━━━━━ 宮崎のどか ━━━━━
正確にはまだオスティア終戦記念祭は始まっていないけどねー。
お祭りは10/1からだからまだ始まるのに1週間あるんだけど、街の様子はもうお祭り一色。既に始まっているって言われても信じちゃうぐらい。
「やっぱり中心市街は人多かったな。人ごみが鬱陶しかったぞ」
「“ナギまん”とか売ってたのは笑ったわねー。
本当に“紅き翼”って大人気だわ」
「でもこのリゾートホテルエリアはそれほどでもないなぁ」
「そうですね、木乃香お嬢様。もちろんそれなりに人はいますが、どこか落ち着いた雰囲気がある場所です」
「パンフレットによると、ここら辺はオスティアでも指折りの高級ホテルエリアでもあるからでござるな。
それに観光客は皆中心街に遊びに行ってるのでござろう」
「それにしてもこんな立派なホテルに泊まるのは久しぶりアルな。今までは野宿ばっかりだったし。
ネギ坊主達はもう到着しているアルか?」
「夕映達は昨日のうちに到着しているはずですし、ネギ先生も午前中に到着の予定です。
ですから問題がない限り私達が最後のはずですね」
ネギ先生と会うのも久しぶりだなぁ。
別行動を始めたのが8/16で今日が9/26だから、もう40日間も経っている。そんなにネギ先生と離れていたのかぁ。賞金稼ぎとか遺跡潜りとか魔獣退治とかであっという間の40日間だったなぁ。
でも魔法世界でのこの40日間は、現実世界…………地球ではまだ半月も経っていないんだよね。
ダイオラマ魔法球で少しは慣れているけど、ここまで長期間のズレがあるのは初めてだから何だか不思議な感じ。
でもこの40日間の間に夕映達がアリアドネーで頑張ってくれたおかげで性転換薬も完成したし、“火星-水星間魔法輸送扉プロジェクト”の調査・資料集めも順調みたい。
これで魔法世界に来た目標はクリア出来た。
…………それに加えてどうやら長谷川さん達の話だと、ネギ先生は私達に対する答えを出すことが出来たみたい。
しかもOKな方向の感じで…………。
や、やっぱりそういうことならネギ先生は私達全員を選ぶのかな?
もちろんその答えが出るかもしれないことを皆覚悟してたし、全員が断られたりすることに比べれば皆が悲しまない答えだと思う。
それにもちろん別に嫌じゃない…………というか、ネギ先生のことがなくても皆とは一緒にいたいと思う。
だって皆もう仲間だもん。
この40日間の間の旅で…………それ以前のネギ先生への同盟を組んだりしたことで、皆と仲良くなれた。
もしこれで誰か1人選ばれてこのパーティーが解散することになったとしたら、失恋だけじゃなくて解散するということ自体にも悲しいと思ってしまう。
だから私1人選ばれたりするよりも、全員選ばれてこれからも皆一緒にいられた方が良い。
宴会のときに話し合ったけど、皆も私と同じ気持ちみたい。
………………エヴァンジェリンさんは不老不死な分、更に余裕があるみたいだけどね。
全員選ばれるのはいいけど、たまにはネギ先生と2人っきり…………もしくは夕映も入れて3人っきりの時間も欲しいなぁ。
ま、これについては後で皆と話し合おう。
というよりまずネギ先生と会わなきゃ。会ってネギ先生の答えを聞いてからだよね。
待っててください、ネギ先生。
いま、逢いにゆきます。
「おや…………やあ、君達! オスティアに到着したのかい!」
「…………ん? おお、タカミチか」
あ、高畑先生。マクギネスさんから聞いてましたけど、本当に高畑先生も魔法世界に来てたんですね。
それとこのホテルの手配とかありがとうございますー。
「元気そうで何よりだね。君達の活躍は噂になってるよ。
まあ、エヴァのことは話題に出ていなくて何よりだけど」
「さすがに私は表に顔を出せんからなー。
アスナ達の実力テストも兼ねてほとんど任せておいたが、特に問題もなく終わることが出来たぞ」
「そうかい。皆たくましくなったね。見違えたよ。
これならきっとネギ君も喜んでくれるさ」
「ありがとう、タカミチ。
…………そ、それでネギは?」
「ん? ああ、ネギ君ならホテルにいるよ。
僕はちょっと祭り会場に行って、食べ物を色々と買ってきたんだよ。さすがにネギ君が祭りに顔を出して大騒ぎになったら困るから、それならせめて食べ物ぐらいはと思ってね。
ガンドルフィーニ先生達も祭りの見学に行ってるよ」
「え? 幻術使っても駄目なんですか?」
「うーん…………大丈夫だとは思うけど、念のためね。
少し祭りを覗いたら、幻術を見破る魔法具を持って探し物をしているような人達がいたから…………しかもその人達って巷に出回り始めたネギ君グッズを持ってたんだよね。
むしろネギ君はそういう人達を見たくないから祭りに行かないみたいでさ…………」
「…………そこまで騒ぎになっているのでござるか」
「というか、ネギ坊主が世に出てからまだ1ヵ月なのにそんなグッズが出てることが驚きアルよ」
きっとネギ先生は引いているんだろうなぁ。
いいんちょさんみたいな、そういう熱狂的なファンとか苦手みたいだし。
「ま、いいさ。君達が来たんならネギ君も喜ぶだろう。ホテルに行こうか。
それとアスナ君には懐かしい人が会いに来てるよ。エヴァにとっても懐かしいかな?」
「誰? …………ってジャックよね。私とエヴァちゃんの知っている人となると」
「ネギに財産を根こそぎ奪われた筋肉達磨か。よし、顔見たら指差して笑ってやろう」
“ジャック”さん…………というと“紅き翼”のジャック・ラカンさんで確かコピーエヴァさんの巻物を持ってた人でしたっけ。
拳闘試合にエヴァさんが出てたのは驚いたなぁ。
それよりも遂にネギ先生と…………。
あ、私の格好変じゃないよね? どこか汚れたりとかしてないよね?
…………会う前にちょっとお手洗いで身だしなみを……。
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「ただいま帰りました、ラカンさん。はい、これが頼まれた屋台の食べ物です。
あれ? …………ネギ君は?」
「おお、帰ったかタカミチ。サンキューな。
ぼーずなら隣の部屋にいるぜ…………って、その嬢ちゃん達は……?」
「神楽坂様達? 到着なされたのですか?」
「ええ、以前に話した長谷川君や夕映君達と同じ、ネギ君の生徒ですよ。
それでこの子が…………」
「久しぶりね、ジャック。あなたは変わらないわねぇ」
「おお…………いよーはっはぁ! お前がアスナかぁ。
それに本当にエヴァンジェリンもいるんだな。嬢ちゃん達のことはぼーずやタカミチから聞いてるぜ」
実際に見るとおっきい人だなぁ。ラカンさんって。
でも以前見た“紅き翼”の映像と何も変わっていないみたい。10年以上前のことなのに。
それにアルちゃん! 久しぶりだねー。
拳闘試合でネギ先生の相方役お疲れ様。ケガもしてないようでよかったよ。
「なるほど。こいつぁデカくなっ「ベキィッ!!!」ったぁーーーって何しやがんだ、ぼーず!?!?
つーかいつの間に現れた!?」
「黙れ。何ナチュラルにセクハラかまそうとしてんですか」
「ただの軽いジョークじゃねえか!!!
ひ、ひどいやつだッ……! 指を折るなんて……!」
「いいや慈悲深いですよ。指を切断しなかっただけね…………。
ま、そんなどうでもいいことは置いといて…………お久しぶりですね、皆さん。会いたかったですよ。
ああ、この大きいのは“紅き翼”のジャック・ラカンさん。僕達を迎えに来るのをすっぽかした人です」
「ネ、ネギィッ! 会いたかったよぉーーー!!!」
あ、ああ! アスナさんズルイですぅ!!
抜け駆けは無しって約束だったのにネギ先生に抱きつくなんて…………。
「アハハ…………久しぶりですね、アスナさん」
「人の指折った直後に変わらぬ顔して女の子を抱き締めるか、フツー?
タカミチ…………絶対このぼーずの育て方間違ってるって……」
「ノーコメントでお願いします」
「ネギ先生、いきなり姿を消されて…………ってのどか!? オスティアに到着したのですか!?」
「え? なになに? のどか達が到着したの?」
「お久しぶりです、マスター」
「これで全員集合か」
「(何とかネギ先生が爆発しないで済んだなぁ)」
「久しぶりネ、皆。皆の活躍はアリアドネーでもチラホラと聞いていたヨ」
ネギ先生…………お久しぶりですぅ。
いつの間にこの部屋に来たのかは突っ込まないです。それと扉を開ける音もしなかったのも気にしないでおきます。
でも元気そうで良かった。ネギ先生に変わりがないようで………………あれ? でも何か違う?
変な意味での違い方じゃなくて…………あ、ネギ先生の背が伸びてるのかな?
40日間も離れてたらやっぱり大きくなったんだぁ。
今までは毎日見てたから、背が伸びても気づかなかったのかな。
それに夕映達も元気そうで良かったよ。夕映は別に背は変わっていないけど…………むしろ縮んだ? もしかして私の背も伸びたのかな?
アーニャちゃんも茶々丸さんも長谷川さんも龍宮さんも超さんも元気そうで良かった。
「あー、“紅き翼”のジャック・ラカンさんということならウチのお父様ともお友達やな」
「ほおぉ? そいじゃ、あんたが木乃香ちゃんかい。
こりゃ驚きだ。あの堅物からどーやってこんなカワイイのが生ま「ベキィッ!!!」れぇ!?!? って今度は何もしてもしてねー…………お?」
「いや、さっき折った指を治しただけですよ。
いったい人を何だと思っているんですか?」
「指を折った張本人が行って良い台詞じゃねえよ!」
「? なら元に戻した方がいいですか?
今ならIEYASU方式で元に戻しますよ」
「それはドッチの意味なんだ!? 折る前か!? それとも治す前か!?」
「っていうかラカンさんうるさい。少し静かにしてください。んーと…………皆さんに話したいことあるんですけど、それはラカンさんが帰ってからにしましょうか。
まずは現状を話し合いましょう。どうせならタカミチの買ってきてくれた食べ物もいただきましょうか。茶々丸さん、お茶をお願いします。
それと“ょぅι゛ょ誘拐犯”に関して皆さんに教えておきたいことがありますので、ちょっとラカンさんから貰ったビデオも見てください」
そ、そうですね! ラカンさんがいるようなところで話し合うことじゃないですよね!
…………ど、どうなんだろう? どういう答えを出してくれるのかな?
うわー、なんか今からドキドキしてきちゃった。
とりあえず落ち着こう。これから話し合いもするんだからその間に落ち着いて、ネギ先生の答えを聞く準備しておかなきゃ。
「これでぼーずの仲間も全員揃ったんだな………………あれ? そういえば小太郎ってのはいねぇのか?
“白き角”でぼーず以外の唯一の男の小太郎って奴」
「…………あ、そういえばそうですね。
小太郎君はもしかして別荘の中ですか? 修行熱心で何よりです」
え? 小太…………え…………誰……?
━━━━━ チャチャゼロ ━━━━━
犬上小太郎、10歳。
己の肉体と武術に限界を感じ悩みに悩み抜いた結果、彼がたどり着いた結果は感謝であった。
自分自身と共に今までの人生を歩んでくれた狗神への限りなく大きな恩。自分なりに少しでも返そうと思い立ったのが一日千回、感謝の狗族獣化!!!
気を整え、拝み、祈り、構えて、獣化。
一連の動作を一回こなすのに当初は50~60秒。千回終えるまでに初日は18時間以上を費やした。
獣化し終えれば倒れる様に寝る。起きてはまた獣化を繰り返「何やってんのーーーっ!?!?」…………オ、ネギジャネーカ。スッゲェ久シブリダナ。
イイトコロナンダカラ邪魔スンジャネーヨ。
セッカクコノ犬モイイ感ジニ育ッテキタンダカラナ。
「おー、ネギやんか。随分と久しぶり…………あれ? やけに背縮んどらんか?」
「いやいやいやいや! ちょっと待ってよ小太……ってコジロー君になってるじゃんか!!!
いたの!? もしかして今までずっと別荘の中にいたの!? いつでも外に出れるように外のエヴァさんと連絡取れる手段ちゃんと教えておいたよね!?」
「え、コジローって誰やねん?
…………そういえば俺ってどんくらい別荘に篭ってたんやろか? 最初の二月ぐらいは数えてたんやけど、それからは数えてないんや」
「別行動始めてから40日間過ぎてるよ!
ずっと別荘の中にいたんだったら960日間だよ! 何でそんなに長期間篭ってんのさ!!!」
ヘェ、イツノ間ニカ結構篭ッテタナ。
デモ惜シイナァ。モウチョイデ千ノ大台ニイッタジャネーカ。
「っていうかちびネギは!? ちびネギはいったいどうしたの!?」
「アア、アイツナラ1年グライ前ニ力尽キタゼ。
オカゲデ話シ相手がイナクテ暇ニナッチマッタ。セッカクコノ犬ヲドコマデ鍛エ上ゲルカ一緒ニ計画シテタノニヨー」
「1年前…………くっ、『『千の雷』』クラスの魔力程度の式神なら、500日も持ったのを褒めるべきか…………。
…………まあいい。とりあえず一度出るよ、小太郎君。それと小太郎君の面倒見てくれてありがとうございます、チャチャゼロさん」
オイオイ、モシカシテオレノ出番コレダケカヨ。
最近ノ御主人ハアノ小娘達トツルンデバッカデ、オレハ暇シテタンダゾ。
モット出番ヨコセヨ。
「チャチャゼロさんの一人称は書きづらいし見づらいんですよ。
言わせんな、恥ずかしい」
━━━━━ 高畑・T・タカミチ ━━━━━
「ほおぉ~~~、20年前の大戦にはそんな裏話があったんかぁ。
しかもネギの母ちゃんが“災厄の魔女”ねぇ。フェイトがネギのことを王子様って言ったのは、きっとこれのことやったんやな」
「「「「「……………………」」」」」
…………本当に大きくなったなぁ、小太郎君。皆も驚いちゃってるよ。
小太郎君が出てきてから全員揃ってラカンさんが作った“紅の翼戦記”という自主制作映画を見た。EP1“旅経ちのラカン”からEP2“災厄の魔女”まで全て。若い頃の僕も映っていたから何だか気恥ずかしい気がするな。
アスナ君やエヴァはある程度まで知っていたけど、木乃香君達も含めてこれで裏のことを全て知ってしまった。
さすがにアスナ君が魔法世界のお姫様だということや、ネギ君の母親が女王だということには驚いていたけどね。
…………ところでアリカ様がネギ君の母親というのことがわかってから、アスナ君達が「……王政復古……」「……一夫多妻やね……」「……し、しかし私のような者が……」「……妻妾同衾よりいいよね……」「……第○夫人とかですか……」って呟いているんだけど、彼女達はいったい何を企んでいるのだろうか?
ネギ君もネギ君で凄い大きな魔力結晶を作って何か企んでいるみたいだし…………。
それにしても…………説明が全部終わったのに、ネギ君も含めて誰も口を開けないよ。
口を開けない理由が“大分烈戦争”の真実のせいじゃなくて、14歳くらいに成長した小太郎君がいるせいというのはどうかと思うけどね。
いくら小太郎君自身が「修行に専念したいから声をかけないでくれ」って言ってたとはいえ、さすがに40日間も放っておくのはマズイよなぁ。
「悪くない。私は悪くないぞ……っ!」
「そうやでー。俺が好きで修行してたんやから、エヴァさん達を責めるのはお門違いやで」
「…………いや、そこまであっけらかんとされると逆に罪悪感が湧いてくるんだが…………」
まあ、小太郎君がそれで良いのならそれで良いけど。
でも麻帆良に帰ったらどうしよう。小太郎君も学校に通っているんだから、あの格好で登校させるわけにはいかないな。
少し前の相坂君みたいに幻術がかかる魔法具でも用意しなきゃ駄目か…………。
「(…………で、ネギ君から見たらあの小太郎君はどんな感じなんだい?)」
「(基礎能力ならタカミチと互角に近い。戦ったら7:3…………いや、6:4ぐらいでタカミチ有利。もし小太郎君に隠し札あるなら1回は負けるかも)」
げ、そこまで強くなってるの?
確かに気の流れとかが凄くスムーズになっているのがわかるけど、千日近くもいったいどういう修行をしてたんだろうか?
「まず狗神を鍛えようとしてからはイメージ修行やな。最初は実際の狗神を一日中いじくってたわ。とにかく四六時中や。目をつぶって触感を確認したり、何百何千枚と狗神を写生したり、ずーっとただ眺めてみたり、舐めてみたり、音を立てたり、嗅いでみたり。
狗神で遊ぶ以外何もするなとちびネギに言われたからな。
しばらくしたら毎晩狗神の夢を見るようになって、その時点で実際の狗神を取り上げられたわ。そうすると今度は幻覚で狗神が見えてくるんや。更に日が経つと幻覚の狗神がリアルに感じられるんや。重さも歩く足音も聞こえてくる。いつの間にか幻覚じゃなく自然と召喚した狗神が出ていたんや。
それ以外は今まで同じやで。とにかく毎日毎日基礎修練とチャチャゼロ相手に戦闘訓練や」
「「「「「そんなの絶対おかしいよっ!」」」」」
「…………というか何やってたんだちびネギは?」
「チャチャゼロ…………そういえば別荘の中に仕舞ったままだったな」
「え、変か? 自分としてはかなり上達したと思うとるんやけど。
…………ま、ええやん。別に困ったことが起こったわけでもないし。
それよりこれからのことを話し合った方がええんやないか。とりあえず昔のことは今見たビデオでわかったけど、問題はこれからどうするかやろ」
「う……うん、そうだね」
ネギ君が小太郎君に苦手意識を持つようになってる。というか全員がそうみたいだ。無理ないけどさ。
とはいえ、確かに小太郎君のことを忘れていたのはアレだけど、今はこれからのことを話し合った方がいいね。
それにしても…………アリカ様のこととかも教えちゃって良かったのかな。ナギがアリカ様にプロポーズする場面の映像も流すなんて、いったいあの映像は何処で手に入れ………………ラカンさん? 何故冷や汗を流しているんですか?
この映像ってもしかしてラカンさんが?
まあ、ネギ君が一人前になってからアリカ様のことを話すという約束自体は、別にもうネギ君は一人前以上ですから問題ないですけどね。
それでもこの自主制作映画は悪乗りしすぎだと思いますよ。
しかもEP2“災厄の魔女”はクルトまで制作に関与していたみたいだし…………アイツはアリカ様が関わると途端に人間が変わるからなぁ…………。
「…………それでこれからのことなんですが、まずは“ナギ・スプリングフィールド杯”ですね。
ラカンさんに頼んで皆さんの分のVIP席を用意してもらいましたので、そこで観戦を楽しんでください」
「つってもVIP席は他の客も入るから、貸切ってわけじゃねーからな」
「ええ、それはわかってます。ですので皆さんお行儀良くしてくださいね。
そしてその後なんですが、旧王都オスティアにある現実世界へのゲートを探すという名目でオスティア首都に行こうと思います。
僕の転移魔法でも現実世界にも帰ることは出来るのですが、よくよく考えたらそれを公表すると僕が現実世界に帰りたい人たち全てを帰さなきゃいけなくなりそうなので、さすがにそれは面倒臭そうです。
だったらゲートを復活させて、他の人も帰れるようにした方が結果的には労力は少なくて済むでしょう」
「あー、確かに。
現実世界と魔法世界を行き来出来るのがネギだけだったら忙しくなりそうだもんね」
「それを逆手にとって、現実世界と魔法世界往来を独占商売にしようかとも思いましたけど…………まあ、止めておきます」
それはやめなさい。
「…………でもアレですよねー。今のオスティアは魔獣蠢く複雑怪奇なダンジョンと化しているみたいなので、まずはそれを何とかしないといけませんよねー。
もしかしたら僕がそれをやる過程でオスティアが復活して再び空に浮かび上がったりするかもしれないですけど、それは不可抗力というものですよねー」
「…………そうやね。そんでネギ君がナギさんとアリカ様の息子ということや、20年前の真実が何処からか世間に流れたりするかもしれないんやねー」
「…………そ、そしたら大変ですね。ネギ先生はもしかしたら王様になるように魔法世界の皆さんから頼まれたりするかもしれませんねー。
何しろ英雄の息子であり、濡れ衣を着せられた世界を救った女王の息子ですもんねー」
「そうでござるなー。でもそれは確かにネギ坊主が言う通りに不可抗力というものでござるよ」
「「「「「アハハハハハ」」」」」
「(皆が何言っているかよくわからないアル。映画も難しかったアルし…………)」
…………な、何なのかな? そのお互いに探り合うような会話は?
この子達はいったい何を考えているのかな?
それにしても…………ネギ君とラカンさんが戦うのか。いったいどういう試合になるのやら。
ラカンさんはナギやエヴァとも違った感じの強者だから、ネギ君にも戦い方次第では良いところまで喰らいつけるかもしれない………………普通逆だな。ネギ君がラカンさんに良いところまで喰らいつけるかもしれないなんだよな。
でもネギ君のことだからまたとんでもないことを仕出かしそうで、試合を見るのが楽しみ半分怖さ半分だよ。
しかもネギ君がナギの息子であることは衆目にバラしちゃっているから、今度の“ナギ・スプリングフィールド杯”はかつてないほどの盛り上がりを見せるだろう。
でもネギ君のことだから、そのど真ん中でアリカ様の息子であることをバラしたりしそうだ。他にも色々と隠されていたことをバラして、もう引き返せないところまで無理矢理事態を進めさせそうな気がするな。
ま、ネギ君のことだから、その後のこともちゃんと考えているだろう。
考えてなくても力尽くで何とかなるだろうし。
…………そういえば、ラカンさんには“火星-水星間魔法輸送扉プロジェクト”について話したのかな? それか“ナギ・スプリングフィールド杯”が終わった後に話すのかな?
今回のオスティア終戦記念祭は20周年の節目とあって、ヘラスのテオドラ皇女とアリアドネーのセラス総長、それにメガロメセンブリア元老院議員のリカードさんも参加するしクルトも来るだろう。
その皆が集まったときに説明すれば、その方が手間がかからなくて済んでいいか。
━━━━━ 後書き ━━━━━
コタロウ×コタロウ 始まるよー。
あまりの衝撃に、これからの関係についての話が流れましたw
隠し札はまだありません。
…………やっぱり前話の感想が多かったですねw
それとネタ的には普通にラピュタですね。量産型エヴァは別にちびネギで代用出来ます………………というかそっちの方が楽です。
日産1体の量産型エヴァに比べて、日産50体(千の雷クラス)のちびネギですから。
次の次くらいでラカン戦ですね。
さすがにこの状況でフェイト達が襲ってくるようなことはありません。来ても返り討ちですし。
…………それよりアリカのことどうしましょう。結局アリカは原作でどうなったんでしょう? やっぱり10年前の戦いで死亡?
でもそれだと産後直ぐに戦いに参加したことに…………。
あ、それとガンダムUCの5話見てきました。
感想としては“ローゼン・ズール強ええぇぇっ!”でした。後はリディとアルベルトがカッコ悪いというかみっともないというか…………。
でもオットー艦長はアレで良いと思います。ウン。