいからちょっと隣見てみろ」
「何なんだいった………………おい、何でネギ先生も一緒に寝てるんだ? しかもパンツ一丁で?
っ!? 私は…………普通に服を着てるな。とりあえずセーフだ」
うん。パンツ一丁なのはネギ先生なんだわ。私達はちゃんと服着てる。
私達は服を着てるけど、寝巻きじゃなくて普段着を着て寝てたのがオカシイといえばオカシイが…………。
「おい、昨日何があったか覚えているか?」
「ちょっと待て。今思い出す………………その前に私にも水をくれ。喉が渇いた。
いや、それより部屋を移動しようか。ネギ先生が起きたらどうすればいいか困る」
「それもそうだな。じゃあリビングで…………」
リビングに移動して、冷蔵庫から冷たい水を取り出して飲む。
冷たい水が気持ち良い。体中に水分が行き渡るような気がする。
500mlのペットボトルを一気飲みしたが、何だかまだ足りない。
「長谷川、私にももう一本くれ」
「おう………………で、思い出したか?」
「急かすな。順に思い出していくから。
…………確か昨日はネギ先生が帰ってきた後、食事が終わったら3人で酒を飲み始めたんだよな。茶々丸とアルちゃんは“黒い猟犬”の調査で泊り」
「エヴァンジェリンのコピーはネギ先生に負けたのが悔しいのか、滅多なことじゃ外に出てこないからな。
ネギ先生にああいう態度をとるってことは、やっぱり私達の知ってるエヴァンジェリンとは別人ってのが良くわかる反応なんだけど…………」
「ああ、昨日の夜はそれで私達とネギ先生の3人だった。
それでネギ先生に気による身体制御と『咸卦治癒』をOFFにしてから酒を飲むように言って…………」
「そんでワインを飲み始めたんだよ。貴腐ワインだったっけ。
初めて飲んだけど、甘くて飲みやすくて美味しかったのは覚えてる」
「酒の論評はともかく………………それからどうしたんだったか?」
えーっと、どうしたんだっけ?
ワインが飲みやすくて1本目を飲みきって…………それから……。
━━━━━ 6時間前 ━━━━━
「僕だってね……僕だってね! 本当は早く答えを出して、皆さんに返事をしたいんですよっ!」
「…………ああ…………」「…………そうなんだ…………」
「でもね! それでも皆さんのこと大好きですから、誰か1人選べって言われても無理なんですよぉっ!」
「いや、あいつら待つって言ってたろ」「そうそう。全員を選んでくれても良いとも言ってたな」
「そうですけどっ! そうですけど僕が返事を出せていないのには変わらないじゃないですか!
今の僕は皆さんの好意に甘えているだけな、タカミチ以下のまるで駄目な男の子なんですぅー!」
「………………」「………………」
…………うぜぇ。泣き上戸かよ。
酒に対する耐性OFFにしたらここまで酒に弱くなって泣き上戸になるんかよ…………。
それにまだワインを1杯しか飲んでいないぞ。それなのに今までにないぐらい酔うなんて、ネギ先生ってば本当はアルコールに弱かったんだなー。
「女の人と交際するのなんて僕は初めてだし…………」
「(おい、コレどうすんだ?)」「(…………まあ、ストレス解消になると思えばいいんじゃないか)」
…………そう言われるとそうだな。
ここまで腹の中ブチ撒けたら、明日から少しは楽になれるだろ。
「前のところでも女の人と付き合ったことなんかなかったし…………」
「(前のところ?)」「(メルディアナ魔法学校のことだろ)」
「…………ごめんなさい。見栄張りました。前の前でも女性と付き合ったことありません」
「(前の前?)」「(生まれ故郷の村のことか? でもアーニャしか近い年齢の子供はいなかったと聞いたが…………)」
「漫画とかアニメとかで複数の女性に好意を持たれるハーレム物なんてありますけどね!
そんなの一般人の僕には対処なんか出来ないですよ! 何て反応すればいいんですか!」
「(鈍感系主人公だったら平気なんだろうけど、ネギ先生はシッカリと意識しちゃってるからなぁ)」「(私はアニメ見ないから知らん)」
「そもそも今考えみたら7人もの女性に告白されるってどういうことですか!? エヴァさんとアーニャも入れたら9人ですよ! あと1人で10人になるんですよ!
何で今までの僕はそんな状況で平然としていられたんですか!?」
「(別に平然とはしていなかったような……)」
「(…………おい、それよりも今言った感じだと、もしかしてネギ先生って酒と一緒で“恋愛”みたいな心の揺れについても、気とかで知らないうちに耐性つけてたんじゃ……?)」
…………あ。
もしかして今まで大人っぽいと思ってたのもそのせい? エヴァンジェリンとかにキスされても平然としてたのはそのせいなのか!?
気による身体制御とかのせいで、“恋愛”でドキドキしてもあっという間に落ち着いていたのか?
ちょっ!? とんでもないことに気づいちまったんじゃねーか、コレ!?
ヘタしたら今の神楽坂達との関係がひっくり返るぞ!
「だからねっ! だからねっ………………う~、トイレ行ってきます…………」
散々愚痴を言ってたと思ったら、急にテンションが駄々下がりになった。
酔っ払いってのはこういうものなんだろうかね?
「…………それにしても、アレどうする?」
「…………とりあえず今日のところはこのまま楽しませよう。
どうせ今の状態で何か言っても明日になったら忘れているかもしれないし、何よりこんなネギ先生は初めてだ。ヘタに突っついて暴走しだしたら目も当てられん。
今日のところはストレス解消ということで割り切ろうじゃないか」
…………そうだな。そうしようか。これだけ騒げばネギ先生もスッキリするだろうしな。
それに確かにヘタなことを言って「アスナさん達に会いに行くぅーーーっ!!!」なんて言い出したら私達では止められない。
だから何とかもう少し落ち着かせて、これからのことは明日にまわそう。今日はこのまま宴会を楽しむってことで良いや。
よし、それならもう1本ワインを開けようぜ。
いやー、酒は初めて飲んだけど美味しいな。これは女性でも飲みやすい甘口の貴腐ワインって奴らしいけど、麻帆良でも買えんのかな?
まあ、麻帆良に帰ったら未成年だから飲めなくなるから、今のうちに飲めるだけ飲んでおこうっと。 ← 少し酔ってる
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「僕だって男ですからね! アスナさん達とスキンシップとりたいなぁー、って思うこともあるんですよ!
でもねっ! 僕からスキンシップとろうとするのは恥ずかしいんですよ! 抱きついたりとかなんて出来ないですよ! しかも1人にしたら他の皆さんにもしなきゃいけないじゃないですかっ!
そしたらズルズルと落ちていきそうなんですよ!」 ←かなり酔ってる
「アハハハハ、ネギ先生はエッチだなぁー。
でもネギ先生は10歳の男の子だからしょーがねーもんな!」 ← 酔ってる
「へぇ~? だったらネギ先生は私達ともスキンシップとりたいと思ったりするのかなー?」 ← こいつも酔ってる
おーし、じゃあスキンシップとってやろーじゃねーか! おりゃあっ!
「おー、神楽坂達言ってたみたいに、確かにネギ先生の抱き心地は良いなー」
「おいおい、それこそ神楽坂達に怒られるぞー」
「はーなーしーてー」
暴れてんじゃねーよ、嬉しいくせに。アハハハハ!
あー、でも本当にコレ良いわ。
あったかいし柔らかいし、シャワー浴びた後だから良い匂いもする。
子供の体温高いって本当なんだなー。ネギ先生に『咸卦治癒』されたときとかマッサージされたときにわかってたけどさ。
うわ、本当にほっぺもプニプニだ。頬擦りしたら気持ち良いー。
あと神楽坂達が言ってたのは…………。
「げ、ネギ先生の肌って本当に綺麗だなー。脇腹のところなんてもちもちしてスベスベだ。これが赤ちゃん肌ってやつか。
『咸卦治癒』か? これも『咸卦治癒』の効果なんかー?」
「ほほう、どれどれ? 私にも触らせてくれ」
「くすぐったいー」
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「たつみやさん、いたいですー」 ← 頭グルグルしてる
「ハハハハハ、何だい。ヘソに指突っ込むのは前にネギ先生が私にしたことじゃないか。
自分がやられるのは嫌なのかなー?」 ← かなり酔ってる
「おー、古菲が言ってたけど筋肉の感じもいいなー。
この細っこい身体に引き締まった筋肉が薄くのってて、贅肉とかねーじゃんか。つか、全然肉が掴めねー」 ← かなり酔ってる
…………私もそろそろダイエットとかした方がいいかな。
あんまり太ってた方じゃなかったけど、魔法世界に来てからの自堕落の日々で少し太ったかもしれん。
そういえば食事は高級レストランで食べるようなのばっかりだから、野菜とかはあんまり摂ってねーし脂っこいものが多いような気がする。
一応プールで泳いだりはしてるけど、それ以外はお菓子摘みながらネギ先生の試合見たりしてるだけだから、きっと運動量自体が少ないんだろうなぁ。
それににしても気持ち良いー。何だか一日中触っていても飽きなさそうだな、ネギ先生って。
…………あ、コラ逃げんな。パジャマ脱がせられねーだろうが。
「…………さむい…………」 ← パンツ一丁
「ん? どした?」
「寒い? マズイな、急アル…………の一歩手前ぐらいか?
水飲ませてから身体暖めろ。吐き気は?」
おいおい、本当に素のネギ先生って酒に弱いんだな。結局ワインはグラスで3杯しか飲んでいないぞ。
今までウィスキーを1晩で1瓶空けてたりしてたのに、酒耐性OFFにしたらあっという間にコレかよ。
「はきけは…………ないです。あとねむい」
「あー、もう12時か。そろそろ寝るか」
「だな。これ以上ネギ先生に飲ませるのはマズイし、今日はお開きにしよう。
…………ネギ先生はどうする? もしものことを考えたら1人で寝かせるのは止めておいた方がいいと思うが…………」
あー、そっか。確か保険の授業でやったけど、吐いたりして喉詰まらせる危険があるんだったよな。
だったら1人で寝かせるのは危険だな。
しゃーねー。私のベッドに連れて行くか。
それと神楽坂達が言ってた抱き枕やってみよう。ネギ先生の身体温めるのにも丁度良いだろうし
「襲うなよー」
「アホ。むしろ龍宮も来い。何かあったときは私だけじゃ不安だ」
「…………まあ、構わないか。
どの部屋のベッドも私達3人が一緒に寝れるぐらいの大きさはあるし」
「ふあああぁぁ~~~…………もうねるー……」
おい、1人が勝手にどっか行くな。寝る前にトイレ行っとけ。
まったく…………しょーがねーな、ネギ先生は。
━━━━━ 現在に戻る ━━━━━
…………しょーがねーのは私自身だろ、コレ。
見れば龍宮も昨日のことを思い出したのか頭抱えてる。
「…………。
……………………。
………………………………」
「…………。
……………………。
………………………………」
「「この変態」」
ちょっ!? 誰が変態だゴラァッ!?
「お前だお前! 10歳の男の子のパジャマ脱がせて、抱き締めたり頬擦りしたりサワサワと全身触りまくる女の何処が変態じゃないっていうんだ!?」
「そんなこと言ったら龍宮なんかヘソ責めてたじゃねーか! 10歳の男の子にそんなことするなんてマニアック過ぎだろーが!!!
学園祭でネギ先生にヘソ責められてから、ソッチの性癖に目覚めたんじゃねーのか!?」
「性へっ……!? …………だいたい先にネギ先生に手を出し始めたのは長谷川だろう!」
「ぐっ……! 私は…………アレだよ。姉が弟を可愛がるような感じでしただけだよ。極一般的なスキンシップだ。
お前がヘソ責めるなんてマニアックなことしなければ、普通のスキンシップで終われてたんだよ! それにお前も脇腹とか触ってたじゃねーか!」
「キッカケを作ったのはお前だろうが!!!!
長谷川があんなスキンシップとったりしなかったら、私はそんなことしなかったんだよ!」
「流されたんなら結局はお前も一緒だろーが!
それなら私は神楽坂達が言ってたことを確かめ………………か、神楽坂達……?」
「…………あ…………」
げ、アイツラにバレたらどうしよう?
「…………オーケイ、落ち着こう。私達2人が今更言い合っても遅い」
「…………そうだな」
どうする? 土下座して謝ったら許してくれるか?
最近ネギ先生とのスキンシップを取れなくて悶々としてた神楽坂達に、ネギ先生を酔わせて無理矢理抱きついたりイロイロしたことを言っても許してくれるか?
…………無理だよなぁ。
いや、ネギ先生のストレス解消にはアレが最適だったんだし、何よりネギ先生が知らないうちに酒耐性どころか“恋愛”耐性すらONにしてたらしいことがわかった。
今までネギ先生との仲をなかなか進展させられなかった神楽坂達にそのことを教えれば、まだ生き残れる可能性はある。
それに別行動する際に、エヴァンジェリンから「お前達の身体を使ってでもフェイトとの接触を回避しろ」と厳命されている。
そもそも普段から盟約に同意するんならネギ先生を好きになっても良いと言われているから、私達がネギ先生に手出すこと自体は問題されないだろう。………………酔わせて無理矢理ということを除けば。
って、それ以前に明日から…………じゃなくて今日からネギ先生とどんな顔して過ごせばいいんだよ!?
あんだけネギ先生を滅茶苦茶にしといて、今まで通りに付き合っていけるか?
少なくとも私は無理だ。絶対ネギ先生のこと意識しちまう。
いや、別にネギ先生のことが嫌いってわけじゃないよ。でも10歳の男の子に無理矢理あんなことしといて、どういう反応すればいいんだ!? ヘタしたら変態だと思われてんじゃねーか!?
…………さすがに変態と思われるのは嫌だな。
「とりあえず…………ネギ先生が起きるのを待つか」
「…………まあ、今回の件の主導権を持っているのはネギ先生だな。ネギ先生が私達にどういう対応をするかで私達の未来が決まる」
結構酷いことしちまったからな。ネギ先生が神楽坂達に泣きついたら私達の生命は終わる。
けど…………ネギ先生だったらそんなことしねーよな。
「…………起きた瞬間に土下座されるに一票」
「賭けにならん。ネギ先生の性格なら十中八九そうだろう」
ですよねー。どうせ私達がしたことを拒否出来なかったからって謝ってくるよな。
ネギ先生が悪くないとしても…………というか今回ばかりは私達が悪いけど、それでもネギ先生なら謝ってくるだろうな。
あー…………本気でどうしよう。謝られてもコッチが困る。
「…………なあ、長谷川。この際だから率直に聞くが、お前はネギ先生のことをどう思っているんだ?」
「う……今まで考えたことない…………というより、考えないようにしてたんだろーけど、改めて聞かれると正直返答に困るな。
まあ…………ぶっちゃけるけど、好きか嫌いかって聞かれたら好き。けどネギ先生には神楽坂達がいるから…………そうだなぁ。“もしネギ先生に告白されたら悩んだ末にOKを出す”ぐらいかな。
龍宮は?」
「私? そうだな…………私はそれこそ“もしネギ先生に告白されたら悩んだ末にNOを出す”ぐらいだよ。
もちろんネギ先生のことが気にならないとは言えんが、あいにく私の将来はもう最後まで予定が詰まっている。皆みたいにネギ先生さえいればそれでいいって境地までは達せられないさ」
「ふーん………………もし今回の件で「責任を取れ」と言われたら?」
「うぐっ! …………さすがに取らざるを得ないぐらいの罪悪感は抱いてる。酔った勢いとはいえ何であんなことを…………。
でも正直な話、ネギ先生に「貴女の理想は僕が叶えますから、貴女は僕の側にいてください」という感じで告白されたら、NOと言えるかわからんな。ネギ先生なら私の理想を叶える手伝いもしてくれそうだし、束縛もしないで私の自由にさせてくれそうだ。しかし結婚する私なんて想像出来ないから…………まあ、愛人ならいいかな?
…………というか何でこんな話してるんだ、私達は?」
言いだしっぺはお前だろうが。
でも、確かにネギ先生なら私達にしたいことや夢があるのなら、それを叶えるのに力になってくれそうだ。
つーか愛人? 確かに龍宮が主婦やってる姿なんてのは想像出来ないけどさ。
それにしても何でこんなに頭が冷静なんだろう。
そんなこと聞かれたら、今までだったら恥ずかしがって反発してたんだろうけど、何の気負いもなく答えることが出来た。
………………ゴメン、理由はわかってる。
あんなとんでもないこと仕出かしちゃったからだよな。
あー、もういいや。とりあえずシャワー浴びてサッパリしよう。そんで残りの詳しいことはネギ先生が起きてからだ。
もうどうとでもなりやがれ、コンチクショウ。
━━━━━ 神楽坂明日菜 ━━━━━
「…………で、ネギは大丈夫なのかしら?」
『頼むからそんな冷たい声出さないでくれ。ネギ先生にしたことは謝るから』
まあ、テレビで拳闘試合の様子を見る限り何ともなさそうだけどね。
むしろ晴れやかな顔をしているから、千雨ちゃんの言う通りにストレス解消になったみたいなのは良かったけど………………千雨ちゃん達がねぇ。
「結局、千雨ちゃん達はどうするの?
前にも言った通り、ルールさえ守ってくれるなら同盟に参加してもらってもいいけど」
『いや、最初はネギ先生に任せようと思ったんだよ。まあ…………ネギ先生なら悪くないし。
でも起きたネギ先生は予想と違って土下座してこなくてさ。私達に向かって「軽くなった気がします。…………引きずりすぎて磨り減ったかな?」って、ヤケにスッキリした顔で言いだしてな。
その姿に私も龍宮も何もツッコめなかったわ』
「…………大丈夫なの、ソレ?」
『大丈夫だと思うぞ。それから「答えは出た。大丈夫ですよ千雨さん。僕はこれから頑張っていきますから」って言われたからな。
私が言うにはオカシイかもしれないけど………………おめでとう。これが最初に言った“良いお知らせ”だ』
マジでっ!? ネギったら答え出たのっ!?
しかも千雨ちゃんが言う感じだったらOKな感じでっ!?
『というわけで神楽坂。多分、合流したらネギ先生から話があると思うから、心の準備をしておくように皆に言っといてくれ。
その辺の事情を含めてエヴァンジェリン達にも話して、何とか情状酌量の余地があるということしてくれると大変ありがたいんだが…………』
…………キタ、キタキタキタキタキターーーーーッ!!!
エヴァちゃんが言ったみたいに、わざわざネギから離れて寂しい想いをした甲斐があったわ!
この旅行でネギとの仲を深めようとは思っていたけど、まさか卒業の遥か前にネギが答えを出してくれるなんて…………。
『…………神楽坂ー?』
これで…………これでまたネギとくっつける。
千雨ちゃん達が参加するのは予想通りとはいえ思うところがないわけではないけど、これはそんなのも吹っ飛ぶ知らせだわ! エヴァちゃん達も喜んでくれる!
千雨ちゃん達ありがとう! 最後までいってたらこんなんじゃ済ませられなかったけどね!
ああ、早くネギと会いたいわ。
『もしもーし?』
って、こうしちゃいられないわね。皆にもこのこと教えなきゃ。
ウフフフフ、今夜は宴会ね。
ああ、魔法世界に来て良かったわ!!!
『…………おーい、まだ話さなきゃいけないことがあるんだけどよー?』
「ア……アラ、ごめんなさい。少しばかりトリップしてたわ。
それで話さなきゃいけないことって、最初に言ってた“悪いかもしれないお知らせ”のことかしら?
…………出来れば“良いお知らせ”だけの方が良かったんだけど」
『そういうのは私じゃなくてネギ先生に言ってくれ。
それでなんだが…………正直、それについては私じゃ判断つかないこともあって、お前らの意見も聞きたいってのもあるんだよ』
「もったいつけちゃって何よ? ネギがまた何か仕出かしたの?」
『それなんだが…………今回の件から拳闘試合が終わってホテルに戻ってくると部屋に篭るようになったんだ。
それで何してるのか様子を伺ったんだけど…………
「オスティアは滅びない! 何度でも蘇るさ!!!」
って叫びながら、何やら青い正八面体の魔力結晶ってモンを作っててさぁ…………』
オスティア復活!? 何をする気!?
『龍宮から見てその魔力結晶はとんでもない魔力を持っているみたいなんだよ。
それ使ってネギ先生が何しようとしているのか心配で心配で…………』
「オーケイ! 予定を切り上げて私達は早めにオスティアに行くようにするから、千雨ちゃん達もネギが“ナギ・スプリングフィールド杯”の出場権ゲットしたら直ぐにオスティアに来るようにして!
最悪の場合は私が壊すから安心していいわよ!!!」
ああもう! ネギったらいったい何をする気なの!?!?
お願いだから変なこと考えたりしないでよ!!!
━━━━━ 後書き ━━━━━
朝チュンを望んでいる人がいたようなので…………。
でも火星にスズメはいないからチュンじゃないかもしれませんね。
ネギ君が遂にイロイロな事に気づいたようです。
基本的にネギは基礎の魔力や修行の結果以外は原作ネギと同じですので、当然ながら体質的に酒には弱いです。気とかマジ便利。
それと急性アルコール中毒は大変危険です。
自分は一度だけ、酒飲んでて夏なのにとても寒くなったことがあります。これが急アルの一歩手前です。
お酒はほどほどにしましょう。一気飲みとかはもってのほかです。
酒を飲むなら水分も一緒に摂り、アルコールを分解するために使う糖分も一緒に摂りましょう。
一番いいのは酒自体を飲まないことですけどね。