こんばんは。ネギ・スプリングフィールドに転生した×××××です。
 前世の自分なんて、今となってはもうどうでもいいですけどね。
 それと只今、現在進行形で悪魔に村を襲撃されています。
 ドカンドカンと音が響き、悪魔がどんどんと消し飛ばされています。余波の衝撃波とか飛んでくる石とか酷いです。物陰に隠れないと危険ですね。
 ちょうどいい石像が目の前にあるので、それの後ろに隠れますか。
 いやー、魔法ってのは凄いですねぇ。自分もそのうち使えるようになるかもしれないと思うだけでワクワクしてきます。
 さて、簡単に悪魔襲撃までのことをご報告しますと、原作との違いは自分がナギを強く求めていないってことぐらいでしょうか。
 もちろん会ってみたいとは思いますけどね。
 普通に遊んで、普通に魔法の勉強して、普通に暮らしていました。
 別に池で溺れたりしてません。
 スタン爺さんはいい人ですね、ぶっきらぼうだけど。
 悪魔に対する備えとかは特にしませんでした。
 自分の力はまだ把握できていませんですし、ここで原作と違う動きをすると未来がどう変わるかわかりませんでしたから。
 ただ、スタン爺さん達が石にされると思うと黙っていることに罪悪感が湧きました。
 だからスタン爺さんの肩を叩いたりして祖父孝行してました。
 只の自己満足でしかありませんけどね。
 …………さて、それではそろそろ現実逃避を止めて、どうしてこうなった!? のかを嘆きましょうか。
 それは悪魔襲撃の日。
 遂にスタン爺さんが自分を庇って石にされ、ヘルマン卿が自分を石にしようとしたところから始まります。
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 マズった。原作とは流れが違う。
 原作だったらスタン爺さんが石になる前にナギが助けに来てくれたはずだったんですが、自分が原作のネギとは違う生活をしているせいか流れが変わってしまいました。
 ナギに助けられないまま、ヘルマン卿が目の前にいます。
「ネギッ!!!」
 この声はネカネ姉さん!?
 マズイッ! このままじゃ原作では助かったはずのネカネ姉さんまで完璧に石にされる。
 神さま?(というか結局あの剣誰なんだ?)に原作知識もくださいと頼んどけば良かった。そうすればこんな展開にならなかったのに。
 転生だぜ、ヒャッホイ! なんて浮かれてた自分が情けな「『雷の暴風』ッ!!!」…………い?
 …………。
 ……………………。
 ………………………………え?
 ネカネ……姉さん? 貴女はいったい何してるんですか?
 いきなり無詠唱の『雷の暴風』ですか? ヘルマン卿が吹っ飛ばされたんですが?
 あれ? ネカネ姉さんって回復系の白魔法使いじゃありませんでしたっけ?
 もしかしてそれは二次創作の設定だったかな?
「大丈夫っ!? ネギッ!?」
 え? …………いえ、大丈夫です。
 助けてくれてありがとうございます。スタン爺さんは石になってますけど。
 …………ではなくて、何でネカネ姉さんがあんな強力な魔法を? そもそも原作でもヘルマン卿吹っ飛ばすようなことしてなかったじゃないですかっ!?
 え? 本気で何ですか、この状況?
「安心して、私が守ってあげるから。
 二代目“千の呪文の女”の名は伊達じゃないわ」
 …………どうしてこうなった?
 待て待て待て、本当にどういうこと?
 …………。
 ……………………。
 ………………………………はっ!?
 思いだせ、あの神様?の発言を。
 確かアレはこんなことを言っていたハズ!
最初
> 「いやいや、違うよ。
>  この剣は私の趣味。ベルセルク関係はもう出てこないと思うよ。
>  転生先世界は“魔法先生ネギま! ”の世界。
>  しかも主人公の“ネギ・スプリングフィールド”になってもらいます」
最後
> 「………確認するよ。
>  転生先世界は“魔法先生ネギま! ”の並行世界。
>  転生するのは“ネギ・スプリングフィールド”。
>  与える能力は“「ガンダムUC」のモビルスーツの再現”」
最初
> 転生先世界は“魔法先生ネギま! ”の世界。
最後
> 転生先世界は“魔法先生ネギま! ”の並行世界。
 後になって“並行”が付け足されているじゃないかっ!?
 じゃあ何か? この世界は原作とは違うってことか?
 …………無理矢理“ガンダムUCのMSの再現能力”なんて貰ったせい?
 クッ、“完全魔法無効化能力”なんてものをタダでくれることに疑問を持つべきだった。
 オマケを貰った嬉しさに“並行”なんて言葉が付け足されていることに気付かなかった。
 そんなうまい話があるわけないのに………。
 嫌がらせのつもりか、あの神様?は。
 いや、面白くするためなんだろうなぁ。
 …………コレどうしよう?
「我がスプリングフィールドの魔法はァァァァァァァアアア、世界一ィィィイイイイ!!!」
 ………………ネカネ姉さんが壊れた。
 いや、自分が知らなかっただけで既に壊れていたのか。
 あ、音と光の発生源がもう一つ増えた。ナギが参戦したのか。
 うわぁ、悪魔が可哀想になってきたよ。
 戦闘が派手になった分、飛んでくる石つぶてが多くなってきたので、石になったスタン爺さんの陰に隠れます。
 …………これからどうしよう?
 どうしようってか…………どうしようもないな、ウン。
 後のことは流れに任せるしかない。
 ガンッ! ドサッ!!!
 ん? 一際デカイ音がして何か地面に落ちた音が…………って、ちょ、髭が折れてる!?
 石になったスタン爺さんの髭が折れてる!? 飛んで来た石つぶてがぶつかったのか!?
 もうやめて! ナギもネカネ姉さんももうやめて!
 スタン爺さんと悪魔のライフはもう0よ。もう勝負はついたのよ!!!