━━━━━ ネギ・スプリングフィールド ━━━━━
おはようございます。ネギです。
麻帆良に到着しました。やはり耳鳴りがするので飛行機は慣れません。
というか原作のネギは元気ありますよね。到着して直に授業をするって。
それにしても懐かしいなぁ、麻帆良学園。
何だかんだいって10年ぶりですか。
「高畑先生!
高畑先生!
高畑先生!
高畑先生!
高畑先生!
高畑先生!
高畑先生!
高畑先生!
高畑先生!
高畑先生!
ワンッ!!!」
………………それにしても懐かしいなぁ、アスナさん(NOT明日菜さん)。
もう……あの人とは会えないんですね。やはり明日菜さんは明日菜さんということなんですね。
タカミチめ、余計なことしやがって。
それにしても、まさか寒波で一週間も空港が閉鎖されるとは思っていませんでした。
冬休み中に麻帆良へ移動しておいて、いろいろ準備しようと思っていたのがパアになりましたよ。時期的に原作より早く来れはしましたけどね。
「えーと、次は逆立ちして開脚の上……」
現実逃避してないでさっさと行きましょうか。
放っておいたらどんどんエスカレートしていきそうです。
━━━━━ 神楽坂明日菜 ━━━━━
うううぅぅ~~~!
木乃香ったら、騙してくれちゃって。何が「好きな人の名前を~」よ。もうっ! おかげで注目集めちゃったじゃない。
「ところで木乃香。
今日こそは新任の先生って本当に来るんでしょうね?」
「大丈夫やよ、アスナ。今朝、ちゃんと日本に到着したっておじいちゃんに連絡あったみたいやし。
しゃあないやん。ずっとイギリスの天気が悪くて飛行機が出なかったらしいやん。今日の3学期の始業式に間に合ったのは良かったけどなぁ」
「確かに飛行機が飛ばなかったのならしょうがないけどね。
ま、おかげでそのことを伝えに来てくれた高畑先生と会えたから悪くなかったけど」
ああ、冬休み中だったのに高畑先生に会えたのはラッキーだったわ。
しかも空振りになったことを謝ってくれて、「ありがとう、スマナイね」と頭も撫でてくれたし。ウフフ。
どうせだったら今日も来なくてもいいかしら。そしたら高畑先生がまた来てくれるかも。
「アスナー、顔が変になっておるえ。高畑先生のこと考えるのはええけど、ほどほどになー。
ほら、あの子微妙な顔をしてこっち見てるえ」
「べ、別に変な顔なんかしてないわよっ!」
何てこと言うのよ、木乃香ったら。
ただ高畑先生のコト考えてただけなのに…………って、子供?
「失礼します。
神楽坂明日菜さんと近衛木乃香さんですか?」
「は、はいっ! そうです」
話しかけてきたのは変な長い杖を持って、バッグを載せた大きいキャリーケースをゴロゴロと引き摺っていた………………子供?
…………子供、よね? 背がクラスのユエちゃんぐらいしかないし。
でも何故か子供とは思えない感じがするわね。それに私達が待っていたのは新任の先生の筈…………。
「そ、そうやよ。えーと、ぼ、坊……アナタはどちらさん?」
「はい、ネギ・スプリングフィールドと申します。
今日はわざわざ案内をしていただけるということで、御迷惑をお掛けします」
「あ、いえ。…………お安いご用ですえ」
木乃香も戸惑っているわね。
やっぱり、この子が新任の先生なのかしら?
それともただ背が低くて童顔なだけ?
留学生がクラスにいるといっても、あまり外国の人達の顔がわかるわけじゃないし。
「おひさしぶりでーす!! ネギ君!」
高畑先生! こんな朝早くから会えるなんてラッキー……じゃなかった。
丁度いいところに。
「おひさしぶりです、タカミチ。
半年振りぐらいですね。これからよろしくお願いします」
「麻帆良学園にようこそ。
いい所でしょう? “ネギ先生”?」
「えー? やっぱり新任の先生なん?」
「はい、それでは改めまして。
この度この学校で英語の教師をやることになりました、ネギ・スプリングフィールドです」
こ、この子が新任の先生!?
やっぱり見た目より年食ってるのかしら?
━━━━━ 近衛木乃香 ━━━━━
ビックリしたわー。あんな小さい子が先生なんて。
やっぱり外見通りの年やったみたいやね。それにしても10歳で先生になるなんて凄いなぁ。
「アハハ、自分が子供というのはわかっていますからね。
別に“スプリングフィールド先生”なんて無理して呼ばなくても構いませんよ」
「ええの? じゃあ、“ネギ君”って呼ばせてもらうなー」
「え? …………い、いいんでしょうか、高畑先生?」
「ネギ君がそういうなら構わないさ。
確かに元から無理があることなんだし、ネギ君が先生として立派に務めていると思ったら“ネギ先生”と呼んであげてくれないかい」
「は、はいっ! 高畑先生!!!」
アスナは相変わらずやなー。もう全然ネギ君のことは目に入ってないわ。
にしてもネギ君が担任補佐かー。
確かに高畑先生は出張多くて、ホームルームが自習になることも多かったからなー。保護者からクレームでも来たんかも。
「最初はネギ君が担任になる話もあったんだけどね。
流石にそれは無理があるということで僕が担任のままで、ネギ君が担任補佐となってくれることになったんだよ」
「そ、そんな話があったんですか!?
ハァァァ~、よかったぁ~」
「話題に上っただけですよ。
僕のような子供が担任になるのは無理がありますし。3学期からいきなり担任が変わるなんて、生徒の皆さんにとって良いこととは思えませんからね。
学園長の冗談兼、僕が天狗になってないかを調べるための話だったみたいですよ」
「そ、そうみたいだね。
学園長はたまにオフザケが過ぎるから困ったもんだよ。ハッハッハ…………」
なーんか高畑先生の反応怪しいなぁー。
もしかしておじいちゃん本気だったんやないかな?
そんでネギ君に正論言われて、「実は君を試すつもりだったんじゃ!」で誤魔化したんやろ。
…………まーたネギ君に“ウチと見合いせんか”とか聞くやろうから、とりあえず金槌用意しておこか。
「着いたえ。あの部屋が学園長室や」
「はい、ありがとうございます」
この子緊張とかしてなさそうやね。
大人っぽいと思ってたけど、本当に10歳なんかな?
「ネギ君、ところで気になってたんやけど?」
「? なんですか?」
「このバッグって中に何か居るん?
たまにゴソゴソ動いてるけど」
「そういえば鳴き声らしきのも聞こえてくるわね」
そうなんや。
ネギ君が引き摺っているキャリーケースの上に載せてあるバッグ。
ゴソゴソ動いて、鳴き声も聞こえるんや。
「ああ、僕がウェールズで飼ってたペットです。ホラ」
ペラ、とネギ君がバッグをめくると、そこにはイタチみたいなちっちゃくて真っ白な動物がおった。
やーん、かわえーなぁ。
指近づけるとスンスンと匂い嗅いでる。ホレホレ。
「フェレット……かしら?
TVでみたのより丸っこいわね」
「オコジョですよ。
オコジョもフェレットもイタチ科ですので仲間ですね。ちなみにカワウソやラッコなんかも同じイタチ科の仲間です。
昔、罠にかかっていたのを助けたのがキッカケで飼うことになりまして」
あ、指舐められた。大人しいなぁ、この子。
確かイタチ科の動物は、かわええ顔して実は凶暴なこともあるみたいやのに。
「この子の名前はなんてーの?
オス? メス?」
「名前は“アルちゃん”といいます。
元男の子です」
あら? 何かこの子ビクついたわ。
ネギ君もさっきまでと同じ笑顔のはずなんやけど、ちょっと怖い雰囲気になったし…………どうかしたんかな?
ま、かわえーからええか。
よろしくなー、“アルちゃん”。
━━━━━ 後書き ━━━━━
本来、明日菜やネギは木乃香のことは“このか”と平仮名で名前を呼んでいますが、読みやすいようにこの作品では“木乃香”とさせていただきます。
忠実に原作に沿った方が良いと思うのですが、読みやすさ優先にします。
漫画だったら吹き出しの中のセリフ数が少ないので、平仮名でも十分読みやすいと思いますが、こういう形式ですと平仮名では読みにくいと思いますので。
他にも読み方を変えることもあるかもしれませんが、なるべく変えないようにしたいと思います。
さすがに“のどか”を“長閑”には出来ませんしねw
それにしても、原作でネギはカモを逃がしたことを怒られていますが、オコジョ妖精って食べたりするんでしょうか?
ただネギがオコジョ妖精だったことを伝えていないだけで、人語を話すオコジョ妖精を食べたりしませんよね?