「久しぶりじゃの、ネギ。
石化治療魔法で村の皆を治すとは見事じゃ。背もこんなに大きくなって。
日本には“男子三日会わざれば刮目して見よ”ということわざがあるが、まさしくその通りじゃ」
「久しぶりも何も、今朝治療魔法かけてあげたでしょ?」
「ちょっ!? いいから話をあわせてあげなさい!
おじいちゃんもいろいろ大変なんだから」
「そ、そうですよ、お兄様。
学校長は毎日激務をこなしておられるのでお疲れなのです」
ム、確かにそうですね。おそらく校長というのは激務なのでしょう。
数ヶ月前に比べ、大分やつれているし髪の毛も薄くなっています。きっとどこかの英雄と同じ二つ名を持っている部下?との関係に悩んでいるのでしょう。
それと昨日アルちゃんいないと思ってたら、妹さんに会いに行ってたそうです。数日後には自分と一緒に日本へ出発しますからね。家族水入らずで過ごせたそうで何よりです。
そうだ。石化治療魔法の研究も終わったし、今度毛生え薬の研究でもしてみましょうか。
完成したらおじいちゃんだけでなく近衛学園長にもプレゼントしましょうかね。あの人も頭頂部にしか髪の毛無いし。
………………オエ、学園長の頭が髪の毛に覆われるのを想像したら変なことになりました。
あの頭で髪の毛フサフサってどこのエイリアンだよ!?
「どうしたの?
顔色が急に悪くなったけど、治療魔法で疲れたの?」
「いや、何でもないよ、アーニャ。ちょっと変な想像が浮かんできただけだよ」
でも怖いもの見たさで作ってみたい自分がいます。
くそ、静まるんだ、自分の好奇心。たかが好奇心のために麻帆良にエイリアンを誕生させる気かぁっ!!!
「ア、アハハ……、
お久しぶりです、学校長」
「うむ、高畑殿か。久しぶりですな。
ネギがお世話になっているようでありがとうございます。コノエモンにも感謝しているとお伝えくだされ」
「はい。お伝えしておきます。
それでですが…………」
「承知しておる。
既に隣の部屋でお待ちになっておられる」
…………いや、一応作っておくべきか。何かあったときの切り札となるかもしれません。
いざというときは「僕の要求が受け入れられない場合、学園長の頭を髪の毛でフサフサにする!」とでも宣言したら、おそらく学園関係者は僕に屈服するでしょう。
どこの誰が好き好んでエイリアンを見てみたいと思いますか。
「お、お客様?
え、えと。私は席を外したほうがいいの?」
「ふむ、アーニャなら構わんと思うがの」
「大丈夫ですよ。別に秘密の話をするわけではないですから」
あ、でも木乃香さんから泣いて止めさせられそうですね。
そもそもいくらぬらりひょんとはいえ、木乃香さんの実?の祖父であるのですから木乃香さんにも害が及ぶ可能性があります。
木乃香さん泣かせるのは本意じゃないし、やっぱりやめておきましょう。
「それではネギ君、君に会いたいという人がいてね」
「うむ、それでは呼んでくるとしよう。
アーニャ、悪いが6人分お茶を用意してきてくれるかの」
「わかったわ、おじいちゃん」
む、考え込んでいたらいつの間にか話が進んでいました。
お客様ですか。誰でしょう? 正月にアルさんとガトウさんに会ったから、今度はラカンさんとか?
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別室行きとなると思いましたが、おじいちゃんが茶を2つ持って隣の部屋に行き、入れ替わりにお客様が来ました。
コード○アスのマオ!? マズイ、心が読まれるぞぉーーー!!! …………じゃなかった。
「はじめまして。ネギ・スプリングフィールド君。
私はクルト・ゲーデルといいます。メガロメセンブリアの元老院議員をやっているものです」
「ちなみにクルトは元“紅き翼”でもあってね。僕達の仲間であるんだ。確か前に少し話したよね。
もちろんナギとも知り合いだよ」
「はじめまして。ネギ・スプリングフィールドです」
マオじゃなくてクルトさんでした。“紅き翼”関連と予想していたのは少し当たりましたね。
ま、そもそもラカンさんがこんなところに来るわけないですか。
「は、はじめまして!
ネギの幼馴染のアンナ・ユーリエウナ・ココロウァです」
「はじめまして。
ネギお兄様の使い魔であるオコジョ妖精のアルです」
「ハハハ、そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ、ミス・ココロウァ。
オコジョ妖精の使い魔ですか。知り合いに同じ“アル”がいるのでアルちゃんとお呼びしましょう」
さすがのアーニャも本国の元老院議員ともなると気後れしてる感じですね。
というか、そもそもこの人何でここに来たんだ?
「フム、ネギ君は落ち着いていますね。10歳なのに立派なことです」
顔は笑っていますが、探ってくるような感じですね。原作同様に腹黒で何か企んでいるんでしょうか?
敵対するつもりはありませんが、舐められるのも困ります。駒にされる気はありませんから。
というわけでちょっと牽制しておきましょう。
「ありがとうございます。
ゲーデル議員のことは以前タカミチから話を聞かせていただきました。“紅き翼”の中でも年が近いから特に仲が良いそうですね。
…………それとアルビレオ・イマさんからもいろいろと聞いてマスヨ」
ヒキッ! そんな擬音がしてクルトさんの顔が引き攣りました。アルさんから、ということが嫌だったんでしょう。
フハハハハ! こんなこともあろうかと、正月のときに魔法世界編のためにといろいろアルさんから聞いてたんですよ。
なにせアルさんは小さいときのクルトさんを知っていますからねぇ。いくらクルトさんが戦争孤児で天才児とはいえ、子供らしい微笑ましい出来事や失敗談が無いわけがありません。
しかも悪戯好きなアルさんです。もちろん小さいときのクルトさんやタカミチもその悪戯の被害にあっています。
「ちなみにタカミチの小さいときの話もいろいろと聞いてます」
タカミチの顔色も変わりました。アーニャは何のことかわかっていないようでハテナ顔ですが。
「……ア、アハハ。どんな話を聞いたのか気になりますね。ま、それは次回の話の種にでも。
立ち話もなんですから座って話しましょう。短い話というわけじゃありませんので」
ハッハッハ、顔が引き攣ったままですよ、クルトさん。
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「しかし、元老院議員ともあろう方が僕に一体何の御用でしょう?
別に特別なことはしていないと思うのですが」
「何を言ってるんですか、ネギ君は。
昨日、伯爵級悪魔によって石化された人達を治療したばかりでしょうに」
「ええ、それは確かにそうなんですが。
ウェールズに帰ったら来客があるとはクリスマスのころから聞いてました。もっともお客様がゲーデル議員とは知りませんでしたが」
「…………ま、確かに。私が来たのは石化治療とは別件です。別に悪い話というわけではありませんので安心してください。
それとネギ君に会ってみたいというのはありました。タカミチからは聞いていたのですが、結局今になるまで会う機会がありませんでしたからね。
ハハハ、何でも“闇の福音”から「お母さんと呼んでくれ」と言われて困っているらしいですね」
タカミチ!? 何てことを言いふらしているのですか!?
…………エヴァさんとの関係を把握することが目的ですかね?
将来、自分を英雄として祭り上げるならエヴァさんは邪魔になってしまうでしょう。
ましてや“闇の福音”をお母さん呼ばわりしてたら英雄になんかなれるわけありません。
「…………ええ、まあ。
父との関係からお世話になっています」
「ネギ君も大変ですねぇ」
「ええ、まあ。でもさすがに見た目同い年のエヴァさんを母と呼ぶ気はないですよ。
母ではなく、恋人としてなら話は別ですけどね」
あの人、自分の好みにジャストミートしてます。今のところエヴァさんとアスナさんが好感度TOP2です。
なんかアーニャが「ブフォッ!」と紅茶を噴き出しましたが無視です。
アーニャの対面に座ってたタカミチが紅茶まみれになりましたが、それも無視です。
「! …………ほ、ほほう。
ネギ君はもう人生のパートナー探しをしてるんですか。少し気が早くありませんか?」
「あら? お姉さまが増えるのですか?」
「ハハハ、そこまで深く考えているわけじゃありませんよ。それにエヴァさんは父一筋でしょうし。
でも、ウチの駄目親父ながら、あそこまで深く想われるのはうらやましいと思いますけどね。自分もあんな風に女性から想われるような男になりたいと思います。
はい、タカミチ。このハンカチ使っていいよ。アーニャもそんなはしたない事しないでよ」
「ア、アンタがいきなりとんでもないこと言うからでしょーがっ!!!
アルちゃんも変なこと言わないの!!!」
「ハ、ハハハ…………。大人びていてネギ君は10歳とは思えませんね。
まあ、何かあったら私にも言ってください。出来る限り力になりますよ」
「はい。そのときはよろしくお願いします」
「…………さて、そろそろ本題に入りましょうか。何故かやけに警戒されているようですし。
私がネギ君と会うために現実世界までやってきたのは、ネギ君に渡すものがあるからなのですよ」
「渡すもの……ですか?」
何でしょう? タカミチがニコニコ笑っているから変なものじゃないのでしょうが。
クルトさんが持ってきた鞄から一枚の紙を取り出してますが…………ラカンさん持ってた『闇の魔法』習得用の巻物とかじゃないですね?
「それでは改めまして。ネギ・スプリングフィールド君!」
「はい」
巻物じゃない、ただの一枚の分厚い紙ですね。いったいなんなんでしょう?
「君は“魔法世界崩壊を回避するための火星-水星間魔力輸送プロジェクト”に多大な貢献をしました。
よってその栄誉をたたえ、ここに賞状を送り功績をたたえます。メガロメセンブリア元老院議員 クルト・ゲーデルより
…………はい、おめでとうございます。これが表彰状です」
…………。
……………………。
………………………………“魔法世界崩壊を回避するための火星-水星間魔力輸送プロジェクト”ォ?
「あ、ありがとうございます。
と言いたいところなのですが、自分にはさっぱり事情がわかりません」
「そ、そうよ。
魔法世界崩壊って何よ? ネギがいつそんな凄いことしたのよ」
「落ち着いてください。これから説明しますので。
…………というよりタカミチから説明されてないのですか?」
…………ああ、そういえば正月にそれらしきことを言われた気がしますね。
「しょうがないだろ。まだ一応機密だったんだ。
公式発表されるまでネギ君に言うわけにはいかないだろう」
「いや、確かにそうだが。
どうせ今日表彰するとわかってたんだから、前もって言っておいてもいいじゃないか」
おまえたちは何言ってるんだタカミチにクルトさんーーッ!!!
言い訳はともかく理由を言えーーーッ!!!
「いや、スイマセン。
まず魔法世界崩壊についてから説明しますね。
実は魔法世界崩壊は20年前の“大分烈戦争”にも関係してくるのですよ」
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クルトさんとタカミチから説明してもらいました。
魔法世界は火星にあること。その魔法世界は火星の魔力枯渇により、いずれ崩壊してしまうこと。“大分烈戦争”が起こった理由。“完全なる世界”のことなどなど。
もうネタバレのオンパレードです。
「…………それで魔法世界の崩壊は避けられないため、クルトはせめて幻想ではない人間だけでも生き延びさせようと対策を練っていたんだ」
「ええ。しかし、平和裏に現実世界に6700万人もの人間を移り住ませるなんてのは不可能です。そんなことしたら現実世界と戦争になるでしょう。
また、いくら幻想とはいえ、他の10億以上いる人達を見捨てることもできませんでした」
「そのときだよ。5年前にネギ君が言ったことを覚えているかい?」
「いえ、そんな昔のことは良く憶えていないです」
「ハハハ、まだ4歳だったから無理もないね。
ネギ君はね、「火星に住めなくなったら、水星か金星に住めばいいじゃない」って言ったんだよ」
………………ッ!? 確かにそんなこと言った覚えがあります!!!
「え、えーと、もしかして僕が宇宙についての本を読んでいたときのですか?」
「思い出したのかい? そのときだよ。ネギ君が火星のことについて書かれていたページを読んでいたね。
そして“火星は地球が人でいっぱいになったときの移住先になりうる可能性を秘めている”と書かれていることから話が続いてね。
僕が「地球が人でいっぱいになって、火星も人でいっぱいになって住むところがなくなったらどうする?」と聞いたんだよ」
「…………その答えが「水星か金星に住めばいいじゃない」?
ネギ、アンタって大物なの? それともただの馬鹿なの?」
「で、でもアーニャお姉さま。
それで魔法世界の崩壊は避けることができたのだから、凄いことだと思いますけど……」
ありがとう、アルちゃん。
でも、自分と目を合わせてその台詞を言って欲しかったな。というか馬鹿ということを否定して欲しいんだけど。
「まあ、実際に水星や金星に移り住むことは出来ませんけどね。いや、出来るかもしれませんが時間が足りません。
しかし、私達はネギ君の言葉がキッカケで気づいたのです。“魔法世界が火星の魔力枯渇により崩壊してしまうのなら、火星に魔力を足せばいいではないか”…………と」
凄い力技ですね。「パンが無ければ、パンを持ってくればいいじゃない」ぐらい力技です。
そんなん出来たら誰も飢え死にしないんだよっ!!!
「そして研究を重ね、遂に火星-水星間で魔力輸送できるゲートを開発することができました。
今はまだ魔法世界崩壊に対処できる規模ではありませんが、数を増やすなり、もっと大型ゲートにするなり手はあります。
おそらくあと数年で魔法世界崩壊を防げるだけの魔力を確保できるでしょう」
「まあ、あくまで延命処置にすぎないけどね。
しかし、水星の魔力を使えば多分千年単位で延命可能だ。他に金星もあるし、その間に抜本的な対策を考えるさ」
千年あれば十分すぎるでしょうねー。
「というわけで、これがその表彰状です。
ネギ君は歴史に残る事件を解決するキッカケを作ったんですよ。誇っていいことです」
うわぁ…………魔法世界編もいつの間にか終わってたよ。
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「さて、ネギ君はこれで“魔法世界崩壊の阻止”と“伯爵級悪魔による石化の治療”という2つのことを成し遂げました」
すいません。
“魔法世界崩壊の阻止”は何でもない雑談で、“伯爵級悪魔による石化の治療”はただの冗談だったんですが。
「片方だけでも凄いのに、一気に2つの偉業を達成するなんてなんて前例がないよ。
おそらく10歳という最年少の“偉大な魔法使い”の誕生となるね」
まだ、“先生になる”という魔法使いとしての修行は始まってすらいないんですけど……。
しかも“魔法世界崩壊の阻止”はアイディアだけで自分何もしてないですよね?
「ところで少し聞きたいのですが…………先ほどの説明に出てきた“アリカ・アナルキア・エンテオフュシア”という女性についてどう思いますか?」
「? どう思うか……ですか? それは具体的にどういう意味でしょうか?
顔はまほネットで写真見たことあるから美人だと思いますけど」
母親のことを聞く?
アリカ姫のことは確か一人前になるまで話さない約束を“紅き翼”の間でしていたのでは?
「そういうことではなくて………………そうですねぇ。
例えば“世界を救うために自らの国を滅ぼした”ということについてはどう思います?」
「? いや…………世界が滅びたら自らの国も結局滅びますよね。他に手がなかったのならしょうがないのでは?
あくまでその空中都市オスティアの墜落の被害にあっていない人間の考えることですけど」
「それでは“災厄の魔女”と呼ばれていることについてはどう思います?」
「政情不安を鎮めるためのスケープゴートという役割を受け入れて処刑されたのは駄目だと思います。
助かったウェスペルタティア王国の人達のことを考えるなら、何としても生き残るべきだったと思います。今でも難民として苦労している人達を助けるために何としても。
メガロメセンブリア元老院に“完全なる世界”の黒幕として処刑されそうなら無実を証明し、むしろ冤罪をかけられそうになったのを逆手にとって難民の人達を保護させるよう、努力すべきだったと思います」
「……ネギ君は結構あくどいのですね。
要するに“冤罪かけたのをばらされたくなかったら、難民を保護しろ”と元老院を脅迫すべきだったというのですか?」
「まあ、さっきの説明を聞いただけでの感想です。
実際にはそんなうまくいかないとは思いますから、子供の戯言と聞き逃してください」
「いえ、なかなか興味深い話でしたよ。
ネギ君は…………性格はあまりナギに似てないのですね」
「どうなんでしょう? 実際に会ったことは一度しかないから自分としてはわかりません。
まあ、周りから聞いた話からすると、確かに似てないかもしれませんね」
「いや、僕からすると結構ナギに似てると思うよ……」
何で黄昏ているんですか、タカミチ?
自分のどこがあの駄目親父と似てるというんですか?
「しかし、何でそんなことを聞くんですか?
もしかして「9を救うために1を切り捨てられるか?」という“偉大な魔法使い”になるための心構えですか?」
「い、いや、そういうわけじゃないんだけど………………クルト、もうはっきり言ってもいいだろう?」
「そうだな。ネギ君なら大丈夫だろう」
え? えええ? バラすの? アリカ姫が母親ってことバラすの?
どういうこと? まだ一人前になってないですよ?
「…………実は、ネギ君。
君のお母さんは、先ほどから話に出ていた“アリカ・アナルキア・エンテオフュシア”という人なんだよ」
バラしちゃったよ、タカミチ。
ちょっと待って。どういうこと? 自分が一人前になるまで話さない約束でしょ?
そんなんいきなり言われてもどう反応すればいいかわからないよ。
隣のアーニャとアルちゃんも「何を言っているんだコイツは?」みたいな顔でタカミチ達を見てるし…………。
…………えーっと。何て答えよう?
どういう状況か全然わからない。………………とりあえず茶を濁しておきますか。
「そ、そうなんですか?
あの“二股眉毛”の人が僕のお母さんなのですか?」
って、何アホなことを言ってるんだ自分はーーーーーっ!?!?!?
駄目だ。自分でもテンパリすぎているのがわかります。
ああ! タカミチとクルトさんが崩れ落ちた!
アーニャとアルちゃんはわけもわからずポカンとしている!
駄目だこの混沌、早く何とかしないと!
…………と、その時、
「アリカ殿ーーーーー!!!!!」
と、ガラスが「ガッシャーーーン!」と割れる音と共に、おじいちゃんの叫び声が隣の部屋から聞こえました。
って、えええぇぇーーーーーっ!?!?!?
「な、何事ですか!? いったい!?」
「ネ、ネギ君っ!!!
実は隣の部屋にそのアリカ様がいたんですよっ!!!」
「実はアリカ様は処刑されるときにナギさんに助けられて、それからナギさんと結婚して君が生まれたんだ!
さっきの話にあった元老院と“完全なる世界”のせいで君と離れ離れにならなければいけなかったんだけど、その元凶を先日叩き潰し終わったから君に会いに来たんだよっ!!!」
やべぇっ!!! 母親の目の前で“二股眉毛”呼ばわりしちゃった!!!
隣の部屋に踏み込むと割れた窓と、そこから外を見ているおじいちゃんがいました。外で土煙が舞っているのが見えます。
窓ブチ破って外へ出たんですか!?
あー、そうですよね。いくら一人前になるまで話さない約束してあっても、問題なく会えるようになったらそりゃ会いに来ますよね。
元老院も“完全なる世界”も既に叩き潰しましたもんね。もう障害は何も無いですよね。
って、そんなこと考えている暇はありません。
急いで追いかけないと!