こんにちは。ネギです。
まほネットを巡回していたらニュース速報が流れていました。何でもメガロメセンブリアで政変が起こったそうです。
まほネットでは大騒ぎになっていましたよ。
学園長やタカミチは何故かニヤついていましたが。
「その魔法式は違いますな、ネギ様」
「えーと、こうですかね? ヴィルさん」
そして自分は今、ヴィルヘルム・ヨーゼフ・フォン・ヘルマン元伯爵に石化魔法を教わってます。
というか、ヘルマン卿が教育されすぎです。自分をネギ様と呼ぶなんて………………。
…………どうしてこうなった?
いや、原因はわかってるんですけどね。
自分の不用意な一言のせいなんですけどね。
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「ぼーや、今日はもう休め。根を詰めすぎたら出来るものも出来ないぞ」
「はい、そうですね。もうこんな時間ですし」
それは図書館島から本を借りて、石化魔法の勉強をしていたときでした。
石化魔法を学んで、それを取っ掛かりに石化治療薬を作るつもりだったのです。
しかし、悪魔の石化魔法なんてものは禁書にも載ってなく、自分で研究するしかありませんでした。
「役に立てなくてすまないな、ぼーや。治療魔法は苦手でな」
「いえ、大丈夫ですよ」
「そうか、悪魔によって石化された人間をを治すなんて一朝一夕ではいかないんだ。
あせらずじっくりやるといい。明日はせっかくの休日なんだ。また麻帆良を一緒に見て回ろう。
…………今度はタカミチ抜きでな」
「あはは、そうですね。気分転換も必要ですし。
でも、やはり石化治癒魔法は難しいですね。麻帆良の図書館島にあった本でも、“今までの方法では出来ない”ということの証明しかできてません。
間違いを減らすという意味では成功なんですけど、正解があるかどうかわからないのが痛いです」
そして次の言葉がいけなかったのです。
ごめんなさい、ヘルマン卿。
「いっそのこと、村の皆を石にした悪魔を召喚して、そいつに石化魔法を教わりましょうか」
「……。
…………。
………………その手があったか。さすがだな、ぼーや。
ふむ、せっかくの休日だが、明日の麻帆良巡りは中止することにしよう。
村の人間を石にしたのは確か伯爵級の悪魔だったな。
それなら私とタカミチとジジイ、あとガンドルフィーニと刀子がいれば問題あるまい。あと結界を作るために一応瀬流彦も呼んでおこうか」
…………は? あなたは何を言ってるんですか?
いや、そんだけいればオーバーキルでしょうけど。
「よし、ではちょっと連絡してくる。
ぼーやはもう寝ろ。明日は忙しくなるからな」
…………どうしてこうなった!?
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そして、次の日。
エヴァさんの別荘に、自分たちと5人の先生が集まってヘルマン卿を召喚しました。
「魂ごと消滅させられたくなかったら、この子に石化魔法を教えろ」
「何を言ってるんだ、君たちは?」
短いやり取りの後、契約という名の拷問が開始されました。
特にガンドルフィーニ先生が凄かったです。嫌なことでもあったんでしょうか?
召喚→消滅→召喚→消滅→召喚→消滅→召喚→消滅→以下エンドレス
ヘルマン卿が首を縦に振ってくれるまで、上記のような拷問がその後しばらく続きました。
もちろん消滅といっても魂ごとの消滅ではないので、消滅させられても何度でも無理矢理召喚させられます。
ごめんなさい、ヘルマン卿。
このエンドレスエイトが1日続いたころ、ヘルマン卿が何も喋らなくなりました。
別荘から出れる時間にもなったのですが、
「このままじゃ埒があかないな。ぼーやは一度外へ出ろ。
これからは大人の時間だ」
というエヴァさんの言葉によって、自分はガンドルフィーニ先生と刀子先生、瀬流彦先生と一緒に外に出ることになりました。
…………多分自分が見ていることで少しは手加減してたんでしょうね。
ごめんなさい、ヘルマン卿。
別荘の外であなたの無事を祈ってます。
エヴァさんとタカミチ、学園長という麻帆良三強をそこに残していく自分を許してください。
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その後自分は3人の先生と休日を過ごしてました。
そしてここで衝撃の事実が発覚。
葛葉先生は離婚してないそうです。子どもはまだいないそうですが、仲睦まじいらしいです。夜には夕飯の準備があるので帰っていきました。
原作では離婚したせいで、再婚焦っていましたからね。良いことです。
葛葉先生と別れた後、自分とガンドルフィーニ先生と瀬流彦先生の男3人で夕食にいきました。
ガンドルフィーニ先生は家に帰りづらいそうです。
家族仲が悪いのか? と不安になりましたが、何でも幼稚園の娘さんに彼氏が出来たそうです。ませてますね。
家に帰って娘さんと話しても、彼の話ばっかりでいたたまれなくなるそうです。強くもないのに酒を飲み、自分たちに愚痴をこぼしてました。
それでもヘルマン卿に八つ当たりした結果、少しは気が晴れたようです。
原作と違うのですが、これは良いことなんでしょうか? 悪いことなんでしょうか?
そろそろ帰らないといけないので、と瀬流彦先生にガンドルフィーニ先生を任して帰りました。
瀬流彦先生は縋るような目で自分を見てましたが無視です。
頑張れ、瀬流彦先生。
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そしてその次の日、朝起きたら目の前に黒い執事がいました。
「おはようございます、ネギ様」
…………ごめんなさい、ヘルマン卿。
自分はあなたを助けることが出来ませんでした。
まあ、外で無事を祈っていただけなんですけどね。
エヴァさんに聞いたところ、教育が終わったので執事として働くそうです。
ダンディーなので執事姿が似合ってます。
石化魔法も自分に教えてくれるみたいですから、一緒に住むのは全然構わないのですが…………。
「ネギ様。私めのことは“ヴィル”とお呼びください」
「…………はい、これからよろしくお願いします。ヴィルさん」
……。
…………。
………………この流れって自分が悪いんでしょうか?
これから発言するときは、もっとしっかりと考えてからすることにしますね。