━━━━━ フェイト・アーウェルンクス ━━━━━
「……………………」
「フェイト様、試合はもう終わったのですか?
ネギ・スプリングフィールドとジャック・ラカンのどちらが勝ったの………………フェイト様?」
…………ネギ君を本気でどうしろと?
駄目だ強すぎる。やはり京都のときでもゲートポートのときでもネギ君は本気を出していなかったらしい。
ジャック・ラカンというバグに対してあそこまで一方的に勝つなんて…………。
『お……おめでとうございます、スプリングフィールド選手! 見事“ナギ・スプリングフィールド杯”優勝です!
自らの父親の名前を冠した大会で、しかも父の戦友を押し退けて優勝するという偉業を達成されました!』
『ありがとうございます。いやぁ、ラカンさんは強敵でしたねぇ。
ああ、別に僕のことは“ネギ”で構いませんよ。“スプリングフィールド”では父と被るでしょう』
『はい、ネギ選手!
それでは優勝者インタビューに移りましょう!』
僕で…………僕達“アーウェルンクス”シリーズでネギ君に勝てるか?
戦えるのは3番である僕と、調整完了間近の4番と5番の3人。
僕の新しい身体に流用してしまったので、6番は身体の用意が間に合わない。
それでも僕達3人がかりなら、ナギ・スプリングフィールドであろうとジャック・ラカンであろうと勝てる………………はずだと思う。
しかしネギ君はジャック・ラカン以上の強者であり、他にも“闇の福音”のコピーが共に行動しているし、従者の女の子達の実力も月詠さんの話からすると侮れない。
ネギ君を相手にするのは僕達“アーウェルンクス”シリーズと、よくてデュナミスぐらいだろう。他の皆や召喚魔獣は露払いで精一杯になるはずだ。
あのネギ君を相手に4人がかりでなら………………普通ならどんな相手でも勝てると思えるのだろうに、何故か勝てるとは思えない。
いや、それ以前にネギ君相手に複数で挑んでも勝てるようになるのか? あの攻撃の嵐に対して数が増えただけで有利になるのか?
あの『固有時制御』に『魔力吸収陣』、そして“呪紋回路”とやらに加えて『完全魔法無効化能力』まで持っている。
そもそもジャック・ラカンの“千の顔を持つ英雄”は『完全魔法無効化能力』で無効化出来たはずだ。
この試合でそれをしなかったということは、ハッキリ言ってネギ君にとってはこの試合はただの遊戯に過ぎなかったんだろう。
それと同じく僕達の魔法も通じなくなる。僕達は体術も使えるとはいえ、戦力半減であることは間違いない。
だけどネギ君は魔法を使い放題で、あの軍隊の一個師団に勝てそうな無詠唱魔法を乱射してくる。
………………え? もしかして無効化フィールドでコッチの障壁も消してくる?
というか『完全魔法無効化能力』を矢や槍にして撃ち込んできそう?
『それにしても…………最後はいったい何をしたのですか?
ラカン選手がいきなり口から爆炎を噴いて倒れましたが、いったいどういうことなんでしょうか?』
『それはヒミツです。アッサリばらしても面白くありませんからね。もしかしたらこの試合の録画映像を詳しく調べたらわかるかもしれませんので、とりあえず頑張ってみてください。
それといくら完全治癒呪文とはいえ今日一日ぐらいは安静にしておいた方が良いと、医務室に運ばれたラカンさんに伝えて置いてください』
特にあの『魔力吸収陣』がマズイ。
アレは普通の状況なら、使った魔力の回収と周囲に元々満ちていた魔力を吸収するだけだ。
それでも厄介なことには変わらないが、僕達がゲートポートを破壊したことが最悪に繋がる。
それというのも、もうすぐ廃都オスティアには魔法世界全土の魔力が集まるせいで魔力飽和状態になるはずだ。
そんな状態のオスティアでネギ君に戦いを挑まれたら、僕達が集めた魔力全てが敵になる。
それこそ攻撃魔法を『固有時制御』で秒間何十発も、“呪紋回路”で威力を増して、魔法世界全土の魔力を使って放ってくるだろう。
………………魔法世界再編を行なえるほどの魔力を利用した攻撃?
想像しただけで嫌になってくる。
ネギ君の戦い方は単純がゆえに対処が難しい。
どれか一つだけだったらまだ希望はあった。
『固有時制御』や“呪紋回路”だけだったら、それこそ長期戦を挑んで魔力の枯渇を狙えばいい。アレだけの攻撃なら消費魔力もとんでもない量になるはず。
だが『魔力吸収陣』があるために、長期戦を仕掛けたらコチラが先に力尽きる。
『魔力吸収陣』だけだったら召喚魔を大量に呼び寄せて物量で押せばいい。いくら魔力を回復出来るとはいえ、物量で押せばその魔力を発揮する前に倒せるだろう。
だが『固有時制御』や“呪紋回路”があるから、圧倒的な火力でなぎ払われるだけだ。
本気でどうしろというんだ…………。
『ところでネギ選手はこのお祭りが終わったらどうなされるのですか?
旧世界に帰る手段を調べているということでしたが…………』
『ええ、帰れる方法はわかりました。新オスティアの西にある廃都オスティアにまだ壊れていない休止中のゲートがあるみたいなので、そこから現実世界に帰れます。
今の廃都オスティアは魔獣蠢く巨大で複雑怪奇なダンジョンと化していて、許可を受けた熟練の冒険者以外の立入禁止という魔法世界の危険地域になっているそうですが、僕なら大丈夫ですからね。タカミチもいますし。
まあ、この大会で優勝したんですから、危ないから許可が出ないなんてことはないでしょう。廃都オスティアに行って、ゲートを探し出して、魔獣などの掃除をする………………実に簡単なお仕事です。
これを見ている現実世界に帰れなくて困っている皆さん。もうすぐ帰れるようになりますので安心してくださいね』
詰んだ。ネギ君が廃都にやって来る。
祭りが終わってからといっているが、廃都を注目していることは間違いない。だったら廃都に何かあればやってくるだろう。
具体的には廃都に魔力が集まって、昔落ちた廃都が浮かび上がったりなんかしたら…………。
どうしよう? 何か方法は…………人質?
そうだ! 人質を取れば………………しかし、取るといっても誰を人質にする?
ネギ君の従者を? それともこの祭りに参加している大勢の罪もない一般市民を?
…………前者は駄目だ。
ネギ君とは常に一緒に行動している上に、彼女達もなかなかの実力者だ。もし手間取って人質にするのに失敗するなりネギ君の介入を許すなりしたら、その瞬間からネギ君を敵にまわす。
京都やゲートポートでのこと、それにこの試合から見る限り敵に対して容赦が無い。敵対された瞬間に終わる。
何でもグラニクスでは“街や市民への被害も省みずにネギ君に野試合を挑んだ愚か者が、身体を石にされてその身体が砂になるまで砕かれて川にバラ撒かれた”なんて噂が流れているぐらいだ。
後者は…………そもそもそんな余剰戦力は無い。
現状で動けるのは僕と調さん達、それと月詠さんだけ。そもそもデュナミスは例の事に付きっ切りなんだ。戦闘に参加出来るような状況ではない。
というか、そもそもあのジャック・ラカンを仕留めた謎の技がある時点で敵対的な交渉は無理だね。
交渉しようと彼の前に出た瞬間にコチラが仕留められる羽目になりかねない。
…………アレはいったいなにをやったんだろうか? 僕でもわからなかった…………。
『え? タカミチというと…………高畑・T・タカミチですか?』
『そうですよ。
ホラ、あそこのVIP席のところに…………』
『あ、本当だ!? この会場に“紅き翼”が2人もいたんですね!
…………アレ? ネギ選手の前パートナーだったアルちゃんを肩に乗せている女の子達はお知り合いですか?』
『彼女達は僕の連れです…………というか“魔法使いの従者”です』
『え?』
高畑・T・タカミチまで一緒にいるのかっ!?
月詠さん…………じゃ彼の相手は無理だろうから、僕達かデュナミスの誰か1人が抑えにまわなければ…………。
…………いや、やはりこれではネギ君を敵にまわすわけにはいかないな。
何とか友好的に会話をして、戦いを回避する方向でいかないと本気でマズイ。
━━━━━ クルト・ゲーデル ━━━━━
…………いやはや、何とも表現しがたい少年ですね。ネギ君は。
まさかあのバグキャラ、ジャック・ラカンに勝ってしまうとは…………。
『ネギ選手って“魔法使いの従者”いたんですかっ!?』
『え? そりゃ普通にいますけど…………ちゃんと『仮契約』していますよ。
ホラ、これが“仮契約カード”』
『ホ、ホントだ!? 主人が“ネギ・スプリングフィールド”で従者が“コノカ・コノエ”と………………“コノエ”?
というか“仮契約カード”何枚持ってんですか?』
『今のところは7枚です。…………まあ、どういう人達なのかは秘密で。
とはいえ気づいたみたいですから1人だけ言っちゃいますけど、このカードの近衛木乃香さんというのは“紅き翼”の近衛詠春さんの娘さんですよ』
おや、師匠の御息女と?
その情報は知りませんでしたね………………というかネギ君の情報はどれが正しいのかサッパリわかりません。滅茶苦茶すぎます。
どうやら明らかに嘘っぽかったネギ君の強さのことに関してだけは本当だったみたいですが…………。
まあ、師匠が御息女を通して関西呪術協会へのネギ君取り込みを図る………………ということはないでしょう。
確か10年以上も前に師匠から貰った手紙には、“娘には魔法に関わってほしくない”ということが書かれていましたし…………。
祖父である麻帆良の学園長の差し金ですかね? 狸で有名ですし。
でもこれは考えようによってはラッキーですね。
ナギの盟友である師匠の御息女がネギ君の相手ならば、元老院が政略結婚などのコスイ真似をするような余地がありません。
しかし…………ここまでくると危険ですね。
ここまでネギ君が有名になってくると、老害共がいったい何を企むやら…………。
やはり現実世界に戻られる前に一度ネギ君と接触した方が良いでしょう。それこそ明日にでも。
明日に開かれる総督府主催の舞踏会に“ナギ・スプリングフィールド杯”優勝者を招くということなら不自然ではないでしょうし、ネギ君には廃都オスティアに降りる手続きの相談に乗るといえば悪くはないでしょう。
どうやら調べた感じでは、ネギ君もナギとは違うベクトルのおバカさんらしいですからね。
元老院に何かされる前に…………それこそネギ君が大戦の全てを知る前に会って、世界を救うための協力をお願いをしなければいけません。
ジャック・ラカンに勝ったということは、もしかしたら“ネギ君が一人前になるまでは真実は教えない”という約束が果たされるかもしれません。
その前に私から真実を話して、ネギ君とはより良い関係を築き上げたいものです。
『それにしてもネギ選手は強いですね。まさかあのラカン選手に勝てるとは…………。
その若さでそこまで強くなれたのには、何か秘訣とかあるんですか?』
『日々の鍛錬です………………と言いたいところですが、そうですねぇ…………。
夜寝るときに“幻想空間”の中に入り込んで精神だけで一晩で半月ぐらい修行して、起きたらその経験を肉体に反映させる修行を数年続けてみてください。
きっと強くなれますよ』
『え?』
………………頭の良い脳筋って面倒ですよね。この子も結局バグキャラですか。
テレビに映ったネギ君の顔は確かにナギにソックリです。
…………顔がナギに似ている分、せめて性格と頭はアリカ様に似てくれても良かったのに。
タカミチも何でネギ君のことを“中身はアリカ様似”なんて手紙に書いてたんだ?
確かに礼儀正しそうではあるから、傍若無人なナギよりはアリカ様の方に近いかもしれないけど…………。
まあ、お母上のことについても色々と話すことにしましょう。それと連れのお嬢さんがあんなにいるとなると、ドレスの用意などもした方がいいでしょうね。
とはいえ、このネギ君は神輿としては最高の逸材ですね。
今日の時点で既に有名になってはいましたが、この試合の詳細が知られることで明日には魔法世界はネギ君の話題一色になるでしょう。
10歳の若さで父の永遠のライバルを倒すほどの実力を持っており、これから“現実世界に帰れなくて困っている人達を助ける”という実績さえ作り出そうとしています。
そして両親の後を継いで世界を救おうとするとなると、ネギ君の民への影響力はそれこそナギ以上になるでしょう。
彼の名を更に高めるためにもちょうど良いですので、是非とも廃都探索は頑張っていただきましょうか…………というか許可を出さざるをえませんね。
魔法世界全土が注目しているであろうこの中継で先程のようなことを言われてしまった以上、ネギ君に廃都探索許可を出さなければ“現実世界に帰れなくて困っている人達”から苦情がきます。
まあ、これには元老院だって文句は表立って言ってこないでしょうから別に問題ないでしょう。
さて、何にせよネギ君と話してみてからですか。
明日が楽しみです。
『と……ところでネギ選手のファンのみならず、魔法世界全土の人々が気になっているであろうことを聞いても良いでしょうか?
…………ズバリ! ネギ選手の母親…………ナギ・スプリングフィールドと結婚したのはいったい誰なんですかっ!?』
『二股眉毛』
『え?』
え?
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何だか聞き捨てならない言葉を聞いた翌日、私は街中でネギ君と接触を図りました。
ネギ君の後ろには従者のお嬢さん方とタカミチ。
…………タカミチが余計なことを言わなければいいのですがね。
「おや…………?
君はどこかで見たような覚えがありますが…………ああ! そうか、思い出しました! なんと君は世界を救ったかの大英雄の御子息ではございませんか!
いや、今はこう言い換えた方がいいでしょうか…………その大英雄の親友でもあるもう1人の大英雄、ジャック・ラカンを見事倒した少年と「スイマセン。昨日の試合に関しての取材とかなら、僕が所属している拳闘団を通してにしてください」…………え?」
「あと道一杯に広がって歩かないでください。邪魔です。
総督という市民への模範とならなければいけない立場にいるのですから、常日頃から他人に自分がどう見られているか考えて行動した方がいいですよ。クルト・ゲーデル総督」
「(…………クルト、ネギ君に口であろうと勝てると思っているのか?)」
…………アレ? こういう子なんですか?
でも形式などに拘るところは、アリカ様似と言われればそうかもしれないですね。
というか、いったいなんだタカミチ? その憐れむような顔は?
「いやなに…………私は虚弱体質でしてねぇ。恥ずかしながら何人かの部下を連れなければ外出もままならないという有様りで…………。
ごくごく私的なボディーガードのようなものです。お気になさらないでください」
「別にあなたが虚弱体質だろうとラカンさん並のマッチョであろうと、それはどうでもいいんです。道一杯に広がって歩くな、と言っているんです。
それに虚弱体質…………ねぇ?
…………。
……………………。
………………………………うん、タカミチ。今のタカミチなら10回やったら9回は勝てますよ」
「お、本当かい?
いやー、常日頃から鍛えている甲斐があるね」
「な…………何のことですかね?」
「いえ別に。ただの評価です。
詠春さんから聞いて想像していたのよりは………………まあ、オスティア総督というお仕事が忙しいんでしょうね。
立場上、関西呪術協会の長である詠春さんと連絡をとりにくいのは理解してますけど、師匠なんですから少しは近況報告ぐらいした方がいいですよ」
「え? そ、そうですか…………」
「でも安心しました。詠春さんに魔法世界に来ることになったのを電話で話したとき、ゲーデルさんの話題も出たんですよ。
ゲーデルさんが元気そうでいることは、現実世界に戻ったら詠春さんに伝えておきますね」
「あ、ありがとうございます…………」
「ついでに“鈍っているようだったら鍛え直してやってくれ”と頼まれているんですけど…………どうします?」
「仕事が忙しいので遠慮させていただきます」
師匠ァーーーッ!?
ジャック・ラカンに勝てるような相手と戦えなんて無茶言わないでください!
「冗談です。いくら何でもお互いの立場の関係上、そういうことは言えないですよ。
それにタカミチの方が強そうとはいえ鍛錬を怠っているというわけじゃなさそうですし、そこまで極端な差があるわけじゃなさそうですからね。
タカミチとの差は自由度の違いでしょう。さすがにオスティア総督と麻帆良の教師だったら、総督の方が忙しいでしょうからね」
「…………ホッとしました。
ええ、もちろん日々の鍛錬は欠かしておりませんよ。師匠に会いましたらそうお伝えください。
いや実は“廃都に下りて休止中のゲートを探す”と昨日ネギ君が言ってたことについて相談しに来たのですが、少しお時間をいただいてもよろしいですかね?」
何というか…………実際に会ったら違う感じですね。
しかし、ネギ君のこのマイペースなところがどことなくアリカ様を思い出させます。
なるほどなるほど。
こうやって会ってみると、確かにネギ君はナギよりはアリカ様に似ている感じはしますね。
というより、ナギに似ていないだけなのかな?
「アポぐらいは取ってほしかったんですが…………今からじゃないと駄目ですか?
これからレストランに行く予定なのですが…………」
「昼食ですか? だがまだ10時…………いえ、それでしたら私も昼食をご一緒させてください。
もちろん皆さんの御代は私が持たせていただきます」
「おい、クルト。いったい何を企んでいる?」
「別に。私もネギ君と話をしてみたいだけだよ、タカミチ」
「…………話自体は構いません。
どうせ廃都に下りる許可の関係などで一度役所には行こうと思っていましたので、オスティア総督であるゲーデルさんと直接話せるならそれで済みますからね。
しかし…………実は先約がありまして」
「先約ですか?」
「ええ、この祭りに警備として来ているアリアドネーの戦乙女騎士団の人達です。
僕の従者が魔法世界に来てからアリアドネーで少し学んでいまして、その時にお世話になった人達です。他にもコチラで知り合った人達が何人か。
騒ぎにならないように僕のことは秘密にしてもらっていたんですが、その人達は僕のファンということらしいんですよ。
それでお世話になった人達にずっと黙っているのもアレだし、お礼も兼ねてこれからお茶をしてそのまま昼食をご一緒することになりました。
まあ、彼女達も今日は休みとはいえ、ずっと遊んではいられるわけではないので13:00までの予定です。その後でいいならお話に付き合いますが…………」
…………フム、いきなり押しかけたのはコチラですから、それぐらいは仕方がないですかね。
今夜の舞踏会のこともあるから早めに終わらしたいという気持ちはありますが、コチラを優先するように強制させたらネギ君の機嫌が最悪になるような気が…………。
きっとアリカ様でも同じことをしたら気分を害されるでしょうし。
「ええ、それで構いません。ご一緒させてください」
「わかりました………………と言いたいですが、さすがに後ろの人達まではレストランには入れませんよ。人数的に考えて。
入れるのはゲーデルさんと…………まあ、その少年ぐらいならいいでしょう」
「それは承知しています。彼らにはレストランの周りで警備でもしてもらいますよ。
何でしたらそのレストランを貸切にしましょうか。ネギ君がいることがバレたら一般客が押し寄せてきそうですから」
「そこら辺はお任せします。その人達が店の前にいるなら目立って仕方がないですからね。
ヘタしたらそうなるかもしれません………………ハア」
おや、浮かない顔ですね。熱狂的なファンは苦手ということでしたが、平気でそういうのをあしらっていたナギとは違いますね。
少し神経質というか、ナギと違って人並みの神経を持っているというか…………。
しかし、そんな有様ではこれから大変ですよ。
ネギ君にはこれから大々的な社交デビューが待ってるんですからね。
━━━━━ 後書き ━━━━━
これからがほんとうの(クルトにとっての)地獄だ…………。
今のうちに余裕ぶっているがいい。
でもお仕事の話ですから、被害者になるわけではありません。
…………このペースだと100話越えるかも。
まあ、一話一話の量が1万字程度と少な目ですので、総量としては多すぎるというワケではないと思います。しかもルビのタグを含めての1万字ですからね。
それと次の木曜更新は所用のために休みとさせて頂きます。
次回更新は6/17の予定です。