こんにちは。ネギです。
あの後ナギはネカネ姉さん達と二言三言の言葉を交わし、自分の使っていた杖を形見として置いて何処かにいきました。
その間自分は折れたスタン爺さんの髭とネカネ姉さんの豹変振りにガタガタと震えているだけでした。
…………大人達は悪魔のせいだと思ってましたけどね。
それから注意深く見ていると、やっぱりこの世界は少しばかり違っているのがようやくわかってきました。
ああ、それとネカネ姉さんの活躍もあって、アーニャのご両親は無事でした。
それでもスタン爺さんを含め結構な犠牲者が出たみたいですので、避難も兼ねて僕の年齢には少し早いですが魔法学校に入学することになったのですよ。
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そしてそれから6年後、原作通り2年の飛び級をして一応主席として頑張ってます。
転生前は大人でしたし、このネギ・スプリングフィールドの体がチートみたいなものですからね。
この年ぐらいで行なう勉強なら余裕です。
魔法の勉強や練習はさすがに難しかったですけど、それでも前世では存在しなかった魔法を使うのは楽しかったのでハマってしまい、“好きなものこそ上手なれ”で魔法の腕を上達することが出来ました。
優秀な体でよかった。前世の体ならついていけなかったですよ。
そして今は魔法の実技練習中、ネカネ姉さんが見本を見せてくれています。
「スプリングフィールドは!!! 地上最強ォォ!!!」
あ、相手役の先生吹っ飛んだ。
いつものことですね。
何だかネカネ姉さんは戦闘関係になると性格が変わるそうです。
自分は悪魔襲撃の日まで自分は戦闘関係に関わっていなかったから気付かなかったんですね。
ネカネ姉さんはメルディアナ魔法学校の非常勤教師兼NGOをして暮らしています。
聞いたところによると何でも“千の呪文の女”として大活躍とか。
テロリスト(多分“完全なる世界”)をバッタバッタと薙ぎ倒しているそうです。
………もしかして、村襲われたのネカネ姉さんのせいなんじゃね?
そうそう、罠にかかっていたアルベール・カモミールのカモ君なんですが、彼だけは原作と性格は違いませんでした。原作通りにエロオコジョだったんです。
これで原作と変わらないのはスタン爺さんに続いて二人目?だ、と喜んでいたんですが、周りが違っているのを失念していました。
具体的に言うとネカネ姉さん。
度重なる下着ドロにぶちぎれたネカネ姉さんは、僕からカモ君を取り上げてどこかに連れて行きました。
そして帰ってきたカモ君にはナニが無くなっていたのです。
…………去勢されたんだね。無茶しやがって。
そして「今度からはカモ君ではなくアルちゃんと呼びなさい」とネカネ姉さんに厳命されました。
おかげで僕の使い魔は原作と違ってアルちゃんなのです。
「ネギ、今日の授業はこれで終わりよ。帰りましょう」
イエス、マムッ!!!
お願いですから、その頬についた返り血を拭ってください。
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「ネギ、今夜も石化治療薬の実験?
あなたの気持ちもわかるけど、ほどほどにしないと駄目よ」
大丈夫、無理なんてしてません。むしろ実験中はネカネ姉さんもイロイロ控えてくれるから逆に気が楽です。
でも学校の禁書庫の本も全部読んだしなぁ。正直手詰まりです。
こうなったからには麻帆良の図書館島に望みを託します。
あ、禁書庫は見てみたい、とネカネ姉さんに相談したらその日のうちに許可をもらってきてくれました。
しかし、もらってきてくれたのはいいのですが、何故か次の日から学校長が痔の手術とかの名目で一週間ほど入院したんですよね。
そして復帰した学校長は何故か総入れ歯になってました。痔の手術じゃなかったようです。
…………ま、些細なことでしょう。
「ネギ、ネカネ姉さん」
あ、アーニャ……とアルちゃん。
…………えーと、そのリボンかわいいね。アルちゃん。
「はい、ありがとうございます。お兄様」
「でしょー、アルちゃんに似合うと思って買ったのよ」
ちなみに何故かこの一人と一匹は異様に仲が良いです。アルちゃんは一応自分の使い魔のはずなんですけどね。
もちろんアーニャは最初、毛虫のごとくカモ君を嫌っていました。
しかし、カモ君がアルちゃんになって、ネカネ姉さんの調教が終わってからは急に仲が良くなりました。
何でしょう。この違和感を感じないはずの空気なのに感じてしまう違和感は?
ああ、自分が原作を知っている転生者だからですね。
スタン爺さんに逢いたいなぁ。すごく逢いたいなぁ。石化治療薬早く完成しないかなぁ。
ちなみにアーニャは原作よりはお淑やかに育ってます。
ご両親が無事だったせいですかね。ツンデレなのは相変わらず変わりませんが。
「もうすぐ卒業ね」
そうだね、アーニャ。
卒業試験はどうなるんだろうね。
…………やっぱり麻帆良で先生するのかなぁ?
原作キャラには興味があるけどキャラ崩壊がどうなっているのか不安だ。
もし全員男だったりしたらどうしよう…………。
いや、そんなことはあるまい。
皆が少しずつ変だとはいえ、そこまで極端な原作との乖離はあるまい。
この前ウェールズに来たタカミチ本人に確認したところ、タカミチが女子中学校の先生をしているのは確かなんだ。
ああ、タカミチはタバコを吸っていないのが原作との違いでした。他にもあるかもしれないけど数回会っただけじゃわかりません。
麻帆良の図書館島には行きたいけどキャラ崩壊を見るのは嫌です。
ま、卒業試験内容を変えるなんて無理なんでしょうけど。
…………ネカネ姉さんに頼めば出来るかもしれませんが。
それはともかくとして、“闇の福音”対策に今からマグナム弾を貯めとかなきゃなぁ。
学園結界があるなら、“MM-D”を使って『雷の暴風』を撃ち込みまくれば勝機はあるでしょう。
どんなキャラ崩壊が待っているかわからないから、とにかく万端の準備をしてから麻帆良に行かないと…………。
━━━━━ 後書き ━━━━━
ちなみにカモ君は“アルベール”って名前なんですが、これはフランス風な名前なんですよね。
イギリス風なら“アルバート”です。
もしかしてカモ君はフランス出身?