こんにちは、ネギです。
今日はエヴァさんやタカミチと休日恒例の麻帆良巡りです。
いい時間になったので、昼食のために最近オープンした店に入ろうとしたところ、
「このスープを作ったのは誰だぁっ!!!」
と厨房に殴り込む、カンガルーのオーラを背負った少女に遭遇しました。
……。
…………。
………………嘘だっ!!!
「む、四葉先生があんなに怒るとは…………。
この店はハズレか。なら別の店に行くとしよう」
「そうだね。四葉先生があんなに怒るなんて滅多にないことだよ」
「え!? あの人先生なんですか!?
2-A生徒の名簿で見た覚えがあるんですけど!?」
どうしてこうなった!?
「いや、確かに四葉五月は2-Aの生徒だが、あの方は私の料理の先生でな。
この学園にきてから15年間料理の修行をしてきたが、14歳のあの方にまったくかなわん」
「あまり言いたくない話なんだけど…………。
学生食堂の職員が食材のコストを黙って下げ、その差額をポケットに入れる事件があったんだよ。
だけど四葉先生が一口食べただけでそれを見破ってね。そのおかげで発覚して解決に繋がったのさ。
それ以来、僕達は四葉先生には頭が上がらなくてねぇ」
「私は四葉先生が部長をしている料理クラブに所属していてな。
試食会ともなると参加者が抽選で選ばれるほど盛況になるよ」
…………もしかしそのクラブ名って、“美○倶楽部”とかいいませんかね?
いや、やっぱりなんでもないです。
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しょうがないのでエヴァさん行き着けのオープンカフェで食事することにしました。
エヴァさんが気に入るだけあって美味しかったです。
それにしても原作と違ってきてしまいましたね。どうしましょう?
メルディアナにいたときも考えましたけど、原作の大きな事件といえば以下の5つですね。
① 期末テスト
② 桜通りの吸血鬼事件
③ 京都修学旅行
④ ヘルマン卿襲撃事件
⑤ 麻帆良学園祭
…………あれ? ①と③以外終わってね?
いや、まだ“完全なる世界”が壊滅したとは限りません。
だとすると、④はまだ発生する可能性がありますね。
まあ、“② 桜通りの吸血鬼事件”はエヴァさんとの仲が良好ですし、起こるとしても命の危険はない訓練のようなものでしょう。
もしかしたらエヴァさんが、
「どうして“お母さん”って呼んでくれないんだぁっ!!!」
とかヤンデレになる可能性があるので、十分に気をつけておきますが。
“③ 京都修学旅行”の事件は西と東の対立が原因ですから、“完全なる世界”がいなくても起こる可能性が高いです。
やはりエヴァさんの封印を解いて、修学旅行に着いて来てもらわないといけません。
あ、でもタカミチが担任のままなんだからタカミチも来ることになりますねぇ。
エヴァさんが来れない場合、タカミチを頼ることにしましょうか。
とはいえフェイトが本当にいないなら危険度は激減しましたね。
“④ ヘルマン卿襲撃事件”は………………。
まあ、ヴィルさんが執事になってしまったんですよね。
とはいえ他の人が襲ってくる可能性があるから、京都修学旅行の結果次第なのは変わらずですか。
ああ、そうだ。
ヴィルさんから教わった石化魔法を発展させた石化治療魔法は、年明けまでには完成しそうです。
完成したらアーニャやアルちゃんを迎えに行くのに合わせ、村の皆を治してしまいますか。冬休みには里帰りです。
それにしても、他の転生者の皆さんはヘルマン卿を監禁したり、魔法を使うのを観察したりして、石化治療法を見つけるのがテンプレなんですが…………。
何が悲しゅうて石化させた張本人に協力してもらってるんでしょうか、自分は?
自分はただテンプレ通りに進めたいだけなのに。
“⑤ 麻帆良学園祭”は超さんいないから普通に楽しめますかね?
それとも別の人が超さんの役割を果たすんでしょうか?
ま、それなりに気をつけておきましょう。
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あ、そうそう忘れてた。原作が始まる前から武術を学ぼうと思ってたんですよ。
今の自分はいわゆる後衛の“魔法使い”型の分類になります。
ネカネ姉さんの魔法授業のおかげで、患者には事欠きませんでしたから治癒魔法も得意ですし、砲台として『雷の暴風』なんかをぶっ放すことも出来ます。
MS再現能力による戦闘機さながらの高機動戦闘も出来るんですが、逆に屋内などの限定された空間ではその特性を生かせません。
それにMS形態になると生身より小回りが効かなくなる分、懐に入られると弱いのです。
ですのでMS形態では高機動戦闘に持ち込んで、ファンネルやビーム・マグナムを乱射しまくるのが良さそうですね。
やはりそうなると接近戦の技術が欲しくなります。
ビーム・サーベルを使用した剣術でもいいかな、とも思ったんですが、神鳴流に比べたらどうしても見劣りしてしまいます。
原作と同じ中国拳法でも良いのですが、どうせなら原作オリジナルの技を学びたいと思ったのです。
「そういえばタカミチ。お願いがあるんですけど」
「ん? 何だい?」
「待て、ぼーや。何故タカミチに頼るんだ。
何か願い事があるんなら私に言え」
いえ、ただ単に『居合い拳』を学びたいだけです。
『居合い拳』ってかっこよくね?
それにMSや詠唱魔法と違って、『居合い拳』なら不意打ちにも対応出来そうですし。
「麻帆良に着てからは、教師になるための勉強と石化治療魔法の勉強で篭りっぱなしです。
その2つも目処が付いてきたので、体力作りも兼ねて体を動かしたいんですよ。
教師をするにも体力が必要でしょうし、エヴァさんにも「根を詰めすぎたら出来るものも出来ないぞ」と怒られてしまいましたしね」
「む、確かにそんなこと言った覚えがあるな……」
「それに昔、タカミチがパンチで滝を割るの見せてくれたことあったじゃないですか。
実は結構あれに憧れていたんですよ。
せっかくタカミチと一緒に仕事出来ることになったんだし、タカミチの時間の都合が良ければ僕に武術を教えてくれませんか?」
「あはは、そんなこと言われると嬉しくなっちゃうね。
うん、いいよ。出張の予定も当分無いし、ネギ君に武術を教えてあげよう」
“憧れていた”の一言で上機嫌になりましたね。ちょろいもんです。
一方のエヴァさんは不機嫌になってます。ついでにエヴァさんへの弟子入りもお願いしてみますか。
タカミチが側にいるなら、エヴァさんが暴走しても何とか止めてくれるでしょう。
「それとエヴァさんには、魔法を実際に運用する技術を教えて欲しいんです。
基礎はみっちり勉強したので自信がありますが、如何せん実際に魔法を扱う経験が僕にはありません」
「! ああ、勿論構わんぞ。
ぼーやは基礎がしっかりしてるからな。今更基礎勉強はいらんだろう。
そーなると、ぼーやほど魔力に恵まれた者に魔法を教えることが出来るのは、学園の中では私かジジイくらいだろう」
「ありがとうございます。
石化治療魔法の勉強がありますので、本格的な弟子入りは村の皆の治療が済んでからでいいですか?」
よし、エヴァさんへの弟子入りOKです。
これで武術はタカミチ、魔法はエヴァさんに弟子入りです。
“完全なる世界”相手に警戒しすぎるに越したことはないですからね。
それにこの肉体は修行すれば修行するだけ強くなっていきますから、修行のし甲斐があります。
なんだか転生してから勉強や修行が楽しくなりましたよ。